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文部省“組換えDNA実験指針”の一部改正


From: yhottaアットマークlab.nig.ac.jp
Subject: [Jfly] 組換えDNA実験指針の一部改正 Mime-Version: 1.0
Date: Wed, 10 Jun 1998 16:11:58 +0900


JFLYの皆さんへ

既にご存じかと思いますが、「大学等における組換えDNA実験指針の一部改正」が
4月30日づけで文部省学術国際局から通知されています。(実際の文書は最近各機関
の長に廻ってきているはずです。)その中で、遺伝子導入ショウジョウバエ個体の扱い
についての改正があります。詳細はもともとの指針と今回の通知を見てください。こ
ういうものを読まない人のために、通知に添付されている「1.改正の要点」から原
文のまま以下に抜粋しておきます。文章のあら捜しなどせずに読んでください。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−前略

2.ノックアウトマウスやPエレメントを用いて作製した遺伝子破壊ショウジョウバエ
等、ヒトへの毒性、腐生性を持たず、他生物への自立的移行性を持たないDNA断片
を導入して作製した動物個体の飼育については、指針に定める種々の飼育条件のうち、
物理的封じ込め及び逃亡防止に係る条件のみを遵守すればよいこととし、通常の組
換え動物個体において求められるその他の条件をこれに適用しないこととするととも
に、当該動物個体の研究者間における供与についても、新たに機関承認の手続きを不
要とすることとしたこと。

後略
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

これまでは機関承認を必要としていた遺伝子導入個体の研究者間での供与は原則自由
ということと、飼育に関しては物理的封じ込め及び逃亡防止に係る条件のみを遵守す
ればよいということです。そんなことは前から自由にやっていたなどと言わないでく
ださい。この改正も数年越しの委員会審議の結論です。従来はこれまでのガイドライ
ンが正しく遵守されていたことが前提です。

また、ショウジョウバエの遺伝子実験全体が届出不要になったわけではありません。
しつこいようですが念のため。いったんだれかの不注意で問題がおこると皆の実験が
やりにくくなりますから。

なお、ガイドラインに関する質問等は各機関の担当者または組換えDNA安全委員会に
お尋ねください。

堀 田 凱 樹
国立遺伝学研究所
〒411 静岡県三島市谷田 1,111
電話: (0559) 81-6700, FAX: (0559) 81-6701 E-mail: yhottaアットマークlab.nig.ac.jp


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Date: Wed, 10 Jun 1998 17:19:35 +0900 (JST)
From: motojiroアットマークakagi.sb.gunma-u.ac.jp (Moto Yoshihara)
Subject: [Jfly] 組換えDNA実験指針の一部改正

群馬大学の吉原です

堀田先生

ガイドラインに関してありがとうございます。

ひとつ確認させていただきたいのですが、
封じ込めに関してですが、具体的には、「全ての遺伝子導入個体のtransferを封
じ込め装置の中で行わなくてはならない」という理解で正しいのでしょうか?この
点に関しては当初から全く緩和されていないということですね。

よろしくお願いします。


Motojiro Yoshihara, Ph.D.
Institute for Behavioral Sciences
Gunma University School of Medicine
Showa-machi, Maebashi, 371-8511 Japan


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From: yhottaアットマークlab.nig.ac.jp
Subject: [Jfly] 組換えDNA実験指針の一部改正
Date: Wed, 10 Jun 1998 19:46:09 +0900

群馬大学の吉原 さま + 皆様

>ひとつ確認させていただきたいのですが、
>封じ込めに関してですが、具体的には、「全ての遺伝子導入個体のtransferを封じ込
>め装置の中で行わなくてはならない」という理解で正しいのでしょうか?この点に関
>しては当初から全く緩和されていないということですね。

P因子導入実験を始めた当初は乳幼児用の滅菌飼育箱(?)を参考にデザインした
「小型昆虫高度封じ込め装置」を当時なけなしの研究費から大枚80万円をかけて
作成して用いることが必要とされましたが、現在はそういう風に解釈する必要は
ありません。遺伝子導入のインジェクション、その後の遺伝子導入個体の飼育も
すべて実験室内に「物理的に」隔離されているということで十分です。むろん、
導入する遺伝子が通常の「無害なもの」の場合です。

堀田凱樹