Jfly ディスカッション


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アガロースゲルからのDNA抽出キット


Date: Mon, 28 Apr 2003 12:06:35 +0900
From: Ryutaro Murakami
Subject: [Jfly] 抽出キット

Jfly の皆様。
山口大学、村上柳太郎です。
シャイな学生に代わり質問させて下さい。

サブクローニング用の断片を取るためにアガロースゲルからの抽出キット(アマーシ ャムのセファグラスキット)を使用していますが、ときどきサブクローニングが全 くダメになり、キットを買い替えると改善する、ということが何度かあります。
抽出した DNA は電気泳動で見る限りきれいなのです。コンピテントセルが問題とい う可能性も排除できないのですが、抽出キットがあやしい感じがします。
このような経験は皆さんはありませんか?
アドバイス及び安心して使えるお薦めの抽出キット(あるいは別の方法)があれば教 えて下さい。
以前に議論されていたら御容赦を。

周囲に相談できる研究室がない小さな大学の人間にとってJfly はかけがえのない存 在なので、これからもこのような質問をしたいと思います。「knirps って何て読む の?」などという初々しい質問にすぐさま返答してもらえるのはこの世で Jfly ただ 一つだと思います。だいぶ以前に「Jfly に質問する場合はあらかじめ検閲する」と 言ったのが失敗で学生が質問しなくなったのですが、今後は学生に質問させるように 仕向けようと思います。
よろしくお願いします。


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Subject: [Jfly] 抽出キット
Date: Mon, 28 Apr 03 12:47:18 +0900
From: たての みのる

早稲田大学・山元研の館野と申します。

抽出にはQIAGENのQIAEXIIを使ってます。
suspension(beads?)だけ先に無くなるのですが、それだけ買い足すこともできて便
利です。
kitの説明書も丁寧だと思います。
回収率も良いようです。

kitの買い換えとsubcloningの成否の関係はわかりません。

たての


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Date: Mon, 28 Apr 2003 13:03:25 +0900
Subject: [Jfly] 抽出キット
From: Takeuchi Hideaki

Jfly の皆様

東大院理の竹内です。

私達の研究室では
1.QIAquick Gel extraction kit (Cat No. 28704キアゲン)
2.QIAEX II Gel extraction kit (Cat No. 20021キアゲン)
http://www.qiagen.com/catalog/auto/cget.asp?p=QIAEX_II_gel_extraction&l=jp

の2種類のキットを使用しています。


何人かの院生に評判を聞いてみましたが、
1.簡便。たまに回収が悪いことがある。インサートが大きい(8kbp以上)時はうまく
いかないので、その時は2を使用する。
2.回収率はよい。完全に精製されないことがある。1で実験が失敗した時に、2を使う
とうまく行くことがある。

といった感じでした。いずれのキットも特に大きな問題はなさそうです。また私達の
研究室でもサブクローニングの成否が買い換えに依存すると言う話はありませんでし
た。

竹内秀明
c/o Takeo Kubo, Ph.D.
Department of Biological Sciences
Graduate School of Sciences
University of Tokyo


Date: Mon, 28 Apr 2003 16:10:53 +0900
Subject: [Jfly] 抽出キット
From: Shuji Hanai

花井@筑波大学です。

お金に余裕があればQiagenのマイクロカラム式が良いですね。
カラム式は簡単で早いのですが、溶出量が多くて薄まってしまうものもありました。
その点、MinEluteは溶出量が少ないので便利です。

ガラス粉末式は手間がかかり、最後にガラスが混じりやすいのが難点です。
ガラス粉末式では長らくGeneCleanIIを使っていましたが、GeneMate のGelpure (ISC
BioExpress, BM機器扱?)に切り替えました。
GeneCleanより操作が簡便で安価。扱えるレンジも広い(100 bp〜50 kb)ので短
いPCR産物〜巨大なベクターまで1キットで済みます。質も問題無いようです。最後
に乾燥させないのでエタノールが混じりますが。
また、室温保存ですが、数年放置した物でも問題なく使えました。(エタノール入洗
浄液の蒸発防止は要注意なので、分注して元ボトルは冷蔵が良)。

余談ですが、ゲルから切り出したDNAをサブクローニングする効率がばらつく時はUV
によるダメージの影響もありえます。特に短波長のUVイルミネーター(使う人は少な
いでしょうが)。切り出し前の撮影やチェック(あるいはしない)も含めてこまめにUV
を切る、小さく切るより早く切るのを心がける、切り出し待ちの別のサンプルは避け
ておくなど。
UVを避けて可視光線で扱うダークリーダー(BM機器扱)もあり、使っている人によると
サブクローニング効率が非常に良いとか。BMの回し者ではありませんが、、、


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Date: Mon, 28 Apr 2003 18:53:40 +0900
From: Ikuko Fujii-Taira
Subject: [Jfly] 抽出キット

理研 名取特別研究室の平と申します。

私たちの研究室ではアガロースゲル片からのDNA抽出には
Quantum Prep Freeze 'N Squeeze GElExtraction Spin Column(BIO-RAD)
QIAEX II Gel extraction kit(QIAGEN)
を使用しています。
私個人としては前者の方が冷凍庫と遠心機があればできるので好んで使っています。
抽出物は薄くなりがちなのでEtOH沈殿で濃縮しています。

サブクローニングが失敗したときに抽出キットを変えて成功したという話は、
私どものところではありません。

 平 郁子
 理化学研究所 名取特別研究室

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Date: Tue, 29 Apr 2003 15:10:53 +0900
From: Ryutaro Murakami
Subject: [Jfly] 抽出キット

山口大学、村上です。
ゲル抽出キットの件で早速ご教示をいただきました。館野様、竹内様、花井様、平 様、どうもありがとうございます。
ゲル抽出キットを疑っているのはどうも私の所だけみたいです(グラスミルクが怪し いと睨んでいるのですが、、)。
お薦めのキットをまとめると、

QIAEX II Gel extraction kit (Cat No. 20021キアゲン)
QIAquick Gel extraction kit (Cat No. 28704キアゲン)
http://www.qiagen.com/catalog/auto/cget.asp?p=QIAEX_II_gel_extraction&l=jp
Quantum Prep Freeze 'N Squeeze GElExtraction Spin Column(BIO-RAD)
Gelpure (GeneMate) (ISCBioExpress, BM機器扱?)
などでした。
QIAEX IIを使っている研究室が多いようなので、うちもこれに倣うことにします。
アマシャムは廃棄。