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幼虫はどこで蛹に成るか、どうやって決めるのか?
Date: Thu, 11 Mar 1999 22:14:52 +0900
From: shanaiアットマークmd.tsukuba.ac.jp (shuji hanai)
Subject: [Jfly] 蛹化前線
<忙しい方は読まずに捨てて下さい>
ふと思ったこと
幼虫の皆さんが這いあがってくる
どこで蛹に成るか、どうやって決めるのだろう?
幼虫が沢山居ると、高く上がる
少ないと、低い
生息密度を記憶して、混雑時は後で蹴落とされないように高く上がるのか?
これは記憶の研究に使える!
と思ったら、湿度を感知して居る様子
なぜなら湿度20%の部屋ではキレイに蛹化前線が出来た
湿度が十分で、かつ出来るだけ高く、と判断しているらしい
同時に大勢登るとバイアル内壁が濡れて湿度が上がる、結果、高く上がると説明できる
空気が乾いていれば有る程度以上は登れず、前線になる
でも、やっぱり仲間とぶつかった回数の記憶も影響しているかも?
---------------------------------------------------
Shuji Hanai
Dept. of Biochem. Inst. of Basic Med. Sci. Univ. of Tsukuba
1-1-1, Tennodai, Tsukuba, Ibaraki 305-8575, Japan
Phone; +81 298 53 3272, FAX; +81 298 53 3271
花井修次
〒305-8575 茨城県つくば市天王台1-1-1
筑波大学 基礎医学系 生化学
電話:0298-53-3272, FAX:0298-53-3271
shanaiアットマークmd.tsukuba.ac.jp
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Date: Thu, 11 Mar 1999 23:45:56 +0000
From: tmurataアットマークrtc.riken.go.jp (Murata, RIKEN Tsukuba)
Subject: [Jfly] 蛹化前線
同じく<忙しい方は読まずに捨てて下さい>
>ふと思ったこと
>幼虫の皆さんが這いあがってくる
>どこで蛹に成るか、どうやって決めるのだろう?
エンデバーにのったウジさん達は綿栓から房が垂れ下がるようにさなぎになったらし
い。重力は微弱なはずだから餌から遠ざかって一番遠いところを探したのか?
そうだとしたら、餌がどっちにあったかを憶えてる?!
やっぱり記憶の研究ができそうじゃない?
//
Takehide MuraTa Ph. D.
e-mail: tmurataアットマークrtc.riken.go.jp
personal HP: http://ac3.aimcom.co.jp/~tmurata/fly/
phone: +81-298-36-3612, fax: +81-298-36-9120
Tsukuba Life Science Center,
The Institute of Physical and Chemical Research (RIKEN)
Tsukuba Science City, Ibaraki 305-0074, Japan.
>>>> Japanese Address <<<<
村田 武英
305-0074 茨城県 つくば市 高野台 3-1-1
理化学研究所 ライフサイエンス筑波研究センター
*Postdocならびに受託学生は随時募集中です。
//
===================================
Date: Fri, 12 Mar 1999 09:44:54 +0900
From: akomatsuアットマークresearch.twmu.ac.jp (Akira Komatsu)
Subject: [Jfly] これって記憶?(蛹化前線改題)
>エンデバーにのったウジさん達は綿栓から房が垂れ下がるようにさなぎになったらし
>い。重力は微弱なはずだから餌から遠ざかって一番遠いところを探したのか?
>
>そうだとしたら、餌がどっちにあったかを憶えてる?!
"綿栓から垂れ下がるようにさなぎになった" のはやっぱり湿度のせいかも。餌があっ
て、ウジさんたちがいっぱいいるところが湿度が高いでしょうから。エンデバーにのっ
たウジさん達はそんなところから離れようとしただけかも。
ところで、ハエを容器に入れて locomotor activity を調べると、小さい容器(直径
16 mm、高さ 2 mm)では初め活発に動いているが、やがて(10−20分で)あまり
動かなくなります。
これってハエが初めびっくりしてガチャガチャ動いていたのが落ち着くためでしょう
か?(驚愕反応説)。それとも、新しい容器に入れられて探索行動をしていたが、や
がて容器に慣れて探索する意味がなくなって動かなくなったのか?(探索行動説、ま
たは学習・記憶説)。
ちなみに、大きな容器では1時間たっても初めの activity と変わらないそうです。
ネズミも新しい容器に入れられるとしばらく活発に動き回りますが、これは探索行動
だと言われていますよね。
----------------------------------------
小松 明(Komatsu, Akira)
東京女子医科大学・医学部・第一生理学教室
〒162-8666 東京都新宿区河田町8−1
Tel: 03-3353-8111 ext.22322 or 22323
Fax: 03-5269-7413
e-mail: akomatsuアットマークresearch.twmu.ac.jp
===================================
Date: Fri, 12 Mar 1999 10:39:02 +0900
From: Masukichi Okada
Subject: [Jfly] 蛹化前線
センチニクバエの幼虫は成熟すると、屎尿の中から這い出して乾燥した土中に潜り込
んで踊化する。一度這い出した幼虫を強制的に水に接触させておくと、何時まで立っ
ても踊化しない。これについて、水に接触している間はecdysone分泌が起こらないこ
とが明らかにされている。成熟幼虫を乾燥状態に移すと、25度で、17時間後に
puparium形成が始まる。ショウジョウバエでは水(一定限度以上の湿度)との接触と
、踊化(ecdysneの分泌)との関係がどうなのか、私は不勉強で知りませんが、もし
もセンチニクバエと同じ機構があるのであれば、踊化前線は蛹が、水分から離れる行
動(普通は反重力方向への移動?)、乾燥した状態になったと「認識」する時点、
ecdysoneが分泌され始めても、まだ這い回ることの出来る期間、などがその蛹の
populationの大部分の個体で同じ条件であったときにきれいな直線として形成される
のではないか?
蛹どうしが互いに重ならないことについては、別のことを考えなければならないでし
ょう。
ショウジョウバエについての研究を知らずに書いた想像ですが、如何ですか?
岡田益吉
**********************
岡田益吉
300-0032 土浦市湖北2−5−10
tel/fax 0298-22-7348
drok7アットマークda2.so-net.ne.jp
flyokadaアットマークbiol.tsukuba.ac.jp
===================================
Date: Fri, 12 Mar 1999 12:30:09 +0900 (JST)
From: motojiroアットマークakagi.sb.gunma-u.ac.jp (Moto Yoshihara)
Subject: [Jfly] 蛹化前線
群馬大学行動研の吉原です。
私は最近、ある薬の作用を調べるため、薬を入れたsalineとcontrolのsalineで調べ
ましたが、薬の効果はみられなかったのですが、どちらの場合もsalineの中で蛹化し
てました。systematicに調べたわけではありませんが、どうやらショウジョウバエは
強制的に水に触れた状態にしておくと水の中でも蛹化するようです。センチニクバエ
の話は面白いですね。ショウジョウバエの場合より餌場が過酷であるための適応なの
でしょうか?また、乾燥がホルモンの情報に変換されるメカニズムは面白い問題かも
しれません。
**********************************
Motojiro Yoshihara, Ph.D.
Institute for Behavioral Sciences
Gunma Uiniversity School of Medicine
Showa-machi, Maebashi, Gunma 371 JAPAN
**********************************
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Date: Fri, 12 Mar 1999 14:43:18 +0900
From: fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp (Yoshiaki FUYAMA)
Subject: [Jfly] 蛹化前線
At 12:30 03/12/99 +0900, Moto Yoshihara wrote:
>私は最近、ある薬の作用を調べるため、薬を入れたsalineとcontrolのsalineで調べ
>ましたが、薬の効果はみられなかったのですが、どちらの場合もsalineの中で蛹化し
>てました。systematicに調べたわけではありませんが、どうやらショウジョウバエは
>強制的に水に触れた状態にしておくと水の中でも蛹化するようです。センチニクバエ
>の話は面白いですね。ショウジョウバエの場合より餌場が過酷であるための適応なの
>でしょうか?また、乾燥がホルモンの情報に変換されるメカニズムは面白い問題かも
>しれません。
面白そうな話になってきましたので、参加させて下さい。
蛹前線というのはハエを飼っていると誰でも気付くことなので、結構昔から
研究があり、FlyBaseなどで、"pupation height"をキーワードにするとかな
り出てきます。しかし、これらの研究の多くは遺伝的変異の存在に注目した
もので、蛹化のタイミングがどのようなメカニズムで決定されるかについて
研究した例を私は知りません。確かに面白い問題だと思います。
D. simulansの場合は、D. melanogasterとは違い、餌の表面で蛹になります
ね。両種の違いがどのような遺伝的背景によるかを調べるのは、手がかりの
一つになるのではないでしょうか? 雑種がどのような行動をするかご存じ
の方おられますか?
--
布 山 喜 章 : 東京都立大学大学院理学研究科生物学教室
Yoshiaki FUYAMA : Dept. of Biology, Tokyo Metropolitan University
e-mail : fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp
===================================
Date: Fri, 12 Mar 1999 15:11:43 +0900
From: fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp (Yoshiaki FUYAMA)
Subject: [Jfly] 蛹化前線
At 22:14 03/11/99 +0900, shuji hanai wrote:
>ふと思ったこと
>幼虫の皆さんが這いあがってくる
>どこで蛹に成るか、どうやって決めるのだろう?
>
>幼虫が沢山居ると、高く上がる
>少ないと、低い
>生息密度を記憶して、混雑時は後で蹴落とされないように高く上がるのか?
>これは記憶の研究に使える!
学生時代に、直径30ミリのバイアルに幼虫を50匹だけ入れて飼育する
という条件で仕事をしていたのですが、その頃の記憶によれば、このような
低密度では、幼虫はそれぞれ勝手なところで蛹化するようです。ただし、
餌表面からの高さの平均は、系統によってかなり差が見られました。一般に
近交系では低く、野外から取ってきたようなのは上の方まで登る傾向がある
ようです。
前線ができるのは、幼虫の密度がかなり高い場合だと思いますが、これは、
幼虫が前方にある蛹を乗り越えるようなはしたないことをことをせずに、前
がつかえていると、その後ろに並んで蛹になってしまうためではないかと思
います。ですから、一番上まで登ってくる元気のいい連中が、ビンの円周を
埋めてしまうと、遅れて出てくるのはその下につかざるを得ないことになり、
結果的に前線ができてしまうのではないでしょうか。想像ですが。
--
布 山 喜 章 : 東京都立大学大学院理学研究科生物学教室
Yoshiaki FUYAMA : Dept. of Biology, Tokyo Metropolitan University
e-mail : fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp
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Date: Fri, 12 Mar 1999 16:27:57 +0900
From: tmurataアットマークrtc.riken.go.jp (MuraTa, Riken Tsukuba)
Subject: [Jfly] 蛹化前線
At 15:11 3/12/99 +0900, Yoshiaki FUYAMA wrote:
>前線ができるのは、幼虫の密度がかなり高い場合だと思いますが、これは、
>幼虫が前方にある蛹を乗り越えるようなはしたないことをことをせずに、前
>がつかえていると、その後ろに並んで蛹になってしまうためではないかと思
>います。ですから、一番上まで登ってくる元気のいい連中が、ビンの円周を
>埋めてしまうと、遅れて出てくるのはその下につかざるを得ないことになり、
>結果的に前線ができてしまうのではないでしょうか。想像ですが。
White pupa取りをしていて気がついたのですが、ビンの壁についていたさなぎを全部
除いたときに必ずしも幼虫が高いところまで昇るということではないような気がしま
す。「前方にある蛹を乗り越えるようなはしたないこと」も考えられますが、それだ
けではないようです。
//
Takehide MuraTa Ph. D.
e-mail: tmurataアットマークrtc.riken.go.jp
personal HP: http://ac3.aimcom.co.jp/~tmurata/fly/
phone: +81-298-36-3612, fax: +81-298-36-9120
Tsukuba Life Science Center,
The Institute of Physical and Chemical Research (RIKEN)
Tsukuba Science City, Ibaraki 305-0074, Japan.
>>>> Japanese Address <<<<
村田 武英
305-0074 茨城県 つくば市 高野台 3-1-1
理化学研究所 ライフサイエンス筑波研究センター
*Postdocならびに受託学生募集中です。
//
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Date: Fri, 12 Mar 1999 14:20:52 +0100
From: kusuiアットマークtitus.u-strasbg.fr (Kazuya Usui)
Subject: [Jfly] 蛹化前線simulansXmelanogaster
At 14:43 12/03/99 +0900, Yoshiaki FUYAMA wrote:
>D. simulansの場合は、D. melanogasterとは違い、餌の表面で蛹になります
>ね。両種の違いがどのような遺伝的背景によるかを調べるのは、手がかりの
>一つになるのではないでしょうか? 雑種がどのような行動をするかご存じ
>の方おられますか?
同じ研究室(Simpson's lab)のPhDの学生のNick Skaerがちょうど今
simulansとmelanogasterの雑種を材料に仕事をしています。
両者をかけたところhybrid では、有るものは、simulansの位置で、
有るものは、melanogasterの位置で、また有るものは、
その両者の間でサナギになったと言っていました。
詳しい事を御知りになりたい方は、直接彼に御尋ね下さい。
彼のアドレスは、nickoアットマークigbmc.u-strasbg.fr です。
碓井
Kazuya Usui (Ph. D)
Institute de Genetique et Biologie Moleculaire et Cellulaire (IGBMC),
B.P.163, 67404 Illkirch Cedex, France.
Tel: +33.(0)3.88.65.33.79
Fax: +33.(0)3.88.65.32.01
===================================
Date: Sat, 13 Mar 1999 02:17:48 +0900
From: itokeiアットマークnibb.ac.jp (ITO, Kei)
Subject: [Jfly] これって記憶?(蛹化前線改題)
Akira Komatsu さんが 9:44 99.3.12 +0900ごろに
「[Jfly] これって記憶?(蛹化前線改題)」の件で:
>ところで、ハエを容器に入れて locomotor activity を調べると、小さい容器(直径
>16 mm、高さ 2 mm)では初め活発に動いているが、やがて(10−20分で)あまり
>動かなくなります。
>これってハエが初めびっくりしてガチャガチャ動いていたのが落ち着くためでしょう
>か?(驚愕反応説)。それとも、新しい容器に入れられて探索行動をしていたが、や
>がて容器に慣れて探索する意味がなくなって動かなくなったのか?(探索行動説、ま
>たは学習・記憶説)。
「探索行動だよ」って言われて、そのまま信じてました。オスはこの傾向
が強いけど、メスは最初からあまり動き回らない、とも聞きました。(自
分では性差をきちんとは確かめてません。)
オスのハエだけをバイアルに集めておくと、管壁にペレットみたいな糞
(?)がいっぱいくっついてきますが、メスのハエだけを入れておいたバ
イアルだと、これはあまり見られません。この縄張りマーク付け的な行動
と、新しいチャンバーに放り込んだオスの探索行動には、関係があるのか
も知れません。
なお、数時間の単位で locomotor activity を調べると、明確な性差が
あるそうです。オスは頻繁に運動する時期と、割とじっとしている時期の
2つのフェーズが交互にやってくるのに対し、メスにはそのような差が少
なく、割と一貫して、同じ程度に動き回っているそうな。
探索行動でなく、驚愕反応なのかどうかを調べるには、いったん落ちつい
たハエをチャンバーからまた取り出し、がちゃがちゃ揺さぶってからもと
のチャンバー(すなわち探索済み)に戻した場合と、新しい未探索のチャ
ンバーに移した場合で、locomotor activity の差を見ればいいのでしょ
うね。
>ちなみに、大きな容器では1時間たっても初めの activity と変わらないそうです。
>ネズミも新しい容器に入れられるとしばらく活発に動き回りますが、これは探索行動
>だと言われていますよね。
ヒトもそうかも知れません。懲罰用に独房に入れられたばかりの囚人とか、
シングルのビジネスホテルに到着したばかりの客とかを撮影したビデオを
解析させてもらえれば、定量的に実験できるのでしょうけど。
いとうk
===================================
Date: Sat, 13 Mar 1999 02:17:53 +0900
From: itokeiアットマークnibb.ac.jp (ITO, Kei)
Subject: [Jfly] 蛹化前線
>もセンチニクバエと同じ機構があるのであれば、踊化前線は蛹が、水分から離れる行
>動(普通は反重力方向への移動?)、乾燥した状態になったと「認識」する時点、
>ecdysoneが分泌され始めても、まだ這い回ることの出来る期間、などがその蛹の
>populationの大部分の個体で同じ条件であったときにきれいな直線として形成される
>のではないか?
>岡田益吉
幼虫が湿度を積極的に検知しているのは間違いないと思います。
エサをがんがん食っている時期の幼虫は、湿度の高い方へと移動
します。ヒドロキシウレアや BrdU を幼虫に投与するときは、小
さなシャーレーに薬品を混ぜたイーストのペーストを置き、そこ
にステージングした幼虫を入れておくのですが、ペーストが乾燥
してひからびてしまわないよう、このシャーレーを一回り大きな
シャーレーやタッパーウェア箱に入れ、すこし水をたらして湿ら
せておきます。この際、水を入れすぎたり、水浸しにしたキムタ
オルを入れておいたりしてシャーレーの中より外側の方の湿度を
高くしすぎてしまうと、幼虫がみんなシャーレーから外側へ這い
出してきてしまいます。(もちろんこうなると、実験は失敗に終
わる。。。)
wandering larvae では行動様式ががらっと変わるので、こんど
は湿度が下がる方向に移動して、一定のレベルになったら蛹化す
る、というのは、ありえる話だと思います。幼虫を1匹だけバイ
アルに入れておいたときなどは、エサのすぐそばの管壁やエサの
上などで蛹化することも多いですが、こういうバイアルは、管壁
がぐちょぐちょになっておらず、湿度も低そうです。
いとうk
===================================
Date: Mon, 15 Mar 1999 14:54:56 +0900
From: "YAMAMOTO, Masa-Toshi"
Subject: [Jfly] 蛹化前線
> D. simulansの場合は、D. melanogasterとは違い、餌の表面で蛹になります
> ね。両種の違いがどのような遺伝的背景によるかを調べるのは、手がかりの
> 一つになるのではないでしょうか? 雑種がどのような行動をするかご存じ
> の方おられますか?
以前卒論の学生が調べたデータがあります。
NUNK社製の50mlの遠心管(青いトップ付)に10mlのえさを入れ、各遠心
管に3令幼虫を70匹入れ、蛹になった位置を、遠沈管のメモリで分類したものです
。
メモリが50mlから40mlまでの間がA、40−30がB、30−20がC、2
0−10がD、えさの上はEとしています。すなわちAが餌の表面から最も遠く、E
はほとんど餌の上ということになります。
キイロショウジョウバエ3系統、オナジショウジョウバエ3系統調べていますが、こ
こではその平均で示します。
A B C D E 全蛹数(匹)
mel % 1.2 12.2 26.2 36.3 24.2 5644
sim 2.8 4.2 10.2 16.9 65.8 5484
残念ながら、雑種のデータはありません。
ショウジョウバエでも濡れていると蛹化できないものがいますね。どれくらい幼虫で
いるかを調べたことはありませんが、いつまでも幼虫のまま蠢いているなと思ったこ
とはあります。
お知らせまで。
山本雅敏(京都工芸繊維大学・応用生物・遺伝学)
===================================
Date: Mon, 15 Mar 1999 16:26:27 +0900
From: Otsuna Hideo
Subject: [Jfly] [Jfly] 蛹化前線
>前線ができるのは、幼虫の密度がかなり高い場合だと思いますが、これは、
>幼虫が前方にある蛹を乗り越えるようなはしたないことをことをせずに、前
>がつかえていると、その後ろに並んで蛹になってしまうためではないかと思
>います。ですから、一番上まで登ってくる元気のいい連中が、ビンの円周を
>埋めてしまうと、遅れて出てくるのはその下につかざるを得ないことになり、
>結果的に前線ができてしまうのではないでしょうか。想像ですが。
実際に観察してみたところ、幼虫は「はしたなく」蛹を乗り越えて
(中には蛹を引きずって)歩き回っていました。
また、幼虫の数が多すぎてバイアル内がどろどろの時には、おもし
ろいことに「つらら状」にさなぎができていることがあります。
(宇宙実験の時は幼虫が多すぎていた?)
これは蛹の上に蛹を作っていることになります。
でもこのような状態だと振動ですぐにエサの上へ落っこちてしまい、
死に易いようです。
また以前、幼虫が蛹を上方で作るのは負の走地性ではないかと考え
て、エサが下へ垂れないように逆さまにしたバイアルで飼ってみた
ことがあります。その場合、蛹はエサの下側で形成されたので蛹を
作るために幼虫は湿気から逃げるのだとその時は結論づけました。
大綱英生
(名大 西田研M1 出向→ 基生研・細胞増殖部門)
===================================
Date: Tue, 16 Mar 1999 13:48:14 +0900
From: akomatsuアットマークresearch.twmu.ac.jp (Akira Komatsu)
Subject: [Jfly] これって記憶?(蛹化前線改題)
>「探索行動だよ」って言われて、そのまま信じてました。オスはこの傾向
>が強いけど、メスは最初からあまり動き回らない、とも聞きました。(自
>分では性差をきちんとは確かめてません。)
>
>なお、数時間の単位で locomotor activity を調べると、明確な性差が
>あるそうです。オスは頻繁に運動する時期と、割とじっとしている時期の
>2つのフェーズが交互にやってくるのに対し、メスにはそのような差が少
>なく、割と一貫して、同じ程度に動き回っているそうな。
>
>いとうk
小さい容器(直径16 mm、高さ 2 mm)では、初めの "探索行動" のレベルは雌雄で差
がありませんでした。10-20分後には落ち着きますが、その落ち着いた時のレベルは
明らかに雌雄差があり、雄はほとんど動きませんが、雌は雄の5倍くらい動きます。
確かに雄は動いたり休んだりを繰り返すのに対して、雌はだらだらと動き続けます。
>探索行動でなく、驚愕反応なのかどうかを調べるには、いったん落ちつい
>たハエをチャンバーからまた取り出し、がちゃがちゃ揺さぶってからもと
>のチャンバー(すなわち探索済み)に戻した場合と、新しい未探索のチャ
>ンバーに移した場合で、locomotor activity の差を見ればいいのでしょ
>うね。
はい、この類のことはすぐできますので、ミュータントを使った実験が終わったらやっ
てみようと思っています。ただ、差が出れば探索行動だといえますが、差が出なかっ
たら探索行動ではない、とは言えないような気がします。もし、探索行動だとしても、
ハエは、新しい未探索のチャンバーか、探索済みのチャンバーかをどうやって見分け
るのでしょうか。自分が中にいればさっきからいる部屋だと認識できるでしょうが、
新たに入れられた部屋が前の部屋か新しい部屋かというのは難しい。雄がペレットみ
たいな糞を手がかりにするのなら、分かるような気がするのですが。
のっぺりした丸い小さな部屋が前にいた部屋なのか新しい部屋なのかを識別すること
は人間にも難しいと思います。四角い部屋に入れられた人間が隣に移るとそこも四角
い部屋でしかもそれらの部屋が次々と移動を繰り返すので脱出できなくなる、という
カナダのSF映画がありました。その映画では部屋にナンバーが振ってあるので、どの
部屋かは分かるのですが、番号がなかったら手がかりはなくなってしまいます。ハエ
にもこちらでハエに分かりやすい適当な手がかりのマーカーをつけてあげるという方
法もありますが...。ハエに分かりやすい手がかりのマーカーって何でしょうね?
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小松 明(Komatsu, Akira)
東京女子医科大学・医学部・第一生理学教室
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