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卵の抗体染色用/in situ 染色に適当な固定法
From: "Yukio Nakamura"
Subject: [Jfly] ovaryの染色
Date: Tue, 13 Mar 2001 11:20:16 +0900
東京理科大学の中村と申します。
現在、ショウジョウバエ卵の研究をしているのですが、
このショウジョウバエ卵を抗体染色する方法について、
お聞きしたいことがあります。
抗体染色の方法を知るために、科学論文をいくつか見た所、
固定方法などが一定でありませんでした。
どのような方法が適切であるか、宜しかったら教えて頂けないでしょうか?
また、ショウジョウバエ卵のin situ ハイブリダイゼーション法で、
検出するシグナルを強くし、バックグラウンドを減らす方法がありましたら、
そちらの方も宜しくお願い致します。
私の場合、NBT/BCIPでの反応後、エタノール系列で脱水し、
最後に、キシレンに浸しています。これにより、シグナルは強くなったように
観察されるのですが、バックグラウンドも出ているようなのです。また、この後、
50%パラマウントでマウントをしているのですが、他に良いものはあるのでしょうか?
中村征史
東京理科大学生物工学科松野研究室
TEL: 81-471-24-1501 (ext.4401)
FAX: 81-471-25-1841
E-mail: j8397058アットマークed.noda.sut.ac.jp
**************************************
Date: Tue, 13 Mar 2001 08:52:56 +0000
Subject: [Jfly] ovaryの染色
From: Fumihiko Hamada
> このショウジョウバエ卵を抗体染色する方法について、
> お聞きしたいことがあります。
> 抗体染色の方法を知るために、科学論文をいくつか見た所、
> 固定方法などが一定でありませんでした。
> どのような方法が適切であるか、宜しかったら教えて頂けないでしょうか?
4% paraformaldehyde 0.1% Tween20 PBS 20 min RT
あるいは
3.7% formaldehyde 0.1% Tween20 PBS 20 min RT
私の場合、どちらの方法でも問題なく ovary (egg chamber) が染まりました。
はまだふみひこ
************************************
Fumihiko Hamada
MRC Laboratory of Molecular Biology
Hills Road
Cambridge, CB2 2QH
United Kingdom
Phone +44 (1223) 402 026
FAX +44 (1223) 412 142
E-mail hamadaアットマークmrc-lmb.cam.ac.uk
************************************
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Date: Tue, 13 Mar 2001 18:41:41 +0900
Subject: [Jfly] ovaryの染色
From: Naoto JUNI
on 3/13/01 11:20 AM, Yukio Nakamura at j8397058アットマークed.noda.sut.ac.jp wrote:
> また、ショウジョウバエ卵のin situ ハイブリダイゼーション法で、
> 検出するシグナルを強くし、バックグラウンドを減らす方法がありましたら、
> そちらの方も宜しくお願い致します。
> 私の場合、NBT/BCIPでの反応後、エタノール系列で脱水し、
> 最後に、キシレンに浸しています。これにより、シグナルは強くなったように
> 観察されるのですが、バックグラウンドも出ているようなのです。また、この後、
> 50%パラマウントでマウントをしているのですが、他に良いものはあるのでしょうか?
一般的に言って、NBT/BCIPから生じる有色沈殿は有機溶媒に溶けるので、キシレンや
有機溶媒系のマウント剤は禁物なのでは? マウント直後はいいかもしれませんが、
すぐにでも、にじみや退色を起こすおそれがあります。無難なところでは、グリセロー
ルシリーズでアップしてグリセロールマウント(80 % glycerol) でしょうか。ノマ
ルスキーで観察するときなど、キシレンで透徹すると屈折率が低すぎてかえって見づ
らいことがありますが、グリセロールなら程良い屈折率が得られるというのも、よい
点だと思います。
ご質問の主旨に関して、本質的なアドバイスは、その道のエキスパートの方々にお任
せしましょう。
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従二 直人 じゅうに なおと
早稲田大学 人間科学部 人間基礎科学科 遺伝学教室(山元研究室 東伏見)
〒202-0021 東京都 西東京市 東伏見2-7-5
Phone: 0424-50-5824 Fax: 0424-50-5825
e-mail: njuniアットマークmn.waseda.ac.jp
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From: Kayoko Sakurai
Subject: [Jfly] [Jfly] RE: ovaryの染色
Date: Tue, 13 Mar 2001 19:46:22 +0900
はじめまして。都立大の桜井というものです。
ロシュが配布している「in situ ハイブリダイゼーション応用マニュアル」に、
ポリビニルアルコールを利用したBCIP-NBT反応のシグナル増強法が載っています。
マニュアルでは植物の組織切片に対して行っていますが、そのままハエの成虫原基に
応用可能でした。
有機溶媒で脱水する方法よりクリアなシグナルが得られます。
お薦めの方法ですがovaryでは試していません。
原理としては、高分子(40〜100kDa)ポリビニルアルコール(PVA)をBCIP-NBT反応
に加えることにより
Medium中に拡散しやすい中間体(formazan)の拡散を防ぎ
バックグラウンドの増加なしにシグナルを増強することが出来る、というものです。
以下、概要を記載します:
1. Tris-NaCl-PVA stock solutionを作成する。100mM NaClを含む100mM
Tris-HCl(pH9.5)を90℃に熱し、
PVA(40kDaまたは70〜100kDa、Sigma)を溶解して終濃度10%(w/v)とする。
室温で保存。
2. Tris-NaCl-PVA stock solution 1mlに、1M MgCl2 500ml、NBT 4.5ml、BCIP 3.5ml
を加え、最終発色液とする。
(この時点で粘性はかなり高いです)
3. サンプルを発色系のstaining bufferに置き換えた後、最終発色液にサンプルを入
れ、暗所で発色させる。
Reference: DeBlock,M;Debrouwer,D. (1993) RNA-RNA in situ hybridization using
digoxigenin-labeled probes: the use of high molecular weight polyvinyl
alcohol in the alkaline phosphatase indoxyl-nitroblue tetrazolium reaction.
Anal.Biochem.215,86-89.
*******************************************************
桜井 香代子
東京都立大学大学院 理学研究科 生物科学専攻 生化学研究室
Tel: 0426-77-2570
Fax: 0426-77-2559
E-mail: kayoアットマークcomp.metro-u.ac.jp
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From: Kayoko Sakurai
Subject: [Jfly] 訂正: RE: ovaryの染色
Date: Wed, 14 Mar 2001 10:02:42 +0900
都立大学の桜井です。
先ほどお送りしたメールに誤りがありました。
stock solutionにMaCl2とNBT,BCIPを加える段階で、
正しくは1M MgCl2 50μl (終濃度 50mM)、NBT 4.5μl、BCIP 3.5μl です。
================数ヶ月後===============
From: "Yukio Nakamura"
Subject: [Jfly] ovaryの抗体染色
Date: Tue, 8 May 2001 15:09:23 +0900
東京理科大学の中村と申します。
以前、ovaryの抗体染色についてお聞きし、染色を続けてきたのですが、
うまく染色がされません。
例えば、抗体が浸透していないせいか、周りのコリオンだけが染まってしまったり、
あるいは、染色が全く起こらず、egg chamberは半透明のままであったりです。
私が染色を行なっている抗体は、SIGMA, No.M8159の
monoclonal anti-MAP kinase, activated(di-phosphorylated ERK-1&2)(mouse IgG
isotype)です。
私のプロトコールは、以下の通りです。
1、2日間yeastを食べさせたメス5匹をPBTw(PBS+0.1%Tween20)内で、解剖し、ovay
を取り出す。
2、そのまま4%formaldehyde(ME free)/PBTwで20min固定。
3、PBTwで3回wash。
4、PBTw中で、ovaryからovarioleに、そして各egg chamberごとに、分ける。
ここで、1.5mlエッペンチューブに移します。
5、ME, 3×5min洗浄。
6、ME中で-20℃、一晩。
7、PBTw, 3×10min洗浄。
8、5%NGS/PBTw, 40min。
9、anti-dpERK抗体(1/200希釈)/PBTw, RT, 2hr。
10、PBTw, 3×10min洗浄。
ここからは、DAB染色を行なっています。
11、ビオチン標識抗マウスIgG, 1hr。
12、PBTw, 3×10min洗浄。
13、アビジンDH/ビオチン化ペルオキシダーゼ, 40min。
14、PBTw, 3×5min洗浄。
15、0.5mg/ml DAB/PBTw, 10min。
16、終濃度0.03%になるように、hydroxy peroxidを加える。
発色反応開始
17、0.02%アジ化ナトリウム/PBTwで洗浄・反応停止。
基本的には、以上のプロトコールで染色を行なっておりますが、
多くの論文では、このanti-dpERK抗体を4℃で一晩、反応させていましたので、
それに習いそのようにすると、全く抗体が浸透していないような状態であります。
また、発色反応においては、どんなに長くしても、
特異的なシグナルもバックグラウンドも出てこない状況です。
どのような改善をしたら、egg chamberでの抗体染色によるシグナルを得られる事が
できますか?
どなたか良いアドバイスを待っております。
宜しかったら、egg chamberの抗体染色のプロトコールを教えてもらいたいのです
が。
お願い致します。
中村征史
東京理科大学基礎工学研究科生物工学専攻
松野研究室
Yukio Nakamura
Science University of Tokyo
Department of Biological Science and Technology
Yamazaki, Noda, Chiba 278-8510, Japan
TEL: 81-471-24-1501 (ext.4401)
FAX: 81-471-25-1841
E-mail: j8301628アットマークed.noda.sut.ac.jp
**************************************
Date: Tue, 8 May 2001 16:40:27 +0900
From: Tomokazu Ohshiro
Subject: [Jfly] ovaryの抗体染色
At 3:09 PM +0900 01.5.8, Yukio Nakamura wrote:
>東京理科大学の中村と申します。
>以前、ovaryの抗体染色についてお聞きし、染色を続けてきたのですが、
>うまく染色がされません。
>例えば、抗体が浸透していないせいか、周りのコリオンだけが染まってしまったり、
>あるいは、染色が全く起こらず、egg chamberは半透明のままであったりです。
>私が染色を行なっている抗体は、SIGMA, No.M8159の
>monoclonal anti-MAP kinase, activated(di-phosphorylated ERK-1&2)(mouse IgG
>isotype)です。
>
>私のプロトコールは、以下の通りです。
>1、2日間yeastを食べさせたメス5匹をPBTw(PBS+0.1%Tween20)内で、解剖し、ovay
>を取り出す。
>2、そのまま4%formaldehyde(ME free)/PBTwで20min固定。
>3、PBTwで3回wash。
>4、PBTw中で、ovaryからovarioleに、そして各egg chamberごとに、分ける。
>ここで、1.5mlエッペンチューブに移します。
>5、ME, 3×5min洗浄。
>6、ME中で-20℃、一晩。
>7、PBTw, 3×10min洗浄。
>8、5%NGS/PBTw, 40min。
>9、anti-dpERK抗体(1/200希釈)/PBTw, RT, 2hr。
>10、PBTw, 3×10min洗浄。
>ここからは、DAB染色を行なっています。
>11、ビオチン標識抗マウスIgG, 1hr。
>12、PBTw, 3×10min洗浄。
>13、アビジンDH/ビオチン化ペルオキシダーゼ, 40min。
>14、PBTw, 3×5min洗浄。
>15、0.5mg/ml DAB/PBTw, 10min。
>16、終濃度0.03%になるように、hydroxy peroxidを加える。
>発色反応開始
>17、0.02%アジ化ナトリウム/PBTwで洗浄・反応停止。
まさかとは思いますが、ステップ10以降ステップ16までに0.02%アジ化ナトリウ
ム/PBTwは使っていませんか?
おはずかしいお話ですが私は以前、アジ化ナトリウムがペルオキシダーゼを強力に阻
害することを知らずに、たまたまそばにあったアジ化ナトリウム/PBTwを発色前に
wash で使ったことがあって、その時は見事にバックグランドすら染まりませんでし
た。
ポイントがずれていたらすいません。
大城 朝一
東北大学 加齢医学研究所
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From: "Yukio Nakamura"
Subject: [Jfly] RE: [Jfly] ovaryの抗体染色
Date: Tue, 8 May 2001 17:26:50 +0900
>まさかとは思いますが、ステップ10以降ステップ16までに0.02%アジ化ナトリウ
>ム/PBTwは使っていませんか?
>おはずかしいお話ですが私は以前、アジ化ナトリウムがペルオキシダーゼを強力に
阻
>害することを知らずに、たまたまそばにあったアジ化ナトリウム/PBTwを発色前に
>wash で使ったことがあって、その時は見事にバックグランドすら染まりませんでし
>た。
大城さん、ありがとうございます。
私がアジ化ナトリウムを加えるのは、最終的に発色反応を停止する時のみです。
ですから、その問題は回避できていると考えられます。
どんなささいな注意点でもありましたら、また宜しくお願いします。
中村征史
東京理科大学基礎工学研究科生物工学専攻
松野研究室
Yukio Nakamura
Science University of Tokyo
Department of Biological Science and Technology
Yamazaki, Noda, Chiba 278-8510, Japan
TEL: 81-471-24-1501 (ext.4401)
FAX: 81-471-25-1841
E-mail: j8301628アットマークed.noda.sut.ac.jp
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Date: Wed, 9 May 2001 14:29:43 -0700
From: Makoto Sato
Subject: [Jfly] Re: ovaryの抗体染色
佐藤@UCSFです。
まずanti-dpMAPKですが、私の印象ではこの抗体は固定が強い方がよく染まるようです。
discを染色しているのですが、いつも8%paraformaldehyde/PBS
で30分固定しています。抗体濃度は2000倍です。
良く染まることは染まるのですが、同時に染めたdiscどうし、もしくは一つのdiscの
中でも
シグナルの強さにばらつきがあることが多いです。何故かはわかりませんが、元々の
shiloのscienceのペーパーにもdiscでは結果が安定しないようなことが書いてあった
と思います。
というわけでovaryではどうかわかりませんが、anti-dpMAPKを使っているからという
可能性も考えられます。他の抗体も試してみてはいかがでしょうか??
ovaryの染色のプロトコールについてですが、私がやったときはdiscと同じで、
PBS中でdissect
4%Paraformaldehyde/PBSで20min 固定(ovarioleまでほぐす)
0.5%NP40/PBSで30min incubate(ovarioleを覆う膜をおおざっぱにのぞく)
PBSでwash
8%NGS/PBTw で室温30min
一次抗体(室温1~2hr)
・・以下同様
というようにやりました(おおざっぱというところが苦しいですが・・)。
中村さんのプロトコールではdetergentが弱いような気がします。
固定後に強いdetergentで処理してはいかがでしょうか?
また、obarioleを覆う膜がぴったりくっついているとそこのegg chamberだけが全く
染まらないということがあります。かといって膜を完全にのぞくとその後の
染色がやりずらいので、egg chamberが切り離されない程度に膜をのぞくorほぐしま
した。
膜の中に抗体が入るようにすることが重要だと思います。
と偉そうなことを書きましたが、私もちょっとやってみた程度なのでもっと良い方法が
あるかもしれません・・。
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Makoto Sato (Kornberg lab)
University of California, San Francisco,
Dept. of Biochemistry, Box0448
HSE 1570, 513 Parnassus,
San Francisco, CA 94143, USA
Phone: 415-476-4963
Fax: 415-476-3892
E-mail: makotosアットマークitsa.ucsf.edu
satoumaアットマークpo.jah.ne.jp
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