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UAS-cameleon に関する情報


Date: Tue, 26 Sep 2000 12:25:18 +0900 (JST)
From: biologyアットマークgipwc.shinshu-u.ac.jp (Masahiko Sakaguchi)
Subject: [Jfly] UAS-cameleon

UAS-cameleonを作っておられる方、情報をお持ちの方おられましたら、教えていただ
けませんか?
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坂口雅彦
〒380-8544 長野市西長野
信州大学 教育学部 理科教育 生物
Tel  026-238-4124 (Direct)
FAX 026-232-5144
E-mail: biologyアットマークgipwc.shinshu-u.ac.jp
http://msakaguchi.shinshu-u.ac.jp/
Masahiko Sakaguchi, Ph.D.
Department of Biology, Faculty of Education,
Shinshu University
Nishinagano, Nagano, 380-8544 JAPAN
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Date: Tue, 26 Sep 2000 23:52:35 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] UAS-cameleon

At 12:25 PM +0900 00.9.26, Masahiko Sakaguchi wrote:
> UAS-cameleonを作っておられる方、情報をお持ちの方おられま
> したら、教えていただけませんか?

具体的にどういう情報が必要なのか分かりませんが、UAS-cameleon
はあちこちで試されています。Christof Schuster(スペル不正確か
も…)らが胚 or 幼虫の神経筋接合部で蛍光変化を観察したという発表が、
昨年の北米 Neuroscience Meeting で出ていたと思います。が、一般
的には UAS に限らず HeLa 細胞以外の培養細胞や生体では、cameleon
を使った計測は、各所でかなり難航しているようです。最近 Neuron に
出ていた線虫の口部筋肉のようには、なかなかうまく行かないようですね。
原因は、

1:培養細胞でも多くの細胞株や初代培養細胞は、HeLa 細胞のようには
  大きな Ca 濃度変化を示さないらしい。
2:イオノフォアやキレート剤のような薬剤添加による極端な条件でな
  く、生体内に実際に存在する条件下では、Ca 濃度変化はさらに小さ
  いと推測される。
3:このような場合の細胞内 Ca 濃度変化領域では、cameleon の FRET
  蛍光変化は測定が容易なほどには大きくない。
4:生体での計測では、組織自体のバックグラウンド蛍光が cameleon
  の蛍光にかぶるので、測定がさらに難しい。

などが考えられると思います。cameleon の改良型あるいは全く違う分
子を用いた分子の開発や、現状の cameleon が示す微妙な蛍光強度変化
を何とかして検出する高感度の計測系の確立、あるいは発想を変えて現
状の cameleon でも十分観察できるほどに大きな Ca 濃度変化を示す細
胞種をうまいこと探して、そこを研究する、などのアプローチが今後必要
なのかもしれません。UAS-GFP も、オリジナルのクラゲ由来の GFP を
組み込んだ研究が線虫で最初に発表されてから、各所の研究室による試
行錯誤の末、より蛍光が強い変異型(GFP-S65T, EGFPなど)がハエで
一般化するまで2年以上かかっていますから、新しい検出系の実用化は
なかなか容易ではありませんね。

いとうκ


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Date: Wed, 27 Sep 2000 18:25:23 +0900 (JST)
From: biologyアットマークgipwc.shinshu-u.ac.jp (Masahiko Sakaguchi)
Subject: [Jfly] UAS-cameleon

いとけい様。情報ありがとうございました。
publishされるのはいつか、そしてハエコミュニティーのpublishしたら分譲してもら
える、という良き伝統により、私にも分譲してもらえそうなのはいつごろか知りたか
ったのです。まだ先という感じですね。ありがとうございました。
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坂口雅彦
〒380-8544 長野市西長野
信州大学 教育学部 理科教育 生物
Tel  026-238-4124 (Direct)
FAX 026-232-5144
E-mail: biologyアットマークgipwc.shinshu-u.ac.jp
http://msakaguchi.shinshu-u.ac.jp/
Masahiko Sakaguchi, Ph.D.
Department of Biology, Faculty of Education,
Shinshu University
Nishinagano, Nagano, 380-8544 JAPAN
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Date: Wed, 27 Sep 2000 22:22:13 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] UAS-cameleon

> publishされるのはいつか、そしてハエコミュニティーのpublishしたら分譲してもら
> える、という良き伝統により、私にも分譲してもらえそうなのはいつごろか知りたか
> ったのです。まだ先という感じですね。ありがとうございました。

分譲してもらえるか、よりも、それが手に入ったとしたら、どこを
刺激して何をどう測定するのか、の研究計画の方が、相当頭を絞ら
ないとならない難しい問題だと思います。「測定系を開発して動い
た」という論文は多いですが、「それを使って、他の測定法では不
可能なこんな生体現象が測定できた」というところまで踏み込めて
いる例はあまり多くないように見受けられるものですから。(^_^;)

Christof Schuster の神経筋接合での光学測定は一年以上前から
「うまく行った」といっていましたから、おいおい publish される
と思います。ただ、じゃあこのハエをもらってくれば何でも測定で
きるかといえば、そううまくは行かないようで、彼からそのハエを
もらって脳のキノコ体や lobula plate の giant motion sensitive
neuron で測定を試みた人たちは、「ぜんぜん駄目だ」と言ってい
ました。Ca 濃度の変化量がだいぶ違うのかも知れません。

いとうκ