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インジェクションしたあとの形質転換個体を上手に育てる方法


From: Hirotaka Kanuka
Date: Mon, 12 Feb 2001 14:57:21 +0900
Subject: [Jfly] インジェクションその後

Jflyの皆様:
嘉糠@理研です。

インジェクションした後、孵化してくるlarvaを見るのはいつも楽しいものです。通常、僕はlarvaをアルコール消毒したピンセットですくい、エサを流し込んで作った35mmディッシュにそっと移します。そして無事3rd larvaになったものをバイアルに移しています。大方はこれでうまくいってるのですが、毎回解決出来ない小問題に悩んでいます。

(1) larvaがディッシュの壁面を登って、そこで力つき乾いて死んでしまう(諦めるしかないのか?)
(2) ディッシュがぬめぬめのカビでコンタミしやすい(オイルか?一枚のディッシュに多くのlarvaを移し過ぎか?)

どちらもせっかくインジェクションしたlarvaを失うことになって、悲しい限りです。「ウチはこんな感じでやってうまくいってるよ」というのがありましたら、是非教えて下さい。よろしくお願いします。


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嘉糠洋陸 [Hirotaka Kanuka]
kanukaアットマークbrain.riken.go.jp
理化学研究所 脳科学総合研究センター
細胞修復機構研究チーム
〒351-0198埼玉県和光市広沢2-1
TEL:048-467-6945 FAX:048-467-6946
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Date: Tue, 13 Feb 2001 14:38:36 +0900
From: "ANBUTSU, Hisashi"
Subject: [Jfly] インジェクションその後

Jflyの皆様:

生命研 深津グループの安佛と申します。
ショウジョウバエの内部共生微生物Spiroplasmaに関する
研究を行っています。
よろしくお願いいたします。

さて,

> (1) larvaがディッシュの壁面を登って、そこで力つき乾いて死んでしまう(諦めるし
>かないのか?)

とうことですが,私が同様の現象で困った時は
ディッシュをひっくり返してさかさまにしてやることで
かなり改善されました。

すでに試されたかも知れませんが,お役に立てば幸いです。


安佛 尚志
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経済産業省 産業技術総合研究所 生命工学工業技術研究所
生物反応工学部 生物化学工学研究室
深津グループ
〒305-8566 茨城県つくば市東1−1
E-mail: anbutsuアットマークnibh.go.jp
Tel. 0298-61-6087 Fax. 0298-61-6080
(中央省庁改革に伴い2001年1月6日より名称が変わりました)
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Date: Tue, 13 Feb 2001 15:14:05 +0900
From: nikiアットマークmito.ipc.ibaraki.ac.jp (Yuzo Niki)
Subject: [Jfly] インジェクションその後

茨城大学の仁木です。
 当研究室では、孵化した幼虫を抗生物質入りのリンガーでオイルを取り除いた後、
産卵用の寒天に移します。取り出した幼虫を寒天内に埋めてやっても結構。
幼虫の載った寒天の部分をピンセットで小片にして、
抗生物質の入った通常の餌のバイアルにそっと落としてやります。
あとは、ドライイーストを少々加えてやっています。
 以上です。



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Yuzo Niki
Department of Materials and Biological Sciences
Faculty of Science
Ibaraki University
Mito, Ibaraki 310-8512
JAPAN
Telephone: 81-29-228-8380
Facsimile: 81-29-228-8380
E-mail: nikiアットマークmito.ipc.ibaraki.ac.jp


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Date: Tue, 13 Feb 2001 19:16:12 +0900
From: katsumi8951アットマークgeocities.co.jp (Takaira KATSUMI)
Subject: [Jfly] インジェクションその後

高井良 克己@東大西郷研と申します。

At 14:57 01.2.12, Hirotaka Kanuka wrote:
> Jflyの皆様:
> 嘉糠@理研です。
>
> (1) larvaがディッシュの壁面を登って、そこで力つき乾いて死んでしまう(諦めるしかないのか?)

古くなったシリコンオイルを使ってインジェクションを行ったところ、
larvaがビンの壁面に登って全滅したことがありました。
新しいシリコンオイルに取り替えると元のように改善されました。
推測ですが、針を刺すときにembryoに劣化したオイルが入ってしまって
ダメージを与えているのかも知れません。

高井良 克己(Takaira KATSUMI)


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Date: Tue, 13 Feb 2001 20:48:46 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] インジェクションその後

At 2:57 PM +0900 2001.2.12, Hirotaka Kanuka wrote:

> (1) larvaがディッシュの壁面を登って、そこで力つき乾いて死んでしまう
> (諦めるしかないのか?)

ディッシュ内のエサの乾燥などを防ぐため、ディッシュをウェットチャン
バー(タッパーウェアの底にチリ紙をおいて水をひたひたにしたもの)な
どに入れていませんか?エサがカラカラにならないよう、チリ紙にちょっ
と水をかけて湿らせておく程度の処置はやって損はないようですが、あま
り水浸しにして、湿度を上げすぎないほうが良いようです。インジェクショ
ンでなく、BrdU などの幼虫への投与の際に経験した現象ですが、エサを
入れたディッシュの中より外の方が湿度が高いと、幼虫は外に出ていこう
とします。中の方が湿度が高いと、ディッシュ内に留まるようです。カビ
のコンタミも、湿度高すぎの影響はないでしょうか?

いとうκ


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Date: Wed, 14 Feb 2001 08:33:49 +0900
Subject: [Jfly] インジェクションその後
From: Masataka Okabe

岡部@広海研です。

ここ2年くらいtransgenicばかり作っていまして、方法をどんどん簡略化していきま
した。同時に多くのコンストラクトをインジェクションしていると面倒なステップは
省きたくなります。
最近では、孵化したばかりの幼虫を普段使っているえさのバイヤルの中に直接移して
います。カバヤのジューシーと同じ大きさのバイヤルに50〜100匹程度まで入れ
ています。調理したえさ以外にドライイーストを足していません。バイヤルは、ウェッ
トチャンバーには入れていません。いとけいさんの推測があたっているような気がし
ます。ある程度の数幼虫がいると表面のバクテリアも生えにくいようです。幼虫が少
ないと不調になることが多い様です。以前は抗生物質入りのえさを使ってみた事もあ
りましたが、幼虫の生育がよくない印象があり、使用をやめました。羽化が始まる2
日前くらいから、バイヤルを横倒しにしています。そうすると、表面のバクテリアが
生えても、足を滑らした羽化したてのハエがバクテリアまみれになって身動きとれな
くなることを防げます。

まあ、こんなところでしょうか。

岡部
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岡部正隆
国立遺伝学研究所 発生遺伝研究部門
総合研究大学院大学 生命科学研究科
〒411-8540 三島市谷田1111
TEL 0559-81-6809
FAX 0559-81-6768
http://www.nig.ac.jp/labs/DevGen/hiromi-j.html
http://www.nig.ac.jp/jimu/soken/index-j.html

Masataka Okabe M.D.,Ph.D
Division of Developmental Biology
National Institute of Genetics
TEL 81-559-81-6809
FAX 81-559-81-6768

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Date: Wed, 14 Feb 2001 11:40:49 +0900
From: Hiroshi Matsubayashi
Subject: [Jfly] インジェクションその後


京都工芸繊維大学ショウジョウバエ遺伝資源センターの松林です。

うちでは孵化してきた幼虫を小筆の先で救い取り、直接普通にハエを飼っているエサ
瓶に移して羽化するまでほったらかしです。ハロカーボンオイルを特に洗い落とす事
もしていません。重要なのは幼虫の密度で、有る程度高い方がバクテリアも生えにく
く調子は好いです。たしかに瓶壁をのぼってきて死んでしまう個体もいますが諦めて
います。だいたい孵化したもののうち親にまでなるのは50-60%程度でしょうか。昔
の報告を見てもこの程度は幼虫から親までに死んでしまうようなのでこんなものかと
思っています。一番多いのは孵化した直後にエサの上で死んでしまうものです。
参考になれば


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Date: Wed, 14 Feb 2001 12:03:27 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] インジェクションその後

At 11:40 AM +0900 2001.2.14, Hiroshi Matsubayashi wrote:

> うちでは孵化してきた幼虫を小筆の先で救い取り、直接普通にハエを飼っているエサ
> 瓶に移して羽化するまでほったらかしです。

私が「日本で2人目にハエの形質転換をやった」ときは(遠い目・・・)、
この方法でした。予めエサの表面を、箸やスパーテルなどでグサグサつつ
いて「耕して」おくと、弱い幼虫がエサのなかに食い込みやすいようでし
た。ただしこれはカビのコンタミの原因にもなりうる行為なので、耕すた
めの棒はきれいに殺菌しておいた方がいいと思います。

いとうκ


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Date: Wed, 14 Feb 2001 12:24:35 +0900
Subject: [Jfly] インジェクションその後
From: Masataka Okabe


> 私が「日本で2人目にハエの形質転換をやった」ときは(遠い目・・・)、

ちなみに1人目はどなた?

岡部


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Date: Wed, 14 Feb 2001 12:55:57 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] インジェクションその後


At 12:24 PM +0900 2001.2.14, Masataka Okabe wrote:
> ちなみに1人目はどなた?

シマウマ魚に寝返った(?)人

いとうκ


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Date: Wed, 14 Feb 2001 13:06:54 +0900
From: Makoto Nakamura
Subject: [Jfly] インジェクションその後

中村@基生研です、

健康な(?)幼虫がある程度いるということが大切だと思います。
インジェクション後、ハッチしてくる幼虫の数が少ないと、アダルトまでくる歩留ま
りが悪くなります。
ハッチ率はインジェクションの経験値に比例してどんどん上がってきますから、ある
程度の成績が残せるようになるまでは苦労するかもしれません。

wにw+markerのコンストラクトをインジェクションする場合、いっそのこと野生型の
卵(or 幼虫)をhelper係として入れるのも手かもしれません(自分でやったことは
ないです?!)。injection後の世代F0でそれらは直ぐに見分けることができますか
ら、、。

あと、live yeastを加えるのは幼虫の数が少ない場合は注意が必要です(yeastだら
けになる可能性があります)。加えないか、加熱殺菌して少量加えることをお勧めし
ます。Ito Kさんが言われたように、培地を人為的に耕して(ピンセット、竹籤など
で)水を数滴後から加えるのもよいと思います。


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中 村  真
〒444-8585 愛知県岡崎市 明大寺町 字西郷中38 
岡崎国立共同研究機構 基礎生物学研究所
形態形成研究部門
TEL 0564-55-7574
FAX 0564-55-7571
E-mail: mackアットマークnibb.ac.jp
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From: Hirotaka Kanuka
Date: Wed, 14 Feb 2001 14:21:38 +0900
Subject: [Jfly] インジェクションその後

嘉糠@理研です。
みなさん、いろんなご意見をどうも有り難うございます。とても助かります。
ほぼ要約すると、インジェクション後のlarvaの扱いは、”非常に弱い系統の維持”と共通点が多いということですね(そんなのは当たり前だ!とお叱りを受けそうですが)。つまり、

選択肢A:より多くのlarvaを集める(大量に打つ、熟練するetc)
選択肢B:少量のlarvaでもカビが生えないように細心の注意を払う(湿度・器具・オイルetc)

ということになるでしょうか。この中で中村さんの「ヘルパー野生型」は魅力的に思えます。うちは1610(Dr, Sb入り)を使っているので、whiteを適当に飼っておいて、エサが熟し始めたバイアルをlarvaの移し先として利用すると楽ですね。羽化後のエサへのトラップさえ注意すれば、その他の問題は比較的簡単に解決されそうです。万が一忘れて放っておいても、知らぬ間に赤目が出て来るかも・・・!


嘉糠洋陸
kanukaアットマークbrain.riken.go.jp


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Date: Wed, 14 Feb 2001 15:04:33 +0900
From: Akira Nakamura
Subject: [Jfly] インジェクションその後

中村 輝@筑波大・小林研です.

私は,hatchした幼虫を50匹程度/バイアルで飼って,蛹にさせています.幼虫をバ
イアルに移す際には,3X5 mm程度に切った薄手の濾紙に幼虫を移して,オイルを濾紙
に吸収させ,そのまま濾紙ごとバイアルのエサの上にそっと置いています.


そして,蛹の段階で(茶色くなってから),一匹ずつ新しいバイアルに移していま
す.蛹は水溶性のグルーでバイアルの壁にくっついているので,DWでぬらした筆で蛹
のグルーを溶かして新しいバイアルに移します.羽化したばかりのハエは炭酸ガスに
当てると死にやすいので,そうしています.さらに,新しいバイアルで羽化させる
と,どろどろになったエサに(貴重なハエが)トラップされることもなくなります.
ただし,蛹は必ずバイアルの壁にくっつけます.エサの上に落ちた蛹は,カビ・バク
テリアに埋もれて死んでしまいます.同様に,まだ蛹になっていないL3を移すと,エ
サの上に幼虫が這った後をトレースするようにバクテリアが生えてしまいます.

あと,インジェクションしたembryoのhatch率は,ハエのラインによって大きく違う
ような気がします.同じwのラインでも,入手先の違いで,乾燥に強い系統と弱い系
統があるような気がします.私たちのlabでは,未だにコリオンを溶かしたembryoに
インジェクションしているからかもしれませんが....

以上,参考までに....

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Akira Nakamura, PhD.
Assistant Professor

c/o Prof. S. Kobayashi
Gene Experiment Center
University of Tsukuba
Tsukuba, Ibaraki 305-8572
JAPAN

TEL: +81-298-53-7328/6420
FAX: +81-298-53-6006

e-mail: akiranアットマークsakura.cc.tsukuba.ac.jp
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Date: Wed, 14 Feb 2001 17:44:47 +0900
Subject: [Jfly] インジェクションその後
From: Masataka Okabe


> wにw+markerのコンストラクトをインジェクションする場合、いっそのこと野生型の
> 卵(or 幼虫)をhelper係として入れるのも手かもしれません(自分でやったことは
> ないです?!)。injection後の世代F0でそれらは直ぐに見分けることができますか
> ら、、。

うちでは、y wにhelperを使ってinjectionしています。delta2-3の系統よりも卵をよ
く生むので扱いやすいし、またinjectionした卵がすべて親になれるポテンシャルを
持っているわけで、幼虫の数を稼ぐこともできます。親から赤目がとれる頻度に関し
てもdelta2-3よりもよい印象を持っています。1時間あたり160個程度の卵
にinjectionすることができ、1日に数コンストラクト打てます。ちなみに昨日は朝
10時から夕方5時まで打ち続け(昼飯は食べましたが、、)、5コンストラクト打
てました。コンストラクトによりますが、だいたい親3〜4匹に1匹くらいの頻度で
赤目を生みます。

岡部


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Date: Wed, 14 Feb 2001 18:04:50 +0900
Subject: [Jfly] インジェクションその後:補足
From: Masataka Okabe

すみません。
慌てて読んでhelperをhelperDNAと勘違いしました。

私の文はhelperDNAの意味です。
嘉糠君の1610系統(w;Dr/TMS,Sb P[delta2-3 ry+])の使用に対するコメントだと思っ
て下さい。

岡部


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Date: Thu, 15 Feb 2001 11:33:30 +0100
Subject: [Jfly] インジェクションその後
From: Takashi Suzuki

Barry Dickson研の鈴木(崇)です。こっちに留学してみてinjectionの簡単さに驚愕
したので、少しでもみなさんの参考になればと思って書きます。(推測ですが、岡部
さんの方法にかなり似ているのではないかとは思いますが。)

こちらではbleachで殻をむき、デシケーターで濾し取り、フィルター上に筆で並べ、
スライドグラスにくっつけて、シリコンオイルの中で打ちます。エタノール法じゃな
いのであまり最新式だとはいえませんが、テクニシャンの女の子と二人で20分で2
00個(1スライドグラス)打ちます。1時間で600個=1コンストラクトって感
じです。でも成虫になるまでの率は全く高くなく、30−40%でしょうか。赤目の
取れる率も10kbで10バイアルに1ラインでしょうか。幼虫の飼い方も特別なこと
はなく100匹づつぐらいBloomington大のバイアルにyeastのペースト(無滅菌)を
小指の頭大入れて26度で飼っています。乾燥を防ぐことも特にはしていません。だ
いたいみんな10ラインから20ライン、トランスフォーマントを取っているみたい
です。同僚(妻)がときどき取れすぎて赤目をつぶしたくなると言ってたぐらいなの
で、yeastに粘菌みたいなのが生えていることはよくあるのですが、飼い方はあまり
気にならないようです。昔はy wを使っていたみたいですが、単なるwの方が強いとの
ことで今はwです。delta2-3DNAを使ってます。DNAは針のお尻から入れるみたいです。
(あ、これ常識ですか?)

まあ、こんなところです。