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日本トゲダニ研究会

なお、このメールは2001年4月1日のエープリルフールです。

Date: Sun, 1 Apr 2001 01:15:03 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] JMRC2001 first announcement

日本ショウジョウバエ研究会の皆様、
 今年のショウジョウバエ研究会は富士の麓、静岡県三島市にて8月8−10日に
行なわれますが、その前8月5−7日には、三島から決起して平家を倒した源頼朝
の幕府を乗っ取った北条氏の家来である足利尊氏が、後醍醐天皇の反乱討伐のため
京に向かう途中、自分の所領であるこの地から天皇側に寝返りを告げる使者を放っ
て決起を決めたという因縁深き地、愛知県岡崎市にて、第1回の日本トゲダニ研究
会(Japan Mite Research Conference : JMRC)が行なわれます。基生研のハエ
グループがお世話させていただきます。
 私たちを取り巻く研究環境は急速に変わりつつあります。昨年春のショウジョウ
バエ全ゲノムシーケンスの報告から1年も経たないうちに今年(今世紀)はヒトゲ
ノムのドラフトシーケンス発表で幕を開けました。これらの進展にともなってショ
ウジョウバエ研究の位置づけと展望は大幅に広がりつつあります。それと同時にショ
ウジョウバエを単一の実験モデルでなく、より広い生態系の中で捉えて研究を進め
て行く姿勢が、環境問題・進化の問題など21世紀の重要課題に挑んでゆく私たちに
は不可欠となっています。
 小型で動きが素早く、ショウジョウバエの卵を食べるトゲダニ(Laelaps)は、
イエバエの卵を食べるハエダニ(Macrocheles)や、ハエのエサに大発生して弱い
ストックに打撃を与えるコナダニの仲間 Histostoma とともに、これまで基礎科学
の分野では疎んじられてきた存在でした。しかしゲノムプロジェクトの進展に伴い、
トゲダニは特に欧米において、急速に注目を集めつつあります。
 たとえば、ショウジョウバエ分子生物学推進の最大の原動力とも言えるP因子トラ
ンスポゾンは、過去数十年の間に Drosophila willistoni group から Drosophila
melanogaster に水平伝搬したと考えられていますが、トゲダニ Proctolaelaps
regalis はこの伝搬の媒介者になったと目されています。
   Houck, M. A., Clark, J. B., Peterson, K. R., and Kidwell, M. G. (1991).
   Possible horizontal transfer of Drosophila genes by the mite
   Proctolaelaps regalis. Science 253, 1125-8.
 従来分子進化の研究というと系統樹に沿った比較ばかりが強調され、この発想に
従ってショウジョウバエでも、近縁種 Drosophila simulans などの DNA 配列解
読が計画されています。しかし上の例でも分かるように、水平伝搬によるゲノム断
片の移動は太古の生物だけでなく現在でも活発に起きている現象であると考えられ、
近縁種や祖先種との比較にのみ拘っている限り、分子進化の本質的な理解はあり得
ません。この反省から、ヨーロッパショウジョウバエゲノム解読プロジェクト
(EDGP) は当初の計画を変更し、ハエゲノムの多くを共有していると考えられる
Proctolaelaps regalis の全ゲノム配列解読の計画を進めています。
 トゲダニは、同じ節足動物でも進化上の出現時期としてはハエと線虫の中間に位
置し、完全変態昆虫であるハエと異なり幾つかの幼生を経て成体に発生する特徴を
もつため、発生研究のモデル系としても注目されています。トゲダニにはゼブラ
フィッシュと同様に「ショウジョウバエをエサとして利用できる」という便利な特
長があり、ショウジョウバエ発生研究者による研究テーマ移行を非常にスムーズに
しています。ヨーロッパ、とくにドイツのショウジョウバエ研究室では、すでに20
年以上前からショウジョウバエのストックを利用したトゲダニの大量飼育の試みが
成功裡に行なわれてきましたが、この予備実験の成果をもとにドイツ・チュービン
ゲンの Nu"sslein-Volhard 研究室では、ゼブラフィッシュに続く「ハエをエサに
使える」モデル系としてトゲダニの大規模実験施設を立ち上げ、網羅的変異系統作
成を始めるため EMS と ENU の効率比較のパイロット実験を進めています。
 ダニの研究は、生命誕生の根本問題を解明してゆく上でも重要な役割を担ってい
ます。ショウジョウバエ研究の大家 Ashburner 氏によって、
 "I am firmly on the opinion that mites are spontaneously generated."
という驚くべき研究報告が出版され、各方面に衝撃を与えたのは、記憶に新しいと
ころです (Ashburner, M. 1989. Drosophila A laboratory handbook, p.1212) 。
もしこの観測結果が事実だとすると、ダニの研究によって、ルイ・パスツール以来
信じられてきた生命自然発生説否定の根本概念をも覆す、画期的な発見が生まれる
可能性すらあるのです。
 このように急速に進展しつつあるトゲダニ研究に、日本の科学界が遅れを取るこ
とがあってはなりません。欧米で急速に研究が広がった時期に国内ではなかなか研
究グループが増えなかったショウジョウバエ、線虫、ゼブラフィッシュの過ちを、
繰り返してはなりません。今回の研究集会が、トゲダニとそれに関連した幅広い研
究者が会して議論を深める場となることを願っております。皆様ふるってのご参加
をお待ちしています。

 今回のショウジョウバエ研究会は、山口智子・杉本彩・藤原紀香・菊川怜らを輩
出した東レのご厚意で三島工場にある研修所をお借りして泊まり込み形式にて行う
ことにいたしました。これに対抗してトゲダニ研究会では、風吹ジュン・手塚理美・
紺野美沙子・内田有紀・本上まなみらを輩出したユニチカのご厚意で、同社の岡崎
工場にある研修所をお借りして泊まり込み形式にて行うことにいたしました。遺伝
研のある三島市に比べ基生研のある岡崎市は、研究所内に生協ができた!ばかりで
なく、町にはデパートがある!スターバックスがある!など、三島市民が羨ましが
る様々な魅力にあふれた、素晴らしい夢の大都会です。(でも新幹線は止まらな
い......)
 また特別企画としてトゲダニ研究会特製のダニTシャツの販売も予定しておりま
す。美しいトゲダニの絵を前後にあしらうとともに、襟元には熟練職人の手作業で
1匹1匹生きたダニを埋め込んであり、視覚と触覚のマルチメディアに訴える画期
的商品になる予定です。プログラム編成に関しての皆様のご意見、ご希望もお寄せ
ください。シンポジウム・ワークショップ開催のお申し出も歓迎いたしますので4
月末日までに事務局(JMRC2001アットマークnibb.ac.jp)までご連絡をお願いいたします。
 なお、今後の事務連絡は主に、新たに設立されたメーリングリスト Jmite
(jmiteアットマークnibb.ac.jp)を通じて行なう予定です。トゲダニ研究会への参加を検討
される方は、ぜひ Jmite への登録をお薦めします。登録を希望される方は、私、
伊藤まで(itokeiアットマークnibb.ac.jp)ご連絡下さい。

【開催日】 
 2001年 8月5日午後より−7日午後まで(2泊3日)

【場所】
 ユニチカ総合研修センター

【交通】 
 名鉄東岡崎駅より徒歩約72分(バス約20分)

【今後の予定】 
 参加申し込み締め切り 6月8日
 アブストラクト締め切り 6月22日

【事務局e-mailアドレス】
JMRC2001アットマークnibb.ac.jp

伊藤 啓
岡崎国立共同研究機構・基礎生物学研究所 細胞増殖研究部門
〒444-8585 岡崎市 明大寺 西郷中 38
tel 0564-55-7532, fax 0564-55-7533, e-mail itokeiアットマークnibb.ac.jp



追伸:
なお、“本当に”興味がおありの方は、こちらもご覧下さい:
日本ダニ学会
http://www.affrc.go.jp:8001/acari/danigaku.html
ダニ研究者のメーリングリスト(日本語)「あかりML」
http://www.enjoy.ne.jp/~shibata/research/acari-ml.html


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Date: Mon, 2 Apr 2001 09:56:47 +0900
From: fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp (Yoshiaki FUYAMA)
Subject: [Jfly] JMRC2001 first announcement

At 01:15 04/01/01 +0900, ITO, Kei wrote:

>追伸:
>なお、“本当に”興味がおありの方は、こちらもご覧下さい:
>日本ダニ学会
>http://www.affrc.go.jp:8001/acari/danigaku.html
>ダニ研究者のメーリングリスト(日本語)「あかりML」
>http://www.enjoy.ne.jp/~shibata/research/acari-ml.html

私は以前からこのメーリングリストのメンバーになっています。
もちろん、ショウジョウバエのダニ対策にうまい手だてはない
ものかと期待してのことですが、今のところ、さしたる情報が
ありません。メンバーのほとんどがダニが大好きな人達ばかり
のようですから、ショウジョウバエ屋にハエ退治の方法を尋ね
るようなもので、期待する方が無理かも。。。

という次第で、JMRCには大いに期待しております(^^ゞ



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布 山 喜 章 : 東京都立大学大学院理学研究科生物学教室
Yoshiaki FUYAMA : Dept. of Biology, Tokyo Metropolitan University
     e-mail : fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp