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Drosophila Newsletter (Japanese) No. 15

The Newsletter of the Japanese Drosophila Research Conference (in Japanese)

October 1998

2nd Announcement of the 4th JDRC Meeting (1999)by NISHIDA Yasuyoshi
Meeting Report : The 7th European Symposium on Drosophila Neurobiologyby AKIYAMA-ODA Yasuko
Meeting Report : EMBO Workshop - Crete meeting (1998)by AKIMARU Hiroshi
-- 1) Signaling -- 2) Eye -- 3) Neuro -- 4) Oogenesis/Embryogenesis
-- 5) Homeotics -- 6) Cell Biology -- 7) Organogenesis
Laboratory Report : NIH, USAby KOIZUMI Keita
Tribute to late Dr. Miyake
== 30 Years of Friendshipby SIBA Tadayoshi
== Dr. Miyake's work at the Mitsubishi-Kasei Institute of Life Sciencesby UEDA Ryu
Technical TidBits
== Tips for better lab lifeby HANAI Shuji
== In situ fluorescent double labellingby OOSHIRO Tomokazu
JDRC Charter


ショウジョウバエ通信 No.15

1998年 10月
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この通信は研究室単位でお送りしています。研究室の方全員に読んでいただけるようご配慮お願いいたします。

第4回研究集会の御案内(第2報)西田育巧
The 7th European Symposium on Drosophila Neurobiology に参加して秋山(小田)康子
EMBO Workshop、Crete meeting(1998)印象記秋丸 裕司
  1) Signaling
  2) Eye
  3) Neuro
  4) Oogenesis/Embryogenesis
  5) Homeotics
  6) Cell Biology
  7) Organogenesis
NIHポスドク体験記小泉 恵太
追悼
 30年余の交流柴 忠義
 三宅端先生の生命研での研究上田 龍
技術ノート
 『TIPS』花井修次
 『in situの蛍光二重標識法』大城 朝一
会則について

第4回研究集会の御案内(第2報)

    第4回研究集会準備委員会 西田 育巧
    (名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻)

既にお知らせの通り、第4回日本ショウジョウバエ研究会を下記の日程で名古屋にて開催いたします。多数の方の御参加をお待ちしています。

 日時:平成11年8月2日(月)午後1時〜8月4日(水)午後3時頃
 場所:名古屋市千種区鹿子殿1ー1
       愛知県がんセンター 国際医学交流センター

 参加申し込み、演題申し込みの〆切は6月中頃を予定しています。次号のショウジョウバエ通信に、申し込み法の具体的な内容をお知らせいたしますが、前回と同様、e-mailでの申し込みを原則にしたいと考えています。御協力の程お願いいたします。なお、一般演題は、全てポスターを予定しています。

 シンポジウム企画案を募集しています。
 シンポジウムタイトル、オーガナイザー、予定演者と仮演題をお知らせ下さい。
       〆切:平成11年3月末日
 また、このような話が聴きたいというような御要望がありましたら、御連絡ください。
連絡先:名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻
       西田 育巧
       Tel: (052)789-2472 FAX: (052)789-2511
       e-mail: nishida@bio.nogoya-u.ac.jp

 研究集会に関する御意見・御要望・御提案などをどしどしお寄せ下さい。できるだけ参考にして、有意義な会となるようにしていきたいと考えています。



The 7th European Symposium on Drosophila Neurobiology に参加して

           秋山(小田)康子(京都大学・医学部・分子細胞情報学) 

  European Symposium on Drosophila Neurobiology、通称Neurofly Meetingは1年おきに行われる小規模の学会で、今年は9月6日から10日まで、イギリスのUniversityof Warwickで開催されました。私は博士課程の間の成果を発表するために、半年遅れの卒業旅行気分で出かけました。海外の学会はこれまでアメリカのDrosophila meetingに2回参加したことがあり、今回が3回目でした。

 University of Warwickはロンドンから列車で北に1時間20分ほど行ったCoventryという街にあります。広い敷地に建物がゆったりと並んだ落ち着いた大学でした。と、いかにもすんなりとたどり着いたかのように書きましたが、初めてのひとり旅、ロンドンに夕方到着する飛行機だったため列車に乗っているうちに日が暮れてしまい、しかもどう間違えたのか列車は各駅停車で2時間以上かかり、途中から乗り込んできた酔っぱらいのおじさんたちに話しかけられるはで、Coventryに着いたのは夜の9時。非常に心細くなっていました。駅でタクシーの運転手に話しかけているところで、同じミーティングに参加する人と会い、何とか大学までたどり着いたというわけです。registrationの時間はとうに過ぎていましたので、とにかく部屋でくつろぐことにしました。・・・が、狭い部屋にベッドと机、洗面台。いたってシンプル。シャワー、お風呂、トイレ共同。あー・・。後でそこは夏休みで空になった学生寮と知りました。翌朝、食堂(学食?)で岡部さんを見つけたときには、とにかく本当に嬉しかったです。そうこうしているうちに、ミーティングが始まりました。

 全体の様子は、アメリカの巨大なDrosophila meetingとは異なり、参加者は200人程度、Plenary lectureが6、口頭発表が38、ポスター発表が69、最初に書きましたように非常に小規模でした。構成はラボのボスから、ポスドク、学生、幅広く参加していたようです。発表者を国別で見ますと、ドイツ30、イギリス29、アメリカ15、フランス10、日本9、スイス6、スペイン5、フィンランド4、イタリア、イスラエル、シンガポール、インド、オーストラリア各1。日本は遠隔地の割に参加者が多いということでしょうか? プログラムは次のようでした。

 9/7午前 Talk--Clocks I、Sex
    午後 Poster I
       Talk--Regulation、Development I
    夜  Talk--Brain Function
 9/8午前 Talk--Synaptogenesis、Mushroom Bodies
    午後 遠足 Warwick Castle or Stradford upon Avon
    夜  Talk--Eye Development
 9/9午前 Talk--Evolutionary Development
    午後 Poster II
       Talk--Development II、Clocks II
    夜  Medieval Banquet
 9/10午前 Talk--Development III

 私自身はembryoの時期の発生に興味があるのですが、そのような内容の発表は比較的少なく、より高次の神経機能に関する話が多く、行動であったり、また発生にしても脳の発生であったり、そのような分野に比重がかけられているという印象を受けました。全体を通して「今の流行り」といった感じの発表はあまりなく、それぞれが自分自身の興味を進んでいるように感じられました。

 ショウジョウバエの神経系のミーティングといいますと、他の分野の方々には非常に限られた分野の小さな集まりという印象を与えるようです。そして実際、人数はとても少なかったのですが、その小さな集団の中においても既に内容も人々の興味も細分化されており、お互いの言葉すらなかなか通じないような状況にまで事態は進んでいるようでした。口頭発表に関して、勉強不足といわれてしまえばそれまでですが、自分の興味と異なるものは英語の能力を差し引いてもなかなか理解し難く、質問もそのセッションで発表した人々の間でのみ行われていたようです。ポスター発表に関しても同じように感じました。掲示されているポスター全体をざっと見渡しましたが、直接話を聞きたいというほどの興味を引くものは限られており、また反対に私のポスターを見に来て下さった方々も、私自身がよく目を通す論文の著者やその研究室のメンバーがほとんどでした。こう書きますと、ネガティブに受け取る方もいらっしゃるかもしれませんが、このように興味が細分化してしまった状況だからこそ、自分と興味を同じくする人、そして自分の仕事を本当の意味で理解してくれる人とは海外まで行かないと出会えないのではないかと思います。ですから、英語に難があろうと、積極的に海外の学会に出かけていくことは有意義なのではないでしょうか? ・・・以上は未熟な研究者としての私が感じたことです。

 さてさて、プログラムの中の遠足などという項目に気づいた方もいらっしゃるかと思います。アメリカのDrosophila meetingでは毎日、朝から晩までセッションが続きますが、このミーティングでは間に遠足やバンケットがはさまり、比較的リラックスして過ごすことができました。遠足は希望により2グループに分かれ、中世のお城であるWarwick castleとシェークスピアが生まれた街であるStratford upon Avonにそれぞれバスで出かけました。私はお城に行きましたが、非常に見ごたえがありました。壮麗なお城の中に拷問部屋というものがあることを初めて知りました。一緒に見学した伊藤啓さんは拷問に大変詳しく、いろいろ説明していただきました。そんなに丁寧に教えていただかなくてもよかったのですけれど・・・。その翌日の晩は再びバスで出かけ、古いお屋敷(お城?)を改造したようなホテルでバンケットでした。中世のバンケットということで、よだれかけ(?)のようなものをさせられ、ナイフと手でお肉(スペアリブと鶏肉)を食べ、歌あり踊りありの楽しいひとときでした。バンケットではジーパンはダメ、と知らされていたので堅苦しいものを想像していましたが、むしろカジュアルな雰囲気で助かりました。

 最後にいくつか。当然のことですが、やはり英語が話せないと始まりませんね。自分の仕事に関しては説明できるように練習して行ったのですが、それ以外はかなり悲惨でした。一度、口頭発表の人が自分の発表をせず、これから皆で議論しようということになったのですが、ああなると全くついていけませんでした。しかしコーヒーブレイクや食事の時などのちょっとした会話は、英語力だけが問題なのではなく、その人の性格にもかかっているのではないでしょうか。お話好きな人がうらやましいです。それからイギリスについて。イギリスは今回が初めてでしたが、島国のためか雰囲気はアメリカよりむしろ日本に近いように感じられ、かなり親しみを持ちました。しかし、イギリスの方々には大変申し訳ありませんけれど、やはり食事は大変まずかったです。次回のNeurofly meetingはスペインになる可能性が強いらしいです。次回、参加される方は期待がもてますね。

 学会に参加された方々、イギリスでは大変お世話になりました。おかげさまで楽しく過ごすことができました。どうもありがとうございました。



EMBO Workshop、Crete meeting(1998)印象記

秋丸 裕司(理化学研究所ライフサイエンス筑波研究センター・分子遺伝学研究室)

 7月13日から18日まで、GreeceのCrete島Kolymbariで2年に一度のEMBO Drosophila Workshop (Molecular and Developmental Biology of Drosophila)が開催されました。前日の早朝に到着して、遺伝研の林さんから「ちょっと、お願いがあるんだけど」と言われた。次の瞬間、予想通りの「meeting reportを書いてよ」の言葉を今回で3回目の参加を経験している大先輩から貰って、始めてCrete meetingに参加する新参者は断る理由もなく、引き受けた次第です。このmeetingに参加して得た感想を簡単に書かせて貰い、発表data並びに研究室の研究概要を書いたhandnoteから興味のあるdataを、section毎にまとめました。情報としては論文で見ることができるdataが多いですが、外国の研究状況を把握するのに役立てて貰えれば幸いです(日本の方の発表内容はいろんなところで聞くことがあり、ご存じだと思い、省略させて頂きました)。Crete meetingの全体の概要は、林さんの書かれた4年前の1994年のCrete meeting reportが、ショウジョウバエ通信3号(10月)に掲載されていますので、J-Flyホームページで参照して下さい。

 発表はgenome projectの進行状況をBDGPとEDGPのorganizerが説明した後、約120人近いLab. Headが、次の7つのsectionに分かれて最新のdataを報告しました。 (1) Signaling (2) Eye (3) Neuro (4) Oogenesis/Embryogenesis (5) Homeotics (6) Cell Biology (7) Organogenesis。日本からも、遺伝研の広海先生(Eye section)、精神神経センターの松崎先生、遺伝研の堀田先生、筑波大の古久保ー徳永先生(Neuro)、遺伝研の林先生(Organogenesis)(発表順)が参加されました。以前、林さんが報告されたように、発表の内容は、すでに論文で報告したものやin pressになっているものが殆どで、面白いなと思ったdataは、meetingが終わって帰国してから次々と論文誌上で目にすることが出来るものばかりでした。Scientificには、EMSやP element insertion lineを用いた従来の遺伝学的screeningや新しいscreening法として、P. Rorth (EMBL, Germany)らがcollectionしたEP line (未知のendogenousな遺伝子の上流に、UAS-basal promoterを持つP elementがinsertionした系統。これだけではendogenous遺伝子の発現は変化しないが、既存のGAL4 lineと掛け合わせると目的の組織で未知のendogenous遺伝子が発現するシステム)とGal4 lineを組み合わせたmisexpression screeningが行なわれている一方で、ある因子に相互作用する新たな因子を単離する為のyeast two hybrid法が多くの研究室で行なわれており、yeast two hybrid法とreverse geneticsを組み合わせた研究が一つの流行りになっているようでした。もう一つ感じたのは、研究を進める上でcollaborationが非常に多いということです。お互いがexpertの部分を共有し合って、より質の高い研究レベルに非常に効率よく持っていくやり方は、情報交換の豊富さとあいまって、研究のポテンシャルを高く保っている所以ではないかと思います。Priorityの問題はありますが、意見交換は勿論のこと、積極的な国内外の研究者とのcollaborationの有効性を再認識しました。以上が、meetingの全体の感想です。以下に、各研究室の研究内容を掲載してあります。もし、もっと詳しく内容を知りたいという方は、ご連絡ください。Abstractをお送りします。

 最後に、このreportを書く機会を与えて下さった林さん、木村さん、並びに各sectionの校正を手伝ってくれた地頭園さんに感謝致します。

1) Signaling

(1) Artavanis-Tsakonas (US)
  Delta (Dl)のextracellular domainはmetalloprotease活性を持つKuzubanian (kuz)で分解される。分解されたsoluble product (67KDa)はNotch (N)に結合する事、また、dominant negative kuzをwing discで発現させると、Dlのcleavageが抑制され、その表現型は活性化型Nの表現型(vein gap)と同様な表現型を示すことから、Dl cleavage productがNの機能を抑制する事を示した。Mastermind (mam)がN signalに関与するgenetic dataを得ていたので、yeast two hybridよりMam interaction proteinとしてMip1, 6, 30を単離した。Mip30はzinc finger protein、Mip1, 6は新規の因子であった。N signalのnew componentを遺伝学的に検索するためconstitutive active Nを複眼で発現させ、そのmodifierを遺伝学的にscreeningした結果、新規のalleleの一つとしてRab6にhomologousな遺伝子をコードするwarthogを単離した。また、Nのリン酸化(Ser, Thr, Tyr残基)がDlとの結合を強めることをSL-2 cellで観察している。

(2) Cohen (Germany)
  wingのD/V formationにおいてPOU homeodomainをコードするNubbin (nub)は、Nの下流に働くVg遺伝子のエンハンサーに直接結合してVgの転写を抑制することから、N signalにantagonisticに働くことを示した。

(3) Gehring (Switzerland)
  wing discだけでなくeye discにおいても、N-Su(H) signalingはeye morphogenesisに関与している。しかし、wing discとは異なり、eye discでのSu(H) mutant cloneはeyeless(ey)とtwin of eyeless (toy)の発現が見られないことから、Su(H)のtargetはこの2つが考えられる。また、leg discでは、NはAntpを活性化しleg inductionに必要であり、wing discでは、dorsal siteのmaster control geneであるvgを誘導する。これらの事は、N signalがeye、wing、legの各appendageのmaster control geneと協調的に働いて、appendage inductionに寄与していることを現している。

(4) Muskavitch (US)
  vein formationにおいてはEGF Receptor(DER)-ras-raf-rhomboid-Dlのsignal casetteが必要であることを示した。

(5) Preiss (German)
  Su(H)に結合してN signalを抑制するHairless(H)は、brisleやwing vein formationに関与していることが今まで知られていたが、さらに、leg、eye developmentにも関与している。eye discでのHのmisexpressionはN pathwayによるcell proliferationをblockする。一方、activated NあるいはSu(H)のmisexpressionはcellのovergrowthを示すことから、Nのfunctionはlateral inhibitionだけでなくcell proliferationに、また、Hはそれをblockする役割をもつことが分かった。Hのinteraction proteinをyeast two hybridによりscreeningした結果、proteosomeのcomponentが得られた。Hがproteosomeをrecuriteして、その基質がSu(H)であることが示唆される。

(6) Delidakis (Greece)
  N signalの下流でrepressorとして働くE(spl) complexには、bHLH motifを持つ7つのgene[md,g,b,3,5,7,8]が存在する。これらが様々な組織において機能的特異性を持っていることを示した。overexpressionの系により、mbはvein suppression、m7はbristle suppression及びN mutantによるwing margin defectのsuppressionを示す。md,7はphotoreceptor R8 cell fateをsuppressし、mgはwing margin geneであるcutのexpressionを調節している。これらの転写因子の異なる機能がN signalに多様性をもたらしている事が示唆される。また、E(spl) locusにはnon-bHLH geneの5つ[ma,1,2,4,6]が存在する。この中でma,4のみがN signalに応答するが、sensory organ precursor(SOP)におけるma,4のectopic expressionは、Nのlateral inhibition、すなわち、SOP fateをsuppressする効果とは逆の結果となった。ma,4はN signalの下流で働くけれども、E(spl) bHLHのexpressionを抑制することからも、N signalのnegative regulatorとして機能していることが考えられる。

(7) Bejsovec (US)
  wg signalの下流で働く転写因子dTCF/Pangollinのnull mutantは、wg mutant phenotypeをsupperssする。また、wg expression domainでのdTCF ectopic expressionはwg mutant phenotypeをenhanceすることから、dTCFはwg signalに対してnegativeに働くrepressorであることを示した。dTCFには、Hairy, Dl, Enなどのrepressor機能に必要なco-represser, Grouchが結合して、dTCFのrepressor functionをsupportしていることを示した。

(8) Bienz (UK)
  Viceral mesodermのPS7で発現するUbxやendodermで発現するlabialの転写活性は、wg signalの下流で働くdTCF/pangolinとdpp signalの下流で機能するdCREB, dFosによって調節されている。Drosophila CREB-binding protein (dCBP/nejire) mutantでは、Ubx, labの発現が上昇することから、転写のco-activatorとして知られるdCBPが、これらのsignalに対して抑制因子として機能していることを示した。dCBPがwgの下流のPanと結合することを、two hybridとin vitro binding実験により明らかにした。さらに、Panと結合したdCBPは、PanのN末側をアセチル化して、Panのco-activator, Armの結合を阻害するという機構でwg signalを特異的に抑制していることを報告した(Nature, 395, 521, 1998)。

(9) Affolter (Switzerland)
  dpp response gene のschnurri, labialのtarget binding elementを検策するprojectの一方で、tracheal developmentに関与するFGF signal, Branchless (ligand)-Breathless (FGF-R)と、心臓形成に働くHeartless (FGF-R)の下流に働く新しいcomponent, Downstream of FGF(DOF)を同定した。

(10) Frasch (US)
  Dorsal ectodermで発現するdppのsignalに応答し、dosal mesodermを誘導するhomeobox gene, tinman (tin)のautoregulationのmechanismを分子レベルで明かにした。tinのdpp response elementにはtin binding siteが存在し、そのbinding siteには、tinおよびSmad4のhomolog, MedeaとMadのtertiary complexが形成される(G&D, 12, 2354, 1998)。

(11) Letsou (US)
  dorsal closureに関与するmutantとしてrawを同定した。dpp type2 receptorのpuntのenhancer mutant, enhancer of punt (eDp-1)を単離した(Gentics, 148, 801-813, 1998)。

(12) Perrimon (US)
  新しいtechniqueの開発中で、その1つがprotein intronとして働くINTEINを任意のgeneの中に導入したtransformantを作成し、temp. shiftによりINTEINのexcionをcontrolしてts mutantを人工的に作る系を造り上げた。もう1つの方法は、FRT-FLP clonal analysisでmutant homo cellをmarkする場合、今まではmutant homo cloneがmarkingされないという手法でmutant cloneを識別していたが、それを逆に識別できる方法を考えた。mutant染色体にenhancer-FRTを導入し、野生型染色体にFRT-repoter (lacZ,GFPなど)を導入した個体で、FLPによりmitotic recombinationを生じさせると、mutant homo細胞の染色体上にenhance-reportor fusion が生じるので、mutant clone自体をmarkingできるという方法である。

(13) J-P. Vincent (UK)
  Armをoverexpressするtransformantを用い、EGF-signalling, cell adhesionに関与するmutantを、また3つの未知のmutantを単離した。また、Cadherinをoverexperssしたphenotypeをdominantにmodifyする第3染色体上のmutantを、EMSにより11 complementation group、deficiency stockのscreeningから3つ得た。Embryoの体節形成において、wgがanterior側には4細胞分のgradient分布を示すのに対して、なぜ、posterior側には1細胞分だけのasymmetricな分布を示すのかという問に対して、彼らはEGF-pathwayとhedgehogの新しい機能が関与していることを示した。

(14) Purkhurst (US)
  Repressorとして機能するHairyに相互作用する因子をtwo hybrid法により、3つ単離した。一つは、adenovirusのE1aに結合するhuman CtBPのホモローグ(dCtBP)、もう一つはtumor suppressorとして働くhuman BRCA1が持つRING finger motifを含むクローン(hnc13)、そして、既存のタンパク質とホモロジーはないが、nuclear hormon receptorのco-repressorとして働くmSin3のcomponentの1つであるSinAP30と相互作用するhnc7が得られた。また、dmyc、dmaxを単離したR. Eisenmainと共同で、dmaxをbaitにしてtwo hybridにより、dMadを単離した。

(15) Schubiger (US)
  CycBの過剰発現はblastderm期の核分裂にdesynchronizationを生じる。この表現型をmodifyするmutantを100 deficiencyからscreeningした結果、5つのsuppresor、9つのenhancerが得られた。これらの中で、microfilementに影響を与えるprofilinをコードするchickadee、diaphanous, guailがsuppressorであることが判った。CycBのタンパク質量とmicrotuble安定度の関係は反比例にあることを示した。例えば、CycBが多くなると、microtubleは短くなって核の移動速度の遅延や核の形状に異常を生じることを示した。

(16) Brown (UK)
  Drosophila integrin geneは2つのa subunitと1つのb subuitの3つが知られている。機能的には2種類の heterodimer, PS1(a1b)とPS2(a2b) がcell adhesionや遺伝子発現に働いている。PS1がepidermis, dorsal wing blade, PS2がmuscle, ventral wing bladeで発現している。randomに起こしたmutationの モザイクcloneをFRT/FLPで誘導し、adult wingでdefectのあるmutantをscreenngした結果、14 lethal complementation groupを得た。integrinの3つのsubunit のmutantの他に、blistered、bloated、9つの未知のmutantが得られた。このうちの1つKakapoは5000a.a以上の細胞骨格タンパク質である。N末端側にintegrinと中間径フィラメントとを結びつけるタンパク質にみられるdomain、中心領域にdystrophin-like repeat、C末端にgrwoth arrestタンパク質Gas2に類似した領域を持つ。発現はlate embryoのepidermal muscle attachment細胞のintegrin接着領域で観察されることを示した。

(17) Freeman (UK)
  OogenesisでDrosophila EGF recetor (DER)がD/V axisの決定に働く機構を3つのstepで説明した。まず、oocyteから分泌されるTGF-b likeタンパク質Gurkenがfollicle cellのdorsal領域を決定する。この領域でDERが限局的に発現する。次に、DERを発現している細胞で、Rhomboidが、DER ligandであるspitzの発現を促進する。分泌されたspitzは、DERを発現している細胞にautocrine的に働き、Grukenのsignalを増幅させ、DER positiveな細胞を拡大する役割を持つ。これは、DER ligand, Spitzとその発現を調節するRhoが、なぜDERと同一の細胞で発現するかという疑問に一つの答えを出した点で注目される。最後に、DERのinhibitorであるArgosが、DERを発現している細胞で働き、DER発現細胞を二分化することでdorsal regionを形成するというモデルである。

  もう一つのprojectは複眼でのDERの機能解析である。いくつかのグループがDERの複眼での機能をモザイク解析で解析しているが、small cloneしか得られないため、細胞増殖に必要であることだけで、それ以外の機能は明らかにされていない。彼らは、Minute techniqueをモザイク解析に導入し、DERの機能を調べている。この結果は、ts DER mutantとモザイク解析を組み合わせたMosesの結果とは少し異なるものである(Eye sectionを参照)。Freemanらの結果によると、DERは確かに細胞増殖に必須であることは間違いないが、furrowでのrough geneの発現を調節して、R8の分化ではなくspacingに重要であること(分化にはatonalの活性が必要である)、R8以外のphotoreceptorの分化、及びrecuruitmentに必要十分であることを示している。また、eye discでのArgosのoverexpression phenotypeをmodifyするgenetic screeningを行って、いくつかのmutantを単離した。その中で、FGFRのinhibitor, sproutyがDERのinhibitorとしても機能している結果を得ている。

(18) Shilo (Israel)
  Embryonic venrtal ectodermの系でのDERのシグナルpathwayを示した。venrtal midline cellで発現するRho, StarがDER ligand, Spitzの発現を誘導する。midline cellに隣接する細胞がDERを介してSpitzのシグナルを受け取り、DER pathwayの活性化が起こると同時に、DERのnegatve signalとしてArgosが機能する。それに対して、Pointed P2により発現を正に調節されるVeinが、DER ligandとして働くというpositive feedback loopがsignal balanceを保っていることを示した。

  Tracheal cellの分化誘導に必要なbHLH/PASタンパク質、Trachealess (Trh)は、Darnt (Tango)とheterodimerを形成することが報告されているが、この2つの因子だけではTrhのDNA結合特異性を説明することができないので、PAS domainと相互作用する因子が予想される。そのような因子としてPOU domainを持つDrifterを単離した。tracheaにおいてTrh/Drifterは、target遺伝子としてrhoの発現を調節している。また、rhoはembryo midline cellで別のbHLH/PASタンパク質Simによって活性化される。rhoの発現をtracheaとmidline cellで制御するpromoterを解析した結果、4つのbHLH/PAS結合配列を同定し、そのうち2つが必要であることを明らかにした。さらに、2つのDrifter結合配列も同定した。

2) Eye

(1) Sun (Taiwan)
  Homeo box gene, homothorax (hth)は、MH domainを介してexdの核移行を調節し、共にeye formationに抑制的に働いている(G&D, 12, 435, 1998)。これに対し、Paxhomeobox family, eye gone (eyg) mutantは、eyelessと同様、ectopic expressionによりectopic eyeを誘導することが出来る。反対に、そのloss of function mutantはreduced eye phenotypeになる。eygとeyは、互いにその発現を制御しあうことも、活性を必要とすることもないが、両者の発現はectopic eye formationにsynergistic効果があることから、eye formationにparallelに機能していることを示した。

(2) Treisman (US)
  DNA binding proteinのBright familyのDrosophila homolog, eyelid (eld)のmutant clone解析から、furrowの進行、photoreceptor分化促進、wing marginの抑制、embryoではen expressionの抑制に働いている。この機能はwgとは正反対の機能であることから、wg signalを抑制する因子として考えている。実際、eldは、midguntでのwg-target enhancerであるUbx enhancerに結合し、eld mutantではUbxの発現が、本来の領域より拡大する。eldのDNA bindingは配列特異的なものでなく、SWIの様に、クロマチンremodeling因子と類似したDNA結合様式を示す。クロマチンsilencing因子と同様、eld mutantはPEVをsuppressすることを報告した(G&D, 11(15), 1949, 1997)。

(3) Moses (US)
  Hhと相互作用する因子の単離や、Hhのeye spencific enhancer (1st intron)の解析、さらに、複眼におけるDER (Dro. EGF Receptor) pathwayのphotoreceptor assemblyとspacingに関する機能の解析を行なっている。DERのnull mutant cloneはgrowthしないことから、増殖に必要であることしか分からない。DERの発生後期での機能を明かにするため、ts mutantを新たに単離した。ts mutantとmosaic解析から、DERはphotoreceptor assemblyにもspacingにも必要ないことが明かになった。

(4) Rubin (US)
  活性型Ras[V12]によるrougy eyeをenhanceするmutant, ER2-5の構造遺伝子はtyrosine phophataseであることを明かにした。彼らは、これをProtein Tyrosine Phosphatase-Enhancer of Ras, PTP-ERと呼んでいる。このmutantはhomo-viableであるが、extraR7の形成によるrough eyeを生じ、強制発現はphotoreceptor分化を阻害することから、MAPK signalをdown-regulateする機能を持つ。彼らが以前単離したkinasesuppressor of ras (ksr) mutant のrough eye phenotypeをmodifyするmutantを新たにscreeningして、ras signalに関与する新しい因子をいくつか見い出した。enhancerの中の1つ、connector enhancer of ksr (cnk)を報告した。cnkはprotein-protein相互作用に関わるSAM, PDZ, PH domainを持ち、adhering junectionが存在する細胞膜に極在する。また、rafとcnkは互いに結合することから、quiescensな状態では、rafは細胞膜に分散しているが、ras signalを活性化する細胞外シグナルを受けると、cnkはrafを細胞接着領域に特異的に極在化させるモデルを提示した。

(5) Hafen (Swizerland)
  すべてのcell sizeが小さくなるmutant, chicoを単離し、insulin receptor substrateであることを示した。

(6) Mlodzik (Germany)
  Photoreceptor cellやwing bristleの正確な方向性(epithelial planar polority, EPP)には、Fz/Pho/JNKのsignal casetteの他に、Wg/DFz2/Arm signalに必須なDshがcomponentの1つとして重要である。EPP pathwayに必要なdshの領域はC末端のDEP domainで、Wg signalに必要なPDZ domainとは異なる。2つのsignalに共通なcomponentのDshが、異なった領域を使うことで細胞内signalを分岐させていることを、非常にsmartな方法で報告している(Cell, 94, 109, 1998) 。EPP signalingに関与する新たな因子としてSkolnikらが報告した(G&D, 12, 2371, 1998) dorsal closureに必要なmisshapen (msn)が、Fz/Dshの下流、JNKの上流、すなわち、rhoA/racとparallelに働いていることを示した。

(7) Gubb (UK)
  第2あるいは、3染色体(pericentric chromosome)の左腕と右腕でinversionを生じたpericentric inversion染色体と野生型染色体とのheterozygote (pericentricinversion helerozygote あるいは、heterosynaptic form)は、染色体組み換えにより、inversionを同一染色体内に持つautosynaptic染色体(autosynaptic segment, ASとも呼ぶ)が生成する(つまり、inversionした領域が、対する染色体に乗り換わり、重複染色体ができる) [詳しい機構については、Ashburner; Drosophila, a Laboratory bandbook, p814を参照して下さい]。このASを使うと、染色体上のduplicationを作成出来ることを利用して、20系統で第2染色体の96%、8系統で第3染色体の40%をカバーするduplication set (Cam duplication)を作成した(Bloomington Umeaにdeposit。FlybaseにCamとして検索可)。彼らは、tissue polanity mutant, prickle (pk)のphenotypeをmodifyするmutantを、このsetから単離中である。

(8) Banerjee (US)
  Runt domainを持つLozenge (lz)がcone cell, primary pignent cellの分化に必要なsparkling (spa)のenhancer領域に結合して、発現を活性化していることを示した。さらに、このenhancerの上流には、yan, Su(H)が結合する領域が存在し、この領域のmutationはSpaのectopic expressionになることから、yanとSu(H)がrepressorとして機能していることを明かにした。lzのenhancerとして、genetic screeningより5つのcomplementation groupを得た。その中には、spa, hsp83, eyelid (Treismanの項、参照)の他に、Gergenらが単離したlzのpartner protein, brother (bro) とbig brother (bgd)が存在した(Development, 125(Pt 18), 3681, 1998)。 lzの解析の他に、cone cell分化に関わるStrawberry notchの解析やwing discのD/Vboundaryの形成において、DER signalがVgのD/V boundary enhancerに作用していることを調べている。

(9) Desplan (US)
  6個のRhodopsinの内、rh1はR1-6、rh2はadult ocelli、rh3及びrh4はR7で発現している。rh3のみを発現しているR7は、全体のommatidiaの30%、rh4のみを発現しているR7は70%であり、その分布はrandamである。R8がrh5あるいはrh6を発現するかは、隣接するR7のrhと面白い相関がある。すなわち、rh3を発現しているR7に隣接したR8は、rh5を発現し、rh4を発現しているR7に隣接したR8は、rh6を発現するという正確なpairingが存在する。R7を過剰に生産させたり、R7を欠損させることにより、基底状態としてrh4/rh6のpairが存在し、分化の過程でrh3/rh5が生じることが分かった(Development, 124(9), 1665, 1997)。

3) Neuro

(1) Bellen (US)
  ショウジョウバエの細胞内の不透過結合は、有隔結合(septate junction)によって形成されている。SJ領域に存在するneurexin IV(NRX IV )のmutant embryoは、blood-brain barrierに異常が見とめられるが、細胞接着や細胞極性に目立った欠損は生じない。mosaic cloneを作ると、複眼のommatidiaの配列に異常が生じ、SJ領域に存在するCoracle, DLGタンパク質が欠失する強いdefectが観察された。しかし、wing、eye imaginal discではcloneがほとんど検出されないことから、NRX IVのmutant phenotypeはcell non-autonomousで、かつ細胞増殖を調節していることが示唆された。NRX IVの細胞膜domainと相互作用する因子をtwo hybridによりscreeningした結果、タンパク質 - タンパク質相互作用に必要と考えられるPDZ domainを持つdisc lost (dlt)を単離した。dltはNRX IVと同様にSJ領域に極在し、そのmutantは2nd larvaでimaginal discを欠損して、致死となることを報告した。

(2) Brand (UK), Jan (US), Chia (Singarpore)
  非対称細胞分裂に関与するmiranda, prospero, staufen, inscutable, numbの機能に関する最近のdataを報告した(Brand:G&D, 12, 1847, 1998. Jan:Cell, 90, 449, 1997. G&D, 12, 1837, 1998. Chia:Cell, 90, 437,1997. G&D, 12, 304, 1998. G&D, 12, 1858, 1998.を参照)。Brandが作成したGFP-Staufenをマーカーにした、細胞分裂のlive videoは圧巻でした。

(3) Giangrande (France)
  glial differentitationに必要なgcm/glid (彼らはglial cell deficientとして単離)をnon neurogenicな組織、mesoderm, dorsal ectodermで強制発現させてもgliaが形成されることから、glia分化には、特異的なneural stateを必要としないことを示した(Development, 125(16), 3189, 1998)。gcm/glidは、免疫系のhemocyteで発現しており、その発現はcrystal cellの分化に必要なserpent (GATA転写因子)によって調節されていることを示した。

(4) White (US)
  neuron specific makerとして知られるelavはA/Q rich domain、3つのRNA recognition motif (RRM)を持ち、neuron特異的タンパク質Neuroglian, Nrg[180]のintronに結合してneuron特異的splicingを調節していることを報告した。同様に、ubiquitousであるが、neuronでのみ特異的sizeのタンパク質を発現しているerrect wing (ewg)に対しても、類似の機構が働いていることを示した。

(5) Tear (UK)
  CNSのaxon guidenceに影響を及ぼす2つのmutant, commissureless (comm)とroundabout (robo)を単離した。Transmembraneタンパク質をコードするcomm mutantでは、commissural axonがmidlineへcrossせず、commissureを欠損した表現型になる。一方、roboはaxon guidance receptorをコードし、midlineをcrossするaxonが増え、commとは反対の表現型を示す。commのover expressionはroboの発現を抑制し、robo mutantの表現型をとなる。commはroboを抑制することに必要であることを明かにした。commと相互作用する因子をcommの細胞内領域をbaitにtwo hybridを行なった結果、WWmotifとE3 ubiqitin ligase domainを持つタンパク質Nedd4を単離した。このことから、commに結合するNedd4がubiqitin pathwayを利用して、roboのprotein degradationを誘導することで、roboを抑制する可能性を提示した(Neuron, 20(1), 25, 1998. Cell, 92(2), 205, 1998) 。

(6) Gaul (US)
  retinal axonがoptic lobeで正確にconnectionするのには、netrinとnetrin receptor, Frazzled以外に、fengという遺伝子が必要であることを示した。また、lavral photoreceptorであるBolwig organの12個のphotosensitive cellが、brainにaxonを伸張するのに影響を与えるmutantをscreeningした結果、18系統を得ることが出来た。これらは次の3つのmutant classに分類することが出来た。
 (1) Bolwig organの細胞の数や形態に異常が生じるもの。
 (2) Blowig nerveの成長及び伸張に影響を与えるもの。
 (3) axonの伸張過程で伸張方向を変える2つのcheck point (p1, p2)が存在するが、p2が生じた後に異常が生じるもの。
  group2に属するabstraktは、RNA binding proteinであり、group3に属するpumuckelはtransmembrane proteinであることを示した(Development, 124(5), 937, 1997)。

(7) Kafatos (Germany)
  ショウジョウバエの免疫系はantibacterial peptide(drosomycin, cecropinなど)を産生するfat bodyやhoematocyteがよく知られている。同様に、マラリア寄生虫が蚊に感染した場合でも、midgutやいくつかの組織で、antimicrobial peptide, defensinが産生される。抗生物質で処理した蚊が寄生されると、より高いdefensinの発現を生じるという。マラリアが感染して発現が上昇する6個の遺伝子を、differentical display PCRを使って単離した。

(8) Davis (US)
  Olfactory learning (short-term memory)にa-integrinをコードするvoladoが関与するdata (Nature, 391, 455, 1998)を報告した。Drosophila adult/larval mushroom bodyの解析の他に、mouse brainのintegrinの解析を含め、幅広く緻密な解析をbrainで行っている例の一つではないかと思う。

(9) Heberlein (US)
  アルコール感受性を測定するinebriometerを使って、アルコール感受性をmodifyするmutant screeningを行なった。その中の1つ、cAMP signalのcomponent mutant,cheapdata (amnesiac allelでneuro peptideをコード)が、アルコール感受性を高めるというdata (Cell, 93, 997, 1998)を報告した。これはCellの表紙にもなったので、ご記憶の方も多いだろう。また、複眼のmorphogenetic furrowの進行に関わるmutantを、rough, 2033 (stop-furrow mutantで、locusははっきりしていない)のmodifierとして、遺伝学的にscreeningを行なっている。

(10) Keegam (US)
  Pre-mRNAに存在するあるexonと、それに相補的な3'intronが形成するdsRNAは、ADAR (adenosine deaminase that act on RNA)によりadenosineのinosineへのdeaminationが起こりアミノ酸変換が生じる。mammalianでは、この活性を利用して、glutamate-gated ion channelの多様性が生まれている。Drosophilaでこのホモローグを2つ単離した。1つはADARが持つ特異的な領域、dsRNA-binding domainと deaminase domainを持つdRED-1、もう1つはdsRNA-binding domainを持たないdADARであった。dADARはCNSで特異的に発現がみられ、そのtarget pre-mRNAは、voltage gated Na/Ca channelのa-subunitであることを示した。

4) Oogenesis/Embryogenesis

(1) Spradling (US)
  Cell cycle control geneや dppのoogenesisでの機能を解析している。dppのoverexpresionやgem line clone解析を用いたsimpleな実験系で、dppがgerm line stem cellの分化ではなく、維持に働いているというdataはCell, 94, 251, 1998を参照されたい。

(2) Lin (US)
  Oogenesisにおけるgermline stem cell (GSC)は、新しいgermline stem cellとcystoblastへの不均等分裂を生じる。この過程に関わるchichadee, inscuteable, mirandaの役割を解析している。また、GSCの不均等分裂に必要な二つの因子piwi, fs(1)Ybにinteractionする因子を、two hybridを用いて検索している。

(3) Beckendorf (US)
  TEC tyrosine liuiseであるTec29は、oogenesisにおけるnurse cellからring canalへのcytoplasmの移行に必要とされる。また、Tec29の細胞内分布はSrc64が必須であることから、Src64の下流でTec29がeffectorとして働いていることが考えられる。これは、manmalianにおいてFynがTec fanilyのDtkの上流で機能しているanalogyと同じである(Mol Cell, 1(6), 819, 1998)。

(4) Suter (Canada)
  OocyteでBic-Dと類似の発現様式を示すSer/Thr Kinaseのlokiのmutant femaleが産生するembryoは、pole cellの形式不全を示す。posterior group factorであるOsk, Vasの分布をloki mutant oocyteで調べたところ、Oskは正常に分布しているのに対し、Vasのoocyteのposteior endでの分布が見られなかった。lokiがVasをリン酸化することにより、Vasのoocyte posterior endへの移行を調節していることを示した。

(5) St Johnston (UK)
  5つのdsRNA-binding domain (RBDs)を持つStaufenは、osker, bicoid, prospero mRNAとprotein/RNA complexを作ることが知られている。3番目のRBDのタンパク質構造をNMRにより解析した結果、RNAに特異性を持たずに結合することが明らかになった。しかし、Stau自身は、in vivoで3つのmRNAにしか結合しない特異性があることから、StauのmRNAの認識には、複数のRBDが関与していることが示唆される。Drosophila以外のstau homologのRBDを比較すると、RBD2の中に保存された12a.a. Pro-rich motif領域が存在し、また、dsRNAに結合しないRBD5は、タンパク質 - タンパク質相互作用domainとして考えられる。この2領域を欠損したStau transformantの解析から、RBD2のPro-rich motifは、oskerやbicoid mRNAのmicrotuble-dependentな分布に、RBD5はneuroblastでのStauのaitin-dependentな分布に必要であることを示した。別のprojectとして、DE-cadherinがoocyteに必要であることを調べているが、最近Tepassらによって、同様のdataが報告された(Natue, 395, 387, 1998)。

(6) Lasko (Canada)
  Vasa のcodingを欠損したnull mutantを単離し、その解析からvasa mutant oocyteでは、Bic-D, orb, osk, nanos mRNAの蓄積がみられない一方、grk mRNAは正常に蓄積しているが、GRKタンパク質はoosyteに蓄積されないことを示した(Development, 125, 1569, 1998)。Vasaに結合する因子をtwo hybridにより、oskとそれ以外に4つを単離した。その1つA1は、translation initiation factor, IF2 homologで、そのgern-line clone mutantはoogenesisが、blockされることを示した。

(7) Lipshitz (Canada)
  Maternal RNAのstabilityを、Hsp90 familyのDrosophila homologであるHsp83を例に調べている。Hsp83 mRNAの3'UTRにはdegradation signalが存在し、そこに働くtrans-factorとして、cortex, grauzoneを同定した。その他に、chromatin構造によるgene silencingやhindsight (Zn-finger protein)によるtracheal depelopment (Development, 124(11), 2129, 1997), homeoタンパク質Chx10によるeye developmentと非常に幅広いテーマで研究している。また、Hsp90がsteroid receptor, raf, src, wee1, CKIIと相互作用する様に、遺伝学的解析から、Hsp82とstellate (CKII), rl(raf) mutantとが相互作用することを示した。

(8) Rorth (Germany)
  Oogenesisで、精子が入る卵門を形成するborder cellが、nurse cellからoocyteに移動するのにC/EBP (slow border cell)が必要であることをすでに報告しているが、2300のUAS-line (EP line;PNAS, 93, 12418, 1996)とGAL4-slboを、slbo mutant backgroundで組み合わせ、slboのmutant phenotypeをsuppresする系統を60系統得た(Development, 125(6), 1049, 1998)。また、FGF signalはtracheal cellの移動に必要であるが、border cellの移動には、FGFのsignalは必要ないことを示した。

(9) Szabad (Hungary)
  Nuclear protein importのcomponentの1つであるimportinのmutant, ketel femaleからのembryoは、gene productから予想される表現型とは異なり、nuclear membraneのassemblyに異常が見られる。ketel mutantはposition effect variegationをsuppressすることから、クロマチンタンパク質としても機能していそうである。これは、fertilityに関与しているK43がクロマチンタンパク質のorigin recognition complexの1つである場合と類似している。

(10) Gergen (US)
  Segmentation gene, runtは、sex determination, nervous system developmentにも機能している。Sex-lethalの転写は、co-repressorのGroが結合するDeadpanによって抑制される。しかし、Groが結合するモチーフ(VWRPY)をC末端に持つRuntは、repressorとして働くことはなくSex-lethalの転写を活性化する。一方、embryoのposterior regionでのotdの転写活性は、nuclean receptor, Taillessに正に調節され、Runtにより負に調節されている。Runtのrepressor functionにはGroの結合モチーフは必要でないことから、Groがrepressor functionに必ずしも必要とされないことを示した。この結果は、GroとRuntのVWRPY domainともう一つのdomainが結合するというParoushらの結果とは、矛盾するものである(このsectionの(15)を参照)。

(11) Courey (US)
  GroはN末端に存在する2つのleucine zipper-like motifで4量体を形成し、repressionに関わっていることをprotein crosslink, biacore assayにより明かにした。また、抗Gro抗体でnuclean extractを免疫沈降すると、Gro complexの中にrepressor componentに含まれるhiston deacety lase活性を持つRPD3が存在するかどうかを調べている。Groと相互作用する因子及び、Groをco-repressorとするDlのinteraction因子をtwo hybridにより単離中である。

(12) Lehmann (UK)
  Embryoでprimordial germ cell (PGC)のgonadへの移行に影響を与えるmutant及びgonad formationにdefectが生じるmutantは、hkb, serpert, tin, zfh-1, clift, wunenが知られている。Lehmannらは、mutagensis screeningより単離した中の1つcolumbus (clb; 3-methylglutaryl CoA-reductase)が、PGCのmigrationに関与していることを示した(Development, 25, 667, 1998)。

(13) Howard (UK)
  彼らが報告したprimordial germ cell (PGC)のposterior midgut epitheliumへの移行に関与しているlipid phosphatase, wunen (Nature, 385, 64, 1998)はfull lengthではなく、N末端79a.aを欠損したものであることを報告した。short form wunenはERの膜に存在しているが、full length proteinで再実験を試みている。

(14) Parker (US)
  Heat shock transcriptional factor (HSF)のnuclear localization sequenc e(NLS)に結合する因子をKc cell extractから精製した結果、55と60KDaの2つの因子が得られた。

(15) Wides (Israel)
  Pair-rule gene, Odd Oz (odz) は、EGF-like extracellular matrixとreceptortyrosine kinase (RTK)の基質となりうるintracellular領域を持つ、300kDaを越えるタンパク質である。RTK mutantとodz mutantの遺伝学的な解析から、OdzはRTK signalにantagonisticに働いていることを示した。また、複眼のfurrowでのOdzの発現は、hhにより誘導されていることから、Odzがfurrrowの進行に関与している可能性を示唆した。

(16) Paroush (Israel)
  Torsoのsignal pathwayの下流で活性化されるtailless, hkbの発現は、Gro maternal mutantでposterior regionからanterior regionにexpandする。また、dpp, zenのventral repressionに関与しているgrainyhead (grh)のmutantでも、gro mutantほどではないが、Tll expressionのexpansionが見られることから、tllのrepressionに少なくともこの2つの因子が関与していることを示した(Development, 124(19), 3827, 1998)。また、hkbのrepressor functionはGro-dependentであることから、co-repressor, Groが結合する因子がまた1つ明かになった。RuntのVWRPYモチーフとC末端の別のdomainが、Groと結合することを、two hybridとin vitro binding実験により報告している。さらに、Runtのmammalianホモローグ、AMLのtarget 遺伝子T cell receptorのenhancerには、TCF/LEF-1(Drosophilaのpangolinホモローグ)が結合する。TCF/LEF-1の活性は、GroあるいはmammalianホモローグTLE1でblockされることから、TCF/LEF-1がGroとcomlexを作ることを報告している。(PNAS, 95(20), 11590, 1998)

(17) Roth (Germany)
  Embryoのneurogenic regionでのdpp repressionに、Sogとzygotic geneのBrinker (brk)が関与していることを示した。さらに、legと wing discでのbrk mosic cloneでは、dppそれ自身の発現には変化ないものの、dpp signalのtarget geneであるomb, spaltのectopic expressionが生じる。このことからbrkが、dpp signalのnegativeregulatorであることが示唆される。

5) Homeotics

(1) Pick (US)
  ftzのeven number strip とautoregulationに必須な323 bpのftz proximal enhancerを用いたyeast one hybridにより、このelement及びftzに結合するcofactorを検索したところ、Ftz-f1とnovel geneを単離する事が出来た。

(2) Krause (Canada)
  mammalianのnuclear receptorのco-factor (pCIP)がLXXLL motifでreceptorと結合する様に、Drosophila orphan receptor, Ftz-F1に結合するFtzにもLXXLL motifを見い出すことが出来る。一方、Ftz-F1のftzへの結合に必要な領域は、mammalianのanalogyからligand binding domainにあるactivation function-2 region (AF-2)であることが知られているが、Ftz-F1にはこのAF-2が存在しない。Ftz-F1のdeletion解析から、sequenceのエラーで、今まで明かになっていないC末端にFtzとの結合に必要なAF-2が存在し、binding実験からも、この領域がFtzと結合していることを明かにした。Pickら同様、彼らも、Ftzのco-factorをtwo hybridから検索した。その結果、Pickらとは異なる転写因子を単離した。この因子はmesodermだけでなく、muscle differentiation geneのexpression patternと類似した発現様式を示す。

(3) Lewis (US)
  ノーベル賞受賞者の一人、Lewisが高齢にもかかわらず、第一線で研究をしていることに驚いたが、その内容がBithorax complexを含むmini-chromosomeをmutatorとX-rayを用いて作成するという独創的な実験を行っていることを知り、二度驚いてしまった。

(4) Mann (US)
  Leg dsicで発現するAntpが、homothorax(hth)の発現をoffにすることでlegのidentityが決定され、反対に、antennaのidentityは、Antpの発現が抑制され、hthがexdの核移行を調節しいることにより決定されるという最新の論文(Nature, 392, 723, 1998)のdataを紹介した。Hthの解析は、Salzbarg (Israel)らも行なっているが、Mannのlabの方が圧倒的に進んでいる。

(5) McGinnis (US)
  Hox geneの1つDeformedのpositive modulatorとしてexd、negative modulatorとしてcncBを単離した。ExdはDfdに結合するのに対し、CncBは詳細は明かではないが、Dfdとbinding siteを競合して、Dfdの機能を阻害しているというメカニズム以外の機構で働いているらしい。

(6) Jaynes (US)
  Enのengrailed homology region (eh1)にco-repressor, Groが結合して、enのrepressor functionに寄与していることは、Coureyらのgroupの研究により明らかだが、このgroupもeh1 regionをbaitに、two hybridからGroがinteractionすることを見いだした(Mol Cell Biol., 18(5), 2804, 1998)。eh1はhomeodomain proteinのGoosecoid, Msk, NK-2にも存在し、two hybridから、これらのeh1にGroが結合することが明かになった。enがslpの転写を抑制する時に、enのrepressor complexにhthとexdが含まれることを示した。

(7) A.Vincent (France)
  bHLHのcollier (col)はbtd, eweの下流で、embryoのgnathal regionのpatteringに関与している。一方、N-Dl signalの抑制をうけてmuscle DA3の特異性を決めている。また、hh signal下で、wing vein3, 4のintervein regionの形成に機能している。同様の結果をMohler (US)らも示した。

(8) Shearn (US)
  Nucleoside diphosphate kinaze (NDP kinase)をコードするabnormal wing disc(awd)のmutant allele, awd[Knp]は、homoでviableだが、prune[Pn] mutantとのdouble mutantはlethalになる。彼らはこのletalityをsuppressするmutant screeningを行なった。awd mutantは、wild proteinの5%が存在するだけでmutant rescueできる程、活性の感受性が高いことから、suppressorが得られなかった理由は、awd[Knp]がhigh levelのmutant proteinを産生するstrong alleleであるためだと考えた。そこで、low levelにawd[Knp] mutant proteinを産生するtransgeneにendogeneous awd[Knp] mutantを置き換えて、再び、suppressor screeningを行なった。その結果、1つのsuppressor alleleを得ることができた。modifier screeningには、weak alleleを用いるべきであるという基本に忠実な方法でscreeningには成功した例である。

(9) Maschat (France)
  Enのpolytene chromosomeに対する抗体染色法により約100個のEn binding siteを同定した。Pc groupのpolyhomeotic(ph), b3-tublinがenのtangetであり、germ-band, wing discでphとenは互いに発現を調節し合っている(Development, 125(15), 2771, 199。)

(10) Modolell (Spain)
  Proneuralおよびprovein geneの調節因子であるIroguois complexの2つのhomeobox gene, araとcaup並びに、複眼のdorso-ventral polaintyを決定しているmirrが、wing discのnotumとhinge regionのboundanyの形成に必要であることをモザイク解析を用いて示した。

(11) Thummel (US)
  Ecdysoneによりapoptosisのinhibitor, diap2の発現が抑制され、apoptosis activatorであるreaper, hidの発現が上昇することをsalivary glandで見い出した。diap2の発現抑制にはE75が、一方、reaper, hidの発現促進にはE74が必要であることも示した。

(12) Zak (Israel)
  Trx-groupであるmoira (mor;ミイラと呼ぶ)は、human, yeastで知られているchromatin remodeling factor, BAF/SWI3のDrosophila homologであり、leucine zippermotifとSANT domain (SWI3, ADA-2, N-CoR, TFIIBに共通して見られる構造)を持っている。Morのleu-zipper regionはBrmとassociationすることをtwo hybridより明かにした。


6) Cell Biology

(1) Karch (Switzerland)
  BX-CのAbd-Bのcis-regulatory element, iab-5,6,7,8にはPc-response element (PRE)が存在し、そのコア塩基配列はCGCCATであることを示した(Development, 124(9), 1809-20, 1997)。最近、Kassisらは、この配列がmammalianの転写因子YY1の認識する配列と一致すること、YY1のDrosophila homologがPc-Gのpleiohomeoticであることを報告している(Mol. Cell, 1, 1057, 1998)。また、このcis regionには、すでに同定した2つのinsulator (Mcp, Fab-7)の他に、新たにFab-8が存在することを見出した。

(2) Spierer (Switzenland)
  Suppressor of PEVに関わる因子として知られているSu(var)2-5 heterochromatin protein1(HP1)は、DNAに結合はしない。彼らはSu(var)3-7がHP1と直接結合し、DNAにも結合するzinc fingerタンパク質であることを明かにした(EMBO J, 16, 5280, 1997)。

(3) Reuter (Switzerland)
  Su(var)3-9の構造遺伝子をP-element induced mutantからcloningした。C末端側にchromatin proteinにみられるSET domainを持つが、この領域の欠損は、heterochromatin associationに影響がない。一方、N末端はHP1と結合するchromatin boxと、nuclear targeting signalが存在する。しかし、この2つのdomainを欠いてもSu(var)3-9は核移行するので、hetero chromatin HP1以外の因子がSu(var)3-9を制御していることが考えられる。

(4) Kaufman (US)
  Centrosomal proteinのcentrosominは、embryoの多核性胞胚期のcentrosomeのassemblyとoogenesisでのmicrotube assemblyの両方に必要である。今までに知られているcenrosomal protein (CP60, CP190, g-Tublin)はoocyteのmicrobuble organiging center (MTOC)では発現が見られない。centrosominがDl-N signalの影響を受けてMTOCを形成する因子の1つであることを示した。Schejter (Israel)らがembryoのMTOCdefectを引き起こすmutantとしてobliviousを単離したが、その構造遺伝子がcentrosominであった。

(5) Sullivan (US)
  Embryoのcentrosomeの形成ならびに核分裂に関与する因子としてgrp (Ser/Thr kinase), chk1の他に、彼らはcoiled-coil domainを持つnuclear-fallout (nuf)を単離した。Nufはprophaseでcentrosomeに局在し、Dahをcentrosomeにrecruiteする役割を持つ(Development, 125(7), 1295, 1998)。また、microtubleとmicrofilamentに結合する因子をembryo extractから精製し、9つのタンパク質を同定した。このうち3つはSeptin comlexの因子であった。

(6) Heck (UK)
  Replication factor C (RFC)は、replication fork上でPCNAを動かすために働く因子として知られている。しかし、RFC mutantはmitotic defectを示すのにもかかわらず、そのタンパク質がmitotic chromosomeには存在しない。RFCは、mitosisには直接関与しているのではなく、RFCがGrp kinaseを活性化し、cell cycle arrest タンパク質のWee1をリン酸化することにより活性型Wee1を生じさせる一方、cell cycle activatorのStringをリン酸化して、Stringの機能を抑制する。RFCの下流因子へのリン酸化シグナルが、cell cycle arrestを引き起こし、cell cycleのcheck point controlに関与していることを示した。

(7) Gatti (Itary)
  chichadee (chic)がコードするタンパク質は、低分子アクチンに結合するタンパク質で、その変異体はcentral spindleとcontractile ringの欠損により、meiotic divisionが正常に起こらない。細胞分裂に関与してない別のmutant, KLP3A (Kinasin-like protein), diaphanous (formin), spaghetti squash (myosin軽鎖)でも、同様の原因によりmeitotic cytokinesisに異常が生じる(G&D, 12, 396, 1998)。

(8) Saint (Australia)
  細胞性胞胚期のcell cycle 14でdefectが生じるpebble (pbl) mutantは、Rho1 (small G protein) のguanine nucleotide exchange factor (RhoGEF)をコードしている。その活性領域には、DNA修復やcell cycleに関与するタンパク質に多く見られるBRCT domainが存在することを示した。また、pblとRho1 mutantとの遺伝学的相互作用をrough eye phenotypeを指標に調べた。cell cycleに関するもう1つのprojectは、cycE mutantのrough eye phenotypeをsuppressするmutantとして、RB binding protein (Brahma)とSWI3ホモローグ(Moira)を単離したというものであった。

(9) Glover (Scotland)
  多核性胞胚の細胞分裂で形成されるcentrosomeのassemblyに必要なpolo kinaseがkinesin-like protein (pavarotti)とassociateすることを報告している(G&D, 12,1483, 1998)。polo mutantでは、contractile ringの形成に重要なSeptin (Peanut)やActinの局在が正常に起こらず、spermatogenesisのtelophaseのmind-zoneとmind-bodyの形成不全を生じることを示した。

(10) Corominas (Spain)
  Larval/pupal stageでlethalあるいはimaginal discの異常を示すP element mutantのsceeningの中で、disc sizeが小さく、apoptosisが過剰に生じるpatufet (ptuf) mutantを単離した。その構造遺伝子はselenophosphate synthetaseであることを示した(Mol Gen Genet., 257(2), 103-12, 1998)。

(11) Minden (US)
  Gal4VP16のLys残基にnitroveratry chloroformateをcouplingさせると不活性型Gal4VP16タンパク質になるが、これに長波長UVを照射すると、活性化型Gal4VP16タンパク質になることを利用して、UAS-lacZ or GFPを持ったtransgenic embryoに不活性型Gal4VP16タンパク質injectionした後、特定の領域へのUV照射で細胞をmakingすることに成功した。1個の細胞から任意の細胞にUV照射することができるので、特定細胞の系譜、任意の遺伝子の強制発現等に利用出来そうである(Science, 227, 825, 1997)。

(12) Volk (Israel)
  Muscleとtendon cellのconnectionは、embryogenesisの段階でmyoblastとepidermal muscle attachment (EMA) cellにより形成される。2つのcell分化を分子レベルで説明するreviewを行なった。myoblastはEGF receptor ligand, Veinを産生し、EMAcell分化は、DERの下流に存在する転写因子StripeがbHLHをコードするDelilahの発現を誘導することで生じている。Delilahは細胞内タンパク質Groovinとb-Tublinの発現を活性するのに対して、このsignalをRNA-bindingタンパク質wing held out (who)が抑制する。また、EMA cellで発現するGroovinは、myobalstが分泌するVeinの正常な分布に必要であることから、myoblastとEMA cellのreciprocalな関係を明かにした(G&D, 11(20), 2691, 1997. Development, 124(13), 2615, 1997)。

7) Organogenesis

(1) Hogness (US)
  塩基配列が明らかなsingle geneをtipに埋めこんだtip techniqueがvertebrateで使用される様になって来ているが、Hognessらは、このtipをDrosophilaでも使ろうと、BDGPにより明らかな約7500ESTを含む13000個のDNA elementをtipに埋め込んだDNA microtip arrayを作成した。このtip arrayを用いて、ecdysoreで誘導前後 (thirdlarvaとwhite pupa)の組織のpolyA RNAそれぞれから作成したcDNAをprobeとしてhybridizeさせ、ecdysone誘導で発現がon/offする遺伝子の同定を試みている。

(2) Engstrom (Sweden)
  Fat bodyやlarval hemocyteでのantimicrobiral peptideの1つcecropin gene (cec)の発現は、Dl, Difだけではなく、GATA familyのSerpent (Srp)がcec promoter regionに結合することが必要である。従来、Srpはcrystal cellからhemocyteの分化にのみ必要であるとされていたが、分化だけでなくimmunity geneの発現にも関与していることを示した(NAR, 25(6), 1233, 1997)。

(3) Lepesant (France)
  Ecdysoneにより誘導される遺伝子の1つFat body protein 1 (Fbp1)の発現調節をプロモーター解析により明かにした。その結果、Fbp1プロモーター領域には、EcR/USP binding siteのみでなく、dGATAのserpentが結合する配列があることが判った。

(4) Andrew (US)
  Salivary glandの形成に関与する因子には、Scr, Abd-B, Exd, Tsh, Dppが知られているが、彼らは、さらにembryonic salivary glandで発現がみられるenhancer trap及びBDGPのETSによるcDNAを利用して、複数の遺伝子を単離した。その中の1つsemaphorinIIは、salivary glandが第3胸部体節筋肉へ隣接するための位置決定に働く因子である。Trachealess(Trh)はsalivary gland ductの形成に必要である。salivary gland and trachea (sgt)は、Scrの下流で機能している。sgtはCNSでもsingle-minded(sim)の下流で働いているらしい。ETSによるcDNAから44個のcDNAが同定され、それらの内、10個は分泌タンパク質のシグナルに関係するものであった。

(5) Botas (US)
  WingのD/V軸の形成には、Apterous (LIM/homeo domain)がdorsal siteに局在して発現することが重要であるが、two hybrid法より、Apと相互作用する因子としてdLab/chipを同定した。chip mutant cloneはap mutantと同様のdorsal cellのventralcellへのtransformationを生じる。しかし、chipをoverexpressionした場合にもchipmutantと同様の表現型が生じることから、apとchipの発現バランスがD/V borderを形成する時に重要であることを示した。

(6) Renkawitz-Pohl (Germany)
  Myoblastのfusionの異常によりmuscle precursorであるmyotubeが形成されないmutant, rolling stone (rost)は、transmembrane proteinをコードしている(Development, 121, 2611, 1995)。rost mutantと遺伝学的に相互作用を示すmutantとして、rolling pebblesを単離した。このmutantもrost同様、myoblast fusionに異常を示す。現在、この原因遺伝子をクローニング中である。

(7) Cherbas (US)
  EcRにはsplicingにより3つのisoform, EcR-A,B1,B2が存在し、それぞれのタンパク質は、お互いのホモロジーのないN末端側のtransactivation domain (TA1)と、ligand binding domainを含む保存された配列を持つC末端側TA2の2つのactivation domain を持つ。Kc cellでは、A, B1, B2がそれぞれ60, 30, 10%ずつ存在しているのに対し、Kc由来のL57-3-11 cellではAのみ発現している。このcell lineにfull lengthA, B1, B2あるいはGal4DBD-N末端領域のfusion geneをtransfectionして、N末端、C末端のactivation活性を測定した。TA2はいずれのisoformでも同程度のactivation活性を示したが、TA1の活性には大きな違いがみられた。すなわち、B1が50%, B2が40%のTA活性を持ち、AのTA1はactivation domainとして機能しないことが解った。また、EcRのpartnerであるUSPも同様のTA活性を測定したが、USP自身にはTA活性を示す領域はないことが明かになった。



NIHポスドク体験記

小泉 恵太(NIH) 

 私がNIHに来てから2年半、振り返れば早いもので髪に随分白いものも増えてきた今日この頃です。NIHはワシントンD.C.の郊外ベセスダに位置し、D.C.内 から地下鉄で40分程といったところでしょうか。近隣にはジョン、ホプキンスで有名なボルチモア市があり、車で1時間ほどの距離です。D.C.内は治安が悪いのですが、ここベセスダ周辺はいたって安全で危険な思いをしたことは一度もありません。むしろ、怖いのはパトカーのお兄さん達で、この前なんぞは車の後ろにぴったりつかれて、凄まじい勢いであおられました。機嫌を損ねては一大事とスピードをちょっと上げたら、しっかりスピード違反で捕まりました。こういうのは、ありなんでしょうか?思うに、捕まえるにはちょっとスピードが足りなかったので、むりやりあおったのでしょう。あの時の警官の勝ち誇った様な顔は、今でも忘れません。

 ご存じの通り(と言いつつ私はよく知らなかったのですが)、このNIHは大統領閣下のお膝もと、GRANTの管理をする一方で、研究所自体莫大な数の研究員、施設、予算を誇っております。研究棟の数も半端ではなく、地図をざっと見渡したところ30ー40ぐらいの建物があり、これ以外にも別の敷地に関連施設があるそうです。最近建ったという建物はBldg.49で、しかも未だに増殖を続けています。日本人研究者の数も多く、一説には300人からの日本人が常時研究しているそうです。この多くはMDの方々で、博士論文をまとめるためにこちらに来ておられるようです。全体のポスドクの数は知りませんが、察するに2000人くらいはいるのでしょう。このように多数のポスドクを受け入れるため、NIHには独自のポスドク制度があり、任期2ー3年の外国人研究員の為のポジションが用意されています。言ってみればNIHの為だけの学振制度のようなもので、おもしろいことに、このポジションのポスドクは途中で自由に研究室を変えられるのです。実際研究室を移った人も知っています。また、これ以外にも日本政府からNIHの日本人研究者のためにグラントが用意されており、一部の日本人ポスドクはこれを利用しております。これらの外国人研究者に有難いことに、ここにはNIH Federal Credit UnionというNIHのための銀行があり、外国人研究者が簡単にクレジットカードを作れ、ローンの相談にも応じてくれます。実は私も車のローンを組んだのですが、今の日本の金利と比較するとかなり割高な利子で、何か損した気分です。

 この大量のポスドクは、いったいどこへ行くのか?前から不思議だったのですが、周囲を見渡すと多くは企業に勤めたり、企業を作ったり(つまりベンチャービジネス)しているようです。珍しかったのは、新薬開発がらみの特許申請に関わる仕事というのがあるらしく、これは法律の知識とバイオロジーの知識が必要なため、高給が約束されるそうです。もう一つ珍しかったのは、隣のラボの話なのですが、自分たちの確立したstem cell cultureの技術を活かし、in vitroの実験を代行する会社を作ったというものです。おそらく、新薬の開発や、growth factorの解析に需要が見込めるのでしょう。他に、ショウジョウバエのゲノムを片っ端からシークエンスをしたのは良いが、何に使っていいのかわからないと泣き付いてきた不思議な会社もありました。

 さて、実際の研究環境ですが、まあ、これは日本に比べさして違いはなく、最初はいろいろと困りましたが、今ではのびのびと研究をさせてもらってます。他のアメリカの研究所に比べ、狭いという話は聞きますが、日本に比べればさして遜色はないです。特に困ったのはMOディスクが全く使えないということぐらいでしょうか。こちらでは、今ZIP, JAZZディスクが主流で、日本から持ってきたMOディスクは使い物になりませんでした。それから、感動したのはタカラのライゲーションキット、泳動槽ミューピッドという、およそ日本でしか手に入らないと思っていた代物がこちらで難無く手にはいるということです。ライゲーションキットについては、同僚のポスドクもえらく感動しておりました。セミナーは、隔週のラボセミナー以外にハエの人々によるセミナーが二月に一度ぐらいありますが、もともと、ハエ屋さんが少ないし(10ラボぐらい)、細々とやっております。しかし、私の知る限りハエ屋さんに対する評価は一般に高く、特に行動異常については依然関心が高いようです。

 最近私はインジェクション屋さんと化しております。ここいらの人々は手先が不器用なのか、単に忍耐力に欠けるのか、DNAのインジェクションができない人がほとんどです。いつの間にか私は何種類ものコンストラクトを、よそ様の為に打つはめになっておりました。かの有名な某ノーベル賞学者の先生にも、やり方を教えて差し上げたのですが、説明が悪かったらしくいつのまにか彼の為に私が打つことになっておりました。これが、アメリカ一般の現象なのか、局地的なものかは知りませんが、これからアメリカに修行にこられる方は少し注意したほうがよろしいでしょう。

 何やら、最後は愚痴になってしまいましたが、いくらかでも皆様の参考になってもらえたらと思いつつ、終わりにさせていただきます。


追悼


30年余の交流

                        柴 忠義(北里大学理学部) 

 6月30日三宅先生が亡くなられたとの知らせを受け、突然のことに驚き、また30年以上に渡る先生との交流を考え、何にも代え難い心の寂しさを感じました。

 ちょうど亡くなられる3ケ月前に私共の大学の研究棟の竣工式に出席していただきました。この時も知らない方ばかりなのではと躊躇されていましたが、無理にお願いして参列していただきました。

 昭和41年4月、私は大学卒業と同時に慶応義塾大学医学部の分子生物学教室の渡辺 格教授のもとに分子生物学を勉強したいことを強く希望し、その時師事したのが当時の三宅講師でした。この慶応時代は教室全体がRNAファージの研究を行っており、その中で三宅先生ともどもRNAファージの遺伝学的解析のかたわら、研究の進め方の第1歩から指導を受けました。研究の間はほとんどマンツーマンの関係で、約7年間の間、私のその後の研究の進め方、指導法に大きな影響を与えて下さいました。三菱化学生命科学研究所への室長としての移籍の際も、いち早く研究員としての誘いも受け、研究テーマの将来や、研究室の設計をお手伝いすることとなりました。慶応時代から温めてきたショウジョウバエを材料とする研究にいち早く注目され、その準備に入りました。当時はまだショウジョウバエの初代培養系や培養細胞株の樹立もアメリカ、ヨーロッパの一部でしか確立されておらず、その技術的な確立に粘り強く数年を費やしておられました。この確立が後々の生命研の細胞生物学研究室の研究方向性に大きな足跡を残されました。

 研究室の運営は研究員の個性を尊重し、研究テーマの選択にも自由度を持たせ、全体を大きな広い傘の元において研究室としてのテーマを展開しておられました。この自由な考え方が研究室の初期の人々がそれぞれ研究成果を出し、巣だって行った原点にあったと思います。ショウジョウバエを材料とする研究は、現在でも生命科学の研究のリーダーの立場を維持し続けておりますが、昭和50年にいち早くそのことを予見し、着実に実施に移した点はすばらしい先見性があったからにほかなりません。

 いつも慎重に事に対処し、着実で正確な実験の進め方を大切にしておられました。

 まだまだショウジョウバエの遺伝学や、分子生物学などの研究に意欲的であったことを考えると、残念でありません。どうか多くの研究を共にした後輩の成長を見守り続けていただきたいと思います。先生のご冥福をお祈り申し上げます。



三宅端先生の生命研での研究

             上田 龍( 三菱化学生命科学研究所・神経発生遺伝) 

 三宅先生は1971年,三菱化学(当時は三菱化成)生命研が発足したときに細胞生物学研究室の室長として慶応大学医学部より移られました。生命研はその後,室制を集約した形で部制,部門制などの組織変革を経験しましたが,三宅先生は常にそれをまとめ上げられるような要職を歴任され,1995年に60歳でいったん退職された後も3年間,名誉研究員として,また部門長として先端研究部門の発展に力を尽くされました。

 三宅先生は京都大学農学部で木原均先生に学ばれたとき,高等動物の「発生」というものも必ずやゲノムにその道筋が書き込んである,という信念をお持ちになったそうです。ご自身はCSHLのDemerec研究室(1950年刊のBiology of Drosophilaを思い出される方もいらっしゃるでしょう)/京大ウィルス研/慶応医学部を通じてサルモネラ菌/RNAウィルスを研究材料になさってました。生命研に移られるとき,高等動物において遺伝子とその機能を分子のレベルで解明するためにはショウジョウバエこそが最も適したモデル系となりうる,というお考えで細胞生物学研究室の半分をショウジョウバエを材料とした細胞遺伝(当時は体細胞遺伝という言葉がありました)の研究室とされました。半分は柳沢桂子さんにマウスの発生遺伝をまかされて,ハエとマウスの二つの軸,さらに両者をつなぐ「高等動物における遺伝子の構造と機能」というイメージの下,研究をスタートされたのです。
 私は1979年に細胞生物学研究室に加わりました。当時三宅先生は培養細胞株を使って分化を誘導する系が構築できないか,そのためには従来の胚由来の細胞株ではなく,成虫原基から細胞株をつくることがブレークスルーとなるのではないかとお考えでした。これは後に程-宇井久美子さんによる成虫原基,さらに幼虫脳-腹側神経節からの細胞株の樹立につながりました。一方,柴さん,西郷さんらは三宅先生が作り上げられた培養細胞の核にウィルス様のパーティクルをみつけ,これが実はレトロトランスポゾン,コピアのつくるものであることを示され,トランスポゾンとウィルスとの密接な関係を明らかにされました。
 皆様ご存じのように80年代は遺伝子クローニングなどの分子生物学の発展とP因子の登場で,ハエの個体系が一段とクローズアップされた時代です。細胞生物学研究室に於きましてもそれまでのコピア因子研究の延長としてP因子,さらにそれを用いた個体系での仕事に移行していきました。それでも三宅先生は生命研にいらっしゃった間は頑として培養細胞を愛し続けられました。様々なgenotypeのハエから如何に容易に細胞株を樹立するか,培地の改良,あるいはエンハンサートラップ系統からおこした培養細胞でβ-gal発現細胞を追跡するなど,研究所の運営にあたるお忙しい中で実験を続けられたお姿が目に浮かびます。いざ生命研を退職なさるにあたって,膨大な細胞のストックを整理されて私に託されました。有り難いことに代表的なものは重複してストックされています。(三宅先生は何事にも非常に慎重な方で,それをからかわれる度に「どうせボクはA型だからね」と拗ねてました。どうせ4人兄弟の末っ子の長男だからね(すぐ拗ねちゃうよの意),と気の置けない内輪の席で盛り上がったのも懐かしく思い出されます。)でもその先生の慎重さのおかげで,これまでに何人かの方から請求があった細胞はすぐにお渡しすることが出来ました。液体窒素のストッカーから細胞のチューブを取り出す度に,「ほら,役に立っただろ」という先生のやんちゃな笑顔が浮かぶようです。
 今年の4月に木原記念横浜生命科学振興財団に常任理事として移られることが決まってからは,落ち着いたら是非そこでも実験スペースを確保して仕事をするんだ,と張り切っていらっしゃいました。ところが年度始めの忙しさがようやく一段落する,という間際で突然の心臓発作。三宅先生に何時までも夢を見せてくれたショウジョウバエの培養細胞にも永遠のお別れをされてしまいました。三宅先生ご葬儀の折りには大変多くのハエの研究者の皆様にご参列をいただきました。あの時の慌ただしさが嘘のようなこの頃になって漸く,ああ,愚痴を聞いて貰う人もいなくなったんだなあ,と妙に実感されます。良い仕事を一つでも多くなすことが先生の描かれていた夢を現実のものとするのだと思います。謹んで三宅先生のご冥福をお祈りいたします。




技術ノート


『TIPS』

               花井 修次(筑波大学・基礎医学系・生化学) 

1.<実験台の角あて>〜肘掛けと落下防止
 長時間実体顕微鏡に向かうと、肘の外が痛くなる。そこで、実験台の手前の角にウレタンのカバーを付けてみた。エアコンの配管カバーなどで外経3センチ、内径1.5センチ位のパイプ状(切れ込みがある)のモノ。これを半分に切り開き、角にフィットするように少々細工して貼り付けた。

 肘のクッションとしては十分、ところが意外な事に気がついた。ペンや刷毛といった小物が落ちるのを防ぐ効果がある! 手前ぎりぎりに小物が置けるので非常に便利になった。研いだピンセットなどが触れても傷み難いだろう。

2.<ネコのひげ>
 刷毛の反対側に適当に切ったネコのひげを付けた。刷毛で分けた後に、一匹一匹転がしながら観察するときなど便利。弾力があり強く押しても金属の針のようにハエが潰れない。

3.<エアガン内蔵式CO2麻酔台>
 良くあるようにチップ箱で麻酔台を作った。従来はボンベからの配管を分岐しエアガンと麻酔台に振り分けていたが、麻酔台へのチューブの先端を青チップにして着脱可能にした。まずバイアルに青チップを挿して麻酔し、次に青チップを麻酔台に差し替える。エアガンを持ちかえる手間もなく操作が滑らかになった。また、管が麻酔台から外れるとハエを捨てるときなども何かと便利。

4.<煙草用フィルターで吸虫管のヘッド>
 煙草用フィルター(10個入り100円の一番安い)を吸虫管の吸い口側に付けた。平たいので口当たりがよく、毎日でも交換できる。ゴミやハエの糞を吸い込むこともない(短い吸虫管を使っているのでゴミが口に入りやすかった)。なお、流れが悪いので内部の詰め物を1/3〜1/4に切り詰めた。シリコンチューブとのジョイントは切った青チップかパスツールピペットで可。


『in situの蛍光二重標識法』

           大城 朝一
           国立精神神経センター神経研究所 遺伝子工学研究部内
           科学技術振興事業団 戦略的基礎研究「脳を知る」

 異なる遺伝子の発現を染め分けて検出する事はよく行われている手法である。多くの場合、通常の抗体反応又は抗体反応とin situ 法との組み合わせで済むことが多いと思われるが、available な抗体がない場合、どうしてもAlkaline phosphatase 発色のin situ 法だけで二重染色を行わなければならない場合が生ずる。この場合、一般には発色基質としてX-phosphate (BCIP/NBT 可視、紫)とVector Red(可視、赤)の併用が行われるが、色が近いだけに発色の重なりをきれいにdemonstration できない。そこで蛍光発色でなんとか検出したい気持ちに駆られることになるが、最近になって蛍光を発する基質やdigoxigenin detection system、TSA 増幅法の登場により可能になってきた。
 以下に述べる蛍光二重 in situ 法は、これら最近用いられるようになった手法(又は試薬)をいくつか組み合わせてできたものであり、BCIP/NBT を用いたin situ の発色法や通常の抗体染色技術といった基本技術を習得された方ならば操作を多少変更するだけなのですぐに行なえるはずである。
 というわけで順を追った細かいプロトコールを述べるのではなく、筆者がいろいろ試してみて気付いた点を中心に述べることにしたい。基本的な手順は各自使い馴れたin situ/抗体染色のプロトコールに従ってもらいたい。ただし、biotinプローブin situ はかなり難しい事を先に明記しておく。すべての点でbestな実験を行わないとシグナルは見えてこない。筆者の場合、branchless 遺伝子のin situ で成功しているがそれでも4回に2回は失敗したことを正直に申し上げる。embryo もメタノール保存したものを用いずに、回収したばかりのfresh なものを使うなど注意を要する。

 筆者はプローブとしてRNAプローブを用いているので、RNAプローブを用いたショウジョウバエ胚のwhole mount in situ 法について述べる。

1.概略

 基本的にはdigoxigenin 及びbiotinを用いて異なる二種類のRNAプローブを作成し、組織中のmRNA にhybridizeさせ、それぞれ抗 digoxigenin抗体、strept avidin -FITCで検出する。抗digoxigenin 抗体はAlkaline phosphataseを結合させたものを用い、蛍光性のHNPP/Fast Red (TRITC, Cy3と同様にして検出できる)を基質としてシグナルを検出する。biotinプローブのほうはそのままstrept avidin-FITCで検出するには感度が低すぎるので、tyramidyle-biotineを用いたTSA-indirect法でbiotin量を増幅して、avidin-FITCを用いて検出する。TSA-indirect法とはbiotinのまわりにラジカル化したtyramidyle-biotinをべたべたくっけて、biotinの量を局所的に増幅させる方法である。もともとは通常の抗体染色でbiotin化二次抗体を使用する際の感度を上げるために使用されていた。

2.準備する試薬類について

1)RNA プローブ作成に関しては、Boehringer 社からいくつかKitが発売されている。特に、DIG RNA Labeling Kit (Boehringer Mannheim, #1175 025)があれば便利。このKit にはRNAプローブ作成に必要な試薬(T7/SP6 RNA polymerase、DIG labelingMIx、Buffer等)が全て揃っている。さらにBiotin RNA Labeling Mix (Boehringer Mannheim, #1 685 597)を買い足して Labeling Kit に付属のDIG labeling Mixの代わりに使用すればそのままBiotin 化RNA プローブも作成できる。

2)Alkaline phosphataseの基質であるHNPP/Fast Red は Boehringer 社から入手(HNPP Fluorescent Detection Set , Boehringer Mannheim # 1 758 888)。

3)TSA-indirect はNEN から入手可能 (NEN life science products #NEL700A)。

3.実際の手順について

1)RNA transcription
・DIG RNA Labeling Kit を用いて付属の説明書通りに作成。template DNA 2mgを20mlスケールで転写反応。だいたいtemplate の5倍はできる。RNA sizing(オプション)、エタ沈 x 2の後20ml H2O に溶かす。-20℃保存。

・Biotin RNA プローブの場合、Labeling Kit に付属のDIG labeling Mixの代わりにBiotin RNA Labeling Mixを同量、同濃度で使用する。DIGの場合と全く同様に処理、保存。

・筆者は水、buffer等 についてはDEPC処理なしオートクレーブのみだが、気になる方はDEPC処理もどうぞ。ただし、転写反応に用いる水はDEPC 処理しなほうがよい。

・またpBluescript にクローン化したプラスミドをtemplete にした場合、T7からの転写の効率はT3に比べ悪いような気がする(T7配列の周りの高次構造が原因?)。この場合、Insertを逆さまに入れ直したクローンを作成してT3から転写させると良い結果が得られたこともあった。

・転写産物の一部を取って泳動し、チェックする。あまり見えなくても案外うまく行くことが多いので、諦めてはいけない。

・正しくはちゃんとプローブの出来を定量すべきだが、筆者はいつもHybridization Buffer 100mlに対してプローブ1mlを用いてうまくいっている。もちろんプローブは大過剰加えているはずなのでHybridization Buffer は最低3回は使いまわしている。

2)組織の固定
・このステップが一番重要。組織に多量に含まれるRNaseをいかに早く確実に失活させるかに注意を置きたいところ。

・大部分のプロトコールでは4% paraform aldehyde による二回の fixの操作を入れている。一回目と二回目のfix のあいだにPBS中で抗体染色を行おうと試してみたことがあったが、in situのシグナルは全く見えなくなった。間をいれずさっさとpost fixを行うのがよい。またfix があまいと組織中のbiotinが残ってバックグランドの原因になる。

・一度めの固定の後に-20℃メタノールで保存することもできるが、biotinプローブでのin situ ではお勧めしない。またそのような保存を行うと、hybridization後にTOTO3 (Morecular Probes社)で核染色を行っても核が染まらなくなるので注意。また筆者はプローブの浸透をよくするためとされるproteaseK 処理は行っていない。

3)ハイブリダイゼーション
・biotinプローブでまずハイブリダイゼーションを行い(オーバーナイト)、その後ハイブリダイゼーションバッファーを除いて、DIGプローブでハイブリダイゼーションを行う(オーバーナイト)。両方いっぺんに行うことも可能であろうが、筆者は念のために分けて行っている。プローブは1ml/100mlハイブリダイゼーションバッファーが適当。

4)ハイブリダイゼーションバッファーの組成
・Hybridization Buffer としては、Denhaldt'sや硫酸デキストランを含むかなり粘性の高いもの(A)と、Tautz and Pfeiflleのoriginalプロトコールにあるヘパリンを使用したかなりさらさらしもの(B)と二種類ある。RNAのhybridizationの効率からいうと前者が断然強いシグナルが得られる。しかし粘性の高いBufferを使用した場合、in situ後に通常の抗体反応も同時に行おうとすると抗体反応があまりうまくいかないことがあった。同様にTOTO-3で in situサンプルを染色しようとすると色素がほとんど内部に侵入できず色素が組織の表面にべたべた蓄積した。粘性の低いBufferを使用した場合はこれらのことが大分回避できる。ただし、in situのシグナルはかなり減少する。

・Denhaldt's は古くなると沈澱を生じてしまう。沈澱が生じたbufferを用いるとTSA-indirect でbiotinを増幅した際、非特異的バックグラウンドの上昇を招く。filtrationしたものを使うか、小分けしておいて凍結融解をくり返さないようにする。

・Hybridization Bufferの組成
(A)10mg/ml tRNA       100ml
   1M Tris.HCl (pH8.0)     20ml
   500mM EDTA (pH8.0)     5ml
   20 x Denhard's        50ml
   5M NaCl          60ml
   Formamide         500ml
   50% Dextran Sulfate     100ml
   H2O            115ml
   total            1ml

(B)Formamide         500ml
   20 x SSC          250ml
   10mg/ml Salmon sperm DNA  10ml
   10mg/ml heparin        5ml
   Tween 20           1ml
   add H2O        to total 1ml.

・ハイブリの温度は50℃で、12-16hr行っている。先にも述べたようにHybridizationBuffer 100mlに対し、プローブ1mlを使用している(もちろん各自で最適な濃度を見つけて行ってもかまわない)。(B)を用いた場合はもう少し濃くする。

5)洗い
・2 x SSC, 50% Formamide でwash 20min x 3 at 50℃
・20mg/ml RNaseA 処理 in 10mM Tris/HCl, 500mM NaCl
・2 x SSC, 50% Formamide でwash 20min x 3 at 50℃
・1 x SSC, 50% Formamide でwash 20min x 3 at 50℃
・1XSSC, 50% Formamide でwash 10min x 3 at R.T.
・PBS+Triton x 0.1% にゆっくり置換。
・PBS+Triton x 0.1% でwash 10min x 3
・Blocking〜

6)抗体反応(その1)TSA-indirect によるbiotin の増幅
・100 x avidin-HRP (TSA-indirect Kit 付属)で1hr at R.T 又はO/N at 4℃。
・wash
・ Amplification diluent (TSA-indirect Kit 付属)50mlに置換(薄めても良い)。
・1ml  Tyramidyle-biotin を加え、mix。10min 静置。
・wash
・一部を取って、x 2000-5000 avidin-FITC(かなり薄めのを用いないと真っ黄色に染まって失敗する)を加え、1hr at R.T 。
・wash

・シグナルを見て十分であればTSA-indirectによる増幅は一回で良いことになる。もしまだ弱いようであればもう一度、avidin-HRPを反応させるところから行う。うまくいけば2回以上増幅してもほとんどバックが上がらない。必要な増幅回数やTyramidyle-biotinの最適濃度を各自いろいろ試すべきである。

・うまく条件が見つかれば、残りのembryoも同様に処理しそのままつぎのステップへ。

7)抗体反応(その2)HNPP/Fast Red による発色
・1000 x anti DIG-AP (Boehringer Mannheim, # 1 093 274) で2hr at R.T又はO/Nat 4℃。
・wash
・発色buffer(100mM Tris/HCl pH8.0, 100mM NaCl, 10mM MgCl2 )に置換。

注意!!
・普通のアルカリ性発色buffer(pH9.5)を用いてはならない。発色中に形成されたHNP/Fast Redが徐々に流れ出てしまう。

・HNPP Fluorescent Detection Setの取説どおりに発色。はやくて5分後にはサンプルがオレンジがかってくる。
・たまに検鏡して適当なところで発色をとめる。私は普通1時間は発色させる。
・サンプルはグリセロールに閉じずにPBS+TritonX 0.1%またはTween 0.05%でマウント。HNP/Fast Red はグリセロール中に溶け込む。

8)蛍光顕微鏡または共焦点顕微鏡で観察

4.むすび

 biotin/TSA-indirect のシグナルはAlkaline phosphataseをもちいた柔らかい発色とは全く異なり、ざらついた感じであることは注意しておく必要がある。よって拡大するとあまりきれいに見えない。写真にするときはAlkaline phosphataseの発色とバランスがとれるような倍率で撮るのをすすめる。DIGシステムの場合、Alkaline phosphatase/HNPP発色法を用いなくても、一次抗体反応として1000x anti DIG Mab (Boehringer Mannheim, # 1 333 062)、二次抗体として抗Mouse-Cy3を用いても十分シグナルは見える。TSA-indirectのシグナルの強さとのバランスを考えるとこのほうが良いかもしれない。

 もし in situ hybridization法を一度も行ったことがない方は、2、3回 BCIP/NBTを基質をとした発色法で練習を重ねて感じを掴んでから蛍光発色を試すことをお勧めする。またTSA法も使い馴れた一次抗体を希釈し、TSAで増幅して発色させて感じを掴む等の練習を行うことをすすめる。

 今回は胚を用いたwhole mount でのin situについて述べたが、原理的にはimaginal discでも同様な事が可能であるはずである。少なくともDIG/HNPP/Fast Red発色はうまくいくようである。ただし、biotin プローブ/TSA増幅法での蛍光in situは筆者は例を知らない。discでうまくいかれた方はこのショウジョウバエ通信で報告をお願いしたい。また蛍光in situ と蛍光抗体反応を組み合わせた染色法およびHNPP/Fast Red発色については、Satoshi Goto and Shigeo Hayashi. (1997). Dev. Genes.Evol 207:194-198 を参考にしていただきたい。

 このプロトコールの作成については国立遺伝学研究所、林 茂生、後藤 聡 両博士、そして田中実穂博士からのアドバイスを大いに参考にさせていただきました。


「日本ショウジョウバエ研究会」会則


1. 本会を「日本ショウジョウバエ研究会」(JDRC: Japanese Drosophila Research Conference)と称する。
2. 本会はショウジョウバエを利用した研究を行う人およびショウジョウバエ研究に興味を持つ人を広く結集し、相互の情報交換と研究討議を行う場を提供する。
3. 上記の趣旨に賛同する者は誰でも会員になれる。
4. 本会には代表1人を含め世話役4人を置く。
5. 代表は本会運営の責任者であり、また研究集会の計画・実行に責任を持つ。代表は研究集会が開かれるごとに交代する。
6. 代表以外の世話役のうち、1人は「ショウジョウバエ通信」の編集を担当し、全員に必要な情報を伝達する。
7. 他の1人が事務局を分担し、名簿の管理、通信の発送、金銭の出納を行う。
8. 世話役は会員全体のために、緊密に連絡し広い視野で活動する。
9. 世話役は2人ずつ2年毎に交代し連続4年勤める。4年を越えるのは認めない。世話役を辞めたのち4年間は再び世話役になることができない。
10. 新しい世話役は地域、研究分野等のバランスを考慮して現世話役が決定する。会員は世話役に候補者を推薦することができる。
11. 世話役の交代は研究集会時に行い、出席者の承認を得る。
12. 新しい世話役に不満がある者は代わりの候補を立てて選挙を要求できる。
13. 会の運営費が不足してきた時には、これを徴収することがある。この場合、研究室を主管する立場にある者が多くを負担するものとする。
14.この規定に無かったり、詳しく決めてない事態が発生した場合の処理は世話役に一任する。

補則
1. 入会するには事務局へ申込む。研究会名簿に登録され「ショウジョウバエ通信」を受け取ることができる。同時にJfly mailing listにも参加されるようお勧めします。
2. Jfly は伊藤啓氏のボランティアによって運営されています。ショウジョウバエ研究会の活動ではありませんが、良好な協力関係のもとに、情報伝達等に利用させてもらっています。
3. 何らかの事情で任期中に世話役の交代が必要になる場合の手続きは14 項を適用して対処する。
(以上)
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日本ショウジョウバエ研究会(世話役)
西田 育巧(代表):〒464-8602 名古屋市千種区不老町 名古屋大学 
 大学院理学研究科 生命理学専攻 発生生物学研究グループ Tel: 052-789-2472
  Fax: 052-789-2511 E-mail: nishida@bio.nagoya-u.ac.jp
林 茂生:〒411-8540 三島市谷田1111 国立遺伝学研究所 系統生物研究センター
 無脊椎動物遺伝研究室 Tel: 0559-81-6823 Fax: 0559-81-6825 
 E-mail:  shayashi@lab.nig.ac.jp
丸尾 文昭(事務局): 〒305-8572 つくば市天王台1-1-1 筑波大学生物科学系
 Tel: 0298-53-4909 Fax: 0298-53-6669 E-mail: maru@biol.tsukuba.ac.jp
木村 賢一(通信):〒068-8642 岩見沢市緑が丘2丁目 北海道教育大学岩見沢校
 生物研究室 Tel: 0126-32-0341 Fax: 0126-32-0255 
 E-mail: kimura@iwa.hokkyodai.ac.jp
ホームページ:http://www.biol.tsukuba.ac.jp/~maru/JDRC/
Jfly:伊藤 啓 〒444-8585 愛知県 岡崎市明大寺町 字西郷中 38番地
 岡崎国立共同研究機構 基礎生物学研究所 細胞増殖部門 Tel: 0564-55-7532
 Fax: 0564-55-7533 E-mail: iitokei@nibb.ac.jp
Jfly サーバー: http://jfly.nibb.ac.jp/index_j.html
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(ショウジョウバエ通信15号 終わり)