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ショウジョウバエ遺伝子の日本語での読み方
Date: Wed, 26 Dec 2001 19:29:52 +0900
From: Ryutaro Murakami
Subject: [Jfly] 読み方
jfly の皆様。
Yamaguchi の Murakamiです。
ハエの専門でない人からショウジョウバエ遺伝子の日本語読みについて
質問されまし た。
大半の方には常識なのだと思いますが自信を持って答えられないので
教えて下さい。
いや全く恥ずかしい。
Spatzl
zerknullt:zen
exuperantia:exu
valois:val
tudor:tud
Smaug
empty spiracles:ems
Groucho
proboscipedia:pb
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Date: Wed, 26 Dec 2001 20:28:59 +0900
From: "NAKAMURA, Akira"
Subject: [Jfly] 読み方
村上先生
私もちゃんとしているか定かでないのですがわかる範囲で....カタカナで書きます.
exuperantia:exu エクスゥーパランティアあるいは単にEXUと呼ぶ人が多いみたい
です.留学先のボス(アメリカ人)に以前発音を聞いたら「俺にも正しい発音は良く
わからない」といっていました...^_^;
valois:val ヴァローア(確かフランス語だったはず)
tudor:tud テュゥーダーで通じます
Smaug スモァウグって発音しているように聞こえます
Groucho グルーチョで良かったはず.
***************************************
Akira Nakamura, PhD.
Assistant Professor
Gene Research Center
Institute of Biological Sciences
University of Tsukuba
Tsukuba, Ibaraki 305-8572
JAPAN
TEL: +81-298-53-6420
FAX: +81-298-53-7723 (NEW!!)
e-mail: akiranアットマークsakura.cc.tsukuba.ac.jp
***************************************
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Date: Wed, 26 Dec 2001 21:29:52 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] 読み方
脱線ですが
> valois:val ヴァローア(確かフランス語だったはず)
> tudor:tud テュゥーダーで通じます
このあたり、フランスとイギリスの王朝名ですね。 ヴァロア朝 (1328-1589)、
チューダー朝 (1485-1603) です。
たとえば arm (armadillo) はアメェリカ人ふうに「アーマディーロウ」と読
むべきなのか、日本語で通用している動物名で「アルマジロ」と読むべきな
のか、など、読み方は難しい問題がありますね。もし、「コミュニケーショ
ンを円滑にするためにはアメェリカ人ふうに読むのが良い」とするのなら、
ftz は「ふしたらず」ではなく、日本人も「フシたラ〜ずぅ」と読まなきゃ
いけないことになってしまいます・・・。このあたり、どうバランスを取る
のがよいのでしょうね。
いとうκ
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Date: Thu, 27 Dec 2001 08:04:05 +0900
From: Yasushi Hiromi
Subject: [Jfly] 読み方
「遺伝子の日本語読み」というのは,「日本語で話をするときどう発音するのがよい
か」という意味ですね?これは,拙著「ハエの名前のつけかた(http://
www.nig.ac.jp/museum/livingthing/syojyobae/flyname01.html)」にも書いてありま
せんね.
もともとこういう遺伝子名は,名前から症状や機能が想像・連想できるよう付けられ
ているものが多いですから,聴衆に意味を理解してもらいやすい発音が良いのではな
いでしょうか?だから,日本語での講演なら,
armadillo:「アーマディーロウ」ではなく「アるまじろ」
fushi tarazu :「フシたラ〜ずぅ」ではなく「節足らず」(または単にftz「ファッ
ツ」)
valois:「ヴァローア」ではなく「う゛ぁろワ」
tudor:「テュゥードア」ではなく「チューだー」
groucho:「ぐラうちょ」(由来はマルクス兄弟のGroucho Marx)
musashi:「むサーしー」ではなく「武蔵」
(当方,関西弁のためアクセント(カタカナ文字)の付け方は東京弁とは異なるかも)
かといって,
tinman:「ティンまん」を「ブリキ男」(オズの魔法使いの登場キャラクター,
tinman変異胚同様,心(心臓)がない)と呼ぶのは行き過ぎ.
これから下は,どういう発音をしても意味を理解してもらえないでしょう.
spatzle:「しゅペつれ」("a"はウムラウト)(短いパスタの一種,形がdorsalized
embryoに似ている)
zerknullt:「つぇあくニュると」("u"はウムラウト)(ドイツ語でしわくちゃ,こ
れも胚の形状)(または単にzen「ゼン」)
exuperantia:「えくすぺラんしあ」(断頭によって処刑されたチューリッヒ在住の
聖人,exuperantiaのメスから生まれる胚には頭がない)(または単にexu「エくすう
」)
proboscipedia: 「ぷろぼーすぃピーでぃあ」(probosisが脚に転換)(「ぴーびー
」というのはあまり聞かない)
中国語の遺伝子名は苦手です.私なら「hu li tai shao」なんていうのは最初に語源
(子供が少ない)を説明した上で,後はhts「はっつ」で通します.
empty spiraclesはfull nameで呼ばれることは少ないです.確か,気管の症状は2次
的だったからなのでは?だからems「いーえむえす」.ちなみに,ホメオティック遺
伝子のScr, Antp, Ubx は「えすすぃーあーる」,「あんてなピーでぃあ」,「ユー
びーえっくす」 と読むことが多いです.むろん,すべてfull nameで言うこともあり
ますが,Antpを「えいえぬてぃーぴー」というのは聞いたことがないです.
dppもfull nameのdecapentaplegic「でかぺんたぷレーじっく」(15の成虫原器に
症状がある)と呼ぶ人は少ないですね.dppとして有名になったからこそ,類似蛋白
質にglass bottom boat (gbb)と名前が付いたのです(gbbを上下逆にして読むと..
.).
〒411-8540 静岡県 三島市 谷田 1111
総合研究大学院大学・遺伝学専攻
国立遺伝学研究所
広海 健
電話:0559-81-6767
FAX:0559-81-6768
e-mail:yhiromiアットマークlab.nig.ac.jp
http://www.nig.ac.jp/labs/DevGen/hiromi-j.html
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Date: Thu, 27 Dec 2001 09:58:52 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] 読み方
At 8:04 AM +0900 01.12.27, Yasushi Hiromi wrote:
> 伝子のScr, Antp, Ubx は「えすすぃーあーる」,「あんてなピーでぃあ」,「ユー
> びーえっくす」 と読むことが多いです.むろん,すべてfull nameで言うこともあり
> ますが,Antpを「えいえぬてぃーぴー」というのは聞いたことがないです.
遺伝子名に限らず英語では、3文字までの略語は、綴りとして発音できる
ときでもアルファベット棒読み、4文字以上は綴りとして発音、という傾
向がある気がしますが、いかがでしょう。日本だと2文字までは棒読みで
も、3文字以上は綴りとして発音しようとすることも多く、違いにまごつ
くことがたまにあります。
いとうκ
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Date: Thu, 27 Dec 2001 10:26:28 +0900
From: Ryutaro Murakami
Subject: [Jfly] 読み方
皆様、どうもありがとうございました。
質問をしてきた「ハエの専門でない人」は、どうやら発生生物関係の教科書か何かを
書いているらしいので、ちゃんとした返事ができて面目が保てます。
「モノを知っている」専門家がそろっている Jfly は実にありがたいです。
それにしても、スーパーモデル生物と言えるショウジョウバエの遺伝子の読み方や日
本語の表記については「標準化」が必要ではないでしょうか? 国外の研究者との会
話によるコミュニケーションにも通用し、講義などの際にも戸惑わずに済み、日本語
で書かれる教科書にも使える統一した読み方を参照できるものがあればとても役に立
つと思います。(催促しているような感じになって恐縮なのですが、、、)。
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Date: Thu, 27 Dec 2001 11:20:59 +0900
From: fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp (Yoshiaki FUYAMA)
Subject: [Jfly] 読み方
皆様
思いっ切り横道にそれますが。。。
At 19:29 12/26/01 +0900, Ryutaro Murakami wrote:
>ハエの専門でない人からショウジョウバエ遺伝子の日本語読みについて
質問されまし た。
>Spatzl
>zerknullt:zen
>exuperantia:exu
>valois:val
>tudor:tud
>Smaug
>empty spiracles:ems
>Groucho
>proboscipedia:pb
これらの多くは、日本語には訳しようがないですね。ところが、高校の
教科書や副読本のほとんど全てが遺伝子座名を日本語に訳しています。
その結果、突然変異に関して多くの誤解が生じているようです。
桃色眼(pink)や紫眼(purple)はまだいい方で、星状眼(Star)や無毛
(Hairless)にいたっては、ほとんど全員が誤解しているようです。高校
の先生などからこれらの系統の分譲依頼があるつど、専門家でも区別は容
易ではありませんと説明するのですが、たいていの人がびっくりします。
一方、redやsepiaなどは、素人でも肉眼で区別ができるすぐれものとして、
推奨しているのですが、名前がわざわいしてか、人気はイマイチです。
こんな程度なら、あまり目くじらを立てるまでもないのですが、遺伝子の
概念という基本的な問題にも影響が及んでいるように感じます。「白眼」
と「赤眼」を下さいという注文(中には、ていねいに、「赤眼種」と「白
眼種」なんてのもあります*_*) は年中ありますが、質問してみると、野
生型遺伝子という概念が完全に欠如しているのが普通です。
教科書の関係者には、固有名詞を訳すのはおかしいと、機会があるごとに
言っているのですが、一向に変わりそうにありません。遺伝子記号の後ろ
に括弧付きで表現型を説明するなど、いくらでも方法はあると思うのです
が。
新しい教科書の検定は、すでに最終段階に入っているので、今からだと難
しいかもわかりませんが、間違いの訂正はいつでも可能だと聞いています
ので、日本ショウジョウバエ研究会の名前で、各教科書会社に申し入れる
といったことを考えてもいいのではないかと思います。
皆様のご意見をお聞かせください。
--
布 山 喜 章 : 東京都立大学大学院理学研究科生物学教室
Yoshiaki FUYAMA : Dept. of Biology, Tokyo Metropolitan University
e-mail : fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp
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Date: Thu, 27 Dec 2001 12:42:09 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] 読み方
At 10:26 AM +0900 01.12.27, Ryutaro Murakami wrote:
> 話によるコミュニケーションにも通用し、講義などの際にも戸惑わずに済み、日本語
> で書かれる教科書にも使える統一した読み方を参照できるものがあればとても役に立
> つと思います。(催促しているような感じになって恐縮なのですが、、、)。
現在名前が付いている遺伝子は、13600のうち数千程度だと思います。これ
らについて、
(1) フルネーム
(2) 省略名
(3) サイトロジー(バンド位置)
(4) 日本語の読み方
(5) 日本語訳(一般に流通していて、かつ誤解の生じないものだけ)
(6) 備考(名前の由来、相同遺伝子など)
を一覧表にして、web で提供すればいいわけですよね。まず誰かが flybase
を眺めて (1)〜(3) をエクセルなどの一覧表にまとめ、そのファイルを有志数
人で手分けして回覧して、(4)〜(6) を埋めていけばいいわけです。それほど
不可能な作業ではないと思います。今から始めれば、今年度中には完成でき
るのでは?
(1)〜(3) をまとめるのはちょっと大変ですが、遺伝子名の超エキスパート
というほどの人でなくても、できる仕事です。インターネットでは、「言い
出しっぺの法則」というのがありますから (^_^;) 、村上さん、是非いかが
ですか?そこさえやっていただければ、(4)〜(6) の空欄埋め作業はかなりの
人に協力していただけると思いますし、最後にそれを整理して web ページ
にまとめて提供する作業は、私がやります。
いとうκ
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Date: Thu, 27 Dec 2001 13:57:53 +0900
From: Ryutaro Murakami
Subject: [Jfly] 読み方
村上です。
少し遅くなるかも知れませんが、やりましょう。よろしくお願いします。
(本当は 「役に立つまめ知識」的なものをイメージしておねだりしたのですが)
選ぶ遺伝子については、とりあえずは比較的ポピュラーなもの(例えば
Interactive Fly に出ているものとか、、)にしてはどうでしょう?
(はじめから網 羅的じゃないと駄目?)
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Date: Thu, 27 Dec 2001 14:26:39 +0900
Subject: [Jfly] 読み方
From: Masataka Okabe
遺伝研の岡部です。
日本語での読み方をきめる上で、語源となっている元の単語の撥音をカタカナ表記す
るのか、それとも米国の学会で使用されている撥音をカタカナ表記するのか、問題に
なりそうな気がします。
遺伝子の名前ではありませんが、チェコのJohannes Evangelista Purkinjeの名づけ
たPurkinje's cellはいくらアメリカでパーキンジーと撥音していても、やっぱりプ
ルキンエと本来の撥音の方が好きだし、日本人はプルキンエ細胞で教育を受けている
はずですね。キナーゼとカイネースも同じ問題のような気がします。
岡部
----------------------------------
岡部正隆
国立遺伝学研究所 発生遺伝研究部門
総合研究大学院大学 生命科学研究科
〒411-8540 三島市谷田1111
TEL 0559-81-6809
FAX 0559-81-6768
http://www.nig.ac.jp/labs/DevGen/hiromi-j.html
Masataka Okabe M.D.,Ph.D
Division of Developmental Biology
National Institute of Genetics
TEL 81-559-81-6809
FAX 81-559-81-6768
色盲のためのバリアフリー活動をはじめました!
http://www.nig.ac.jp/labs/DevGen/shikimou.html
----------------------------------
**************************************
Date: Thu, 27 Dec 2001 14:45:03 +0900
From: Yuji Kageyama
Subject: [Jfly] 読み方
At 0:42 PM +0900 01.12.27, ITO, Kei wrote:
> (1) フルネーム
> (2) 省略名
> (3) サイトロジー(バンド位置)
> (4) 日本語の読み方
> (5) 日本語訳(一般に流通していて、かつ誤解の生じないものだけ)
> (6) 備考(名前の由来、相同遺伝子など) を一覧表にして、
> web で提供すればいいわけですよね。まず誰かが flybase
> を眺めて (1)〜(3) をエクセルなどの一覧表にまとめ、
> そのファイルを有志数 人で手分けして回覧して、
> (4)〜(6) を埋めていけばいいわけです。
(4)、(5)に関してですが、遺伝子名に参考程度にカタカナ表記を添えるのは
悪くないのかもしれません(特に英語由来でない遺伝子名に関して)が、「一
般に誤解なく流通している」日本語の遺伝子名は、日本語由来のもの以外では
皆無ではないでしょうか。恐らくは一番有名な遺伝子であるwhiteでさえ、固有
名詞ではなく白眼の表現型を示す一般的な用語であると誤解している人が、大
学教官の中でさえ見受けられます。これは日本語訳の弊害ではないかとわたし
は思っています。また、布山さんもおっしゃられていましたが、固有名詞であ
る遺伝子名を日本語に訳する意味がどれだけあるのか疑問を感じます。(6)の
備考で由来を書いてあれば十分な気がします。
ハエ屋が奈良には少ないせいか、最近この手の話に遭遇します(^^;;;)。
--
影山裕二
奈良先端科学技術大学院大学
バイオサイエンス研究科
**************************************
Date: Thu, 27 Dec 2001 15:35:39 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] 読み方
At 2:26 PM +0900 01.12.27, Masataka Okabe wrote:
> 日本語での読み方をきめる上で、語源となっている元の単語の撥音をカタカナ表記す
> るのか、それとも米国の学会で使用されている撥音をカタカナ表記するのか、問題に
> なりそうな気がします。
あくまで日本語の一部として使うさいの通用度を考えるわけですし、ドイツ
語、フランス語などの固有名詞をアメリカ人がちゃんと発音できないで、ド
イツ人やフランス人から馬鹿にされてるのも事実ですから、アメリカに盲従
する必要はないかな、という気がします。基本的には「語源になっている単
語が、日本である程度通用していれば、そこで用いられている発音に従う」
でいいのでは?日本語として通用している単語がない場合は、アメリカの発
音に従うよりは、命名した人の使った言語での発音を尊重すべきでしょう。
経験からいうと、日本語での欧米の固有名詞表記は、欧米諸国よりもずっ
と、現地でのオリジナルの発音に忠実であろうとしている気がします。バッ
ハとかプルキンエとか、スウェーデンの地名のイェテボリとか(ドイツに行
くとゲーテブルクって読んでるんだもん)。(そのかわり中国語韓国語の固
有名詞は、勝手に漢字を日本語読みしちゃってるので、お互い様なのだけれ
ど。)
とはいえ、Fly Meeting などに行って面喰らわないという教育的配慮を考え
ると、アメェリカでの発音が極端に異なるものは、それも併記した方がいい
ですね。となると、1項目足して
(1) フルネーム
(2) 省略名
(3) サイトロジー(バンド位置)
(4) 日本語の読み方
(5) アメリカでの読み方
(6) 日本語訳(一般に流通していて、かつ誤解の生じないものだけ)
(7) 備考(名前の由来、相同遺伝子など)
を収載すればよい、ということになるでしょうか。
(5) に関しては、海外経験の豊富な人にうまく音訳してもらうとして、
(4) に関しては、「ショウジョウバエ研究会お薦め発音」を確定しないとならな
いですから、何人かで叩き台を作ったところで web で原案を公開し、異な
る意見を募集して、最終調整する、というのが良いように思います。
(1)〜(3) はおかげさまで何とかなりそうですので、(4)〜(7)の原案作成を
していただける有志の方を募集します。やってもいいよ、という方は
itokeiアットマークnibb.ac.jp までメールをお願いします。その皆さんで話し合って、
作業をどのように分担するか、決めましょう。少々不正確な面があっても、
あとから直せますので、気後れせず、お気軽にご応募下さい。
##
遺伝子名に限らず、「キシレン」が「ザイリーン」とか、「キセノン」が
「ゼノン」とか、英語での発音には面喰らうことがよくあります。難読単
語の発音に関しては、
http://jfly.nibb.ac.jp/html/manuals/pdf/J_Latin_Grammer.pdf
の5ページにちょっと書きましたので、もし参考になれば。
いとうκ
**************************************
Date: Thu, 27 Dec 2001 15:54:52 +0900
From: fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp (Yoshiaki FUYAMA)
Subject: [Jfly] 読み方
伊藤様 皆様
At 12:42 12/27/01 +0900, ITO, Kei wrote:
>現在名前が付いている遺伝子は、13600のうち数千程度だと思います。これ
>らについて、
>
>(1) フルネーム
>(2) 省略名
>(3) サイトロジー(バンド位置)
>(4) 日本語の読み方
>(5) 日本語訳(一般に流通していて、かつ誤解の生じないものだけ)
>(6) 備考(名前の由来、相同遺伝子など)
>
>を一覧表にして、web で提供すればいいわけですよね。まず誰かが flybase
>を眺めて (1)〜(3) をエクセルなどの一覧表にまとめ、そのファイルを有志数
>人で手分けして回覧して、(4)〜(6) を埋めていけばいいわけです。それほど
>不可能な作業ではないと思います。今から始めれば、今年度中には完成でき
>るのでは?
日本語訳というのは、そういうわけであまり賛成できません。例えば、
whiteの名前の由来のところで、「最初に発見された突然変異遺伝子、
w[1]のホモ接合の眼の色が白色であったことによる」といった説明
であれば、素人向けにも安心しておすすめできると思います。
ご存じかと思いますが、同じような趣旨で、FlyNomeなるサイトが
立ち上がっていますね(http://www.flynome.com/iindex.html)。
今のところ、中身はきわめてお粗末ですが、おいおい発展していく
ことを期待して、このサイトとの整合性を考慮して頂いた方がよろ
しいのではないでしょうか?
--
布 山 喜 章 : 東京都立大学大学院理学研究科生物学教室
Yoshiaki FUYAMA : Dept. of Biology, Tokyo Metropolitan University
e-mail : fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp
**************************************
Date: Thu, 27 Dec 2001 16:07:17 +0900
From: Ryutaro Murakami
Subject: [Jfly] 読み方
>日本語での読み方をきめる上で、語源となっている元の単語の撥音をカタカナ表記す
>るのか、それとも米国の学会で使用されている撥音をカタカナ表記するのか、問題に
>なりそうな気がします。
村上です。
情報としてはどちらも書いてあるのが便利だと思います。
先日同じ人に knirps について聞かれて、杉山さんに助けを求め、「クナープス」が
本来の呼び方であると教えられて安心したのですが、「ナープス」という発音を聞い
た記憶もあるのです。
バッハを米国ではバックというようですが、コミュニケーションのためには両方わか
ると便利ですよね。(そういえばCD のタイトルを聞かれて、バッチと発音した日本
人がいたなあ。遺伝子名の場合もこれが心配)
カタカナ表記の「標準」はベテランの方で相談して決めていただくのがよいのでは?
それが日本語表記の「標準」として教科書などで広く使われることになる
でしょうか ら。
ところで、遺伝子名の由来などの説明はとても貴重です。広海さんの解説を見ると
、
日本のショウジョウバエ研究者の教養レベルが俄然アップするのでは?
(未だに newcomer 気分の私だけか?)
**************************************
Date: Thu, 27 Dec 2001 17:41:03 +0900
From: Ryutaro Murakami
Subject: [Jfly] 読み方
>例えば、
>whiteの名前の由来のところで、「最初に発見された突然変異遺伝子、
>w[1]のホモ接合の眼の色が白色であったことによる」といった説明
>であれば、素人向けにも安心しておすすめできると思います。
(1)-(3) は単純作業でできますが(なるべく正月中に済ます)、このような解説を沢
山の遺伝子にしていったら、解説を書く方の労力が膨大になるのではないかと心配で
す。とりあえず読み方を参照できる表としてまとめ、解説はベテラン担当者の気の向
いた遺伝子に限ってつける、というのがよいのでは?
言い出しっぺとしては、上村さんならずとも「日本のショウジョウバエ研究にとって
損失だ!」と怒られてしまいそうな感じが、、、、。
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Date: Thu, 27 Dec 2001 17:58:10 +0900
Subject: [Jfly] 読み方
From: Masataka Okabe
遺伝研の岡部です。
遺伝子の名前で前から疑問に思っていることが一つ。
patchedって、1980年(Nusslein-Volhard,C. & Wieschaus,E. Mutations affecting
segment number and polarity in Drosophila Nature 287:795-801 (1980))に
はpatchだったのですが、いつからどのような意図で過去分詞?になったか、どなた
か御存じですか?
少なくとも、Nusslein-Volhard,C. et al. Mutation affecting the pattern of the
larval cuticle in Drosophila melanogaster Roux's rch Dev Biol 193:267-282
(1984)では、すでにpatchedなんですが、、、、
なんか面白い話があるのかな〜と思っていまして、、、
なんか隣の部屋にいるうちのボスから回答が来る気もするが、、、
岡部
----------------------------------
岡部正隆
国立遺伝学研究所 発生遺伝研究部門
総合研究大学院大学 生命科学研究科
〒411-8540 三島市谷田1111
TEL 0559-81-6809
FAX 0559-81-6768
http://www.nig.ac.jp/labs/DevGen/hiromi-j.html
Masataka Okabe M.D.,Ph.D
Division of Developmental Biology
National Institute of Genetics
TEL 81-559-81-6809
FAX 81-559-81-6768
色盲のためのバリアフリー活動をはじめました!
http://www.nig.ac.jp/labs/DevGen/shikimou.html
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**************************************
Date: Thu, 27 Dec 2001 18:27:57 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] 読み方
At 5:41 PM +0900 01.12.27, Ryutaro Murakami wrote:
> す。とりあえず読み方を参照できる表としてまとめ、解説はベテラン担当者の気の向
> いた遺伝子に限ってつける、というのがよいのでは?
細かい解説は、英語のサイトが既にいろいろあるわけですから、わざわざ我々
が狭い日本のaudience向けに作業を重複しなくてもいいような気がします。
というわけで、読み方だけまず網羅して、解説は、後から少しづつ、というの
に賛成です。
いとうκ
**************************************
Date: Thu, 27 Dec 2001 19:20:35 +0900
From: Yasushi Hiromi
Subject: [Jfly] 読み方
ご指名ですので,説明をばさせていただきます.
Tubingen Mutants and Stock List (Rick Tearle and Christiane
Nusslein-Volhard) によりますと,
ptc: patched
Synonym: patch (pat), already occupied
と書いてあります.
ややこしいことに,Red Book (1992) によるとpatというのはpatchytergumの略号で
,patchというのはpatchedという名の遺伝子の略号だそうです.patchの症状は,
abdominal sclerites fewer or sharply cut into triangular segments obliquely
fitted together. ちなみにRed Bookではsegmentation geneとしてのpatchedは別名
(tuf)で載っています.
広海
**************************************
Date: Fri, 28 Dec 2001 03:18:03 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] 読み方
>(1) フルネーム
>(2) 省略名
>(3) サイトロジー(バンド位置)
>
> (1)〜(3) をまとめるのはちょっと大変ですが、
小林研究室の重信秀治さんにperlを駆使したご尽力で、一瞬にして(と
いってもきょうの午後いっぱいですが)上記の作業が終了してしまいま
した。感謝感激雨霰です。重信さん、ありがとう。
http://iubio.bio.indiana.edu:8089/fly/
のページの下の方にある Genes list というファイルに、合計23965
項目の遺伝子が載ってます。これから、CG番号だけでなくフルネーム
と略称,サイトロジーの記載があるものを抽出すると5038項目になり
ました。ちょっと見てみたい、と思われる方もきっといるでしょうから、
必要部分を抽出して整形したファイルを、さっそく以下に用意しました。
http://jfly.nibb.ac.jp/html/gene/flyGeneList.html
1.2メガバイトほどある巨大な html ファイルですので、注意して?アク
セスしてみて下さい。
現在記入してあるのは、 Flybase 番号、略号、フルネーム、サイト
の4情報です。Flybase 番号をクリックすると、その遺伝子の Flybase
の説明ページが表示されるようにしてみました。暇つぶしには、楽しめ
ると思います。
さて、このファイルをエクセルに読み込んだファイルが、既に用意でき
ています。プランとしては、これをアルファベットごとに数百項目づつ
10くらいのファイルに分割し、有志の人に順番に見てもらって、日本語
名、米語発音、備考の欄に、穴埋めをしていただきます。(布山さんも
満足されるような、誤解のない日本語訳のあるものもあれば、それも。)
1つのファイルが3〜5人くらいに重複して回るようにして、なるべく多
くの穴を埋めるとともに、異論があるもの、リストから除いた方がいい
ものなどを、空欄にどんどん書き込んでいただきます。それが大体揃っ
たところで、整理して暫定版を web で公開する。という風になると思い
ます。
分割したファイルに穴埋めする作業、やってもよいという方、募集して
います。まだまだ人数がだいぶ足りません。もちろん年明けで構いませ
んので、是非よろしくお願いします。学期末・入試・年度末で忙しい時
期ではありますが、雑務に追われるストレスの、ちょうどよい息抜きに
なることでしょうから(ホントか?)、よろしくご協力下さい。
いとうκ
**************************************
From: "Katsuo Furukubo-Tokunaga"
Subject: [Jfly] Re: [Jfly] 読み方
Date: Sat, 29 Dec 2001 12:26:47 +0900
jflyのみなさま
Walter J. Gehring, "Homeobox Story: Master Control Genes in Development and
Evolution"
の邦訳、
「ホメオボックス物語:形作りの遺伝子と発生、進化」 朝島 誠監修
が、来春(2002年春)、東大出版会から出版されます。ゲーリング研関係者の共同
訳です。東大出版の意向で、一般の「知識人」にも売れるようにと、おそろしく
も縦書きになっています。つまり、翻訳過程で遺伝子記号、分子生物学用語等すべ
て、漢字にできるものは漢字化し、音読みカナ羅列をさけ、できる限り純日本語化す
るという作業をしました。
この過程でよくわかったのですが、古典的な遺伝子名などは、かなりが「生物学辞
典」や「遺伝学用語辞典」などにあります。これらに準拠するのが手っ取り早いので
すが、80年代以降の重要なものの多くは掲載されておらず、最近の総説などにすで
によい訳があればそれに準じましたが、ない場合は自分で考えるしかありません。元
の名には、しばしば表原型と関連するそれなりの背景があって、知っていれば楽しめ
るので、それらの背景をでき
る限り和訳に反映することが理想です。
たとえば、広海さんがすでに紹介されたいるように、exuperantia:exuは、迫害に
よって断頭刑に処せられた中世の聖人の名前に由来するものです。断頭聖人(exu)な
る訳が楽しめます。この変異体は、名前の示すように胚の頭部を欠くわけです。
bicoidと同じ表原型です。
これらの訳を造語する際の注意点は、かならず断頭聖人(exuperantia, exu)または断
頭聖人(exu)のように、元の遺伝子名との対応ができ、たとえばFLYBASEなどの「国際
規格」で照合できるような遺伝子名か略号を残すことです。この情報が提供される限
り、原意を反映するような名訳ができれば、それはきっとカナガキの「エキソペラン
シア」より日本語としてよい、つまり一般読者にわかりやすいというのが我々が考え
たことです。
基本的には、あたらしい遺伝子名は次々と作られますから、それらの翻訳は尽きるこ
とがなく、いつも定番がないわけです。定期的に更新が必要になります。それに、こ
の分野の研究者や大学院学生にとっては、「断頭聖人」や「ブリキ男」(それとも
「無心臓男爵」)のような日本名は、酒の肴以外にはあまり需要がないかもしれませ
ん。
むしろ、講義であれば1−2年生や他分野の学生対象の入門的なもの(遺伝子名の背
景を紹介するのは結構印象に残るようです)、書いたものであれば一般啓蒙書や教科
書などのときに問題になる事柄だとおもいます。いずれにしろ、ある程度の和名は必
要でしょうし、よい和名を思いつかれればそれが広まるのではないかと思います。
古久保 徳永 克男
筑波大学生物科学系