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赤緑色盲とハエの眼の色の識別


Date: Sat, 9 Sep 2000 13:46:26 +0900
From: Tomokazu Ohshiro
Subject: [Jfly] Re: 点突然変異(導入)遺伝子クローニング法の現在


>rosy 確かに色の僅かの違いと、「輝き」かたが少し違いますから、赤緑
>色盲でも見分けられないことはないです。ただ、やはり大変さが white
>とは段違いですね。あと、null の人と hypomorph の人でも、能力が違
>うかも。


大変失礼な質問かも知れませんが、赤緑色盲の方は具体的にどのような
ハエのeye color mutant の識別が困難になるのでしょうか?
例えば、cn,bw, Hnなど の識別は困難なのでしょうか?
さらにcn+ とcn[1]/cn[2] の識別は私でも困難なのですが
これはどうでしょうか?
それから私には強いvとcnはお互いに区別がつきませんが、st は微妙に
違う気がします(白っぽい)。叉、claret, garnet もrosyと良く似ているのですが、
なんとなく区別できそうです(rosyが茶紫っぽい)。

ところでry+とry- の細胞がvariegate しているように見えるMoire は
赤緑色盲の方のほうが識別が容易だとAshburner の本に書いてありましたが、
本当にそうなのでしょうか? 私は見づらいのでMoire の乗ったTM1 はすぐに
他のバランサーに交換したりするのですが。


東北大 加齢研
大城 朝一


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Date: Mon, 11 Sep 2000 06:11:40 +0900
From: Masataka Okabe
Subject: [Jfly] Fwd: 大城さんの質問

> X-Sender: itokeiアットマークmail.nibb.ac.jp
> Mime-Version: 1.0
> Date: Sat, 9 Sep 2000 18:41:18 +0900
> To: Masataka Okabe
> From: "ITO, Kei"
> Subject: 大城さんの質問
>
> こんにちは、
>
> Jfly に流れてる大城さんの質問、回答お任せしてもいいですか?
>
> わたし、ry でめげて以来、眼の色の変異は全く使わないように
> (というか、掛け合わせが必要な実験はなるべくしなくていいよ
> うに)仕事を選んでいるもので、 white 以外は使用経験がない
> んです。。。
>
> いとう



いとけいさんとまったく同じ理由でぼくも質問に答えられません。
色盲の人は、色を識別して健常な人と情報交換することを避けることが多い(?いと
けいさんはどうですか?)のではないかと思います。少なくとも自分はそうなのです
が、なんか健常な人を横につれてきておいて実体顕微鏡を交互に覗くのは申し訳なく
て、、、、実体顕微鏡では頼むことも少ないですが、photoshopでスライドを作った
りしているときは頼んでいます。(広海研の皆様、感謝しております!!)
しかしながら、大城さんの指摘するような実験?はやってみたいものです。逆に言え
ば、私にも使えるマーカーが分かるわけですから。
あと、健常な人に識別できない色が色盲の人に識別できるかということに関しては、
多分ないのではないかと思います。
色でハンデがある分、明度とか形態的特徴とか知識などを参考にして研究に限らず日
常生活しているわけで、そのケースの場合他の特徴(明度とか)を利用して識別して
いるのではないでしょうか?
ヘマトキシリンエオジン染色のプレパラートを観察していて細胞の種類を色で記憶し
ていると、他の染色方法にした時に細胞の種類を見分けられないように、、、健常な
人は2色?に見えるけど、私には1色に見えるので、この点、白黒写真を撮っても細
胞を見分けられますよ。
ちなみに、photoshopを使っていてRGBの赤の要素を取り除いても、私にはなにも変化
がわからない、、、、

岡部


---------------------------------
岡部正隆
国立遺伝学研究所 発生遺伝研究部門
総合研究大学院大学 生命科学研究科
TEL 0559-81-6809
FAX 0559-81-6768
Masataka Okabe M.D.,Ph.D.
Department of Developmental Genetics
National Institute of Genetics
TEL 81-559-81-6809
FAX 81-559-81-6768
http://www.nig.ac.jp/labs/DevGen/hiromi-j.html
---------------------------------


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Date: Mon, 11 Sep 2000 10:17:59 +0900
From: Tomokazu Ohshiro
Subject: [Jfly] Fwd: 大城さんの質問


>いとけいさんとまったく同じ理由でぼくも質問に答えられません。
>色盲の人は、色を識別して健常な人と情報交換することを避けることが多い(?いと
>けいさんはどうですか?)のではないかと思います。少なくとも自分はそうなのです
>が、なんか健常な人を横につれてきておいて実体顕微鏡を交互に覗くのは申し訳なく
>て、、、、実体顕微鏡では頼むことも少ないですが、photoshopでスライドを作った
>りしているときは頼んでいます。(広海研の皆様、感謝しております!!)
>しかしながら、大城さんの指摘するような実験?はやってみたいものです。逆に言え
>ば、私にも使えるマーカーが分かるわけですから。
>あと、健常な人に識別できない色が色盲の人に識別できるかということに関しては、
>多分ないのではないかと思います。
>色でハンデがある分、明度とか形態的特徴とか知識などを参考にして研究に限らず日
>常生活しているわけで、そのケースの場合他の特徴(明度とか)を利用して識別して
>いるのではないでしょうか?
>ヘマトキシリンエオジン染色のプレパラートを観察していて細胞の種類を色で記憶し
>ていると、他の染色方法にした時に細胞の種類を見分けられないように、、、健常な
>人は2色?に見えるけど、私には1色に見えるので、この点、白黒写真を撮っても細
>胞を見分けられますよ。
>ちなみに、photoshopを使っていてRGBの赤の要素を取り除いても、私にはなにも変化
>がわからない、、、、
>


答えにくい質問をしてしまって申し訳ございません。
私は立場上、ハエの初心者や学生さんたちにいろいろハエのことを
教える機会が多いのですが、ついなにげに眼の色の変異体を
みせてこれがマーカーだよと憶えておいてね、なんて言ってしまう
のですが、ひよっとしたらうまく意志が伝わっていないのでは?
と思ったことがあったのです。それで少し疑問に思っていたのです。

大城


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Date: Tue, 12 Sep 2000 01:38:44 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] Fwd: 大城さんの質問

At 6:11 AM +0900 00.9.11, Masataka Okabe wrote:
> 色盲の人は、色を識別して健常な人と情報交換することを避けることが多い(?いと
> けいさんはどうですか?)のではないかと思います。

ですね。「この赤いところ」と言うと、じつは茶色だったり緑だったりして
訂正されるのが怖いもので、「この色の付いているところ」と言って誤魔化
したりすることは、非常にしばしばです。今日は学会に来ていて、学生が
OHP で発表したのですが、まとめの絵の4色のダイアグラム(赤、青、紫、
ピンク?)が、赤と青の二色にしか見えなかったですし。 (^^;;)
(もしかしたら赤じゃなくて、緑か茶色だったかも・・・)

> が、なんか健常な人を横につれてきておいて実体顕微鏡を交互に覗くのは申し訳なく
> て、、、、実体顕微鏡では頼むことも少ないですが、photoshopでスライドを作った
> りしているときは頼んでいます。

どうしても ry マーカーのものを飛ばす実験しなきゃならないときは、「や
りましょう」と言ってくれる共同研究者が出てくるまで、数年間じっと待っ
てたりもします。(粟崎くんありがとう!)

> あと、健常な人に識別できない色が色盲の人に識別できるかということに関しては、
> 多分ないのではないかと思います。
> 色でハンデがある分、明度とか形態的特徴とか知識などを参考にして研究に限らず日
> 常生活しているわけで、そのケースの場合他の特徴(明度とか)を利用して識別して
> いるのではないでしょうか?

明度、彩度に関しては、敏感だと思います。その意味で、ry+とry- のモアレ
はもしかしたら見やすいのかも知れませんが、試したことはないです。。。
同じ赤でも、カーマインと朱色のように明度や彩度が違えば、かなり明確に区
別できますが、明度や彩度がほぼ同じだと、健常者には相当違うように見える
らしい色でも、同じに見えてしまいます(朱色とレンガ色とか)。また、広い
面積がのっぺりと塗られていればかなり識別は楽ですが、細い線や小さな点だ
と厳しいです。

> ちなみに、photoshopを使っていてRGBの赤の要素を取り除いても、私にはなにも変化
> がわからない、、、、

本当に、見事に R だけ、変えても変化がわかりませんね。R チャンネルだけ表
示すれば情報は明確に分かるのですが、GやBのチャンネルにRのチャンネルを
足して表示した場合に、足されたことが分かりません。堀田さんの思い出話と
関連しますが、20年ほど前 NEC の PC 8001 というパソコンが発売されて、
N-BASICというソフトで RGB それぞれのオンオフを組み合わせて8色の色が
指定できたのですが、うち5色しか区別できませんでした。R だけ表示したと
きは、GとBチャンネルのレセプターがそれなりに反応して、「黒」ではないと
識別できるのですが、他の色と組み合わさった場合に G と R+G、B と R+B、
G+B と R+G+B が区別できないんですね。このとき初めて、赤緑色盲が赤レセ
プターの機能欠失による現象であることを生理的に実感できて、感動(?)し
たのを覚えています。

仕方ないので、お絵かきソフトで色を指定するときは、視覚に頼らず、RGB の
数値を見て「論理的」に色を考えてます。

色盲でなくとも、色というものが自分以外の他人にどのように知覚されている
かは非常に判断に困る問題ですね。不特定多数への教育用としては、翅の反り
やノッチ、剛毛のちぢれなど「黒板に絵を描いて説明できる」形態的な特徴の
マーカーの方が、説明しやすいかも知れませんね。

いとうκ