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エッペンやチップのオートクレーブ


Delivered-From: "Sawamura, Kyoichi"
Subject: [Jfly] 質問(オートクレーブ)
Date: Tue, 22 Apr 2003 19:33:43 +0900

初心者の質問お許しください。

PCR用のエッペンやチップをオートクレーブしようとして、ちょっと疑問に思い
ましたので、お尋ねします。同じオートクレーブを生物を殺生するのに用いても
構わないのでしょうか?それとも、DNAのコンタミを防ぐために、分子専用にし
た方がいいのでしょうか?

澤村


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"Sawamura, Kyoichi"
Subject: [Jfly] 有難うございました[質問(オートクレーブ)]
Date: Wed, 23 Apr 2003 09:02:18 +0900

JFlyだけでなく、個人的にも沢山のsuggestionをいただきまして、どうも有り難
うございました。お礼申し上げます。澤村


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Date: Wed, 23 Apr 2003 10:23:14 +0900
From: "Murata, T (RIKEN BRC)"
Subject: [Jfly] Re: 有難うございました[質問(オートクレーブ)]

最近、メールの取りこぼしがあるのではないか、ということをうちの部屋の人
たちが 言っていますので質問します。

澤村さんの
Subject: [Jfly] 質問(オートクレーブ)
Date: Tue, 22 Apr 2003 19:33:43 +0900

の後、

Subject: [Jfly] 有難うございました[質問(オートクレーブ)]
Date: Wed, 23 Apr 2003 09:02:18 +0900

まで、Jfly からはメールを受け取っておりません。何時に流れたか、教えて下さい。

理化学研究所 筑波研究所
バイオリソースセンター
遺伝子材料開発室 (DNA Bank)
村田 武英,先任研究員


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From: "Sawamura, Kyoichi"
Subject: [Jfly] 集計結果(オートクレーブ)
Date: Thu, 24 Apr 2003 11:51:47 +0900

個人的にいただいたメールを総合しますと、
(1) 理由は何であれ、一般に廃棄物用と実験用のオートクレーブは分けて使
    う。
(2) DNAのコンタミは余り心配することはない。
(3) 実験によっては、タンパクのコンタミを避けなければならず、予算が許
    せば、"RNAse/DNAseFree"ギャランティーのチューブ/チップを買っ
    て、そのまま使う。

といったところでしょうか。

「伝言ゲーム」にならないよう、以下、原文から抜粋させていただきます(同じ
メールから複数の抜粋がある場合もあります)。個人的にいただいたメールから
許可なく引用させていただきまして申し訳ありません。引用は、慎重派から楽観
派の順に並べてあります。澤村

以下、引用

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「でも予算が許せば、"RNAse/DNAseFree"ギャランティーのチューブ/チップを
買って、そのまま使う方が良いと思います。」

「培養済み酵母/大腸菌/ハエなどを殺す為のオートクレーブと、分子生物実験
用のオートクレーブ、2台を用意するのが理想的です。本当の理想は、3台で、
先の殺生用1台のほか、水/バッファーを滅菌用と、チップ/チューブ/綺麗な
乾燥物の滅菌用です。でも、理想的に3台兼ね備えている方は少ないと思いま
す。」

「動物細胞等を扱ったwasteの処分と、チップ・チューブ・試薬類の滅菌は異な
る高圧滅菌器を使っています。」

「一般に廃棄物用(大腸菌プレートやハエなど)と実験用(チップ、試薬など)
のオートクレーブは分けていると思います」

「ただ、培地などの汚れが(主に有機物)混ざるときれいな器具などが汚れてし
まうので、それをいやがる研究室では、有機物の入ったものと、器具とかは別の
オートクレーブを使うところがあります。」

「ただ廃棄物を処理するオートクレーブはお釜の中が臭いので精神衛生上よろし
くないし、臭いということは何かしらの成分が蒸気に含まれているだろうし、分
けている本当の理由はよく分かりません」

「オートクレーブに関してDNA自身のコンタミはあんまり考慮しなくてもいいの
かなと個人的には考えています」

「121℃のオートクレ−ブをかけるとDNAは変性してヅタヅタに切れてしまいま
す。(ということになっている)そこで、同じものを使っても差し支えありませ
ん。」


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Date: Thu, 24 Apr 2003 13:25:59 +0900
From: "Murata, T (RIKEN BRC)"
Subject: [Jfly] RE: 質問(オートクレーブ)

うちの部屋では機具試薬用とゴミ(廃液、寒天培地)はわけています。試薬用、
水用、機具用はわけていません。また、組換えアデノウイルスを使っているの
で、アデノ廃棄物は専用にオートクレーブを持っています。もっとも、部屋から
してアデノ専用を設けていて、持出し前はオートクレーブをかけます。

PCR ということで言えば、ぼくは、という限定付きですが、チューブは未滅菌の
ものをそのまま使っています。

PCR 専用ということで、袋ごと引出しにしまいこんでいます。水は、100 ml ほど
を 滅菌し、1 ml ずつエッペンチューブに取り分け、一回使い切りにしていま
す。チップは手で箱につめたものをオートクレーブしていますが、水滴がつくの
で、本当はオートクレーブしない方が、化学的にはきれいと思います。フィル
ターチップは高いのでPCR 用には使っていません。しかし、実験レベルによって
は導入を考えた方がいい と思います。

余談

新しいオートクレーブを導入してトラブルがあったのを思い出しました。それ
は、 「なぞのコンタミ事件」です。培地を滅菌したのに雑菌が湧いている、とい
う事件 で、工場もち帰りで検査しても、温度異常や圧異常が見つからなかった、
というもの です。しかも、いつもおこるのではなく、時々起こる事件でした。滅
菌後の培地を机 に持っていく際に何かの拍子でふたが外れてコンタミしたとか、
空調の風があたるところに長時間放置して雑菌が入ったとか、滅菌後の処理が問
題だろうと思っていまし た。

しかし、最近、ある原因に思い当たりました。

吸排気速度の変更できるオートクレーブだったのですが、速度が最大になってい
たため(出荷時のデフォルトだそうです)、終了時に急速に減圧され、培地が突
沸したものがダクトにたまり、温度が低下した時の吸気でダクトの培地(雑菌が
うようよ)が今度は培地にもどってきて培地が汚染。

これがほんとかどうかはわかりません。なぜなら、そのオートクレーブでは培地
を滅菌しないことにしたからです。

ということで、トラブルを解決した事例ではないので参考になりませんが、お話
として。

理化学研究所 筑波研究所
バイオリソースセンター
遺伝子材料開発室 (DNA Bank)
村田 武英,先任研究員


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Date: Thu, 24 Apr 2003 17:57:24 +0900
From: Kazuya Nomura
Subject: [Jfly] オートクレーブについて

オートクレーブの話題ですが、

オートクレーブするとき、アルミホイルで「密封して」オートクレーブしている
方は いませんか?オートクレーブは、高圧蒸気滅菌ですから、蒸気が当たらない
場合は、 滅菌になりません。ただ121度にあたためただけでは死なない微生物
はいっぱいい ます。

昔、オートクレーブして、無菌的にふたをしたのにバイ菌が生えてきた先生がい
て、 学生が陰口をめちゃめちゃたたいていました。

調べてみると、オートクレーブの故障で排気が不十分で、完全に排気せずにオー
トク レーブサイクルがすすんでいたのでした。オートクレーブテープは温度があ
がったら 黒くなるようで、このときもテープは完全に変色して滅菌済みの表示に
なっていまし た。そこで4段階くらいに変色するオートクレーブカードを買って
きて入れてみる と、滅菌不十分と表示されました。排気弁を直すと、完全に滅菌
という表示になりま した。それ以来、4段階表示のオートクレーブチェック用
カードを時々使うようにし ています。厳密には芽胞かなんかの入ったチェック用
の菌体キットをうっているよう ですけれど。


それからピペットマンのチップの場合は、空気の排気が十分でない場合が多いの
で、 滅菌には空気がぬけるよう十分すきまをあけてオートクレーブしなくてはな
らないで しょう。オートクレーブしたチップたてのチップが、乾かさなくても使
えるという場 合は、(本当に滅菌が必要なら)、蒸気にあたっているかどうかを
チェックしたほう がいいと思います。

九州大学理学研究院
野村一也


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Date: Thu, 24 Apr 2003 19:36:07 +0900
Subject: [Jfly] 新品の汎用チップ、チューブは"DNAse Free" として使用可能か?
From: Takeuchi Hideaki

これまでのメールに関連して皆様に質問があります。

 未滅菌で新品の汎用チップまたはチューブ("RNAse/DNAseFree"ギャランティーで
ない安価な製品)をそのまま "DNAse Free" として使用されている方はどのくらいい
らっしゃるのでしょうか?

 私達の研究室においては、様々な実験(蛍光Differential Display法、sequence反
応、plasmid抽出法、RT-PCR法)において、未滅菌の新品チップをDNase Freeとして
使用して問題ないと判断しています。

 もちろんメーカーがNuclease Freeの保証をしていないチップ、チューブをあらゆ
る実験でDNase Freeとして使用することは難しいと思いますので、他の研究室の方々
に対して責任を持って保証できません。

 ちなみに私達の研究室では
BM機器のスピードローダーシステムのチップ (BIO200RF,BIO100RF, BIO10RF)
http://www.bmbio.com/home/product/yellow/index.htm
の新品をそのまま RNAse/DNAseFree として使用しています。

 またチップ、チューブを滅菌しなかったことが原因で、実験がうまくいかなくなっ
た経験をお持ちの方がいらっしゃいましたら今後の参考にいたしますので教えてい
ただければ幸いです。

竹内秀明
Department of Biological Sciences
Graduate School of Sciences
University of Tokyo


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Date: Thu, 24 Apr 2003 23:43:29 +0900
From: "Murata, T (RIKEN BRC)"
Subject: [Jfly] Re: 新品の汎用チップ、チューブは"DNAse Free" として使用可能か?

以下、むらた個人の話です。ラボ一般と思わないで下さい。

"DNAse Free" が厳密に要求されるクリティカルな実験はやっていないので、気にし ていません。
クローンのチェックのために10 ul の反応系で100 ng くらいのプラスミドを切るの であれば、水洗いして消毒用エタノールをかけて風乾した96 穴プレートを使いまわ しにしています。O.N. 反応後でも、電気泳動でちゃんと見えています。使う水はオ ートクレーブをかけています。

cDNA 合成は未滅菌のグライナーチューブです。1 ug total RNA を20 ul の反応系で 合成して、RT-PCRが問題なくできています。もっとも、こちらの場合は、RNase inhibitor を40 units 入れていますが。

いずれも、チップは習慣でオートクレーブをかけていますので、かけない場合にどう かは分かりません。

理化学研究所 筑波研究所
バイオリソースセンター
遺伝子材料開発室 (DNA Bank)
村田 武英,先任研究員


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Date: Fri, 25 Apr 2003 01:05:32 +0900
From: Yuji Kageyama
Subject: [Jfly] 新品の汎用チップ、チューブは"DNAse Free" として使用可能か?

> 未滅菌で新品の汎用チップまたはチューブ("RNAse/DNAseFree"ギャランティーで
>ない安価な製品)をそのまま "DNAse Free" として使用されている方はどのくらいい
>らっしゃるのでしょうか?

グライナー製の1.5mlチューブを愛用していますが、滅菌処理はしていません。
通常のDNAクローニングやRT-PCRやnorthern法でも特に問題はないようです。

個人的な思いこみかもしれませんが、RNaseに関してはオートクレーブ処理す
るよりは工場出荷そのままの方がコンタミしにくいのではないでしょうか。

--
かげやま@奈良先端大


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Date: Thu, 24 Apr 2003 14:35:23 -0400
From: "Matakatsu, Miho"
Subject: [Jfly] 新品の汎用チップ、チューブは"DNAse Free" として使用可能か?

RNA を扱う実験は全てオートクレーブをかけていない工場出荷ままのチューブやパイペッ
トチップをつかっています。

RNAiのプローブ作成、RT-PCR、in situ用のRNA probeも同じようにしています。
私の経験上、問題はありませんでした。

亦勝(田中)実穂@NCI, NIH


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Date: Mon, 28 Apr 2003 09:26:18 +0900
Subject: [Jfly] 新品の汎用チップ、チューブは"DNAse Free" として使用可能か?
From: Takeuchi Hideaki

 村田先生、影山先生、亦勝先生

 東大院理の竹内です。貴重な情報を提供していただき有難うございました。私も個
人的には、オートクレーブ処理するより、新品をそのまま使用した方がRNaseに関し
てはコンタミしにくい印象を持っています。
 もちろん汎用されているプロトコール集には「DNase Free用には滅菌処理」、
「RNase Free用にはDEPC処理」と書いてあり、メーカーが Nuclease Freeの保証を
していないので一般化できないことは承知しています。
 では、また何か情報がありましたらよろしくお願いいたします。

竹内秀明
c/o Takeo Kubo, Ph.D.
Department of Biological Sciences
Graduate School of Sciences
University of Tokyo