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海外での国政選挙投票のための手続き


Date: Thu, 6 May 1999 12:04:50 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] Voting Overseas from May 1

海外でのポストドク募集の案内が続いていますので、関連して参政権確保
の話題を。ショウジョウバエとは直接関係のない話ですが、研究費という
ものの大半が国家予算から出ている以上、研究者にとって政治は無視でき
ない要素でしょうから、脱線お許し下さい。


ご存じの通り、日本ではこれまで、海外在住者は選挙に投票することがで
きず、“基本的人権の1つが侵害されている!”状態にあったわけですが、
昨年の国会で法律改正がやっと実現したことにより、国政選挙の、比例区
のみではありますが、投票が出来るようになりました。

国内で投票する場合との最大の違いは、海外在住者は、自分から領事館に
申し出て、事前に選挙人名簿への登録をしてもらわないと投票できない、
という点です。自分から登録しないと選挙権が行使できないという点がポ
イントです。(日本国内にいる場合は、住民票を出してあれば自動的に選
挙人名簿に登録され、投票券が送られてきます。)

領事館での登録は、5月1日から受付が始まりました。連休があったので、
実質的には今日からです。

登録手続きには、二重登録の防止のため、出国前の住所地への確認などで
時間がかかりますので、次回の選挙が告示されてから登録したのでは、投
票日に間に合いません。早めに登録されることをおすすめします。
(ただし投票システム整備に時間がかかるため、実際に投票できるのは来
 年2000年5月以降の衆院・参院選挙からになります。)


登録の方法や新しい投票制度の概要について、2〜3月に世界各地で説明
会が開かれました。ロンドン領事館での説明で配付された資料を以下に添
付します。他の居住地の方も、大略同じシステムのはずですので、参考に
されて下さい。(資料をまとめて下さった、ベルファスト大学の富田庸氏
と法政大学−在ロンドン大学−の廣瀬克哉氏に感謝します。)

外務省のホームページにも、詳しい説明と案内が提供されているので、参
考にされて下さい。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/senkyo/election/index.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/senkyo/zaigai/index.html

また、ついでですが、このページを含む外務省の「渡航関連情報」ページ
は、海外へ行くときの必見ページですので、投票なんぞに興味のない方も、
一度ご覧になることをおすすめします。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/index.html


##
今回の法律改正では、“当面は”という条件付きで、比例区選挙への投票
のみが実現しました。諸外国なみの選挙区選挙への投票が早期に実現する
かどうかは、海外在住者がどれほど熱心に参政権を行使するか、つまりは
登録率や投票率の高さがバロメーターになるだろうと、国会・領事館関係
者から示唆されています。法律改正のための運動の端っこのそのまた端っ
こに微力ながら関わった私としては、やっと手に入れた海外在住者の権利
をなるべく多くの方が活用して下さると、非常にうれしいです。

いとうκ


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領事館よりの説明資料(イギリス・在ロンドン総領事館の場合)
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選挙人名簿への登録申請の開始について

       平成11年2月23日
       在ロンドン総領事館

 在外選挙に関しましては、これまで種々お知らせしてまいりましたが、いよ
いよ1999年5月1日より海外に居住される方々の「在外選挙人名簿」への
登録申請の受付が最寄りの大使館又は総領事館において開始されることとなり
ましたので、以下の通りその概要につきご説明します。なお在外選挙制度は名
簿の登録、投票用紙の請求等についてはご自分で手続きするという特徴を持っ
ていますのでご留意ください。

1.選挙人名簿への登録申請

(1)海外で投票するためには、下記(2)の手続きに従い、登録申請書が総
領事館を経由して、本邦出発前の住所(住所を定めたことがないか、平成6年
4月30日までに出国した場合には本籍地)の市町村選挙管理委員会に送付さ
れ、同委員会に備え付けられている在外選挙人名簿に登録されなければなりま
せん。5月1日(週末と祭日が重なり、実際には4日)以降、総領事館に本人
が来てこの登録の手続きを行います。登録の〆切り日はなく、いつでも申請を
受け付けます。
 総領事館は、09:30〜13:00および14:30〜16:30の間、
窓口を開いています(週末・祝祭日等の休館日を除く)。

(2)必要書類
 ☆現に有効な旅券……ご本人の確認のため(確認後その場でお返しします)
 ☆住所を証明する書類
    1: 在留届を3ヶ月以上前に提出している方は不要
2: 上記以外の方は、申請者名義の住宅賃貸借契約書、入居許可書
      (社宅)、入寮許可証(学生等)
    3: 上記 1,2 以外の方は住居記載の銀行口座通知書(3ヶ月以上前の
     もの)
   (書類は確認後その場でお返しします)
 ☆総領事館には次のものが用意されていますので、記入して提出してくださ
  い。
    1: 在外選挙人名簿登録申請書(戸籍上の氏名、本籍地および最終住
     所地を記入していただきますので、地番頭不明の場合には事前に
     調べておいてください
    2: 封筒2種類(1通には日本の市町村選挙管理委員会を宛名書きして
     ください。また他の1通には在外選挙人証を郵送するためご自分の
     住所を宛名書きしてください)


2.在外選挙人証

(1)在外選挙人名簿へ登録されますと市町村選挙管理委員会から「在外選挙
人証」が発行されますので、総領事館経由で郵送します(申請後2ヶ月ぐらい
かかります)。この選挙人証は投票用紙を請求するときに提示しなければなり
ませんので、大事に保管してください。なお、何らかの理由で選挙人名簿に登
録されなかったときには、その旨通知されます。

(2)在外選挙人証の記載事項に変更が生じたとき、あるいは再発行が必要と
なったときには、必要な手続きをとってください(郵送による申請もできま
す)。
 ☆住所を変更したとき、「在外選挙人証記載事項変更届出書」と選挙人証を
  提出してください。新住所地へ訂正された選挙人証が郵送されます。ロン
  ドン総領事館の管轄区以外に移ったときには、新しい住所地を管轄する公
  館への在留届を提出してから、変更手続きをとってください。
 ☆選挙人証の氏名が変更されたときには、婚姻届などの戸籍上の届けを行っ
  た上で、変更届を行ってください。
 ☆選挙人証を、紛失し、汚損し、あるいは記入欄の余白がなくなったときに
  は、紛失の場合を除き、所持する選挙人証を添えて再発行を申請できます。

3.在外投票の実施

(1)在外投票は、明年5月1日以降に行われる国政選挙(衆議院・参議院両
議院選挙)から実施され、当分の間は比例代表選挙への投票となります。

(2)当館管内に居住している方は郵便投票になりますが、この他に、1: 在
外公館投票を行っている公館へ出向いて投票する、2: 帰国した際に市町村で
不在者投票をする、こともできます(いずれも在外選挙人証を持参することが
必要です)。

(3)郵便投票は、選挙人として登録した選挙管理委員会に、在外選挙人証の
原本を同封の上、郵便で投票用紙を請求します(この投票用紙は任期満了の
60日前から又は衆議院が解散されたときにはその日から、交付されます。当
館では交付できませんのでご注意ください。)。そして、投票用紙の郵送を受
けた後、選挙の公示の日以降に政党またはその略称名を記入して日本の投票日
の午後8時までにその選挙管理委員会につくように郵送します。(手続きの詳
細は、選挙人証に解説書がつきますので、それをお読みください。)


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説明会で自治省から配布された説明資料
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  国外に居住される皆さんへ
 〜在外選挙制度のお知らせ〜

 「在外選挙」とは、国外に居住する国民の選挙権の行使の機会を保障する
制度に基づいてなされる選挙のことであり、平成11年5月1日から在外選挙人
名簿の登録の受付を開始し、平成12年5月1日以降に公示または公示される国
政選挙から、国外に居住する国民の方に投票に参加していただくことになり
ました。

「在外選挙制度の概要」

I 在外選挙人名簿への登録
1 概要
 まず、あらかじめ皆さんのお住まいの地域を管轄する在外公館(大使館や
総領事館)に行き、在外選挙人名簿への登録の申請をする必要があります。
 ※ 管轄する在外公館は、基本的には在留届の届出先となるところです。
 申請により在外選挙人名簿に登録されると、在外投票ができることとなり、
投票の時に必要な「在外選挙人証」が所定の市町村選挙管理委員会から在外
公館を通じて交付されます。

2 登録資格
 年齢満20年以上の日本国民(居住国への帰化等により日本国籍を失った
方は対象になりません)で、引き続き3か月以上その者の住所を管轄する領
事官(大使や総領事)の管轄区域内に住所を有する者(ただし、公民権停止
をされていない者)

 ※ 市町村の区域外に転出する住民は、転出届を提出することとなってい
 ます。未提出の方は引き続き国内に住所があると認定され、在外選挙人名
 簿に登録されない場合がありますので、海外に出発する前に転出届を提出
 するのを忘れないようにしましょう。
  すでに海外にお住まいの方で未提出の方は、登録申請前に転出した旨の
 届出を転出先の市町村長にするようにしましょう。

3 申請書の提出方法
 申請者本人が必ず在外公館の領事窓口に行って申請してください。
 申請書は在外公館にあります。
 受付時間は、大使館や総領事館の領事窓口の受付時間です。

4 在外選挙人名簿の登録市町村(申請先)
 (1) 原則として、日本国内の最終住所地の市町村選挙管理委員会です。
 (2) ただし、次のいずれかに該当する方は申請時の本籍地の市町村選挙管
   理委員会になります
   ・国外で生まれ、日本で暮らしたことがない方
   ・平成6年4月30日までに出国された方
    (ただし、転出届の提出が遅れるなどにより、平成6年5月1日以
    降に住民票が消除されている場合は、最終住所地の市町村の選挙管
    理委員会になります)

5 登録申請の時に持参するもの
 次の2種類の書類を必ずお持ち下さい。
 (1) 旅券
  ※ 事情があって旅券を提示できない場合は、日本国の政府・地方公共
   団体又は居住国の政府・地方公共団体の交付した写真の貼付された身
   分証明書等(例、運転免許証、滞在許可証)
  (このような書類を持ち合わせておられない方は、管轄の在外公館にお
   問い合わせ下さい。)
 (2) 申請書を提出する領事官の管轄区域内に引き続き3か月以上住所を有
  することを証明する書類(例、アパートの契約書等)
  ※ 海外に3か月以上滞在する方は、旅券法第16条により在留届を提
   出していただくことになっています。この在留届を管轄の在外公館に
   3か月以上前に提出している場合は、(2) の書類は不要です。早めに
   提出しましょう。

6 住所等に変更があった場合には、新住所地の管轄の領事官を通じて在外
 選挙人証を添えて変更届をする必要があります。
 (この手続は郵送でも可:廣瀬注)

7 死亡した場合、日本国籍を失った場合、帰国して国内の市町村で住民票
 が作成されてから4か月を経過した場合等には、在外選挙人名簿の登録は
 抹消されます。
 (選挙人の側ではとくに届出などは必要なし:廣瀬注)

II 在外投票の方法等
1 在外選挙の対象となる選挙
  衆議院比例代表選出議員及び参議院比例代表選出議員の選挙
  ※ 衆議院小選挙区選出議員及び参議院選挙区選出議員の選挙は、当分
   の間、在外選挙の対象となっていません。

2 選挙できる選挙区 登録された市町村の属する選挙区となります。

3 投票の方法
 (1) 在外公館投票
   在外選挙人名簿に登録されている有権者の皆さんは、大使館、総領事
  館などの投票記載場所で、在外選挙認証と旅券等を提示して投票をして
  いただくことができます。投票できる時間は、原則として選挙の公示又
  は告示の日から投票記載場所ごとに決められた日までの、午前9時30
  分から午後5時までできます。(投票できる期間は、投票記載場所によ
  って異なりますので注意して下さい。)

         在外公館等に出向き投票 (1)
        (在外選挙人証・旅券等を提示)
  在外選挙人 −−−−−−−−−−−−−−−−−> 在外公館等
                   投票用紙の送致 (2) ↓
  在外選挙人が登録されてい <−−−−−−−−−− 外 務 省
  る市町村選挙管理委員会    投票用紙の送付 (3)

 (2) 郵便投票
   お住まいの国等(領事官の管轄区域)に在外公館等がない場合、あ
  ってもその在外公館等で投票を実施していない場合や投票を実施して
  いる在外公館等から住所地が遠隔の地にある場合には、郵便による投
  票もできます。
   郵便投票のできる地域については、管轄の在外公館にお問い合わせ
  ください。

        投票用紙の請求(1) (在外選挙人証を同封)
        −−−−−−−−−−−−−−−−−−> 在外選挙人が
  在外選挙人 投票用紙の交付(2)            登録されてい
         (在外有権者証も同封して返送)     る市町村選挙
        <−−−−−−−−−−−−−−−−−−  管理委員会
        −−−−−−−−−−−−−−−−−−> 
記入済み投票用紙の郵送 (3)


 (3) 帰国投票
   また、在外選挙人は、選挙の時に一時帰国した場合や、帰国後国内
  の選挙人名簿に登録されるまでの間は、在外選挙人証を提示して国内
  の不在者投票と同様の手続で投票することができます。

 詳細については、登録地の市町村選挙管理委員会又は最寄りの在外公館に
 お問い合わせ下さい。

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以上、説明資料終わり


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Date: Thu, 6 May 1999 12:22:52 +0900
From: tmurataアットマークrtc.riken.go.jp (Murata, RIKEN Tsukuba)
Subject: [Jfly] Voting Overseas from May 1

At 0:04 PM 5/6/99 +0900, ITO, Kei wrote:
>国内で投票する場合との最大の違いは、海外在住者は、自分から領事館に
>申し出て、事前に選挙人名簿への登録をしてもらわないと投票できない、
>という点です。自分から登録しないと選挙権が行使できないという点がポ
>イントです。(日本国内にいる場合は、住民票を出してあれば自動的に選
>挙人名簿に登録され、投票券が送られてきます。)

アメリカではそろそろ、internetでの投票実験も始まるようです。
最初は企業内や組合内の投票のようですが、うまくいけば国政選挙にも適用
されます。コンピュータービジネスもこういうところを狙ってきました。
本当に締切前に投票用紙が着くかどうかわからない郵送にかわってnetでの
投票が実現すれば、それこそ海外や離島に暮らす方々ももっと参政できるし、
なにより開票にかかる人手を減らすことにつながるのではと思います。

//
Takehide MuraTa Ph. D.
e-mail: tmurataアットマークrtc.riken.go.jp
personal HP: http://ac3.aimcom.co.jp/~tmurata/fly/
phone: +81-298-36-3612, fax: +81-298-36-9120

Tsukuba Life Science Center,
The Institute of Physical and Chemical Research (RIKEN)
Tsukuba Science City, Ibaraki 305-0074, Japan.
>>>> Japanese Address <<<<
村田 武英
305-0074 茨城県 つくば市 高野台 3-1-1
理化学研究所 ライフサイエンス筑波研究センター
//
Received: (from daemonアットマークlocalhost)by ep3.nibb.ac.jp (8.9.3+3.2W/3.7Wpl299051111) id SAA24590for jfly-members-listアットマークnibb.ac.jp; Mon, 6 Mar 2000 18:35:39 +0900 (JST)
Received: from [133.48.48.125] (celpro14.nibb.ac.jp [133.48.48.125])by ep3.nibb.ac.jp (8.9.3+3.2W/3.7Wpl299051111) with ESMTP id SAA24585for ; Mon, 6 Mar 2000 18:35:38 +0900 (JST)
Message-Id: <200003060935.SAA24585アットマークep3.nibb.ac.jp>


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Date: Mon, 6 Mar 2000 18:35:34 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] Voters' registration please !

Jfly の趣旨とはちょっと外れる内容ですが、ハエ業界には外国
滞在者・滞在予定者・そのうち滞在したいと思っている人、が
少なくないので、ちょっと触れさせて下さい。


今年の5月から、海外に滞在中の日本人も、やっと総選挙への
投票が可能になります。この1月初め、各大使館・領事館に既
に投票台と投票箱が送られた、とのことです。海外在住者が投
票出来る制度は、ロシアや統一前の東独ですら実現しており、
日本は先進国の中では最後の実現ということになります。

投票が認められる最初の選挙は、今夏の参院選のはずでしたが、
衆院で解散・総選挙の駆け引きが続いている関係上、それより
前、年度あけ早々にも衆院選が行なわれる可能性がでてきまし
た。


住民票に連動して自動的に投票案内ハガキが送られてくる国内
と異なり、海外では、

   ** あらかじめ自分から選挙人登録を **
   ** しておかないと、投票できません。**

選挙人登録手続きには日本への照会作業も含め、2ケ月ほどか
かるので、衆院が解散されてからあわてて選挙人登録をしても、
投票に間に合わない可能性が大です。普通選挙法の施行から半
世紀を経て、やっと海外在住者にも認められるようになった基
本的人権である選挙権を行使してみたい方は、お誘い合わせの
上、登録を済まされるようお薦めします。


登録手続きに必要なものは、

1:本人確認書類(パスポート)

  ※ビザ延長手続き等でパスポートを預けてしまっている人は、
   ・運転免許証・外国人登録証・公立大学の学生証、官公庁
    の身分証明書など、日本あるいは滞在国の公立機関が発
    行した顔写真付きの証明書1通
  もしくは、
   ・戸籍謄・抄本、健康保険証など、公立機関が発行した顔
    写真無しの確認書類を2種類か、それ1種類プラス私大
    の学生証や社員証、写真付きクレジットカードなど民間
    団体が発行した顔写真付きの身分証明書を1種類

2:3ケ月以上その地域に滞在していることを照明する書類

  ・3ケ月以上前に在留届を提出している人は不要
  ・そうでない場合、
    住所を有した日が申請日より3ケ月以上前であることが
    記載してある住所地の家屋の賃貸契約書、購入契約書、
    滞在許可証、外国人登録証など

3:国内最終居住地もしくは本籍地の住所

  ・選挙人登録は、1994年5月1日以降に海外に出国した人は
   国内最終居住地、それより前に出国した人や、生まれてか
   らずっと海外に住んでいる人は、本籍地の市町村の選挙管
   理委員会で管理されます。

です。これを持って自分の居住地域の管轄の大使館・領事館に赴
き、手続きをします。

領事館から遠隔地にお住まいの方にはちょっと面倒な制度ですが、
海外選挙では郵送による投票が主体となる関係上、「他人になり
すまし」による不正投票を防ぐため、最初の選挙人登録のときだ
けは、本人確認のために大使館・領事館に直接出向くことが求め
られています。なお、管轄区域の端に住んでいて、隣の管轄区域
の領事館の方が交通便利な場合、交渉すればそちらに行っても良
いようです。

手続きをすると、国内最終居住地か本籍地の市町村の役所に連絡
が行き、そこの選挙管理委員会に登録されて、在外選挙人証が送
られてきます。この作業に1〜2ケ月かかるわけです。


4:投票のしかた

  イ:直接投票:
    自分の居住地を管轄する大使館・領事館に出向いて在外
    選挙人証とパスポート等を掲示して、直接投票する方法
    です。行くだけでよいので簡単ですが、居住する日本人
    が多い地域の領事館では、事務処理が過大になるため直
    接投票を実施していません。(研究者の場合、これに該
    当してしまう人が多そうですね。)
    (例えばイギリスでは、スコットランド地区に住む日本
     人はエジンバラの領事館で直接投票できるが、その他
     の地域に住む日本人を管轄するロンドンの領事館では、
     直接投票を受け付けないので、郵送投票しかできない。
     田舎に住んでいるほどラクと云うことです。)

    直接投票を実施しない領事館の例は、
    北米:ホノルル、サン・フランシスコ、ロス・アンジェ
       ルス、シカゴ、ニューヨーク、ボストン、ヴァン
       クーヴァー
    欧州:ヴァチカン、オランダ、パリ、ロンドン、ボスニ
       ア・ヘルツェゴヴィナ

    アメリカでもデトロイトやヒューストンなどの「田舎」
    や、大多数の欧州諸国の大使館・領事館では直接投票可
    能です。

    政情が不安定でテロの標的になりかねない一部の国でも、
    領事館での直接投票を実施していませんが、こういう国
    に滞在している研究者は少ないでしょう。

  ロ:郵便投票:
    直接投票できない地域では、郵便による投票になります。
    直接投票できる地域の人も、郵便で投票しても構いませ
    ん。投票用紙の取り寄せが、かなり煩雑です。

    まず、登録先の市町村選挙管理委員会に自分で手紙を書
    いて、在外選挙人証を手紙に同封し(ここがポイント)、
    投票用紙を請求します。折り返し、投票用紙と在外選挙
    人証が返送されてくるので、投票したい候補者の名前を
    記入して、投票日に間に合うように投票用紙を郵送しま
    す。
    ※投票用紙は、参院は任期満了の2ケ月前から、衆院は
     解散の日から海外有権者に送られます。市町村選挙管
     理委員会と国際郵便を3回やりとりすることになるの
     で、時間的に余裕を見て行なう必要があります。

  ハ:帰国投票:
    一時帰国しているときに投票する方法です。
    登録されている市町村の不在者投票所で、在外選挙人証
    を提示して投票します。


各大使館・領事館の管轄区域や直接投票実施の有無など、詳しく
は外務省のホームページ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/senkyo/election/index.html
をご覧下さい。


5:選挙人登録できない場合:

  ・外国滞在後3ケ月未満の人
  ・3ケ月以上滞在していても、他の大使館・領事館の管轄区
   域から3ケ月以内に転入したばかりの人
  ・日本に住民票を残している人(転出届を出していない人)


6:これから外国へ行かれる方へ

ポストドクや教授職が決まってこれから海外に引っ越しされる
方は、2つの道があります。

a:海外で投票したい場合。
  上記のようにして、居住地でそのまま投票できますが、当面
  は国政選挙の比例区の選挙にしか参加できません。
  日本に住民票を残していると投票できないので、日本を出発
  するまえに、市町村役場で転出届を出しておく必要がありま
  す。到着して住所が決まったらすぐに在留届を提出しておく
  と、あとの手続きが簡単です。(というか、トラブルがあっ
  たときに管轄地域に住む邦人を支援するという領事館の存在
  目的からして、在留届を出して自分の存在を領事館に知らし
  めておくことは must ですね。)

b:一時帰国して投票する場合。
  (公式には薦められないことですが)住民票を日本に残して
  おき、選挙のたびに帰国して投票する方法です。地方自治体
  の選挙やリコール、住民投票にも参加できるので、原発やゴ
  ミ処理場の立地問題などが争点になっている地域にお住まい
  の人には興味があるかも知れません。ただし投票案内は日本
  の住所に送られてくるので、そこに家族などが住んでいない
  となりませんし、毎回帰国するのは飛行機代が大変です。



他の諸国では小選挙区(出身地の選挙区へ投票)と比例区(全
国区)双方への投票が認められていますが、日本では当面比例
区への投票のみが認められ、小選挙区については、海外在住者
の選挙への参加状況をしばらく見てから、適用を拡大するかど
うかを判断するという国会決議がなされています。いっぽうで、
比例区の定員はつい最近大幅に削減されたばかりですし、比例
区を廃止して選挙区選挙だけにするという議論も進んでいます。

国内での投票率低迷の状況から予想されることではありますが、
これまでの所、海外在住者の登録の出足は非常に鈍いそうです。
この状況ですと、小選挙区への適用拡大が難しいばかりか、比
例区の削減・廃止にともない、せっかく獲得できたばかりの海
外在住者の投票権が、事実上ほとんど意味のないものになって
しまいかねません。投票権は、これまで比較的少数の人が長年
裁判や国会への働きかけを続けることによって、やっと獲得で
きたものですが、これを今後維持・拡大できるかどうかは、全
ての海外在住有権者の参加にかかっています。郵便投票など非
常に煩わしい手間が必要ですが、選挙実務を担当する自治省・
外務省も当面は試行錯誤で、なるべくやりやすい方法を模索中
とのことなので、なにとぞ投票へのご協力をお願いします。


ちょっと政治向きの話になってしまいましたが、特定政党の宣
伝ではないということ、研究費という形で国民の税金(プラス
「国債」という名のまだ産まれてもいない我々の孫からの借金)
を大量に消費している我々は、国政に無関係ではいられないと
いうこと、海外在住の研究者が日本にいい職を見つけて帰って
こられるかどうかは、日本の政策の将来にかかっているという
こと (^_^;)、という点で、ご勘弁ください。

いとうκ