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閉鎖予定の Bowling Green ストックセンターを日本で引き受けられないか?


Date: Mon, 10 Aug 1998 22:35:23 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] Bowling Green to Japan?

暑い夏がやっと本番になっていますね。


ご存じの方もおいでかと思いますが、Bowling Green ストックセン
ターが閉鎖になることになりました。末尾に添付したメールにあるよ
うに、母体である Bowling Green 州立大の方針により、現在の予算
が切れる 2001 年3月をめどにセンターを閉鎖し、しかるべき新しい
組織に移管する、という決定です。

1982 年から Bowling Green 大学に設置されている同ストックセン
ターは、現在全米科学財団(NSF)から予算を受け、運営責任者と、
3.5 人ぶんのサポートスタッフによって運営されています。他に学外
の5人からなるアドバイス委員会が、運営に関して助言をしています。

Bloomington ストックセンターがキイロショウジョウバエの変異種
の蒐集に特化しているのに対し、Bowling Green ストックセンター
は、広くショウジョウバエ科全体の野生種、変異系統を蒐集しており、
現在は 265 種、1405 系統を維持しています。1997 年には、全世
界からの 324 回のリクエストにより、のべ 1165 系統の分与を行なっ
ています。

新たに運営を引き受ける組織は現在募集中で、希望者は 1999 年7
月1日までに NSF に計画案を提出するように、とのことです。アド
バイス委員会が希望する、「こういう組織に引き受けてほしいな」と
いう(理想的な)条件は、

1:運営責任者は、同ストックセンターのカバーする分野である集団
  生物学や遺伝学、進化学、発生学などの専門家であり、キイロショ
  ウジョウバエ以外の種についての知識を持つこと。
2:運営責任者は、強力な指導力を持って、センターの長期的な運営
  に関与する用意があり、その発展に積極的に貢献すること。
3:施設は可能ならば約 2000 平方フィート(約 200 平米=60 坪)
  の広さが確保可能で、少なくとも現在と同等の近代的設備を既に
  備えているか、備える計画があること。

です。詳しくはアドバイス委員会のメンバーに直接問い合わせるように、
とのことです。


私自身は身分も時限つきだし、melanogaster 以外はさわったことも
ないので、ちょっと無理そうなのですが、どなたか「うちで引き受け
よう」と手を挙げる方はいらっしゃいませんか?

Bowling Green 州立大がどういうところか詳しくは知りませんが、
いわゆるアイビー校や Caltech, MIT みたいな超裕福な名門大学では
ないでしょうから、日本のどこの大学でも、やる気さえあれば予算や
スペースの確保の算段など、受け入れ可能性を真剣に検討すること
は十分可能だと思います。集団遺伝学は、日本が伝統的に強みとして
いる分野でもあり、これまで大きくお世話になってきた世界のショウ
ジョウバエ研究界に対し、恩返しをする恰好の機会でもあります。
ある程度長期にわたって運営に関与できる人が望ましい、とのことで
すから、定年間近の長老・大御所(失礼。。。)に発起をまかせるの
ではなく、30代、40代の若手が手を挙げたほうが、むしろよいでしょ
う。

学術データベースにしろストックセンターにしろ、全世界の人が活用
するようなかけがえのない研究支援サービスを、自らが提供するとい
う面では、日本はこれまでとても遅れをとってきたと思います。日本
のショウジョウバエ研究界は、一流雑誌への論文掲載数や著名な国際
学会への参加者数では、すでにヨーロッパのほとんどの国を抜き去る
ほどに発展しましたが、ストックセンターでも、Flybase でも、ゲノ
ムプロジェクトでも、fundamental な研究支援サービスの面では、
欧米の努力に完全におんぶにだっこで、「基礎研究へのただ乗り」状
態になっています。日本人の書いた論文が Cell や Science に何報
載ろうが、こんな状態では世界の科学に本当に貢献しているとは、
ちょっと恥ずかしくて言えません。

日本にも独自のストックセンターを作って世界に貢献しよう、という
考え方もあるのでしょうが、いまさら中途半端な Bloomington
もどきや Bowling Green もどきを作って自己満足に浸るよりは、存
亡の危機にある Bowling Green そのものを引き受けて発展させた方
が、世界からは感謝されることでしょう。

たぶん黙って傍観していれば、いずれアメリカのどこかの大学が手を
挙げて、移転のお知らせがある日流れてくることになるのでしょうが、
今回のようなショウジョウバエ community の危急に際して、日本が
世界のどこからも active に対応することを期待されず、自らも人に
任せきりというのでは、ちょっと悲しい気がします。もし予算や人員
の制度的な問題で、Bowling Green のような比較的小規模なストッ
クセンターひとつすら日本のどこにも受け入れるのが難しいという状
況なのだったら、自称「世界第二の科学技術大国」には、やはりどこ
か本質的に欠陥があることになります。それならそれで、何を変えて
いけばよいのか、皆で考えて、何とかしていかなくてはいけない問題
でもありましょう。

ということで、手を挙げて下さる方があればすばらしいと思うと同時
に、上のような考えへの賛成意見・反対意見・揶揄・茶々などもお待
ちしています。



伊藤@にぶぶ


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From: FlybasePアットマークfirefly.bio.indiana.edu
Date: Tue, 4 Aug 1998 14:38:46 -0500
To: FlybasePアットマークfirefly.bio.indiana.edu
Subject: New Home Needed for Species Stock Center
Status:

New Home Needed for the Drosophila Species Center

The Drosophila Species Center (formerly the National Drosophila
Species Resource Center), presently housed at Bowling Green State
University since 1982, is a unique collection of Drosophila
species that provides materials to researchers in over 40
countries. The Center maintains 265 species representing 33
species groups and genera in the family Drosophilidae, with a
total of 1,405 strains at present: the most diverse collection of
living organisms in the world. Both geographically-based wild-
type and mutant strains are represented. Mutant D. melanogaster
stocks are maintained at the Bloomington Drosophila Stock Center
at Indiana University. The Center has been funded by the National
Science Foundation, and filled 324 requests for a total of 1,165
subcultures during 1997. The Center is staffed by a Director and
3.5 FTE support staff. An advisory committee is comprised of 5
scientists who represent various disciplines in Drosophila
biology; this committee oversees stewardship and policy of the
Center.

Due to programmatic changes at BGSU, the University is prepared
to transfer the Center to a new location at the end of the
current grant, March 1, 2001. Proposals for the future management
of the collection will need to be submitted to NSF by July 1,
1999. The Center's advisory committee has outlined criteria that
would be optimal for the new institution that manages the
collection.

Briefly, the Director should be a scientist with an active
research program in a field served by the Center (population
biology, genetics, systematics, evolutionary biology,
development), and with knowledge of species other than D.
melanogaster. The Director should have strong administrative and
communication skills; provide evidence for long-term
institutional commitment to the Center; and have an active role
in its development. A new institutional home will ideally have
approximately 2,000 sq. ft. of space available for the Center,
with presently existing modern facilities or the capability to
develop such facilities.

See
http://flybase.bio.indiana.edu/stocks/stock-centers/lk/
new-species-center.html for further information.

The advisory committee is available for discussion with any
interested member of the Drosophila community. Contact
information is listed below.

Bill Heed, Chair, Univ. Arizona: (520) 621-1835
David Grimaldi, Amer. Museum Natural History: grimaldiアットマークamnh.org
Marty Kreitman, Univ. Chicago: mkreアットマークmidway.uchicago.edu
Kathy Matthews, Bloomington Drosophila Stock Center: matthewkアットマークindiana.edu
Marvin Wasserman, Queens College (CUNY): msw$biolアットマークqc1.qc.edu



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Date: Tue, 11 Aug 1998 13:46:15 +0900
From: fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp (Yoshiaki FUYAMA)
Subject: [Jfly] Bowling Green to Japan?

伊藤さんの提案に、もろ手を挙げて賛成します。

ショウジョウバエのコミュニティーに日本がもっと貢献する必要のあ
ることは日頃から感じております。その一つとして、日本に国際的な
ストックセンターが設立できないものかと、外国のセンターの情報を
集めたりしたこともあります。Bowling Green の移転に手を挙げると
いうのは、これまで考えてもみませんでしたが、確かに名案だと思い
ます。

うちは、D. melanogaster 以外のハエを100種ほど維持しています
ので、早速、この提案に飛びつきたいところですが、以下のような問
題があります。

 1)伊藤さんの年齢制限に引っかかる恐れがある。

 2)東京都の財政がピンチで、新規事業は到底通りそうにない。特に
   箱ものは、例え60坪といえども、まるで相手にされそうにない。

というような次第で、ここは、赤字国債など屁とも思わない我が政府の
直轄する機関にがんばって頂くしかないですね。残念ですが。

--
布 山 喜 章 : 東京都立大学大学院理学研究科生物学教室
Yoshiaki FUYAMA : Dept. of Biology, Tokyo Metropolitan University
     e-mail : fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp


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Date: Tue, 11 Aug 1998 14:28:48 +0900 (JST)
From: motojiroアットマークakagi.sb.gunma-u.ac.jp (Moto Yoshihara)
Subject: [Jfly] Bowling Green to Japan?

群馬大の吉原です。

いかにも伊藤さんらしい正論で、私もその点が以前から気になっておりましたので、
Philosophyとしては全く賛成ですが、一番の問題は、コスト並びに人手がかかるとい
う点だと思います。ですから、我々ぐらいの年代の人間が「はいやります」というの
は現実的には難しいのではないでしょうか?ですから、

> 1)伊藤さんの年齢制限

に関してですが、むしろ、若手よりも、お偉い先生方が本気でそのためのpositionを
つくってくれる方が現実的なような気がいたします。私らしくもない意見ですが。

Motojiro Yoshihara, Ph.D.
Institute for Behavioral Sciences
Gunma University School of Medicine
Showa-machi, Maebashi, 371-8511 Japan



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Date: Tue, 11 Aug 1998 15:14:03 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] Bowling Green to Japan?

いろいろご意見ありがとうございます。

> いかにも伊藤さんらしい正論で、

:-) 
総論賛成、でも各論は、、、というところで話が止まってしまう可能性は
大きいですね。

> Philosophyとしては全く賛成ですが、一番の問題は、コスト並びに人手がかかるとい
> う点だと思います。ですから、我々ぐらいの年代の人間が「はいやります」というの
> は現実的には難しいのではないでしょうか?ですから、
>
> > 1)伊藤さんの年齢制限
>
> に関してですが、むしろ、若手よりも、お偉い先生方が本気でそのためのpositionを
> つくってくれる方が現実的なような気がいたします。私らしくもない意見ですが。

position を作るのがたしかに理想的ですが、行政改革のおり、こればか
りはいくら大先生に頑張っていただいても、難しいかもしれません。でも
大学など既存のポジションで、ストックセンターみたいな「公共事業」をし
ようという人に、戦略とか未来開拓のようなノリで、潤沢な予算を提供する
枠があれば、手を挙げる方も挙げやすくなる気はします。たとえば布山さん
の都立大でも、都にはお金がなくても、むこう7年間、実績によって継続可
能、みたいな条件で国から予算が出れば、実現可能なわけですよね。Bowling
Green も、州立大ですが州のお金ではなく NSF のお金で運営しているわけ
なので、ちょうど同じ仕組みだと思います。スタッフも、現在の Bowling
Green のスタッフが、日本の大学の技官みたいに終身雇用だとは思えません
から、テクニシャンとして外部予算で雇えれば、それでいいわけです。そう
いう使い方のできる予算を実現することに関しては、理学博士の文部大臣が
内閣総辞職で座を去る前に、ぜひ大先生がたの奮闘、寝技、料亭での隠密会
談 etc. を期待したいところです。

でもそれにしても、もしお金が取れるのならやってやろう、という人が、誰
かしら必要ではあります。


伊藤


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Date: Tue, 11 Aug 1998 17:06:12 +0900
From: Teiichi Tanimura
Subject: [Jfly] Bowling Green to Japan?

私も「総論大賛成、でも各論は?」ということになってしまいます。

 さて、本題からそれますが、皆さんはUmea, Szeged (The European Drosophila
Stock Center)にどれほどのリクエストをされていますか?Bloomingtonはcost
recovery制度ができていますが、Bowling Green, Umeaは無料サービスです。
ヨーロッパ各国はUmeaに資金を提供しています。たとえ日本からのリクエスト
の比率は低くてもUmeaに資金提供ができないものかと思っています。

谷村禎一 九大・理・生物


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Date: Tue, 11 Aug 1998 17:35:05 +0900 (JST)
From: mackアットマークnibb.ac.jp (Makoto Nakamura)
Subject: [Jfly] Bowling Green, Umea

中村@基生研です。

谷村さんの記事(アンケート?)にお答えします。

 我々のグループはSzeged's Stock CenterのP insertional mutationsをこれまでか
なり利用してきました。おそらく、300系統くらいはこの1年間に送ってもらいまし
た。確かにコストの面で、我々は一方的に大きな負担をかけていると感じており、大
量にリクエストした場合は送料をこちら持ちにするようにしています。Federal Expr
ess (FedEx)ではaccount numberを持っていると、それを相手に伝えるだけで着払い
ということにできるのでそうしています。

中 村  真
〒444 愛知県岡崎市 明大寺町 字西郷中38 
岡崎国立共同研究機構 基礎生物学研究所
形態形成研究部門
TEL 0564-55-7574
FAX 0564-55-7571
E-mail: mackアットマークnibb.ac.jp


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From: tuemuraアットマークtake.biophys.kyoto-u.ac.jp
Date: Tue, 11 Aug 1998 19:06:54 +0900
Subject: [Jfly] Bowling Green to Japan?


> さて、本題からそれますが、皆さんはUmea, Szeged (The European Drosophila
>Stock Center)にどれほどのリクエストをされていますか?Bloomingtonはcost
>recovery制度ができていますが、Bowling Green, Umeaは無料サービスです。

上村@京都大です。
お答えしやすい問題からお返事します。私のグループはここ数年 Bloomington 以外
は利用しておりません。


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Date: Mon, 17 Aug 1998 12:08:28 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] Bowling Green to Japan?

お盆明けで、暑いのにまた蒸し返すようですが、

Bowling Green の件、Jfly でのメール数の多い発生生物学系の人よりも、
むしろ種分化、進化などの集団遺伝や、比較生物学系の人の方が、内容的
にも affinity が高いかと思います。引き受ける、引き受けないはともかく、
布山さん以外の、後者の分野に属する皆さんのお考えも、聞かせていただけ
るとありがたいです。

それから、 谷村さんのアンケートについての回答、意見も、引き続きよろ
しくお願いします。

At 5:06 PM +0900 98.8.11, Teiichi Tanimura wrote:
>  さて、本題からそれますが、皆さんはUmea, Szeged (The European Drosophila
> Stock Center)にどれほどのリクエストをされていますか?Bloomingtonはcost
> recovery制度ができていますが、Bowling Green, Umeaは無料サービスです。
> ヨーロッパ各国はUmeaに資金を提供しています。たとえ日本からのリクエスト
> の比率は低くてもUmeaに資金提供ができないものかと思っています。

いとう


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Date: Mon, 17 Aug 1998 13:24:09 +0900 (JST)
From: motojiroアットマークakagi.sb.gunma-u.ac.jp (Moto Yoshihara)
Subject: [Jfly] Bowling Green to Japan?

群馬大の吉原です。

谷村さんのアンケートに関して、
私は、Bloomingtonだけしかリクエストしたことありません。

確かに、日本のハエ人口は増加していますし、非常にactivityも高くなりましたので
、ただ乗り脱却の方向に向かうべき時期であると思います。でも、「金だけ出す」と
いうのは、いかにも日本的なよくないやり方のような気もします。
かといって、湾岸戦争のときに自分が行かないのに兵を出すべきだと言っている人を
無責任と強く批判していた私としては、今自分自身が十分な貢献ができない状態にお
いて「なにか実質的な貢献をしよう」とは主張できない状況です。


Motojiro Yoshihara, Ph.D.
Institute for Behavioral Sciences
Gunma University School of Medicine
Showa-machi, Maebashi, 371-8511 Japan


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Date: Mon, 17 Aug 1998 16:04:43 +0900 (JST)
From: watadaアットマークgserv.g.ehime-u.ac.jp (Masayoshi WATADA)
Subject: [Jfly] Bowling Green to Japan?

 愛媛大学の和多田です。本当は1週間ぐらい後にゆっくり書きたかったのですが、
それでは出す意味も少なくなると思うので、とりあえず簡単に書きます。
 まず、リクエストの件ですが、私のリクエストのほとんどが、キイロショウジョウ
バエ以外です。今までは、都立大、筑波大、杏林大等にお願いしていて、Bowling Gr
eenにはたまにお願いする程度です。BloomingtonとUmeaには注文していません。ただ
し、今後はBowling Greenに今より頻繁にリクエストをする予定です。Bowling Green
にも資金提供をするシステムがあると、注文もしやすいし、お金も出しやすくなると
思います。
 Bowling Greenのストックセンターを日本に移すことなどは、全く考えていなかっ
たので、いささか驚いています。日本が立候補しても、いろいろな理由で日本に来る
ことは難しいと思うので、どこかがあえて立候補しても良いと思いますが(ただし本
当に来たときには引き受けられるところ)、重要なのは、お金や人員や設備が得られ
ない場合には何にもしなくて良いかということです。せっかくの伊藤さんの提案です
ので、これを機会に学会のときにでも話し合えればよいと思います。私の考えでは新
たなお金や人員や設備がない場合でも、TT大学やKK大学が全世界的な窓口になり
、日本やアジア産のショウジョウバエのストックセンターのネットワーク(例えば、
melanogaster species groupのうち、montium subgroupは、私のところとTK大で面
倒をみる。注文は窓口の大学や、または私の所で直接受ける)を作ることは可能だと
思います。これにはBowling Greenの日本やアジア産のショウジョウバエを移管して
、より系統だった充実したものとし、積極的な広報もすれば、利用者も増えるのでは
ないでしょうか。人的な貢献ができないところは、資金的な援助をすることで、貢献
ができます。

和多田正義:愛媛大学理学部生物地球圏科学科
Masayoshi WATADA : Department of Biology and Earth Sciences,
Faculty of Science, Ehime University
e-mail address : watadaアットマークgserv.g.ehime-u.ac.jp


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Date: Mon, 17 Aug 1998 16:16:39 +0900
From: tmurataアットマークrtc.riken.go.jp (MuraTa, Riken Tsukuba)
Subject: [Jfly] Re: Bowling Green to Japan?

村田アットマーク理研です。

 谷村さんの質問は、アンケートだったのでしょうか?と疑問を持ちつつ。
うちはIndiana以外のストックセンターからはハエをもらっていません。
理由は、ストックをリクエストする場合、P induded mutantとそれ以外の
point mutationやDf等を一緒にまとめてお願いする場合がほとんどだから
です (ちょこちょこ送ってもらうよりはまとめた方が輸送コストがかからな
いかなと思い)。また、同じストックがいくつかのストックセンターにある
ことが多く、Indianaにある系統で間に合いますから。

 ストックセンターに関して。
 理研の場合は、大きなプロジェクトをたてて研究所を運営しているような
性格と、いま、文部大臣になられた有馬さんがすすめられてきたように、
実用に向けての基礎研究を奨励するという立場から、種のストックセンター
は理研には馴染まないのではと思います。
 また、いくらそのストックセンターが沢山利用されたからといって、評価
は研究面(発表論文数)でされると思うので、そういうストックセンターを
新たに設けるのは、難しいかなと思います。研究への貢献度を論文数ではな
く、発送量で評価されるような制度のもとで予算がつかないと、運営は難し
いのでは?
 他の研究所や省庁の方からの見方は違うかもしれませんが、理研の中から
のぼくの感想は以上のようなものです。

 消極的な意見ですみません。

村田 武英
305-0074 茨城県 つくば市 高野台 3-1-1
理化学研究所 ライフサイエンス筑波研究センター


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Date: Mon, 17 Aug 1998 19:56:43 +0900
From: hirokiアットマークrtc.riken.go.jp (Hiroki Ito)
Subject: [Jfly] Bowling Green to Japan?


谷村 様

理研分子遺伝の伊藤(弘)です。
> さて、本題からそれますが、皆さんはUmea, Szeged (The European Drosophila
> Stock Center)にどれほどのリクエストをされていますか?

 とりあえず、谷村さんのアンケート(?)にお答えします。
 最近、我々のラボでもSzeged にP-induced linesを約90 linesリクエストしました
。この際、Fed-Ex accountを伝え、送料はこちら持ちにしました。
 
伊藤弘樹


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Date: Mon, 17 Aug 1998 21:35:27 +0900
From: ryuアットマークlibra.ls.m-kagaku.co.jp (Ryu Ueda)
Subject: [Jfly] Bowling Green to Japan?

生命研の上田です。

和多田さんのメールを見て思い出したことがあります。
研究会が発足した当時,系統保存について皆で議論をしたことがありました。
結局のところ,センターを決めて集中的に管理することは当時の私たちの力量では資
金的なことから(ことで)不可能でしたし,取りあえずのところ,各ラボで保存して
いる系統を相互に融通し合うことを実現しよう,というところに落ち着きました。そ
のためには各ラボのストックリストを整備しなければ,ということで確かはじめは雅
敏さん,その後啓さんの努力で(もちろん皆様の協力があって)JFLYにリストがあり
ます。

ところでこの方法は余り有効に機能しているとはいえません。というのは,検索がで
きないからです。
フォーマットの統一というか,データベースの構築というのはなかなかに困難なもの
です。

和多田さんのご意見はこのような分散管理型の系統保存を提案されているような気が
します。今回のBowling Greenについては少なくとも統一されたデータベースが既に
あるわけですから,どこかにその情報を整理する場所,検索が出来て目的の系統を請
求する宛先の情報を一元的に管理する場所さえあればストックセンターとしての機能
はある程度実現する可能性がありますね。

焦点を拡大するようで気が引けますが,国内のmelanogasterの系統の情報管理も,も
ちょっと何とかならないかなあ。

上田龍
〒194-8511 町田市 南大谷11
三菱化学生命科学研究所
プロジェクト研究センター
神経発生遺伝プロジェクト(P10)
e-mail: ryuアットマークlibra.ls.m-kagaku.co.jp
fax: 0427-24-6314
tel: 0427-24-6234


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Date: Mon, 17 Aug 1998 23:07:10 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] Bowling Green to Japan?

ども、ストックリストの話が出たので、事情説明します。

> のためには各ラボのストックリストを整備しなければ,ということで確かはじめは雅
> 敏さん,その後啓さんの努力で(もちろん皆様の協力があって)JFLYにリストがあり
> ます。
> ところでこの方法は余り有効に機能しているとはいえません。というのは,検索がで
> きないからです。

ストックリストのページについては、使い勝手は非常に悪いですが、無い
よりはましということで、いちおうネットスケープやエクスプローラーの
「検索」機能で、探せるようには配慮しています。普通この手のホームペー
ジは、研究室ごとに別々のページにして、メインのページからジャンプす
るようにデザインするのが常道です。例えば、遺伝研のホームページに収
蔵されている、初代ショウジョウバエ研究会版のストックリストは、この
ような構成になっています。ところがこれだと、ネットスケープなどの検
索機能で全データを横断的に検索できません。そこで Jfly では、ダウン
ロードに時間ががかかるというデメリットを承知の上で、全研究室のデー
タを含む長大なページを、一枚のデータとして送っています。

突然変異名などのキーワードを入力すると、該当するデータだけが表示さ
れるような本格的なデータベースを作るのは、プログラム自体はそう難し
いことではないのですが(簡単なものなら、1日つぶせば作れる)、全デー
タのフォーマットを統一する作業のほうは、けっこう手間がかかります。

> フォーマットの統一というか,データベースの構築というのはなかなかに困難なもの
> です。

データベースの構築以上に難しいのが、維持です。Jfly のデータでは、
ショウジョウバエ研究会で集めたオリジナルのデータ蒐集のあと、一度
update をお願いしていますが、それでもかなりデータが古くなってい
ます。update できていないところも、多いです。統一したフォーマット
を要求した方が、こちらの負担は楽になるのですが、そうするとデータ
提供者の側の負担が増えるため、結局データ自体を提供いただける研究
室の数が少なくなってしまう、というジレンマがあります。前回のアッ
プデートの際は、ワープロやエクセルのファイルなど、とにかく各研究
室の手持ちのデータを、形式を問わずそのまま送っていただき、こちら
で最低限のフォーマット統一をやりましたが、この作業も結構大変では
あります。

単一のストックセンターだと、新着系統の追加や、絶えた系統の整理な
どが即座にデータに反映できますが、各研究室に分散するストックのリ
ストを定期的に集めて公開する場合、どうしても update の頻度に差が
出るので、データの精度にばらつきが出てしまいます。というわけで、
もとのデータがそれほど正確でないのに、見てくれだけちゃんとしたデー
タベースにしても、手間の割にメリットが少ないという判断で、本格的
なデータベース化はこれまで見送ってきています。


> 和多田さんのご意見はこのような分散管理型の系統保存を提案されているような気が
> します。今回のBowling Greenについては少なくとも統一されたデータベースが既に
> あるわけですから,どこかにその情報を整理する場所,検索が出来て目的の系統を請
> 求する宛先の情報を一元的に管理する場所さえあればストックセンターとしての機能
> はある程度実現する可能性がありますね。

Flybase はすでに、複数のストックセンターのデータを一元的に管理して
検索可能にしているわけですから、そのうちのひとつのストックセンター
を、さらにいくつかに分割することは、データベースの方としては、それ
ほど問題はないと思います。ワールドカップも分担開催されることですし、
案外悪くない提案かも知れません。


> 焦点を拡大するようで気が引けますが,国内のmelanogasterの系統の情報管理も,も
> ちょっと何とかならないかなあ。

まあひとつの国の各研究室レベルのストックリストが簡単に入手できる国な
んて日本だけですから、それはそれで誇れることなのですが、もっとしっか
りやるとしたら、各研究室の収蔵状況の変動を迅速にアップデートする方法
が不可欠です。いいご提案、思いつきがありましたら、ぜひ参考にさせて下
さい。

上田さんの件で追加ですが、Jfly で出している国内各ラボのストッ
クリストを中央のデータベースに収録し、統一的に検索できるよう
にしたいという要望が、以前 Flybase の方から寄せられていること
をご報告しておきます。現行のデータを、Flybase の方で適宜加筆、
フォーマット統一するとのことでしたが、

1:データの鮮度・確度にばらつきがあるので、ストックセンターの
  データなどと同レベルに扱ってもらうのは気が引ける。
2:我々がストックセンターを検索・利用するレベルの気安さで、全
  世界からハエの分与要請が舞い込む状況になった場合、対応しき
  れない研究室がでる可能性もあるだろう。

という理由で、当時は辞退しました。

いとうK@にぶぶ