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ハエの飛翔能力と跳躍能力の測定法


Date: Fri, 15 Feb 2002 14:09:47 +0900
From: TSUJIMURA Hidenobu
Subject: [Jfly] ハエの飛翔能力と跳躍能力

農工大学の辻村です。以下のことを知りたいのですが。

 ハエの飛翔能力の測り方
  シリンダーの中でハエを落とすという方法(堀田先生考案?)があると思いますが、
  この場合のシリンダーの寸法(直径と高さ)、ハエの頭数などについて
  具体的にノウハウを教えていただけませんか。
  また、他の方法があれば、ぜひ、ご紹介ください。

 ハエのジャンプ能力の測り方
  これは、全く知りません。ご存知の方はご教授お願いします。

 ----余談----
 印刷の色の件については、DTP用(デスクトップ出版)の「ちゃんとした解説書」
 を買って勉強することにします。そう言われるのでは?と思っていたのですが。

辻村秀信


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Date: Fri, 15 Feb 2002 17:02:09 +0900
From: mogamiアットマークbio.phys.s.u-tokyo.ac.jp (Kaname MOGAMI)
Subject: [Jfly] ハエの飛翔能力と跳躍能力

ハエの飛翔能力をはかる方法の1つであるフライトテスター法はS. Benzer が考案し
、小穴孝夫氏(現
鉄道総研)が堀田研にて確立し、以後受け継がれてきました。使用するのは1リッタ
ーの有栓メスシリ
ンダー(内径6.4cm)と、ゴム栓、ロート、流動パラフィンです。あと茶漉し、架台
、パラフィン受け
用の容器、クッションがあると便利です。ゴム栓には穴をあけロートを通してシリン
ダーの栓のかわり
につけられるようにしておきます。手順は

1.テストしたいハエの集団はあらかじめ少量ずつ、ビンにいれておく。あまり多いと
落ちるハエが多く
なりやすいので1回分は多くても20-30匹。これを何回かやってデータを集計する。

2.メスシリンダーに流動パラフィンを100ml程度入れ、かたむけたり、回転させたり
して、内面にまん
べんなくぬりつける。

3.メスシリンダーをひっくりかえして流動パラフィンを回収する。これが不十分だと
あとではりついた
ハエが動いてしまう。またやりすぎるとハエがはりつかないので、多少ためして最適
な時間をみつけて
ください。手で持つかわりに適当な架台をセットして支えられるようにしておくと楽
です。

4.メスシリンダーをクッションの上にたててロートつきゴム栓をはめる。

5.ハエのビンのフタをとり、すばやくロートにふせる、ハエがおちていくのをみまもる。

6.残っているハエがいたらメスシリンダーごと上下に軽く、机にうちつけてハエを落
とす。

7.ハエがどこに落ちた/はりついたかを数える。メスシリンダーの目盛りをそのまま
利用し、底面に落
ちたものが、高さ0、200mlの線以下の壁にはりついたものが高さ1、以後200mlごとに
高さ2、3、...
とし、1リットルの線より上にはりついたものは高さ6、さらにロートの出口下端より
上にはりついた
ものを高さ7とする。

8.ゴム栓をはずし、2.と同様に流動パラフィンをいれて、ハエを回収する。ハエが全
部壁面からはがれた
ら、ひっくりかえす。この時茶漉しでこせば、ハエを除けます。流動パラフィンは何
度でも使えます。

9.テストするべきハエが残っていれば4以下をくりかえす。

以上です。ハエがすべりやすいようロートにシリコンをぬる場合もあります。

跳躍能力のほうはやったことはないのですが、「羽をきったハエをふせたシャーレの
上において跳ぶのを
気長に待って、跳んだ距離をはかる」方法があったと思います。

最上


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Subject: [Jfly] ハエの飛翔能力と跳躍能力
From: Takao Koana
Date: Fri, 15 Feb 2002 17:04:27 +0900

辻村様

>ハエの飛翔能力の測り方
> シリンダーの中でハエを落とすという方法(堀田先生考案?)があると思いますが、
> この場合のシリンダーの寸法(直径と高さ)、ハエの頭数などについて
> 具体的にノウハウを教えていただけませんか。
> また、他の方法があれば、ぜひ、ご紹介ください。
>
 私は1gのメスシリンダーを使いました。シリンダー内壁に流動パラフィンを塗って
おくのですが、ハエが内壁にくっついてしかも流れ落ちない程度にする加減がけっこう
むずかしかった記憶があります。シリンダーの上からロートを通してハエを落とすわけ
ですが、ロートにシリコンを塗って磨いておくといいと思います。また、実験につかう
ハエは卵を産ませないか、または常に新しい餌に移して体がよごれないようにしないと
うまく飛んでくれません。実験前の数時間、ハエを空の瓶に入れておくと、自分で体を
きれいにするようです。羽化後4〜7日が飛翔能力のピークです。

> ハエのジャンプ能力の測り方
>  これは、全く知りません。ご存知の方はご教授お願いします。
>
翔べないハエなら測れるでしょうが、翔べるハエでは映画に撮るしかないのでは?


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
小穴孝夫
(財)鉄道総合技術研究所 環境工学研究部・事業推進室
〒185-8540 国分寺市光町2-8-38
tel 042-573-7316 fax 042-573-7349
JRtel 053-7316 JRfax 053-7349
e-mail koanaアットマークrtri.or.jp


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Date: Fri, 15 Feb 2002 20:11:23 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] ハエの飛翔能力と跳躍能力

At 5:02 PM +0900 02.2.15, Kaname MOGAMI wrote:
> ハエの飛翔能力をはかる方法の1つであるフライトテスター法は
> S. Benzer が考案し 、小穴孝夫氏(現鉄道総研)が堀田研にて確
> 立し、以後受け継がれてきました。

論文は

Koana, T. & Hotta, Y. Isolation and characterization of flightless mutants in Drosophila melanogaster. J. Embryol. exp. Morphol. 45, 123-143 (1978).

に出てます。

At 5:04 PM +0900 02.2.15, Takao Koana wrote:
> > ハエのジャンプ能力の測り方
> 翔べないハエなら測れるでしょうが、翔べるハエでは映画に撮るしかないのでは?

いちおう可能な方法として、

1:
ハエの入ったバイアルを白バック(もしくはライトボックス)の前に
置いて、台を振動させたり、嫌な匂いを嗅がせたりしてジャンプさせ、
前からデジタルビデオで撮影する。(ハエが明確に黒い点として写る
ことがポイント。)

2:
ビデオの画像をマックに取り込んで Quick Time Movie にする。
Adobe Premiere が定番でしたが、最近のマックに無料で付いてくる iMovie でも十分でしょう。

3:
ビデオ解析ソフト DIAS (Dynamic Image Analysis System) に取
り込んで解析する。このソフトで、ハエの重心点を座標化して移動距
離や軌跡、速度などを解析できます。
Solltech, Inc. Technology Innovation Center, Suite #9, Oakdale, IA 52319. Phone (319) 335-4702, Fax (319) 335-4489
http://www.geocities.com/solltech/dias/information/

2〜3は、Ulrike Heberlein のラボで酔っぱらったハエの行動を解
析するのに使っている方法です。(この場合、水平のアリーナを上か
ら撮影する)。

Scholz, H., Ramond, J., Singh, C. M. & Heberlein, U. Functional ethanol tolerance in Drosophila. Neuron 28, 261-271. (2000).

なお、ジャンプ能力の比較の場合、飛距離だけでなく飛形点も考慮に
入れる必要があります。着地時にはテレマークがうまく入っているか、
確認が重要です。大きなバイアル(ラージ)と小さなバイアル(ノー
マル)、どちらでのジャンプを得意とするか、系統差、個体差もあり
ますので注意が必要です。ある系統のジャンプ能力を定量化するには、
4匹の個体にそれぞれ2回づつ試行させ、総合得点を比較する団体戦
方式がよいでしょう。

いとうκ@オリンピックの見すぎ?