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GAL4の正式名称は?


From: saitoeアットマークtmin.ac.jp
Date: Wed, 04 Jul 2001 11:19:11 +0900
Subject: [Jfly] spell out GAL4?

Jflyの皆様、
東京都神経研の齊藤です。

無知をさらけ出すようで恥ずかしいのですが、GAL4の正式名をご存じでしょ
うか?
教えてください。

齊藤 実
東京都神経科学総合研究所
分子神経生理部門


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Date: Wed, 4 Jul 2001 12:50:36 +0900
From: Kazushige Hamada
Subject: [Jfly] spell out GAL4?


Saccharomyces cerevisiae の遺伝子あるいはその産物としてのGAL4でしたら
何かの省略形ではなく、GAL4が正式名のはずですが。






濱田@京都工芸繊維大学


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Date: Wed, 04 Jul 2001 13:26:42 +0900
Subject: [Jfly] spell out GAL4?
From: Naoto JUNI

もともと、S. cerevisiaeの遺伝子名ですから、正式名もGAL4でいいのではないでしょ
うか。
Trends in Geneticsの付録のgenetic nomenclature guideを見ると、Drosophilaのよ
うに、Full gene namesとGene symbolsの区別がある生物(ほかに、ヒト、マウス、
C. elegance, Arabidopsisなどなど)と、酵母や細菌類の多くのようにGene symbols
だけしかない生物があります。

Saccharomyces genome database:
http://genome-www.stanford.edu/Saccharomyces/
を見ても、

standard name: GAL4

となっています。
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従二 直人 じゅうに なおと
早稲田大学 人間科学部 人間基礎科学科 遺伝学教室(山元研究室 東伏見)
〒202-0021 東京都 西東京市 東伏見2-7-5
Phone: 0424-50-5824 Fax: 0424-50-5825
e-mail: njuniアットマークmn.waseda.ac.jp
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From: "Shigeo Hayashi"
Subject: [Jfly] RE: [Jfly] spell out GAL4?
Date: Wed, 4 Jul 2001 13:45:25 +0900

> 酵母や細菌類の多くのようにGene symbolsだけしかない生物があります。

 ああいった味気ない名前ばかりを使っているとなんだか気分まで殺伐としてきます
ねー。私はハエをやっていてホントによかったと思います。
 あっ、その分野の方がご覧になっていたらお許しを。

林 茂生


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Date: Wed, 4 Jul 2001 16:03:39 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] RE: [Jfly] spell out GAL4?

JAL でなく GAL といえば、インドネシアのガルーダ航空だろうと
思って辞書を引いてみたら、Garuda Air Lines ではなく、Garuda
Indonesian Airways で略称も GIA でした。

> > 酵母や細菌類の多くのようにGene symbolsだけしかない生物があります。
>
>  ああいった味気ない名前ばかりを使っているとなんだか気分まで殺伐としてきます
> ねー。

殺伐もですが、unc ○○ と unc ×× がインタラクトして、、、みたい
に数字違いの名前が沢山出てくると、どれが何だか、すぐこんがらかっ
てしまいますね。コンピューター処理が進んでも、人間の名前は背番号
や電話番号にならず、いつまでも文学的文字列であり続けるだろうと確
信しました。(あ、二郎さんや三郎さん、ごめんなさい。)

GAL4 系統も、数字が違うだけの系統が多くて閉口します。受験生のこ
ろの歴史の年号丸暗記の悪夢が甦ります。ハエの遺伝子名やアメリカの
台風の名前に倣って、系統名を Peter とか Jane とか、ぜんぶ人名にす
るのはいかがでしょう?  ^^;

いとうκ


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From: saitoeアットマークtmin.ac.jp
Date: Wed, 04 Jul 2001 16:56:25 +0900
Subject: [Jfly] spell out GAL4?
Reply-To: jflyアットマークnibb.ac.jp

なるほど、、
GAL4はGAL4なんですね(妙に納得)。
論文のゲラで「GAL4をちゃんとspell outせよ。」といわれたもので
「ハテ?」といままで訳も分からず使っていたことに、後頭部を埴輪で殴られたような衝
撃が走りました。
「yeast transcription activator、GAL4はstandard nameであり、インドネシアのガルー
ダ航空の略ではない!」と受け売りながらeditorを諭しておきます。皆様ありがとうござ
いました。

齊藤 実
東京都神経科学総合研究所
分子神経生理部門

Naoto JUNI wrote:


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Date: Wed, 4 Jul 2001 22:19:29 +0900
From: Tomokazu Ohshiro
Subject: [Jfly] RE: [Jfly] spell out GAL4?


>殺伐もですが、unc ○○ と unc ×× がインタラクトして、、、みたい
>に数字違いの名前が沢山出てくると、どれが何だか、すぐこんがらかっ
>てしまいますね。コンピューター処理が進んでも、人間の名前は背番号
>や電話番号にならず、いつまでも文学的文字列であり続けるだろうと確
>信しました。(あ、二郎さんや三郎さん、ごめんなさい。)
>
>GAL4 系統も、数字が違うだけの系統が多くて閉口します。受験生のこ
>ろの歴史の年号丸暗記の悪夢が甦ります。ハエの遺伝子名やアメリカの
>台風の名前に倣って、系統名を Peter とか Jane とか、ぜんぶ人名にす
>るのはいかがでしょう?  ^^;

話はそれますが。。。

遺伝子名にはMiranda やProspero など人名が既にありますが、このネーミング
に名指しでいちゃもんつけた投書が以前有りました(Nature 1997 Vol 389, 1)。
asymmetric cell division とシェークスピアのThe Tempest がどう関係あるのか理解
に苦しむそうです。ましてやnumbやinscuteableはThe Tempest のどこに出てくるだ!
だそうです(prospero 遺伝子とは独立に見つかったのだからしようがないのにね)。

Prospero 遺伝子みたいに歴史的に早く見い出され、(当時は)まだよく
本質が理解されていないものについてのネーミングは結構気紛れでつけられても
いいのではないかと私は思います。実際はこの遺伝子の発見者の一人である
C.Doe の奥さん(文学者らしい)のアイディアらしいです。Mirandaはもちろん
Prosperoのひっかけです。しかしgiant larvae は彼等とは無関係です。
(でも本当はtempest と命名したろかと思っていましたが)。名前の由来は知ると
おもしろいですが、意味はあまりないことも多いです。

いまだに cdc24とcdc42 を混乱してしまう私は、ハエ流の(まさに文学的)命名法
のほうが好きです。数字の羅列よりもずっと憶えやすいしね。
蛇足ですが、Nusslein とWiechausらのネーミングはよくネタが尽きなかったなあ。


大城 朝一

東北大加齢医学研究所


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Date: Wed, 04 Jul 2001 23:10:19 +0900
Subject: [Jfly] RE: [Jfly] spell out GAL4?
From: Tadashi Uemura

on 01.7.4 10:19 PM, Tomokazu Ohshiro at tohshiroアットマークidac.tohoku.ac.jp wrote:

> 遺伝子名にはMiranda やProspero など人名が既にありますが、このネーミング
> に名指しでいちゃもんつけた投書が以前有りました(Nature 1997 Vol 389, 1)。

ご存じの方も多いと思いますが、上記の Nature の記事(署名なし)に対して、Yuh
Nung Jan が真っ向から冷静にそして厳しい反論を投稿してます (Nature 389, 665)。

> いまだに cdc24とcdc42 を混乱してしまう私は、ハエ流の(まさに文学的)命名法
> のほうが好きです。数字の羅列よりもずっと憶えやすいしね。

この点を含めて、「冷静な」論点は三つあります。

「厳しい反論」と私が書いたのは、その記事の最後に、「ある人にとっての古典の素
養は、別の人にとっては低いレベルのたわ言に過ぎない。」とあること(私はこれを
読んで少し安心した)、さらには、Nature の記事を書いた人(署名がなくてこの人
は救われている)の教養のなさを、Yuh Nung が痛烈に皮肉っているからです。もっ
とも私自身の教養では、Yuh Nung の記事の一部は理解できてません。

この一連のメールは、林さんのセリフが引きがねですが、林さん自身、分裂酵母がサ
イエンスの初体験だったわけです。よほど悪夢を見たか? 当時、横にいた私にはそ
うは見えず、地獄の体験をしたのは私自身だったと理解してます。

上村匡


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Date: Wed, 4 Jul 2001 14:19:02 -0700
From: Tetsuya Tabata
Subject: [Jfly] spell out GAL4?

> > 酵母や細菌類の多くのようにGene symbolsだけしかない生物があります。
>
> ああいった味気ない名前ばかりを使っているとなんだか気分まで殺伐としてきます
>ねー。私はハエをやっていてホントによかったと思います。
> あっ、その分野の方がご覧になっていたらお許しを。
>
>林 茂生

少し前になりますが、Peter Lawrenceが(名前そのものではありませんが)最近の論
文のfashionについて彼一流の一文を寄せていましたね。
nature reviews genetics 2:139-142 (2001)

多羽田哲也

Tetsuya Tabata
Institute of Molecular and Cellular Biosciences
University of Tokyo
Yayoi 1-1-1
Tokyo, 113-0032
Japan
Phone:+81 (Japan)- 3-5841-7886
FAX: +81 (Japan)- 3-5841-8479
Email:ttabataアットマークims.u-tokyo.ac.jp


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From: "Shigeo Hayashi"
Subject: [Jfly] RE: [Jfly] RE: [Jfly] spell out GAL4?
Date: Thu, 5 Jul 2001 10:47:40 +0900

> この一連のメールは、林さんのセリフが引きがねですが、林さん自身、分裂酵母が
> サ
> イエンスの初体験だったわけです。よほど悪夢を見たか? 当時、横にいた私には

> うは見えず、地獄の体験をしたのは私自身だったと理解してます。

 当時(20年前!)は悪夢とは思いませんでした。が、その後の研究の流れを見る
とデジタルな割り切り方をすることで研究の決着をみるスタイルが主流になってお
り、遺伝子名の記号化がその流れの促進に一役買っていると思います。それは結構な
ことではありますが記号を矢印でつないだシェーマが厳密な論証にすり替えられる危
険性には心しなければいけません。
 愛着のもてる文学的な名前をもった遺伝子たちがアナログ的な捉え方の大事さを思
い起こさせてくれるハエの分野にいる私たちは幸いだと感じています。

林 茂生


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Date: Thu, 5 Jul 2001 11:13:01 +0900 (JST)
From: biologyアットマークgipwc.shinshu-u.ac.jp (Masahiko Sakaguchi)
Subject: [Jfly] Re: spell out GAL4?

>>遺伝子名にはMiranda やProspero など人名が既にありますが、このネーミング
>> に名指しでいちゃもんつけた投書が以前有りました(Nature 1997 Vol 389, 1)。

>ご存じの方も多いと思いますが、上記の Nature の記事(署名なし)に対して、Yuh
>Nung Jan が真っ向から冷静にそして厳しい反論を投稿してます (Nature 389, 665)。

それで、結局、学界のコンセンサスとしては、自由に人の名前をつけていいというこ
とになっているのでしょうか?グロテスクな形態を示す変異や学習能力異常変異に自
分の名前(と同じ)がついていたらちょっとショックかなと、、。

人の名前ということで、話は大幅にずれますが、今週末からの国際発生生物学会のab
stractをのせたDGDが郵送されてきましたが、うしろのauthor indexをみてたら同性
で名前の頭文字が同じ方が1つに扱われているのを見つけました。

Ohta K. S79, S123(2名で私の知り合いがそのうちの1名)
Ito K. S104,S118(いとけいさんともうお一人)

これも本人はいやなお気持かな?
-----------------------------------------------------
坂口雅彦
〒380-8544 長野市西長野
信州大学 教育学部 理科教育 生物
Tel 026-238-4124 (Direct)
FAX 026-234-5540(庶務係FAX)
E-mail: biologyアットマークgipwc.shinshu-u.ac.jp
http://msakaguchi.shinshu-u.ac.jp/
Masahiko Sakaguchi, Ph.D.
Department of Biology, Faculty of Education,
Shinshu University
Nishinagano, Nagano, 380-8544 JAPAN
-----------------------------------------------------


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Date: Thu, 5 Jul 2001 12:15:07 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] Re: spell out GAL4?

At 11:13 AM +0900 01.7.5, Masahiko Sakaguchi wrote:

> stractをのせたDGDが郵送されてきましたが、うしろのauthor indexをみてたら同性
> で名前の頭文字が同じ方が1つに扱われているのを見つけました。

頭文字だけじゃ、同性か異性かまだ分かりませんよ。^_^;;
(「名字が同じ人しか愛せない」同姓愛者って居るのかな?)

大学院のころ、伊藤桂さんという1年先輩が同じ学科におりました。英語だ
とフルスペルで書いても同じなので、素粒子物理学の論文の別刷り請求が、
いっぱい誤配されてきましたです。あと、近くの蒲郡競艇場の選手にも、い
とうけい選手というのがいるらしい。サインもらいに行こうかな。

いとうκ@ワープロで変換すると、よく「意図右傾」になる


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Date: Thu, 5 Jul 2001 18:33:55 +0900
Subject: [Jfly] Re: spell out GAL4?
From: Masaki Sone

京都大学医学研究科の曽根です。

「殺伐」系の命名法は分が悪いようですが、
少し異論を挟ませてください。

Ashburnerの"Drosophila a laboratory handbook"の
「命名法」の項目を見ると、
「mutantの名前は通常は表現型をdescriptiveに表現するものが用いられる」
と書いてあります。

議論になっている「人名遺伝子」の例を見ればわかるように、
この記述は既に実効性を失っているのだろうと思いますが、
遺伝子の命名法は本当に「気まぐれ」になってしまうべきではなく、
表現型であるとか、遺伝子産物の酵素的な機能であるとか、
(本当にその分子の本質を代表しているのかはともかくとして)
少なくとも名前を決める時点での科学的な知見をなるべく直接的に
表現するものであるべきだと思います。

cdcxxなどの名前は、確かに覚えにくく、
区別が付きにくいと言う欠点はありますが、
反面、名前を見ただけで、
「ひょっとしたら細胞周期の制御に何らかの関与があるのかな?」
という推測はできるわけです。

もう一つの論点としては、
前から思っていたことなのですが、
「人名」はまだしも「動物の種名」を遺伝子につけるのは
避けるべきだと思います。
「ショウジョウバエのアルマジロ遺伝子」とか
「ショウジョウバエのハリネズミ遺伝子」などというのは、
実はきわめてconfusingなのではないでしょうか?
"armadillo-like"ならましだと思いますが。
研究を職業としない一般の人が見ても、
不必要な誤解を生まないようにする努力は必要だと思います。


曽根雅紀    Masaki Sone, Ph. D.

京都大学医学研究科腫瘍生物学講座
606-8501 京都市左京区吉田近衛町
TEL : 075-753-4426 FAX : 075-753-4478
E-mail : soneアットマークlmls.med.kyoto-u.ac.jp


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Date: Thu, 05 Jul 2001 19:19:32 +0900
Subject: [Jfly] Re: spell out GAL4?
From: Tadashi Uemura

on 01.7.5 6:33 PM, Masaki Sone at soneアットマークlmls.med.kyoto-u.ac.jp wrote:

> もう一つの論点としては、
> 前から思っていたことなのですが、
> 「人名」はまだしも「動物の種名」を遺伝子につけるのは
> 避けるべきだと思います。
> 「ショウジョウバエのアルマジロ遺伝子」とか
> 「ショウジョウバエのハリネズミ遺伝子」などというのは、
> 実はきわめてconfusingなのではないでしょうか?

すんません。フラミンゴ


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Date: Thu, 5 Jul 2001 19:26:06 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] Re: spell out GAL4?

At 6:33 PM +0900 01.7.5, Masaki Sone wrote:

> 議論になっている「人名遺伝子」の例を見ればわかるように、
> この記述は既に実効性を失っているのだろうと思いますが、

いや、この原則は厳しく生きていると思いますよ。Prospero だって
Miranda だって Argos だって、シェークスピアの原作やギリシャ神
話を見れば、確かに分子の挙動や表現型を想い出させるものになっ
てますから。

いっぽうフシタラズの成功に倣って、日本人などが日本語の突然変異
名をつけるのがかなり多く見られますが、わりと即物的な普通名詞が
多く、もっと文学作品をベースにしたひねったものがあってもいいの
ではないか、と思ったりします。いっけん何のことやら分からないけ
れど、由来を聞けば、なるほどね、とニヤッとさせられるようなもの。
でないと日本の科学者は、教養がないと思われそうでちょっと不安。
その点 Musashi とかは楽しいですね。歌舞伎にしろ映画にしろ、海外
での興味は高いですし、文学作品の名作は英訳が沢山出てますから、
Amazon.com で調べれば、引用文献に心配する必要はないし。

##
ゼブラフィッシュの突然変異スクリーニングで片端から源氏物語の
ヒロインの名前を付けてる方がいらっしゃいますが(奥さんが国文
学専攻 ^_^;)、これは表現型との対応は考えてるのかなぁ?

> 「ショウジョウバエのアルマジロ遺伝子」とか
> 「ショウジョウバエのハリネズミ遺伝子」などというのは、
> 実はきわめてconfusingなのではないでしょうか?

いちおう「通俗名の種名はつけるけど、学名の種名はつけない」という
ルールはあるようではありますが、確かに今後はもっといろいろな生物
で遺伝子レベルの解析が始まるだろうから、「アルマジロのハリネズミ
遺伝子」と「ハリネズミのアルマジロ遺伝子」とか言われたら、混乱し
そうです。

そういえば、セガサターンとドリームキャストの失敗でセガのキャラク
ター「ハリネズミのソニック」の運命は風前の灯火のようですが、おチャ
メな科学者のおかげで、ソニックの名前とその由来の話は、永遠に残り
そうです。こないだ無くなったセガの社長は、この話を知っていたので
しょうかねぇ?

いとうκ


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Date: Thu, 5 Jul 2001 19:58:49 +0900
From: Tomokazu Ohshiro
Subject: [Jfly] Re: spell out GAL4?

「ヒカルコロリ」はどうしてどうしてぽしゃったんですか?>曽根さんへ



大城 朝一

東北大加齢医学研究所


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Date: Thu, 05 Jul 2001 20:10:42 +0900
Subject: [Jfly] Re: spell out GAL4?
From: Masataka Okabe


> いっぽうフシタラズの成功に倣って、日本人などが日本語の突然変異
> 名をつけるのがかなり多く見られますが、わりと即物的な普通名詞が
> 多く、もっと文学作品をベースにしたひねったものがあってもいいの
> ではないか、と思ったりします。いっけん何のことやら分からないけ
> れど、由来を聞けば、なるほどね、とニヤッとさせられるようなもの。
> でないと日本の科学者は、教養がないと思われそうでちょっと不安。
> その点 Musashi とかは楽しいですね。歌舞伎にしろ映画にしろ、海外
> での興味は高いですし、文学作品の名作は英訳が沢山出てますから、
> Amazon.com で調べれば、引用文献に心配する必要はないし。

Musashiが遂に登場したので、、、
musashiは御存じ中村真さんが命名されたわけですが、私がこの遺伝子を扱いだした
ときは、下流はKojirouにしようとか、上流はTakuwanにしようとか、思いをめぐらし
ながら、研究にはげんだわけです。Musashiによって抑制される遺伝子とし
てtramtrackを見つけたのですが、これがもし予定通りmutant screeningでとったの
であれば、きっとttk[kojirou]というallele名がついたんだろにな〜と、今でもちょっ
と悔しいです。
まあ、楽しめる事で、研究が進む原動力になればそれもよし、と勝手に思っています。


岡部@いでんけん


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From: Hirotaka Kanuka
Date: Thu, 5 Jul 2001 20:36:43 +0900
Subject: [Jfly] Re: spell out GAL4?


>「殺伐」系の命名法
ちょうど良い機会なので伺いたいのですが、他種であらかじめ命名されていた遺伝子のショウジョウバエホモログは、どんな名前を付けるべきなのでしょう?

例えば、細胞死関連の遺伝子ファミリーのほとんどは「D」から始まる名称を持っています(Dronc, Debcl, Dredd, Dapaf-1, DCP-1, etc....)。遺伝子の構造やモチーフを尊重して、略称型の命名をすると、「Drosophila Homolog of.......」ということで「D」からついつい始まってしまう。しかしFlyBaseはそれが気に入らないらしく、あるハエ細胞死研究者らは、一度FlyBase管理者から「オマエら、何でもかんでも”D”で始めるな!」と怒られたそうです。

しかし一番困るのは、機能・構造とも似た分子ではあるのだけども、完全なホモログとは言えない場合です。例えば上村さんのFlamingoなら、カドヘリンには間違いないですが、でも新しい構造の分子ですから、正直に名付ければDL-Cadherin (Drosophila Long-Cadherin?!)なわけです(上村さん、すみません)。浜さんのTrioだったら、「D-Rho family GTPases-like protein」になってしまいます(お二人とも、それが嫌で我が道を進まれたのだと思いますが(笑))。reverse geneticsの場合、こういう悩みは付きまといます。既知のモチーフを持たない完全にnovelな遺伝子というのが稀な今、正直いつも困っています。

ああ、もしも「EGFリピートを持ちTMもあって、SH3とbHLHモチーフ付きの転写因子」なんかを同定しちゃったらどうしよう。
解答例1:「Drosophila transcription factor with EGF repeat, SH3, and bHLH」ということで「DTFESB」。……。
解答例2:なんでも出来そうなので、「DORAEMON」。……。

嘉糠洋陸
理研・細胞修復(三浦チーム)
kanukaアットマークbrain.riken.go.jp


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Date: Thu, 5 Jul 2001 20:45:52 +0900
Subject: [Jfly] Re: spell out GAL4?
From: Masaki Sone

> 「ヒカルコロリ」はどうしてどうしてぽしゃったんですか?>曽根さん
> へ

遺伝子の名前の話になると
ついつい感情的になってしまうのは、
私自身の個人的経験に基づくトラウマかもしれません。
先ほどのメールには若干不穏当な表現があったかもしれませんが、
特定のケースを批判する意図は全くありません。
ただ、大げさな表現になりますが、
遺伝子の名前は一種の「公共の財産」になっていく可能性があると思うので、
オープンな場で議論をするのは意味のないことではないと思います。


曽根雅紀    Masaki Sone, Ph. D.

京都大学医学研究科腫瘍生物学講座
606-8501 京都市左京区吉田近衛町
TEL : 075-753-4426 FAX : 075-753-4478
E-mail : soneアットマークlmls.med.kyoto-u.ac.jp


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From: Hirotaka Kanuka
Date: Thu, 5 Jul 2001 21:14:44 +0900
Subject: [Jfly] 訂正

嘉糠@理研です。
先程のTrioは、Rho family GTPasesではなく、Rho GEFファミリーでした。僕のミスです。訂正させてください(浜さん、すみません)。



嘉糠洋陸
kanukaアットマークbrain.riken.go.jp


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Date: Thu, 5 Jul 2001 21:24:44 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] Re: spell out GAL4?

At 8:45 PM +0900 01.7.5, Masaki Sone wrote:
> > 「ヒカルコロリ」はどうしてどうしてぽしゃったんですか?>曽根さん

> 遺伝子の名前の話になると
> ついつい感情的になってしまうのは、
> 私自身の個人的経験に基づくトラウマかもしれません。

まあまあ ^^;;

「コロリン」は color + in で、「色の付いたタンパク?」と
間違われそうな気はしますね。オランダの海水浴保養地「スケベニン
ゲン」みたいに、他の国の言葉にすると誤解されやすい表現になりそ
うな名前は、確かになるべく避けた方がいいかも。

そういえば、ジャニーズのヒカルゲンジの皆さんは、今ごろどうして
いるのやら。Ether Go-Go といい、時代の雰囲気 (?) を感じる名前です。

いとうκ


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Date: Thu, 5 Jul 2001 21:36:58 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] Re: spell out GAL4?

At 8:36 PM +0900 01.7.5, Hirotaka Kanuka wrote:

> 解答例2:なんでも出来そうなので、「DORAEMON」。……。

ヘテロダイマーを作る doramichan と阻害因子(?) nobitakun の
クローニング競争が熾烈になりそう

いとうκ


**************************************

Date: Thu, 5 Jul 2001 21:55:38 +0900
From: "Murata, T. (RIKEN Tsukuba)"
Subject: [Jfly] Re: spell out GAL4?

>もう一つの論点としては、
>前から思っていたことなのですが、
>「人名」はまだしも「動物の種名」を遺伝子につけるのは
>避けるべきだと思います。
>「ショウジョウバエのアルマジロ遺伝子」とか
>「ショウジョウバエのハリネズミ遺伝子」などというのは、
>実はきわめてconfusingなのではないでしょうか?
>"armadillo-like"ならましだと思いますが。
>研究を職業としない一般の人が見ても、
>不必要な誤解を生まないようにする努力は必要だと思います。

すんません、hiiragiは植物ですが、魚にもいます。しかも即物的で奥行きもなく...

--

//
Takehide MuraTa Ph. D.
Tsukuba Institute, RIKEN
Tsukuba Science City, Ibaraki 305-0074, Japan.
e-mail: tmurataアットマークrtc.riken.go.jp
HP: http://www.rtc.riken.go.jp
phone: +81-298-36-3612, fax: +81-298-36-9120

>>>> Japanese Address <<<<
305-0074 茨城県 つくば市 高野台 3-1-1
理化学研究所 筑波研究所
バイオリソースセンター
村田 武英,研究員
//


**************************************

Date: Fri, 6 Jul 2001 10:22:52 +0900
From: fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp (Yoshiaki FUYAMA)
Subject: [Jfly] Re: spell out GAL4?

At 19:26 07/05/01 +0900, ITO, Kei wrote:

>いっぽうフシタラズの成功に倣って、日本人などが日本語の突然変異
>名をつけるのがかなり多く見られますが、わりと即物的な普通名詞が
>多く、もっと文学作品をベースにしたひねったものがあってもいいの
>ではないか、と思ったりします。いっけん何のことやら分からないけ
>れど、由来を聞けば、なるほどね、とニヤッとさせられるようなもの。
>でないと日本の科学者は、教養がないと思われそうでちょっと不安。

日本語由来の突然変異名(対立遺伝子名を含む)を収集しています。

http://dept.biol.metro-u.ac.jp/fly/www/funny-fly.html#mutants

いいのができたら、ぜひご一報下さい。また、リストに漏れている
ものにお気付きでしたら、お知らせください。

ところで、先日、研究室で話題になったのですが、商標を使った場
合、クレームが付くことはありえますかね。seven-upとか、最近で
は、teflonなんてのがありますが。


--
布 山 喜 章 : 東京都立大学大学院理学研究科生物学教室
Yoshiaki FUYAMA : Dept. of Biology, Tokyo Metropolitan University
     e-mail : fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp


**************************************

Date: Fri, 6 Jul 2001 11:31:52 +0900
From: Chihiro Hama
Subject: [Jfly] [Jfly] Re: spell out GAL4?

; margin-bottom: 0 } -->H 浜アットマーク神戸発生再生センター です。
飛び行く矢を横で見ながら静観しておりましたが、ついに複数の矢が私を直撃してしまったのでひとこと。少し傷が疼きます。
皆さん・・・
ちょっとおおげさですが、良くも悪くも自分で付けた名前は墓までついてきます。いや、それどころか骨になっても遺伝子の名前は残り一人立ちします。日々の実験から蒸留され抽象化された知見を長く世の人々に理解してもらえるよう、せめてその妨げにならないような名前をつけましょう。さりげないのが一番?
合掌。

ところでtrioという名前はわれわれが命名したのではなく、ヒトで同定された遺伝子およびタンパク質に対して既につけられていました。2つのGEFドメインを含めた3つの機能ドメインを持つことに由来しています。
****************************
浜 千尋

〒650-0047
神戸市中央区港島南町2丁目2番3
理化学研究所
発生・再生科学総合研究センター B棟
神経回路発生研究チーム
TEL: 078-306-0103
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Date: Fri, 06 Jul 2001 19:19:13 +0900
Subject: [Jfly] Re: spell out GAL4?
From: Naoto JUNI

on 7/6/01 10:22 AM, Yoshiaki FUYAMA at fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp
wrote:
> 日本語由来の突然変異名(対立遺伝子名を含む)を収集しています。
>
> http://dept.biol.metro-u.ac.jp/fly/www/funny-fly.html#mutants
>
> いいのができたら、ぜひご一報下さい。また、リストに漏れている
> ものにお気付きでしたら、お知らせください。
>
> ところで、先日、研究室で話題になったのですが、商標を使った場
> 合、クレームが付くことはありえますかね。seven-upとか、最近で
> は、teflonなんてのがありますが。

seven-upの逆の働きをするというので、Spriteと言うのもありました(lozenge遺伝
子のdominant alleleだったので、allele/mutant名としてのみ残りましたが)。

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従二 直人 じゅうに なおと
早稲田大学 人間科学部 人間基礎科学科 遺伝学教室(山元研究室 東伏見)
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