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haemocyteの継続培養法


From: Hirotaka Kanuka
Date: Thu, 13 Mar 2003 11:16:42 -0800
Subject: [Jfly] haemocyte cultureの仕方

Jflyの皆様:

こんにちは、嘉糠@Stanfordです。ショウジョウバエの初代培養は長い歴史を
持っていますが、体内を縦横無尽に漂うhaemocytesの継続培養に成功したという
報告は未だありません。何人もの猛者が敗れ去ったと聞いています。実際、
larvaから取り出して培養後3時間で死滅してしまいます。もしもどなたか「こん
な方法で上手くいくよ」というTIPSをご存じでしたら、教えて頂けると幸いで
す。「醤油をかけるとよい」「レンジでチン」など(笑)何でも歓迎です。よろ
しくお願い致します。

嘉糠洋陸
c/o Dr. David Schneider
Department of Microbiology and Immunology
Stanford University School of Medicine


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Date: Fri, 14 Mar 2003 10:04:31 +0900
Subject: [Jfly] haemocyte cultureの仕方
From: Yuzo Niki

嘉糠洋陸@stanfordさま。
 そちらがやっているもう少し詳しい培養条件をお知らせ下さらないと
どなたも答えようがないと思います。
例えば、
 1.用いている培地
 2.haemocytesの取り方
など。


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Subject: [Jfly] haemocyte cultureの仕方
From: Takao Koana
Date: Fri, 14 Mar 2003 11:00:47 +0900

嘉糠洋陸様

haemocyte 単独の培養が成功した例は知りませんが、whole embryo culture を作ると
多量の haemocyte が分化してきます。特に単一胚培養では多いようです。

(財)鉄道総合技術研究所
環境工学研究部
小穴孝夫


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From: Hirotaka Kanuka
Date: Thu, 13 Mar 2003 18:22:19 -0800
Subject: [Jfly] haemocyte cultureの仕方

こんにちは、嘉糠です。失礼致しました。現在の培養方法をお示しします。

■haemocyteの抽出:
third instar larvaをよく洗浄し、少量の下記メディウム中で鋭いピンセットで
表面を丁寧にdissectします。メディウムに漏出したlarval fluid中のhaemocyte
をコラーゲンとミックスし、予めコラーゲンコートしておいたカバースリップ上
で25度Cで培養します。

■メディウム:
SigmaのD22メディウム pH 6.7+20% FBSに、培養時にembryonic extractを1mg/
mlになるように添加します。embryonic extractは20mM HEPES pH 7.5, 20 MM
NaCl, 1mM PMSF中でホモジナイズしたものを1000g x5minで遠心し、上清を用いて
います。

伝統的なM3+insulinなども含めメディウムは各種試してみたのですが、上記のも
のが最も成績が良かった条件です。とはいえ24時間も持たないのが難点です。実
験の都合上、なるべくhealthyな状態で数日間培養を試みたいのですが…。

仁木先生を始め、皆様からご教唆頂ければ幸いです。

嘉糠洋陸
c/o Dr. David Schneider's lab
Department of Microbiology and Immunology
Stanford University School of Medicine


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Date: Fri, 14 Mar 2003 15:35:53 +0900
Subject: [Jfly] haemocyte cultureの仕方
From: Yuzo Niki

嘉糠様。
 意識してhaemocyte を調べたことはないのですが、確かに胚のprimary
culture (M3+10%FBS、インスリン)でよく見かけます。とはいってもやは
り、途中でなくなってしまうのが通例です。また、条件によっては、crystal
cells(Drosophila in culture , P84)らしきものが、異常に増えてしまうことが
あります。これは、比較的安定していて数ヶ月は維持できる場合もあります。

 さて、larval hemocyteがどれほど効率よく採取できるかどうか分かりません
が、一度embryoのprimary cultureを作成して、そこからhemocyte等の浮遊性の細
胞をとりだすか、embryoni primary cultureをfeeder cellsにして、2者培養し
た方が、いいかも知れません。細胞数が少ないとどうしても短期間で死んでしま
います。

 それとembryonic extractなどは多すぎてもあまり意味がないと思います。我々
は、mediumの10%程度しています。ついでにM3 mediumでは小穴さんの処方のグ
ルタチオン(かなりの高濃度!!)が細胞の生存に非常に効果があります。

 あまり役に立つとは思いませんが、とりあえず思いついた点を書いてみました。
 以上。


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Subject: [Jfly] haemocyte cultureの仕方
From: Takao Koana
Date: Fri, 14 Mar 2003 16:17:35 +0900

嘉糠様、仁木様。

>  それとembryonic extractなどは多すぎてもあまり意味がないと思います。
> 我々は、mediumの10%程度しています。

embryonic extractとは少し違うでしょうが、私の経験では胚の初代培養から
ヨークを除くと細胞増殖が格段によくなります。embryonic extractなしだと
うまくいかないのでしょうか?それとも本当はない方がいいのかも??

小穴孝夫


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From: Hirotaka Kanuka
Date: Fri, 14 Mar 2003 10:19:22 -0800
Subject: [Jfly] haemocyte cultureの仕方(まとめ)

仁木先生、小穴先生及び諸先生方:

嘉糠です。haemocyte culture(つまりは培養が難しい細胞)に関して数多くの
suggestionを有り難うございました。

仁木先生、小穴先生のお話に加えて、やはり生存率を上げるためにco-cultureの
薦めが多く、特に昨今はマーキング技術が発達していることから各種観察実験は
可能ではないかとのこと(例:da-GAL4+UAS-GFP由来のembryonic primary cell
と、30A-GAL4+UAS-dsRed由来のhaemocyteとのco-cultureなど)。haemocyteに限
らずどんな種類の細胞に関しても、仁木先生のご指摘通り低密度培養の生存率の
低さを経験的にご存じの方が多かったです。メディウムはM3+insulinがほとんど
で、サプリメントは小穴先生のグルタチオンやペプトンなどが挙がりました。多
くの方は「生化学実験法」「ショウジョウバエの発生遺伝学」を元にやってらっ
しゃるようです。大変参考になりました。上手くいきましたらここでフィード
バック致します。多数のご意見どうも有り難うございました。

嘉糠洋陸
c/o Dr. David Schneider's lab
Department of Microbiology and Immunology
Stanford University School of Medicine