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ニワトリでもP因子は使えるか?


Date: Tue, 22 Dec 1998 13:41:03 +0900
From: Kiyoshi Kimura
Subject: [Jfly] Chicken transformation using P element?

Dr. Osophila
木村@農水省・畜試・みつばち研です。

先日まで開催されていた分子生物学会に参加した職場の同僚(私は行ってません)が
あるグループがP elementで鶏で形質転換体を作る実験を開始する
という噂を聞いたそうです。Pはショウジョウバエでしか使えないと頭から信じ切って
いましたので、びっくりしました。
ショウジョウバエの”世界”から離れているので、何か情報を落としているのでしょ
うか?
それともそのグループが”冒険”していると言うことでしょうか?
Pを使った脊椎動物形質転換では、私の知っている限り転移で入った例はないと思い
ますが?
また昔Rubinがmonkey cellでPの切り出しが起こるという論文は記憶にあります。 

ご教示よろしくお願いします。


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Date: Tue, 22 Dec 1998 17:55:42 +0900
From: Eiji Nitasaka
Subject: [Jfly] Chicken transformation using P element?

> あるグループがP elementで鶏で形質転換体を作る実験を開始する
> という噂を聞いたそうです。Pはショウジョウバエでしか使えないと頭から信じ切って
> いましたので、びっくりしました。
> それともそのグループが”冒険”していると言うことでしょうか?
> Pを使った脊椎動物形質転換では、私の知っている限り転移で入った例はないと思い
> ますが?

昔マウスでいれてみたらプラスミドごと入ったという論文や、最近ではzebrafishで
入らなかったというもの、ハエ以外の昆虫でだめだったというものがありました(
Cell 91; 501-,1997)のイントロ参照。P-elementのtransposaseはinverted repeatに
は結合せず、hostのmus309がコードしているIRBPが末端で切り出し(挿入?)に関与
している模様です。そのため ショウジョウバエ以外では使えないというのが通説で
すが、mus309-(null?)の系統でも転移がある程度おこったりして、やや不明確な部分
があります。またハエ以外を形質転換する場合うまくいったらめっけもの的な実験を
やってる場合も多いのではないでしょうか。確か10年以上前の班会議?で石和先生
が勝木先生と共同でマウスにPのtransposaseとベクターをいれた系統を独立に作って
交配して動くか確認するとか言ってましたがその後聞かないのでおそらくnegativeだ
ったのでしょう。

> また昔Rubinがmonkey cellでPの切り出しが起こるという論文は記憶にあります。 
Rio-Laski-Rubinの論文でlacZの青コロニーがでる系で確かに正確に切り出されたと
いう記述がありました(ただ、data not shownだったと思います)。切り出しがおこ
るということとtranspositionが起こる、つまりベクターとして使えるということは
別問題だと思いますし、現時点では難しいのではないかと思っています。

仁田坂@九大


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Date: Tue, 22 Dec 1998 18:13:50 +0900
From: tmurataアットマークrtc.riken.go.jp (MuraTa, Riken Tsukuba)
Subject: [Jfly] Chicken transformation using P element?

村田アットマーク理研です。

>先日まで開催されていた分子生物学会に参加した職場の同僚(私は行ってません)が
>あるグループがP elementで鶏で形質転換体を作る実験を開始する
>という噂を聞いたそうです。

バキュロバイラスで脊椎動物細胞に遺伝子導入をするという演題はあったと思います。

その同僚の方が聞かれたのは世間話から出たウワサなのでしょうか?どなたかの講演中
にあった話なのでしょうか?
いずれにしても、その話の出所をはっきりして欲しいです。

村田 武英
305-0074 茨城県 つくば市 高野台 3-1-1
理化学研究所 ライフサイエンス筑波研究センター


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Date: Thu, 24 Dec 1998 09:34:53 +0900
From: Kiyoshi Kimura
Subject: [Jfly] Re:Chicken transformation using P element?

皆様、仁田坂先生、村田様
早速のご教示。ご意見ありがとうございます。やはり
”ハエ以外を形質転換する場合うまくいったらめっけもの的な実験”
ということでしょうか?

状況をもう少し詳しく書きますと、

分子生物学会のどなたかのポスターの前で雑談中に、先日でたmarinerによる鶏の
形質転換の話しがで、その際居合わせた方が、P因子で鶏の形質転換の実験をやる
(やっている?)ということを言われいたということです。私の同僚は可動因子
のことを詳しくないので、話しの詳細はわからないのですが、デルタ2-3の話しが
でていたと言っていますので、Pを他の因子と混同しているわけではないようで
す。私の同僚はその方と面識がありません。(多分名古屋大の方ではないかと
言っていますが不確かです)

木村@農水畜試みつばち


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Date: Mon, 28 Dec 1998 11:31:59 +0900
From: Kiyoshi Kimura
Subject: [Jfly] a sequel to "P transformation of chicken"

ショウジョウバエ研究者の皆様
ERATOの山元先生から以下のメールを頂きました。

”鶏の形質転換の話ですが、たぶんP vectorでtransformationをするという話ではな
く、
cellへのtransfectionの効率をPによって上昇させるという話だろうと思います。
その目的で使いたいというので、helperやP vectorを名古屋の方にさしあげたことが
あります。”

教わって思い出したのですが、以下の様な論文がありました。
Drosophila P element-enhanced transfection in mammalian cells.
Clough, Lepinske, Davidson and Storti
MCB(1985)5:898-901


木村@農水省みつばち