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EMS処理前後の雄の事前交尾は有効か?


Date: Sun, 6 Aug 2000 14:02:30 +0900 (JST)
From: biologyアットマークgipwc.shinshu-u.ac.jp (Masahiko Sakaguchi)
Subject: [Jfly] EMS処理前後の雄の事前交尾は有効か?と胚、幼虫キノコ体発現Gal4lineハエ分譲希望

JFLYの皆様。信州大教育の坂口です。

1.EMS処理前後の雄の事前交尾は、次世代がEMSによる塩基置換をもつ精子由来である
割合を高めるのに有効か?教えてください。

RobertsのDrosophila-a practical approachには「羽化後約3日令の雄をEMS処理し
、最初のバージン♀と3-4日交配した後、その雄を2回目のバージン♀と交配する。2
回目のバージン♀との交配ででてきた次世代はEMS処理中に精子形成の初期にあった
精子由来のものである(私の解釈:従って、EMSによる塩基置換をもつ精子が多いと
いうことか?)」と書いてあります。

劣性致死変異をとる場合はあまり気にしなくてもいいでしょうが、致死でない劣性変
異もとりたいので、EMSによる塩基置換をもたない精子を排除したいのです。EMS処理
前にすでに成熟した精子はEMSの影響をうけず、またEMS処理後に新たに形成される精
子もEMSの影響をうけないとすれば、上記の処理後の事前交尾、あるいはEMS処理前の
事前交尾はEMSによる塩基置換をもつ精子をもつ割合を高めるのに有効でしょうか?
あるいは事前交尾でEMSによる塩基置換をもつ精子を使い果たし、かえってよくない
でしょうか?

このあたり、劣性致死変異がどのくらいとれるかを指標にしてプロトコルを検討され
たことのある方おられるのではと思い、お尋ねする次第です。

2.ハエ分譲希望
embryoキノコ体kenyon cellで発現するGal4line(238Y etc.)
larvaキノコ体kenyon cellで発現するGal4line(201Y以外で)
をお持ちの方、分譲していただけないでしょうか?

以上宜しくお願いいたします。
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坂口雅彦
〒380-8544 長野市西長野
信州大学 教育学部 理科教育 生物
Tel  026-238-4124 (Direct)
FAX 026-232-5144
E-mail: biologyアットマークgipwc.shinshu-u.ac.jp
http://msakaguchi.shinshu-u.ac.jp/
Masahiko Sakaguchi, Ph.D.
Department of Biology, Faculty of Education,
Shinshu University
Nishinagano, Nagano, 380-8544 JAPAN
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Date: Mon, 7 Aug 2000 10:05:44 +0900
From: fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp (Yoshiaki FUYAMA)
Subject: [Jfly] EMS処理前後の雄の事前交尾は有効か?と胚、幼虫キノコ体発現Gal4lineハエ分譲希望

At 14:02 08/06/00 +0900, Masahiko Sakaguchi wrote:

>1.EMS処理前後の雄の事前交尾は、次世代がEMSによる塩基置換をもつ精子由来である
>割合を高めるのに有効か?教えてください。

EMSは成熟精子に効くと理解しておりましたが。。。
だとすると、一番絞りを捨てるようなものでは(^^ゞ

--
布 山 喜 章 : 東京都立大学大学院理学研究科生物学教室
Yoshiaki FUYAMA : Dept. of Biology, Tokyo Metropolitan University
     e-mail : fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp


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Date: Mon, 07 Aug 2000 13:44:21 +0900
Subject: [Jfly] EMS処理前後の雄の事前交尾は有効か?と胚、幼虫キノコ体発現Gal4line ハエ分譲希望
From: Naoto JUNI

on 8/6/00 2:02 PM, Masahiko Sakaguchi at biologyアットマークgipwc.shinshu-u.ac.jp
wrote:

> JFLYの皆様。信州大教育の坂口です。
>
> 1.EMS処理前後の雄の事前交尾は、次世代がEMSによる塩基置換をもつ精子由来である
> 割合を高めるのに有効か?教えてください。

>
> 劣性致死変異をとる場合はあまり気にしなくてもいいでしょうが、致死でない劣性変
> 異もとりたいので、EMSによる塩基置換をもたない精子を排除したいのです。EMS処理
> 前にすでに成熟した精子はEMSの影響をうけず、またEMS処理後に新たに形成される精
> 子もEMSの影響をうけないとすれば、上記の処理後の事前交尾、あるいはEMS処理前の
> 事前交尾はEMSによる塩基置換をもつ精子をもつ割合を高めるのに有効でしょうか?
> あるいは事前交尾でEMSによる塩基置換をもつ精子を使い果たし、かえってよくない
> でしょうか?

(パラグラフを多少前後させてもらいました。)

どのステージの生殖細胞も(それ以外の細胞も?)EMSの影響を受けるというのが正
しいと思います。もちろん成熟精子も影響を受けますが、この段階ではDNAがアルキ
ル化修飾されているだけで、実際に塩基置換が起こるのは受精後、受精卵の中で複製
されるときですが(だからこそF1 mutantはモザイクが多い)。

> RobertsのDrosophila-a practical approachには「羽化後約3日令の雄をEMS処理し
> 、最初のバージン♀と3-4日交配した後、その雄を2回目のバージン♀と交配する。2
> 回目のバージン♀との交配ででてきた次世代はEMS処理中に精子形成の初期にあった
> 精子由来のものである(私の解釈:従って、EMSによる塩基置換をもつ精子が多いと
> いうことか?)」と書いてあります。

これはおそらく、mutagenizeした時点での生殖細胞のステージごとにmutagenized
chromosomeをサンプリングするテクニック(Bloodingと言うのでしょうか)のことを
誤解されているのではないか思います。生殖細胞のステージごとに、mutation rate
や、起こりやすいmutation のタイプが異なることがあり、そういうことが問題にな
るときにとる方法だと理解しています。ふつう2日ずつ、2回ないし3回、新たにバー
ジンと交配するようです。それ以上になると、減数分裂前にmutagenizeされた生殖細
胞が精子になってしまい、cluster(一個の細胞に由来し同一のmutaionを持つ子孫細
胞)を生じてしまいます。一般的には、 clusteringをさけるために、mutagenizeし
た雄は4−6日くらいでお払い箱にするのがふつうです(EMS処理後に新たに形成さ
れる精子もEMSの影響をうけるということですね)。


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従二 直人 じゅうに なおと
早稲田大学 人間科学部 人間基礎科学科 遺伝学教室(山元研究室 東伏見)
〒202-0021 東京都 保谷市 東伏見2-7-5
JUNI, Naoto, Ph.D.
Yamamoto Lab. at Higashifushimi
Dept. of Genetics, School of Human Sciences, Waseda University
Address: 2-7-5 Higashifushimi, Hoya-shi,Tokyo 202-0021, Japan
Phone: (81) 424-50-5824 Fax: (81) 424-50-5825
e-mail: njuniアットマークmn.waseda.ac.jp
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Date: Tue, 8 Aug 2000 12:37:52 +0900 (JST)
From: biologyアットマークgipwc.shinshu-u.ac.jp (Masahiko Sakaguchi)
Subject: [Jfly] EMS処理前後の雄の事前交尾は有効か?

従二様、布山様。ありがとうございました。

>>一体、既交尾のメスはいつまでオスを拒否し続けるのでしょうか?
>交尾後約1週間です。ただし、非常に狭いスペースに閉じ込めると、
>翌日でも少しは再交尾します。

>,,,ふつう2日ずつ、2回ないし3回、新たにバー
>ジンと交配するようです。それ以上になると、減数分裂前にmutagenizeされた生殖細
>胞が精子になってしまい、cluster(一個の細胞に由来し同一のmutaionを持つ子孫細
>胞)を生じてしまいます。一般的には、 clusteringをさけるために、mutagenizeし
>た雄は4−6日くらいでお払い箱にするのがふつうです(EMS処理後に新たに形成さ
>れる精子もEMSの影響をうけるということですね)。

ということは雄雌同数いれて4-5日交配させておけば、受精した精子はEMS処理時に
成熟していた(少なくともclusteringは起こしてない)ということですね。

1回の交配で1匹の雌の生む卵数はどのくらいでしょか?

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坂口雅彦
〒380-8544 長野市西長野
信州大学 教育学部 理科教育 生物
Tel  026-238-4124 (Direct)
FAX 026-232-5144
E-mail: biologyアットマークgipwc.shinshu-u.ac.jp
http://msakaguchi.shinshu-u.ac.jp/
Masahiko Sakaguchi, Ph.D.
Department of Biology, Faculty of Education,
Shinshu University
Nishinagano, Nagano, 380-8544 JAPAN
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Date: Tue, 08 Aug 2000 14:30:39 +0900
Subject: [Jfly] EMS処理前後の雄の事前交尾は有効か?
From: Naoto JUNI

>
>> ,,,ふつう2日ずつ、2回ないし3回、新たにバー
>> ジンと交配するようです。それ以上になると、減数分裂前にmutagenizeされた生殖細
>> 胞が精子になってしまい、cluster(一個の細胞に由来し同一のmutaionを持つ子孫細
>> 胞)を生じてしまいます。一般的には、 clusteringをさけるために、mutagenizeし
>> た雄は4−6日くらいでお払い箱にするのがふつうです(EMS処理後に新たに形成さ
>> れる精子もEMSの影響をうけるということですね)。
>
> ということは雄雌同数いれて4-5日交配させておけば、受精した精子はEMS処理時に
> 成熟していた(少なくともclusteringは起こしてない)ということですね。
>

正確には、減数分裂後のspermatidが成熟精子に変態する(spermiogenesis)のに5日
前後かかるという事だと思います(文献でチェックしていませんが)。

前投稿中でBloodingとあるのは、Broodingの間違いでした。訂正いたします。
*****
従二


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Date: Tue, 8 Aug 2000 21:39:56 +0900
From: mueyamaアットマークcomp.metro-u.ac.jp (Morio Ueyama)
Subject: [Jfly] Re: EMS処理前後の雄の事前交尾は有効か?

At 12:37 08/08/00 +0900, Masahiko Sakaguchi wrote:
>1回の交配で1匹の雌の生む卵数はどのくらいでしょか?

 見たのは卵の数ではなく子の数なので参考になるかどうかわかりませんが、(複数
の雌雄を4-5日交配させるということなので全然参考にならないかも)たまたまCanto
n-S(野生型)の雌雄の交配で実験をしたのでその結果を書きます。

 平均+-標準誤差=107+-7 (N=39)

 実験方法
  雌は羽化後5日齢のバージン、雄は適当。
  1回交尾させた後、雌のみ餌入りバイアルに1週間入れ産卵させる。
  飼育温度は25度。

 そこからでてきた子の数を調べたものです。

 だいたい100匹ぐらいの子が1回の交尾で生まれるという結果でした。他の系統
は見ていないのでこれが一般的な数字かどうかわかりません。おそらく系統差がかな
りあると思います。

  上 山 盛 夫  :     東京都立大学理学部生物学教室
   Morio Ueyama : Dept. of Biology, Tokyo Metropolitan University
     e-mail :  mueyamaアットマークcomp.metro-u.ac.jp



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Date: Thu, 10 Aug 2000 09:31:58 +0900 (JST)
From: biologyアットマークgipwc.shinshu-u.ac.jp (Masahiko Sakaguchi)
Subject: [Jfly] 1回の交配で1匹の雌の生む卵数

上山 様。ありがとうございました。

> 平均+-標準誤差=107+-7 (N=39)
>
> 実験方法
>  雌は羽化後5日齢のバージン、雄は適当。
>  1回交尾させた後、雌のみ餌入りバイアルに1週間入れ産卵させる。
>  飼育温度は25度。

とすればEMS処理雄1が雌1と1回交尾とすると子100(子雌は約50)。EMS処理で100
は子ができないかもしれませんが。
とすれば、EMS処理雄500用意したのですが、F1雌は5万/2=2万5千。各F1雌から系統
を2万5千確立可能。こんなにいっぺんには処理できないですね。ちょっとやりすぎた
かもしれません。有益な情報どうもありがとうございました。
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坂口雅彦
〒380-8544 長野市西長野
信州大学 教育学部 理科教育 生物
Tel  026-238-4124 (Direct)
FAX 026-232-5144
E-mail: biologyアットマークgipwc.shinshu-u.ac.jp
http://msakaguchi.shinshu-u.ac.jp/
Masahiko Sakaguchi, Ph.D.
Department of Biology, Faculty of Education,
Shinshu University
Nishinagano, Nagano, 380-8544 JAPAN
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