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唾腺 in situ がふやけて見えるときの対処法


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Date: Mon, 27 Nov 1995 10:52:39 +0900
From: tmurataアットマークrtcs1.rtc.riken.go.jp (MuraTa)

 村田アットマーク理研です。
 唾腺染色体のin situ hybriについて、お知恵を拝借したくメールしました。
 問題点は、発色反応の後、染色体がふやけて水膨れの様に見えることです。染色体
上のバンドはほとんど見えませんでした (なかには染色体の一部分でバンドが見える
ものもありました)。6枚のスライドグラスを使って6枚ともこのようになりました。
どの段階からふやけたように見えるのかはチェックしていません。染色体は、押し
つぶし後、位相差顕微鏡で観察して染色体の光っていないものを使いました。どのよ
うなことが原因として考えられるのか、操作上の注意点は何かを教えてください。プ
ロトコールは谷村さんの研究室のもの(92/01/29)に従いました。
 ご助言をお願い致します。

村田 武英 理研奨励研究員


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Date: Mon, 27 Nov 95 13:59:11 JST
From: shinアットマークlibra.ls.m-kagaku.co.jp (Shin Togashi)

生命研の冨樫です。

私の経験では、これは染色体の展開が不十分なままに、充分に押しつぶしたもの
と思われます。比較的太くいかにもバンドの判読がしやすそうな染色体で診られ
る症状です。私のプロトコルではカバーグラスを剥がして、風干後に熱処理した
段階で御指摘の状態になるようです。この症状を呈する標本を位相差で検鏡する
と確かに光りませんし、バンドも読みとれると思います。操作的には押しつぶし
は充分に行われているものと考えられ、つぶす前の染色体を更に拡げるようにさ
れたら宜しいのではないでしょうか。  太い染色体は読みとりも楽ですし。

冨樫 伸
 三菱化学生命科学研究所
神経発生遺伝学研究グループ


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Date: Mon, 27 Nov 1995 15:36:35 +0900
From: tanimuraアットマークrc.kyushu-u.ac.jp (Teiichi Tanimura)

私の経験では、
これはハエの状態によるのではないかと思われます。

この手の染色体はカバーグラスを剥がしたあとに検鏡すると光ってはいないもののバ
ンドの見え方がうすいのではないでしょうか?操作の問題ではないと思います。

九州大学 理学部生物学教室 細胞機能学講座  谷 村 禎 一


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Date: Mon, 27 Nov 1995 16:49:17 +0900
From: njuniアットマークfly.erato.jrdc.ac.jp (Naoto JUNI)

ERATO の従二です。

私の経験では、カバーグラスをはがしたあとのエタノール処理のしかたで、このよ
うな症状は改善されると思います。
 
ひとつは、エタノール(95%)が湿気ていないことです。エタノールを使い回さず、
毎回フレッシュなものに交換します。また、高濃度のエタノールは、保存の仕方が
まずいと空気中の水分でかなり湿気ていることがあります。

もうひとつは、あらかじめ Deep freezer で冷やしておいたエタノールを使うこと
です。これはたしか DIN かなにかに(はっきりとは思い出せませんが)、こうした
ほうがバンドがよく保持されると紹介されていた方法です。試してみたところ良い感
触を受けたので、私は常用しています。

最後の手段として、バンドがふやけてしまった場合、オルセインなどでカウンター
ステインすると少しはマシになることがあります。


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Date: Mon, 27 Nov 1995 18:47:58 +0900
From: akimaruアットマークrtcs1.rtc.riken.go.jp (Hiroshi Akimaru)

皆さん色々な回答を寄せられている様ですが、僕も村田さんと同じような経験を
したことがあるので、コメントさせて頂きます。in situ の発色にはベーリン
ガーのAP Kit を使われているんじゃないかと思いますが(もし、違っていたら、
この回答は無視してください)、発色の前に、Blocking agentで42℃、20分間、
blockingするステップを室温に変えること(42℃でやると、村田さんの様な症状
に成り易いみたいです)と、次のステップのAP-conjugated biotin 抗体の反応時
間をあまり長くしない(30分程度)ことがtrouble shootingになると思います。