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トランスジェニックのphenotypeがしばらく交配を続けると無くなった??
Date: Thu, 10 Jan 2002 20:18:31 -0800
From: kanda
Subject: [Jfly] トランスジェニックのphenotype
理化学研究所・細胞修復(三浦研)の菅田と申します。
pUAST ベクターを用いてトランスジェニックフライを作製したところ、当初は
GMR-GAL4との交配でphenotype (明らかな rough eye) が認められたのですが、
1カ月くらいして再び交配すると全くphenotype がでなくなりました。
複数のトランスジェニックラインで同じ状態になり、25度、29度いずれの環境で
交配しても改善されません。
このような経験がおありの方がいらっしゃいましたらご指導下さい。
菅田浩司
菅田 浩司 Hiroshi Kanda
理化学研究所 脳科学総合研究センター
細胞修復機構研究チーム
埼玉県和光市広沢2-1
Phone 048-467-6945
FAX 048-467-6946
URL http://www.brain.riken.go.jp/labs/crm
kandaアットマークbrain.riken.go.jp
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Date: Fri, 11 Jan 2002 15:24:57 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] トランスジェニックのphenotype
GMR は非常に強い GAL4 ドライバーですから、TS の影響はあまり考えなく
て良さそうに思います。
UAS に入れた遺伝子は、かなり毒性がある遺伝子ですか?UAS コンストラ
クトはそれ自体が弱いプロモーターとして働きますから、エンハンサートラッ
プと同じことになって、GAL4 がなくてもけっこう constitutive に発現し
てしまいます。じっさい市場に出回っている UAS-GFP などのレポーターは、
胚から成虫まで全ステージを綿密に調べると、大抵どこかで GAL4 なしでも
かなり強い発現を示したりするものです。うちで成虫の神経系をラベルする
ときに使っている GFP 系統は、幼虫ではグリア細胞などが染まりますし、幼
虫のラベルに使っている GFP 系統は、成虫ではキノコ体が染まってしまいま
す。まったく同じことは、異所発現用のエフェクター遺伝子を入れた UAS
系統でも、同様におこり得ます。問題は、この手の発現は一部の細胞だけで
起きることが多いので、組織をすりつぶしてノザンハイブリでチェックする
のでは、まず見落とすに違いないということです。厳密なことを言えば、
GAL4 なしの状態で各ステージについて in situ で発現をチェックすること
が、本当は必要なわけです。(たいてい誰もこんな面倒くさいことやりませ
んけどね・・・。)
どこかの組織でかなり強く毒性が出ていて、しかも致死になるほどは強くな
い場合、その遺伝子の発現がたまたま弱くなった個体の子孫は元気なので急
速に他を圧して増えて、強い発現を示す個体数が一気に減ってしまう可能性
は、あると思います。直接そういう経験はありませんが、致死でない元気な
GAL4 エンハンサートラップ系統にバランサーをヘテロで載せておいたら、
元気なホモ接合のハエが急速に増え、バランサーをヘテロに持った個体がわ
ずか数世代で壊滅してしまうことは経験したことがあります。
他の可能性はどうでしょうね?眼の専門家の方、いかがですか?
いとうκ