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Celera社はなぜハエゲノム解読に参加したのか?
Subject: [Jfly] Drosophila gemone project
Date: Mon, 15 May 00 13:42:58 +0900
From: Yasumitsu Takagi
J-fly の皆様
(今や旬からは外れてしまった話題なのですが)
ショウジョウバエゲノム配列決定において重要な役割を演じたCelera社は、そもそ
も何が目的でこのプロジェクトに参加したのですか?私が目にした記事にはショッ
トガンシークエンスの技術的開発のためというようなことが書いてありましたが、
本当にそれだけのために、わざわざハエのゲノムを取り上げたのでしょうか。
<in Japanese>
高木康光
福岡歯科大学・助教授
学術フロンティア研究センター
(〒814ー0193)
福岡市早良区田村2ー15ー1
電話;092ー801ー0411(内線230)
ファックス;092ー801ー0685
電子メール;ytakaアットマークcollege.fdcnet.ac.jp
Yasumitsu Takagi, Ph.D.
Frontier Research Center,
Fukuoka Dental College
2-15-1 Tamura, Sawara-ku, Fukuoka, 814-0193, Japan
Tel/Fax; (+81)-92-801-0685
E-mail; ytakaアットマークcollege.fdcnet.ac.jp
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Date: Mon, 15 May 2000 18:49:39 +0900
From: 上田龍
Subject: [Jfly] Drosophila gemone project
生命研の上田です。
高木さんのアドレスに直接メールしたのですが,不調のようで,jflyを利用させてい
ただきます。
> ショウジョウバエゲノム配列決定において重要な役割を演じたCelera社は、そもそ
> も何が目的でこのプロジェクトに参加したのですか?私が目にした記事にはショッ
> トガンシークエンスの技術的開発のためというようなことが書いてありましたが、
> 本当にそれだけのために、わざわざハエのゲノムを取り上げたのでしょうか。
>
当時セレラの発表(HP)の中に,新規膜タンパク,新規イオンチャンネルなどの発
見があった,とかいう文章がありました。当然,昆虫に対する農薬などの開発会社(
モンサントの名前があったかどうかは失念しました)と組んで,情報を売りつけたの
だと思います。もちろんヒトのshotgunに対する先行開発という意味が大きかったの
だとは思いますが。技術が実用的かどうかということはその後の投資(を受けられる
か)にすごい影響がでるのだと思います。
先日,慶応の清水先生にヒトゲノムのセミナーをしていただきました。21番が発表さ
れる直前でした。一月ほど前でしたか,セレラはヒトについて全部読んだと発表しま
した。清水先生は「結局のところアラインメントが問題で,株価対策のための新聞発
表でしょう。まずBACなどのデータがないとアラインは出来ないですよ。」とおっし
ゃっておられました。ハエゲノムの時にもBDGPからそのような説明がありましたね。
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上田龍
神経発生遺伝プロジェクト
プロジェクト研究センター
三菱化学生命科学研究所
〒194-8511 町田市南大谷11号
phone:042-724-6234
fax: 042-724-6314
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Date: Mon, 15 May 2000 21:44:11 +0900
From: "高久 学"
Subject: [Jfly] Drosophila gemone project
生命研の高久です。
上田さんからレスがつくと思っていたのですが、やはりありましたね。
> ショウジョウバエゲノム配列決定において重要な役割を演じたCelera社は、そもそ
> も何が目的でこのプロジェクトに参加したのですか?私が目にした記事にはショッ
> トガンシークエンスの技術的開発のためというようなことが書いてありましたが、
> 本当にそれだけのために、わざわざハエのゲノムを取り上げたのでしょうか。
>
Celera社にとってみれば わざわざ ハエのゲノムを取り上げたわけではない
ようです。 何が目的でとうことになるとget moneyのためですが、それではレス
にならないので、あくまでも学術情報として以下にレスさせて頂きます。
(1) 労力的には大した仕事ではない。
Celera社はパーキン・エルマー社との協同設立なので、1台5,000万円の
シークエンサー300台と70億円の解析用コンピューターシステムを有している。
因みにハードディスクは数テラバイト。
さらに何千万円もする大腸菌コロニーつり上げロボットが何百台?もあり、
これら全ての装置が1日24時間かつ1年365日稼働している。
因みに某国のゲノムプロジェクトの30倍規模です。
(2) ハエゲノムを決めたら次にヒトゲノムを決めるというやりかたではない。
ヒト、マウス、ハエ、稲を同時に解析している(らしい)。
過去にマラリア、コレラ、結核菌、インフルエンザなどを決めた。
マウスはヒトに近いから決める。
ハエは中枢神経系を持つ生き物としてヒトの脳を理解するために重要。
稲は重要食料であり植物の代表。
(勿論、マウスやハエは遺伝学が使えるからというのも大きいと思いますが
これはJFlyの皆様には申し上げる必要なしですね。)
(3) ポストゲノム補足 次はタンパク質の相互作用?
因みに(ご存じの方も多いと思いますが)ハエの全蛋白の相互作用地図作製の
プロジェクトがスタートしたようです。 次はもうハエのcDNAでTwo-hybrid
しなくていい時代が来る?
それでは皆様にとっては Time is money. ですのでこのくらいにさせて頂きます。
以上
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Manabu Takahisa
Mitsubishi Kasei Institute of Life Sciences,
Minami-Ooya 11, Machida, Tokyo, 194-8511 Japan
Tel: (042) 724-6249
Fax: (042) 724-6314
email : takahisaアットマークlibra.ls.m-kagaku.co.jp
高久 学
〒194-8511 東京都町田市南大谷11号
三菱化学生命科学研究所
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From: "motojiro Yoshihara"
Subject: [Jfly] Drosophila gemone project
Date: Thu, 18 May 2000 11:40:52 EDT
MITの吉原です。引っ越しのごたごたでresponse遅れました。
>当時セレラの発表(HP)の中に,新規膜タンパク,新規イオンチャンネルなどの発
>見があった,とかいう文章がありました。
という龍さんのcommentに関しまして、一言。
私をここにinviteしてくれたTroy (Dr. Littleton)が今年4月のNeuron (Vol. 26,
35-43)に、
Ion channels and synaptic organization: Analysis of the Drosophila genome.
と題して、主にion channelsについて、genome
projectによって明らかにされた全貌をsummarizeしています。
意外なことに、今まで全く性質の知られていなかったchannelのfamilyが見つかったり、少数のmemberしか知られていなかったfamilyに多くの未同定のmemberが存在することがわかったりで、今後の広がりを考えると、今さらながらにgenome
projectのpowerに衝撃を受けています。
以前に堀田先生からもアナウンスがありましたように、今後、genome
projectで得られた結果を前提に研究のstrategyについてもよく考える必要があります。殺虫剤などにからんで、いろんな金にからんだ思惑が渦巻いているうわさをこちらでも聞きますので、big
projectsを中心に今後の研究が進む感もありますが、逆に、今までのように金とマンパワーにものを言わせてクローニングでごりごり先陣争いする時代はおわり、個人が「頭を使って」biologyをする、科学としては健康的な時代に突入したとも言えます。ですから、世界を騒然とさせているgenome
projectに振り回されることなく、自分の学問に「賢く使う」心構えでいるべきでしょう。
移転の挨拶かたがた、蛇足ながら特に若い人たちへ申し添えました。
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Motojiro Yoshihara, Ph.D.
Center for Learning and Memory
Massachusetts Institute of Technology
50 Ames St.
Cambridge, MA 02139
TEL 1-617-452-2726
FAX 1-617-452-2249
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