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アメリカでも手に入るインジェクション用シリコンオイル
Date: Sun, 25 Mar 2001 21:43:36 -0800
From: Makoto Sato
Subject: [Jfly] インジェクション用シリコンオイル
JFlyの皆様、こんにちは。
佐藤純@Kornberg labです。
環境が変わると信じられないようなことでハマってしまって困ります。
最近インジェクションをしていたのですが、どうもこちらで使っているシリコン
オイル(halocarbon oil)はあまりよろしくないようなのです。
具体的には、このオイルを使うとインジェクションをしていないembryoでも
25度で飼うと100%死んでしまい、18度でもほぼ半分は死んでしまい
ました。オイルを使わなければ90%は生存します。
18度で飼えば可能なるのでしょうが、できれば日本でやっていた
時のように25度でも確実に生存してほしいものです。
そこで質問なのですが、アメリカで手に入るもっと良いシリコンオイルを
ご存じの方がいらっしゃいましたら是非ご連絡下さい。
日本では信越化学工業のフルオロシリコンオイルというのが一般的なよう
ですが、これがこちらで入手可能なのかどうか良くわからないので・・。
(エタノール法を習得した方が早いのかもしれませんが・・)
どうぞよろしくお願いします。
佐藤 純
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Makoto Sato (Kornberg lab)
University of California, San Francisco,
Dept. of Biochemistry, Box0448
HSE 1570, 513 Parnassus,
San Francisco, CA 94143, USA
Phone: 415-476-4963
Fax: 415-476-3892
E-mail: makotosアットマークitsa.ucsf.edu
satoumaアットマークpo.jah.ne.jp
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Date: Wed, 28 Mar 2001 19:31:12 +0900
From: Yasushi Hiromi
Subject: [Jfly] インジェクション用シリコンオイル
Voltalef 10S oil (#170030830) が以下の会社から入手できます.PO Numberを明示
して手紙を書けば,アメリカにも送ってくれます.但し,輸出規制がありますので,
「第3国に持ち出さない」との誓約書を書かされます.
昔(70-80年代)によく使われたのはもっと粘度の高いoil (20S) ですが,私は10Sの
方が好きです.
Elf Atochem
attn. Ms. Anne Geslin
4 cours Michelet
La Defence 10-Cedex 42
92091 Paris La Defence
FRANCE
私はembryoがhatchするまでは18度で飼い,その後25度に移していました.
〒411-8540 静岡県 三島市 谷田 1111
総合研究大学院大学・遺伝学専攻
国立遺伝学研究所
広海 健
電話:0559-81-6767
FAX:0559-81-6768
e-mail:yhiromiアットマークlab.nig.ac.jp
http://www.nig.ac.jp/labs/DevGen/hiromi-j.html
**************************************
Date: Wed, 28 Mar 2001 20:00:15 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] インジェクション用シリコンオイル
At 9:43 PM -0800 2001.3.25, Makoto Sato wrote:
> 環境が変わると信じられないようなことでハマってしまって困ります。
>
> 最近インジェクションをしていたのですが、どうもこちらで使っているシリコン
> オイル(halocarbon oil)はあまりよろしくないようなのです。
オイル系のものは、慣れたものを持っていくとよいかも知れませんね。
私もむかしドイツにいたころ、信越シリコンのオイルを50 ml バイア
ルに1本、日本から送ってもらったことがあります。(信越シリコンの
方が Voltalef 10S より好成績だったような、かすかな記憶もあります
が、天下のインジェクション鉄人・広海さんのノウハウにはかないませ
ん。^^; )
ドイツでラボの同僚がやっていた、DiI を生きた胚の単一ニューロブラ
ストにマイクロキャピラリーで塗って、子孫クローンの細胞群をラベル
する実験では、DiI をサラダ油に溶かすのですが、ドイツで大学の近所
の安売りスーパーで買ったサラダ油だと大丈夫だったのに、アメリカに
行ってやってみたらぜんぜん駄目で、「大至急スーパーでサラダ油を買っ
て送ってくれ」というメールが来た、なんてことがありました。
Martin Heisenberg のラボの人が中国でハエの学習実験を指導するた
めに、ドイツから学習異常の突然変異系統一式を携えて半年間だか中国
の大学に滞在し、学習アッセイをやってみせたら、エサのレシピも全部
同じに揃えたのに、ハエがちゃんと学習してしまって、学習異常の表現
型が全然出ない。困ったあげく、エサの原料を全部ドイツのいつものス
トックを送ってもらって、それでエサを作ってハエを育てたら、やっと
学習異常の表現型を示してくれた。どうもドイツの食材に比べ、中華の
食材は頭の健康に良すぎるらしい?? なんて話も聞いたことがありま
す。
いとうκ
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Date: Thu, 29 Mar 2001 00:44:42 -0800
From: Makoto Sato
Subject: [Jfly] インジェクション用シリコンオイル
広海先生、いとけい様、
コメントありがとうございます。
他のラボの人はVoltalefでもハロカーボンでも同様にうまく行くと言っていたので、
新しいオイルを注文したり、オイルの量をもっと少なくしたりしてもう少し検討
してみるつもりです(酸欠を防ぐため)。
ただしいろいろな方の意見を総合すると、これらの点を解決したとしても信越シリコン
ほどのハッチ率は期待できないような気はするのですが・・・。
佐藤 純
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Makoto Sato (Kornberg lab)
University of California, San Francisco,
Dept. of Biochemistry, Box0448
HSE 1570, 513 Parnassus,
San Francisco, CA 94143, USA
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E-mail: makotosアットマークitsa.ucsf.edu
satoumaアットマークpo.jah.ne.jp
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Date: Thu, 29 Mar 2001 10:34:43 -0800
From: yutaka nibu
Subject: [Jfly] インジェクション用シリコンオイル
佐藤さま。
はじめまして。
University of California at BerkeleyのMike Levine研のポスドクしています。
私もルーティンで初期胚にインジェクションしています。
我々は、Halocarbon 200 (cas#9002-83-9)を使用しています。
このオイルで、ハッチ率で問題になったことはないです。インジェクション後、平均
50%(良いときで80%以上)のエンブリオがハッチします。インジェクション時に、乾
燥の不十分や発生しすぎで殺さないといけないのも入れてです。正味60から70%以上
と言うところだと思います。
さて、一度だけオイルでハッチ率が問題になったときがあります。テクニシャンが間
違えたオイルを注文したときです。そのオイルは、Halocarbonの700でした。この時
のハッチ率は、10%以下でした。粘性の違いにより、ハッチ率が変わるのには驚きま
した。
ご参考になれば、嬉しいです。
二歩 裕 (Yutaka Nibu)
----------------------------------------
研究室
401 Barker Hall #3204, c/o Dr. Mickael Levine
Dept. MCB, University of California
Berkeley, CA 94720-3204, USA
Tel +1- 510-642-5007
Fax +1-510-643-6334
e-mail nibuアットマークuclink4.berkeley.edu(日本語可)
-----------------------------------------
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Date: Thu, 29 Mar 2001 14:54:32 -0800
From: Makoto Sato
Subject: [Jfly] インジェクション用シリコンオイル
二歩様、
本当ですか?うちで使っているのはそのHalocarbonの700です。
今日新しいHalocarbon700が届いたところなんです・・(笑)。
ですが、他のラボでも700を使っていて全く問題はないと言っていましたから・・。
一体どういうことなんでしょうか?
実はエタノール法をちょっと試してみたのですが、インジェクション自体は
いとも簡単にできてしまって驚いています。今ちょうどハッチしてくるのを
待っているところで、これでうまくいったら完全にエタノール法にして
しまおうかと思っています。こんなのでうまくいったら大笑いなんですけど・・。
念のために室温で飼っているのですが、たぶん25度でも大丈夫ですよね?
佐藤 純
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Makoto Sato (Kornberg lab)
University of California, San Francisco,
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Date: Thu, 29 Mar 2001 17:38:07 -0800
From: yutaka nibu
Subject: [Jfly] インジェクション用シリコンオイル
佐藤さま。
Levine研では、本当に(笑)Halocarbon 200で問題ないです。700については、私自
身の経験ではなく、ここの研究室にいた日本人と中国人のポスドクの経験です。
700の時のハッチ率は10%以下と言っていた(叫んでいた)と記憶しています。この時
の研究室の状況から推察すると、ハッチ率を悪く言う可能性は十分に考えられます
が、、、。と言うのが、間違えて700を購入したテクニシャンは、Halocarbon 200は
もう売っていないと主張していたので、失敗を大げさに言う必要があったのかもしれ
ません。これを差し引いて高く見積もっても700のハッチ率は、200よりかなり悪かっ
た(多分30%以下)のだと思います。23から25度でインジェクションをして、その温
度のまま飼ってのハッチ率です。もちろん彼らは、この時までに200個以上のコンス
トラクトをインジェクションしてた経験豊富な人たちです。また、Levine研のlow
technologyでもハッチ率がHalocarbon 200で、ほとんどの場合80%以上になる精密機
械のような人たちでした。私のような、インジェクションの上手くない人間でも平均
50%のハッチ率が得られます。きっと200と700の組成?か粘性?が違うためエンブリ
オに良くないのでしょうが、700がダメな理由は分かりません。
ちなみに、Halocarbon 700と Halocarbon 27を3:1で混ぜて使う研究室もあるようです。
もし、お急ぎでしたらHalocarbon 200は、直ぐに送りますよ(もしくは、バークレイ
まで取りに来て下さい)。
ちなみに、エタノール法とは、どうやるのですか?
もし、お時間があれば教えて下さい。
二歩 裕 (Yutaka Nibu)
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研究室
401 Barker Hall #3204, c/o Dr. Mickael Levine
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Berkeley, CA 94720-3204, USA
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Date: Fri, 30 Mar 2001 12:34:47 +0900
From: "Murata, T. (RIKEN Tsukuba)"
Subject: [Jfly] インジェクション用シリコンオイル
二歩さん
個人的に来たメールへの返事から起こしたものですが、ご参考までにどうぞ。
下記のところに置いています。閲覧できない場合は、ご連絡下さい。
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/2002/fly/tools.html#injection
At 5:38 PM -0800 01.3.29, yutaka nibu wrote:
>ちなみに、エタノール法とは、どうやるのですか?
--
//
Takehide MuraTa Ph. D.
e-mail: tmurataアットマークrtc.riken.go.jp
personal HP: http://www.rtc.riken.go.jp
phone: +81-298-36-3612, fax: +81-298-36-9120
Tsukuba Institute,RIKEN
Tsukuba Science City, Ibaraki 305-0074, Japan.
>>>> Japanese Address <<<<
村田 武英,研究員
305-0074 茨城県 つくば市 高野台 3-1-1
理化学研究所 筑波研究所
//
**************************************
Date: Fri, 30 Mar 2001 12:59:09 -0800
From: Makoto Sato
Subject: [Jfly] インジェクション用シリコンオイル
佐藤 純です。
インジェクションですが、エタノール法で打ってみたembryoは28匹中
20匹の率でハッチしてきました。かなり適当にやって、しかもDNAも多めに
打ってこの率はかなり良いと思われます。
というわけで、今後はエタノール法でやってしまいます。
JFlyの皆様、いろいろなアドバイスどうもありがとうございました。
非常に勉強になりました(いろいろな意味で!)。
村田さんのプロトコールも活用させていただきました。
私は針の設定も、マニピュレーターの角度も通常の方法となにも変えずに
やっていますが、これでもとりあえず大丈夫みたいです。
ちなみに、私は従来の方法でインジェクションするときもDNAを多めに
打ち込んでハッチ率が低くても気にしないという方針でやっていました。こうすると
最終的な赤目の取れる打率がとても高くなります。ハエを飼う労力も減らせます。
複数のPが入ってしまうというリスクはありますが、トランスフォーマントを
取るのが目的ならば、インジェクション後のハッチ率はあまり重要ではないかも
しれません。・・これは蛇足ですが。
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Makoto Sato (Kornberg lab)
University of California, San Francisco,
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