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ショウジョウバエの入ったジュースを飲んだら?
Date: Mon, 28 Aug 2000 19:36:57 +0900 (JST)
Subject: [Jfly] Drosophila in MacDonald's juice
From: TOMARU Masatoshi
みなさま、
都丸@ショウジョウバエ遺伝資源センター.京都工繊大です。
昨日の毎日新聞の社会面に、ショウジョウバエの入った
ジュースを飲んだ奈良市の子供の具合が悪くなった、
という記事がありました。
ジュースを飲んでから数時間後に嘔吐したとのこと。
ショウジョウバエは、数時間後に悪影響が出るような細菌を
ほととんど持っていないと思うのですが、詳しい方は
いらっしゃいませんか。
#実験室のハエさんなら、お茶に落ちてても、ぼくは
#ほとんど気にならないクチなもので……
ハエは廃棄されてしまったようなので、種が何かは
分からないのだと思います。
また、記事からは、ショウジョウバエが直接の原因であった
とは断定できません。
<<<<<<<< 毎日新聞のWeb pageより記事を一部分抜粋
異物混入:マクドナルドのジュースにハエ 女児がおう吐
2000.08.27
日本マクドナルド(本社・東京、藤田田社長)の「奈良からもも店」
(奈良市杏(からもも)町)で先月、小学4年の女児(10)が買った
グレープジュースに、生きたショウジョウバエが混入、ジュースを飲ん
だ女児がおう吐などの症状を訴え、病院で手当てを受けていたことが2
6日、分かった。マクドナルド側は混入の事実を認め、両親に謝罪し
た。
<<<<<<<< 抜粋おわり
全文は、http://www.mainichi.co.jp/ に行き、
記事検索で「ショウジョウバエ」と入れれば一発でヒットします。
--
都丸 雅敏 tomaruアットマークipc.kit.ac.jp
606-8585 京都市左京区松ケ崎御所海道町
京都工芸繊維大学ショウジョウバエ遺伝資源センター
===================================
Date: Mon, 28 Aug 2000 23:09:24 +0900
From: tmurataアットマークrtc.riken.go.jp (Murata, RIKEN Tsukuba)
Subject: [Jfly] Drosophila in MacDonald's juice
村田アットマーク理研です。
>#実験室のハエさんなら、お茶に落ちてても、ぼくは
>#ほとんど気にならないクチなもので……
ハエが生きたままジュースに入っていたのなら、入ってすぐに飲んだのでしょう。
仮にそのハエが原因なら、そのハエの毒素はものすごいものだと想像されます。
ハエがものすごい毒素をもっているのだとすると、吸虫管でハエを扱っている
我々は、ものすごく危険な作業をしていることになります。
でも、そういう作業をしていて嘔吐するハエ屋さんはいないとおもいますが?
小学4年生位だと、多感な時期なのでしょうか?
ジュースを飲んだ -> 容器内にハエいた -> 大変なものを飲んでしまった
というように不安な心理状態になり、気分が悪くなったことも考えられます。
また、別の見方として、食材の保存方法に問題がなかったか?という疑問。
出された商品にハエが入っているような環境では、保存中の食材にもハエなど
が混入していなかったか?
混入が起こりやすいのであれば、保存中の食材がすでに腐敗していなかったか?
と、昆虫の混入そのものに原因があるのではないんじゃないか、という立場から
考えてみました。
//
Takehide MuraTa Ph. D.
e-mail: tmurataアットマークrtc.riken.go.jp
personal HP: http://www.geocities.co.jp/Technopolis/2002/
phone: +81-298-36-3612, fax: +81-298-36-9120
Tsukuba Institute,RIKEN
Tsukuba Science City, Ibaraki 305-0074, Japan.
>>>> Japanese Address <<<<
村田 武英,研究員
305-0074 茨城県 つくば市 高野台 3-1-1
理化学研究所 筑波研究所
//
===================================
Date: Tue, 29 Aug 2000 02:22:57 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] Drosophila in MacDonald's juice
まあ10歳の女の子なら、ハエが入ったジュースを自分が飲んだというだけで、
気分が悪くなりそうな気はします。
At 11:09 PM +0900 00.8.28, Murata, RIKEN Tsukuba wrote:
> 村田アットマーク理研です。
> ハエが生きたままジュースに入っていたのなら、入ってすぐに飲んだのでしょう。
> 仮にそのハエが原因なら、そのハエの毒素はものすごいものだと想像されます。
> ハエがものすごい毒素をもっているのだとすると、吸虫管でハエを扱っている
> 我々は、ものすごく危険な作業をしていることになります。
吸虫管の場合、ハエが直接口にはいるわけでも、抽出液を飲むわけでもないの
で、たとえ毒素があっても別に安全だと思いますよ。○○トキシンなどの毒素
タンパクの遺伝子を持ったハエも、吸虫管で取り扱っている方は少なくないで
しょうし。
ただ、炭酸ガス麻酔を利用している方は、吸虫管でハエを扱う作業は実際「も
のすごく危険な作業」ですので、少し注意する価値はあると思います。ある程
度の濃度以上の炭酸ガスは、死に至ることがありますから。数年前、演習中の
自衛隊員が窪地で集団で亡くなった事件がありましたが、あれは確か、地面か
ら噴出して窪地に溜まった炭酸ガスが原因でした。
吸虫管を連続して吸いすぎない、炭酸ガスを扱う部屋は換気を十分確保する。
この2点は重要だと思います。炭酸ガス(分子量44)は空気(平均分子量29
より重く、床のあたりに溜まりやすいので、いったん気分が悪くなって床に倒
れると、さらに症状が悪化し、自力では動けなくなってしまう危険があります。
これで殉職されたというショウジョウバエ研究者は寡聞にして知りませんが、
狭い密室で炭酸ガスをお使いの方は、いちおうお気をつけ下さい。
ハエが生きたままジュースに入っていたのでなく、ハエの幼虫が生きたまま肉
に入っていたのなら、昔なら大事件になりました。そんな肉を食べさせられた
軍艦の水兵が待遇不満で反乱を起こし、住民を巻き込んで争乱に発展し、鎮圧
で多数の死傷者が出た事件が、今世紀初頭に黒海沿岸のロシアの軍港オデッサ
で起こり、それを描写したエイゼンシュタイン監督の映画「戦艦ポチョムキン」
は、近代映画に不可欠なモンタージュ技法の嚆矢として知られています。この
映画を見る限り、原因のハエはニクバエで、残念ながら(?)ショウジョウバ
エではなさそうですが。
いとうκ