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無脊椎ポストゲノムのインフラストラクチャー


Date: Tue, 12 Jan 1999 23:00:13 +0900
From: tmurataアットマークrtc.riken.go.jp (MuraTa, Riken Tsukuba)
Subject: [Jfly] Post-ganome Project.

村田アットマーク理化学研究所です。

東京大学の平良眞規先生から次のような手紙を頂きました。
(平良先生の許可を得て冒頭のみ抜粋)
手紙全文はここに流すには長すぎるので、また私信でも有りましたので
感心のある方はご連絡ください。
折返し、手紙の転送または掲載URLをお知らせいたします。


 米国NIHにおいて「非哺乳動物のゲノムプロジェクトに関するワークショップ」が
この2月に開かれます。それに出席するにあたり、非哺乳動物研究に於けるinfrastr
uctureづくりに関し御意見をお伺いしたくemailを差し上げた次第です。
 ポスト・ヒトゲノムプロジェクトとして、ヒトゲノムプロジェクト遂行の過程で得
られた技術的資産を他の動物のゲノムプロジェクトに如何に生かすかを今のうちに考
えておく必要があります。その動きの一つとして前述しましたように、NIHで「非哺
乳動物のゲノムプロジェクトに関するワークショップ」がこの2月16、17日に開
かれようとしています。これはNIH所長Vermusの要請によりもので、このワークショ
ップには非哺乳動物を実験動物としている米国国内の研究者が多数集まります。中心
議題は、どのような基準でどの動物のゲノムを選ぶか、ということのようです。


村田 武英
305-0074 茨城県 つくば市 高野台 3-1-1
理化学研究所 ライフサイエンス筑波研究センター


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Date: Wed, 13 Jan 1999 02:09:27 +0900
From: mogamiアットマークbio.phys.s.u-tokyo.ac.jp (Kaname MOGAMI)
Subject: [Jfly] Post-genome Project.

村田様、Jfly の皆様

おもしろそうな話題ですね。もし可能なら手紙の全文を公開していただけ
ませんか?Post-genome project として何をやるべきかにはたいへん興
味があります。「どのような基準でどの動物のゲノムを選ぶか」だけでは
なくgenome project 後の展望について Jfly で ぜひdiscussion して欲
しいと思います。(ショウジョウバエ関係者は genome project には不
熱心なような気がして、それはやばいという気がするんだけど。)

もがみ(東大旧堀田研)


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Date: Wed, 13 Jan 1999 13:40:54 +0900
From: tmurataアットマークrtc.riken.go.jp (MuraTa, Riken Tsukuba)
Subject: [Jfly] Post-genome Project.

もがみ様
 手紙につきましては私信でもありましたので、平良眞規先生に
確認後、了解が得られれば公開します。
 現在は、要請があった方への転送は了解いただいています。

 まずは、ご返事まで。

村田 武英
305-0074 茨城県 つくば市 高野台 3-1-1
理化学研究所 ライフサイエンス筑波研究センター


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Date: Thu, 14 Jan 1999 08:27:16 +0900
From: tmurataアットマークrtc.riken.go.jp (MuraTa, Riken Tsukuba)
Subject: [Jfly] Post-ganome Project.

村田アットマーク理化学研究所です。

先の「非哺乳動物のゲノムプロジェクトに関するワークショップ」
について平良先生の許可を得ましたので、別便で転送いたします。
また、
http://ac3.aimcom.co.jp/~tmurata/postgenom.html
に同じ内容の書類を置きましたのでご利用ください。

本来この手紙は平良先生に意見を送るための資料ですが、この手紙
から出発してJfly上でディスカッションが深まればよいなとも思っ
ております。

なお、会議は2月16、17日ということですので、この会議に関
してご意見のある方はそれ以前に平良先生にメールを送っていただ
くようお願いいたします。

村田 武英
305-0074 茨城県 つくば市 高野台 3-1-1
理化学研究所 ライフサイエンス筑波研究センター


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Date: Thu, 14 Jan 1999 08:29:47 +0900
From: tmurataアットマークrtc.riken.go.jp (MuraTa, Riken Tsukuba)
Subject: [Jfly] Post-ganome Project.

このemailは非哺乳動物の発生を研究されている以下の先生方に主としてお送りして
おります。
敬称略(ABC順):相沢(熊本大)、阿形(姫工大)、赤坂(広島大)、有賀(理研
)、浅島(東大)、堀(名大)、井出(東北大)、石川(放医研)、勝部(東医歯大
)、川上(東大)、近藤(阪大)、黒岩(名大)、前野(新潟大)、三田(放医研)
、村田(理研)、仲村(東北大)、西田(東工大)、濃野(川崎医大)、野地(徳島
大)、野中(東大)、村田(理研)、岡本(生命工学研)、岡本(理研)、小椋(奈
良先端大)、西駕(都立大)、笹井(京大)、佐藤(京大)、嶋(東大)、嶋田(広
島大)、高橋(奈良先端大)、武田(名大)、上野(基生研)、安田(奈良先端大)
、吉里(広島大)、山田(熊本大)、八杉(都立大)

拝啓
 米国NIHにおいて「非哺乳動物のゲノムプロジェクトに関するワークショップ」が
この2月に開かれます。それに出席するにあたり、非哺乳動物研究に於けるinfrastr
uctureづくりに関し御意見をお伺いしたくemailを差し上げた次第です。
 ポスト・ヒトゲノムプロジェクトとして、ヒトゲノムプロジェクト遂行の過程で得
られた技術的資産を他の動物のゲノムプロジェクトに如何に生かすかを今のうちに考
えておく必要があります。その動きの一つとして前述しましたように、NIHで「非哺
乳動物のゲノムプロジェクトに関するワークショップ」がこの2月16、17日に開
かれようとしています。これはNIH所長Vermusの要請によりもので、このワークショ
ップには非哺乳動物を実験動物としている米国国内の研究者が多数集まります。中心
議題は、どのような基準でどの動物のゲノムを選ぶか、ということのようです(詳細
は文末の文1を参照)。
 昨年の9月にIgor Dawid(NICHD所長)とXenopus resourcesについて話あったこと
がありその関係だと思うのですが、このワークショップに私が呼ばれています。USA
以外の参加者は私だけのようであり、また内容も米国国内の予算配分に関係したもの
ですが、そこでの決定は今後の研究動向に大きく影響することは充分に考えられます
。そこでワークショップで私個人の意見だけを述べるよりも、良い機会ですので日本
の研究者の意見も反映させることができれば将来的に有益ではないかと思っています
。またNIH workshopのオーガナイザーもそれを期待しているようです。
 今回のworkshopに先立ちに予備的な会合がNCI(国立癌センター)で開かれました
(詳細は文末の文2を参照)。そこではモデル生物として、酵母、C. elegans、ショ
ウジョウバエ、ゼブラフィッシュ、アフリカツメガエルが挙げられており、各生物ご
とにいくつかの行うべき具体的項目が設けられています。今回はそれを叩き台として
、これらの項目の検討および追加項目の有無などが議論され、その中から緊急性、重
要性の高いものが選ばれ、今後のNIH予算の配分に反映されて行くものと思われます
。9月にIgorと話した感触では、NIH主導で行うのではなく、公募でプロジェクトを
募ることになるのではないかと思います。
 遺伝解析が行える動物(C. elegans、ショウジョウバエ、ゼブラフィッシュ)では
「全ゲノム配列の決定」と「ESTs」がプロジェクトの対象となり得ますが、遺伝解析
が行えない動物(Xenopus laevis)では「ESTs」プロジェクトが中心になると思いま
す。最近Xenopus tropicalisが遺伝解析が行えるようになってきたようであり、また
今回のワークショップにBob Graingerが入っていますのでX. tropicalisが前者のグ
ループに入れられるものと思われます。発生の分野で使われている他の動物として、
ウニ、ホヤ、ナメクジウオ、メダカ、ニワトリなどがありますが、これらはモデル生
物として挙げられていません。それが今回のワークショップでどのようになるか注目
したいと思っています。
 そこで特にこれらの生物を用いて研究をされている先生方に、日本での現状や、ゲ
ノムプロジェクトやESTsの必要性などに関しご意見をいただけましたら大変有難いと
存じます。なおここで言うESTsとは、塩基配列を決定したものがそのままデーターベ
ースとして公開されていくものをさし、いわばボランティア活動によりつくられるも
のです。従ってそれ自体では論文にはならないので、小規模の研究室で行いにくもの
であります。ただしどのcDNAライブラリーを使うかは目的により異なってきますので
その点が実際に行う研究者の権利となるのかもしれません。またESTに対応するクロ
ーンの扱い(無償にするか、共同研究にするか、有償にするか)も意見の別れるとこ
ろかもしれません。
 弱小分野でinfrastructureづくりは大変なことで、あまりやりたくないことと思い
ますが、一方infrastructureが整備されなければ益々弱体化しているしていくという
危険性があり、そこにジレンマがあると思います。可能性として、例えば大きなゲノ
ムプロジェクトに付属した形でESTsを作成するのは比較的簡単にできることではない
かと思っています。米国ではヒト・ゲノムプロジェクトの片隅でXenopus laevisのES
Tsづくりが始まったと聞いています。なおXenopusに関しましては、ESTsをX. laevis
とX. tropicalisのどちらで行うかということも議論する必要がありますが、私とし
ましてはやはり両方とも必要ではないかと思っています。
 些細なことでも結構ですから御意見ございましたら是非お寄せください。また上記
の先生方以外にもこの件について関係がありそうな先生がいらっしゃいましたらお教
えください。

 なお、本題とは関係ありませんが、「非哺乳動物のゲノムプロジェクトに関するワ
ークショップ」が癌研究の一部としてNCIが主体となって進めようとしていることに
大きな驚きを感じております。このように、ヒト・ゲノムプロジェクトや癌研究の様
に大型予算をもつところが、弱小の非哺乳動物研究を支援することが重要ではないか
と思われます。
敬具
平良眞規

*******************************

「文1」
****************************
>Dear Dr. Taira,
>We are writing to invite you to participate in a workshop on non-mammalian
>model
>organisms, to be held on February 16-17, 1999, at the National Institutes of
>Health (NIH), Bethesda, MD. The purpose of this workshop is to help the NIH
>develop a process to set priorities for the support of genetic and genomic
>resources needed to facilitate the structural and functional analysis of
>non-mammalian models. This workshop is being organized at the request of Dr.
>Varmus, Director, NIH. We expect significant participation from Dr. Varmus as
>well as from a number of Institute and Center Directors. Dr. Raju Kucherlapti,
>Albert Einstein College of Medicine, and Dr. David Valle, Johns Hopkins
>University School of Medicine, will serve as co-chairs of the workshop.
>The Human Genome Project has spawned an increasing interest in genome biology
>for a number of model organisms. The utility of genomic technologies and
>resources, such as cDNA and genomic sequences, is rapidly being realized. With
>that, the interest in the scientific community for additional genomic resources
>for existing model organisms, as well as in potentially initiating the
>generation of genomic resources for additional model organisms, is rapidly
>increasing. These resources will be useful to a very broad segment of the
>biomedical research community, transcending individual NIH Institute interests.
>However, the scale of these resources causes their cost, in many cases, to be
>significant.
>The NIH is facing an increasingly difficult task of prioritizing research in
>this area. Therefore, we all need to evaluate the current status of genomic
>resource development for existing non-mammalian model organisms, to consider
>what additional model organisms might be subjected to similar development, and
>to develop a process by which research priorities can be established, both
>within an individual organism and between organisms. The purpose of this
>workshop is to address these needs.
>As background information, last year NCI convened a small working group on
>non-mammalian models for cancer. A number of recommendations were developed,
>including recommendations for generating genetic and genomic resources for S.
>cerevisiae, C. elegans, D. melanogaster, zebrafish and Xenopus. These
>recommendations, which can be found at
>http://deainfo.nci.nih.gov/ADVISORY/pog/directors/preclin_model/sub3min.htm,
>will serve as the starting point to consider this topic at a broader level.
>Participants in this workshop will include scientists studying the five model
>organisms mentioned above as well as other non-mammalian model organisms. In
>addition, researchers who do not have a strong affiliation with a particular
>non-mammalian organism (such as broadly focused cell biologists, developmental
>biologists, biochemists and physiologists as well as those who work on higher
>organisms, such as human and other mammalian geneticists), including those
>experienced in genome technologies, will be invited to participate.
>So far, 27 participants have accepted our invitation, including these 7 Xenopus
>experts: Igor Dawid, Eddy DeRobertis, Rob Grainger, Janet Heasman, John
>Newport,
>Sally Moody and Randy Moon. The workshop will start with several introductory
>talks, but the majority of the time will be devoted to discussion.
>We believe that you would make a significant contribution to this discussion
>and
>we hope you will be able to accept our invitation. Given the short time
>before
>the workshop, please respond by Thursday, December 24th. Either I or one of
>the other members of the working group (see below) will be in touch with you
>shortly to answer any questions that you may have.
>
>On behalf of Dr. Varmus, and the Working Group on Non-Mammalian Models Workshop
> (Elise Feingold, Ph.D., Chair; National Human Genome Research
>Institute;
> Jill Carrington, Ph.D., National Center for Research Resources;
> Leslie Derr, Ph.D., National Cancer Institute;
> Bettie Graham, Ph.D., National Human Genome Research Institute;
> Judith Greenberg, Ph.D., National Institute of General Medical
>Sciences;
> Steven Klein, Ph.D., National Institute of Child Health and Human
>Development),
>thank you for considering this invitation.
>
>Sincerely, Steve Klein
>Steven L. Klein
>Developmental Biology,
> Genetics & Teratology Branch
>National Institute of Child Health
> and Human Development
>NIH
>301 496 5541
****************************

以下は2通目、
****************************
Dear Masanori,
Thank you for accepting our invitation. We are really glad that you will be
able to participate.

You are the only non-U.S. Xenopus participant. Thanks for offering to collect
your colleagues' opinions. We are interested to know about the genetic and
genomic Xenopus projects that are being performed and planned in Japan.

We will be sending additional information about the meeting soon. If you have
any questions before then, just ask.

- Steve
****************************



「文2」
PRECLINICAL MODELS FOR HUMAN CANCERS WORKING GROUP

Non-Mammalian Models of Human Cancers Subgroup Recommendations

Recommendation 1. Promote the analysis of the functions of human oncogenes
and tumor suppressor genes and of pathways that include such genes in
non-mammalian organisms. More generally, promote the acquisition of basic
knowledge about non-mammalian organisms important for use as preclinical
models for cancer.

i. Provide broad support for studies of human cancer genes in
non-mammalian organisms; for the development of the infrastructure
(resources and technologies) important for such studies; and, more
generally, for broad basic research using such organisms.

ii. Broaden the research efforts at NCI-supported cancer centers and
perhaps non-NCI centers to incorporate non-mammalian organisms.

iii. Develop new mechanisms for evaluating and funding research
proposals involving non-mammalian organisms.

Recommendation 2. Support the establishment and/or facilitate the
accessibility of pan- organism resource centers that can accessed by
individual laboratories using non- mammalian organisms for cancer-relevant
research.

i. Support the development and use of array technologies for studies of
a broad variety of cellular processes at a genome-wide level.

ii. Support the development and use of mass spectrometry for the rapid
identification of proteins based upon limited quantities of material
and available DNA databases.

Recommendation 3. Support the establishment and maintenance of
organism-specific databases for appropriate non-mammalian organisms and
support the development of a pan-organism database or of software allowing
the effective cross-referencing of such organism-specific databases with
each other and with mouse and human databases.

i. Convene a group of experts to make specific suggestions concerning
the establishment of a pan-organism database or the development of
software that could obviate the need for such a database.

Recommendation 4. Promote the use of non-mammalian organisms in
high-throughput screens for the identification of novel anti-cancer
therapeutic drug leads. Identify academic and/or industrial groups with the
appropriate capabilities and encourage them to develop and employ
high-throughput screens using non-mammalian organisms to identify drug
leads.

i. Convene a group of experts from academia and industry to define ways
of promoting the use of non-mammalian organisms in drug screens.

SPECIFIC ORGANISM RECOMMENDATIONS. Advocate and support basic genetic,
molecular and developmental studies of cancer-related genes and pathways in
those model organism important for cancer research. In addition, support the
development of the infrastructure (resources and technologies) that would
best facilitate such studies. Infrastructural needs that are recommended for
support are listed below for each organism, in each case in the order of the
priorities defined by the Subgroup. No attempt has been made to order
priorities among projects involving different organisms.

1: S. cerevisiae.

i. Support the construction of a set of mammalian and other metazoan
cDNA libraries that can be expressed in budding yeast.

ii. Support the construction of a budding yeast unigene library.

iii. Support the determination of the cellular localization of all
yeast proteins.

iv. Support the development of an interactive yeast strain and reagent
database.

v. Support the use of array technology to study a wide variety of yeast
cellular processes at a genome-wide level.

2: C. elegans.

i. Support the determination of genomic sequence of the nematode
Caenorhabditis briggsae, with a focus by the NCI on cancer-related
genes.

ii. Support the generation of a set of C. elegans gene knock-outs
(KOs), with an initial focus on cancer-related genes.

iii. Support the generation of a set of C. elegans full-length
sequenced cDNAs.

iv. Support both basic research in areas relevant to cancer and the
development of infrastructure at a level that can be appropriate to one
or a few standard C. elegans research laboratories.

3: Drosophila.

i. Support the generation of a set of Drosophila full-length sequenced
cDNAs.

ii. Support the generation of a set of Drosophila gene knock-outs
(KOs).

iii. Support the determination of the genomic sequence of the fruit fly
Drosophila virilis.

4: Danio rerio

i. Support the generation of a zebrafish microsatellite map at an
average marker density of 2 cM.

ii. Determine the DNA sequences of at least 100,000 zebrafish expressed
sequences.

iii. Support additional infrastructure and studies of the potential
utility of additional genetic techniques.

5. Xenopus

i. Support the Development of a Xenopus Expressed Sequence Tag (EST)
Library.

ii. Improve facilities for frog husbandry.

created: 27sep95 Lorrie Smith revised: 14oct98
=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=
Masanori Taira, Ph.D.
Laboratory of Molecular Embryology
Department of Biological Sciences
Graduate School of Science
University of Tokyo
Building 2, Room 232
7-3-1 Hongo, Bunkyo-ku
Tokyo 113-0033, Japan
Phone/FAX: Japan (81) 3-3818-5357 (direct)
Phone: Japan (81) 3-3812-2111 ext. 4434
FAX: Japan (81) 3-3816-1965 (office)
email: m_tairaアットマークbiol.s.u-tokyo.ac.jp

東京大学大学院理学系研究科
生物科学専攻動物科学大講座
分子発生学研究室
理学部2号館、232号室
113-0033 東京都文京区本郷 7-3-1
電話/FAX: 03-3818-5357 (232号室)
電話:03-3812-2111 内4434
FAX:03-3816-1965(事務室)
email: m_tairaアットマークbiol.s.u-tokyo.ac.jp

転送元
村田 武英
305-0074 茨城県 つくば市 高野台 3-1-1
理化学研究所 ライフサイエンス筑波研究センター



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Date: Thu, 14 Jan 1999 11:42:22 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] Post-ganome Project.

大事そうな会議ですね。村田さん最上さん、話題提起ありがとうございます。
NIH の会議に関係なくとも、ハエのために日本で何ができるかは、早めにみ
んなで考えて置いて、損はないと思います。なにせゲノムプロジェクトは、
日本(+アジア)が何もしないうちにアメリカとヨーロッパで始められ、完
了してしまいそうな雲行きにあるわけですから、ポストゲノムでは何らかの
積極的な contribution ができるとよいと思います。アメリカ式に少数の
でかいラボに機材を揃えて集中的にやる、というやり方もありますが、ヨー
ロッパ式に小さなラボが少しずつ分担して、全体として大きなことをやる、
という方法なら、日本やアジアでも比較的容易にできそうな気がします。


>  遺伝解析が行える動物(C. elegans、ショウジョウバエ、ゼブラフィッシュ)では
> 「全ゲノム配列の決定」と「ESTs」がプロジェクトの対象となり得ますが、遺伝解析
> が行えない動物(Xenopus laevis)では「ESTs」プロジェクトが中心になると思いま
> す。

ということですが、線虫の全ゲノム配列の決定は終了し、ショウジョウバエ
も昨年夏の時点で1割、ことし中には全配列決定が終了する予定になってい
るのでしたよね。この予定は、順調に進行中で無事達成できる見込みなので
しょうか。最近の情勢に詳しい方、いらっしゃいますか?

ハエの場合こんご要求されてくるのは、分かった全配列の中のどの部分が
functional な遺伝子か、それはいつ、どこで発現しているのか、を片端か
ら調べていく、というのがいちばん大事なのでしょうか。線虫ではその方
向で始められているみたいですが。



> 最近Xenopus tropicalisが遺伝解析が行えるようになってきたようであり、また
> 今回のワークショップにBob Graingerが入っていますのでX. tropicalisが前者のグ
> ループに入れられるものと思われます。発生の分野で使われている他の動物として、
> ウニ、ホヤ、ナメクジウオ、メダカ、ニワトリなどがありますが、これらはモデル生
> 物として挙げられていません。それが今回のワークショップでどのようになるか注目
> したいと思っています。

ううん、ニワトリはともかくメダカとかは、メリットを喧伝し、ノウハウを
提供して世界中にユーザーを増やすような地道な努力を、日本の研究者がもっ
と積極的かつ組織的(これが大事!)にやらないと、モデル生物として広く
認知してもらうのは難しいような気が、個人的にはしているのですが。。。
(ここで言っても仕方ないことですが。)

いとうκ


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Date: Thu, 14 Jan 1999 13:12:09 +0000
From: tmurataアットマークrtc.riken.go.jp (Murata, RIKEN Tsukuba)
Subject: [Jfly] Post-ganome Project.

>線虫の全ゲノム配列の決定は終了し、............
>..........線虫ではその方向で始められているみたいですが。
>

線虫ではRNAiが強力なツールとして期待されていますが、ハエでもCell, 95,
1017-1026, 1998でもdsRNAのinjectionの例が出ています。ハエの卵に
打ち込むのは大変な作業のように思えますが、機器と卵とRNAさえ用意できれ
ばハエの掛け合わせをやったことがない人でも出来るわけですから、新規参入
は充分あると思います。
cDNA配列がどんどん発表され、それがベンチャーから数十ドルで買えるわけ
ですから、アイデアと遺伝子次第で充分解析できる強力なツールであることは
間違いないと思います。
もちろん、今までのような変異体での解析も重要で、RNAiと組み合わせた解
析でいいアイデアが出てくれば伸びるでしょうが、変異体のない遺伝子では
この手法が主流になると思います。

村田 武英
305-0074 茨城県 つくば市 高野台 3-1-1
理化学研究所 ライフサイエンス筑波研究センター