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ギャラリー > 顕微鏡画像集

顕微鏡画像集

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【聴覚感覚器】



聴覚感覚器
触角第2節の内部にある昆虫の聴覚器、ジョンストン器官の構造です。張力を検知するジョンストン神経細胞が約480個、お椀状に並び、そこから第3節に向かって円錐状に繊毛が伸びています。
緑:ジョンストン神経の細胞体と軸索、青:神経細胞の核、赤:神経の繊毛


聴覚一次中枢
ジョンストン器官の神経は触角葉の真後ろにある触角機械感覚一次中枢に投射します。太い束をつくって投射した軸索群が徐々に枝分かれして、複雑な構造を作っています。この一次中枢は5つのゾーン、19個の小領域に分類することができ、各神経はジョンストン器官内での細胞体の位置に応じて、特異的なパターンで一次中枢に投射しています。



JO1系統がラベルする感覚細胞群
GAL4エンハンサートラップ系統のJO1系統は、ほぼ全てのジョンストン神経をラベルします。
緑:JO1系統でラベルされた神経の細胞体と軸索、青:すべての神経細胞の核、赤:JO1系統でラベルされた神経細胞の核


JO2系統がラベルする感覚細胞群
JO2系統は、ジョンストン器官内で細い輪上に分布し、一次中枢のゾーンBのみに投射する、一部のジョンストン神経だけをラベルします。
緑:JO2系統でラベルされた神経の細胞体と軸索、青:すべての神経細胞の核、赤:JO2系統でラベルされた神経細胞の核

この研究の詳細は、Kamikouchi A, Shimada, T. and ITO, K. (2006) Comprehensive classification of the auditory sensory projections in the brain of the fruit fly Drosophila melanogaster. J. Comp. Neurol. in press.に掲載されます。

【脳内の領域分割】

 神経経路を解析するには、投射先の位置を厳密に同定するために詳細な「住所」が定義されていることが不可欠です。しかし脳が小さく、神経が複雑に錯綜しているショウジョウバエの脳では、キノコ体などごく一部の部分を除き、脳の細かな領域がこれまで厳密に定義されていませんでした。そこで、グリア細胞による脳内の仕切り構造と、容易に同定可能なランドマークになる脳構造を指標にして、脳内の領域を細かく定義しました。

連続断面像

回転像

この研究の詳細は、Otsuna, H. & Ito, K. (2006) Systematic Analysis of the Visual projection neurons of Drosophila melanogaster - I: Lobula-specific pathways. J. Comp. Neurol. (497) 928-958. に掲載されています。

【視覚投射神経経路】

 視覚情報は眼に配置された多数の視細胞から、空間的配置を保ったまま低次視覚中枢に伝えられ、そこからさらに脳本体の様々な高次中枢に伝えられて、他の感覚情報と統合されます。低次視覚中枢は構造がシンプルでこれまで詳しく解析されてきましたが、低次視覚中枢と高次中枢を結ぶ視覚投射神経については、まだほとんど分かっていません。そこでlobula, lobula plate, medullaという3つの低次視覚中枢と脳本体を結ぶ視覚投射神経の、体系的な同定解析を進めています。

※QuickTimeバーチャルリアリティー画像です。ダウンロードした画像のどこかをマウスでクリックし、そのままマウスを動かすと、画像がそれに応じて回転します。‘+’と‘ー’のボタンをクリックすると画像がズームします。

LC4経路
約30個の神経細胞体がlobulaと脳本体の間にあり、視葉のlobula内にコラム状に分枝が広がっています。そこからvlpr領域に向かって太い線維束が直線状に伸び、膨らんだ終末を形成します。出力シナプスはこの領域だけに観察されるので、LC4は情報をlobulaからvlprへ伝える、求心性情報伝達経路だと考えられます。

LT32経路
片側1個ずつの神経細胞体が食道の両脇にあり、そこから神経線維が脳の後方へ伸び、Y字型に分岐して脳後部を左右両側のlobulaへと伸びてゆきます。途中、plpr領域で細かな分枝を形成します。出力シナプスは両側のlobulaと対側のplprに観察されており、LC4とは逆に情報をlobulaに伝える経路だと考えられます。

LC6とLC9経路
LC4経路と同様にlobulaとvlprを結びますが、LC4と異なりvlprの外側をぐるっと迂回して、前方からvlprに投射します。終末は扇形に広がっています。LC6とLC9の2経路合わせて200個近い細胞が確認されています。出力シナプスはvlprと、lobulaのごく一部の層に観察されています。

LC10経路
LC6, 9経路と同じコースでvlpr外側を走り、そのまま直進して脳前方上部の視覚結節と呼ばれる領域に投射します。少なくとも100個近い細胞が確認されています。出力シナプスは視覚結節と、lobulaのごく一部の層に観察されています。

LT1経路
「LC」は1経路あたり多数の細胞が存在し、それぞれの細胞はlobula内の細長い領域にコラム状に枝を伸ばしますが、「LT」は1経路あたり1〜4個の細胞しかなく、個々の細胞はlobulaの特定の層において、広い範囲に枝を広げます。LT1経路は4つの細胞からなり、lobulaとvlprを結んでいますが、出力シナプスはlobula内部にしか観察されません。従ってvlprからの情報をlobulaに伝える、遠心性情報伝達経路だと考えられます。

LT11経路
LT11経路は1つの細胞からなり、LT1経路同様にlobulaとvlprを結んでいます。しかし出力シナプスはlobulaの一部の層だけでなく、vlprにも観察されるので、LT1とは逆に情報をlobulaからvlprへ伝えていると考えられます。

この研究の詳細は、Otsuna, H. & Ito, K. (2006) Systematic Analysis of the Visual projection neurons of Drosophila melanogaster - I: Lobula-specific pathways. J. Comp. Neurol. (497) 928-958. に掲載されています。


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