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ナショナルバイオリソースプロジェクトの案内


From: DGRC10yamamotoアットマークaol.com
Date: Sun, 3 Mar 2002 00:01:44 EST
Subject: [Jfly] ナショナルバイオリソースプロジェクト

ショウジョウバエ遺伝資源センターの山本です。

2月28日文部科学省のホームページでナショナルバイオリソースプロジェクトの
目的とそのプログラムが発表されました(下記参照)。
(http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/14/02/f_020213.htm)
ここでは、各種生物のバイオリソースのなかで国にとって戦略的に整備する事が
重要なものについて体系的に収集・保存・提供を行うための体制を整備する事を
目的としており、統合的なシステムを構築するとしています。
ショウジョウバエにとって、中核的拠点として整備する機関としては京都工芸繊維
大学のショウジョウバエ遺伝資源センターであると認識し、本プロジェクトへ応募
する事にしたいと考えています。
 ショウジョウバエを重要な生物遺伝資源として、またさらに重要なリソースと
して整備し、ショウジョウバエの特徴をを生命科学分野で最大限に生かすためには、
国内の研究者からの理解と支援が不可欠であり、国際的にも中核的拠点として
整備・発展させる必要があると認識しています。このため、ショウジョウバエ
遺伝資源センターで現在維持している4,000系統に加えて、研究者から1時的に
預かり、実験に使用するための実験系統を約15,000維持・分譲する事を計画
しています。おそらく系統の分譲依頼は膨大なものになり、分譲に関わる業務は
大変なことになります。しかし、多方面の研究分野でスクリーニングがなされ、
その結果に関する情報がフィードバックされるシステムにすることで、
将来にわたって保存してゆく必要のある系統が選択され、系統の高品質化に
つながります。この機会を利用したこのような事業を行うことで、ハエの遺伝子
すべてに対応する突然変異系統が同定される可能性が高まります。
これまでに開発されたNPや現在開発中のGSラインがここに注入される事は
大変大きな意義があると思われます。
外国からの系統も受け入れて行く予定です。
ショウジョウバエコミュニティーのご協力とご理解をお願いし、
ショウジョウバエ研究にとっての重要な研究体制の確立を計りたいと考えております。
皆さんのご支援をぜひともよろしくお願いいたします。

文部科学省ホームページより抜粋
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ナショナルバイオリソースプロジェクトについて


■ナショナルバイオリソースプロジェクトの目的

  「ナショナルバイオリソースプロジェクト」は、ライフサイエンスの総合的な推進を図る観点から、実験動植物

(マウス、シロイヌナズナ等)や、ES細胞などの幹細胞、各種生物の遺伝子材料等のバイオリソースのうち、国が戦

略的に整備することが重要なものについての体系的な収集・保存・提供等を行うための体制を整備することを目的と

します。


■ナショナルバイオリソースプロジェクトにおけるプログラム

  実験動植物や、ES細胞などの幹細胞、各種生物の遺伝子材料等のバイオリソースのうち、国が戦略的に整備す

ることが重要なものについての体系的な収集・保存・提供等を行うための統合的なシステムを構築します。このため

、以下のプログラムを設定し、これらを実施する機関を募集します。

.中核的拠点整備プログラム

ライフサイエンス研究に不可欠な生物等の収集・保存・提供又は開発を行う生物種等の対象ごとの拠点を整備する

プログラムです。(原則として1つの生物種等の対象につき、1機関を選定することとしますが、中核的機関と専門機

関のチームを形成することも可能とします。)
【具体的対象の候補例】

・実験動物(マウス、ラット、ショウジョウバエ、カイコ、小型魚類、カエル、線虫等)

・実験植物(シロイヌナズナ、ミヤコグサ、イネ、コムギ、オオムギ等)

・有用微生物(実験微生物、極限環境微生物、病原微生物等)

・マカクザル等の霊長類

・細胞(動物培養細胞、がん細胞、植物培養細胞等)

・動物、植物、微生物のDNA(BACライブラリーやcDNAライブラリーを含む)

・遺伝子改変生物(ヒト疾患モデル動物)

・ヒト培養細胞(ES細胞などの幹細胞、がん細胞を含む)
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Date: Wed, 13 Mar 2002 17:23:27 +0900
From: 上田龍
Subject: [Jfly] バイオリソース

ショウジョウバエ研究者の皆様、

先日来、文科省「ナショナルバイオリソースプロジェクト」に対してショウジョウバ
エコミュニティとしてどのように纏まって行くか、議論、提案が行われてきました。
遺伝研・林茂生さんの先導的な努力によって骨格が出来て参りましたが、具体的には
プロジェクトの趣旨を鑑み、工繊大ストックセンター・山本雅敏さんが中心となって
文科省に申請、活動をすることになります。時間的な制約から、本プロジェクト推進
のための基本理念といったものを明確化する作業と、具体的な申請書作成を同時並行
で進めて参りました。
当然の事ながら本プロジェクトはコミュニティの支持なくしては成立も機能も致しま
せん。従って、広くコミュニティに受け入れられる方向性を定め、その基本線に則っ
て作業を進めて行かねばならないという合意のもと、遅ればせながら以下の項目につ
いて皆様へお知らせする次第です。
これまでも本プロジェクトに関して皆様への情報発信は散発的に行って参りましたが
、これからもオープンなコミュニティとして、ショウジョウバエを用いた研究の環境
向上のため邁進していきたいと思います。皆様の一層のご協力をお願い致します。
なお、より具体的な申請内容に関しましては、山本さんから後日アナウンスされる予
定です。
(文責:上田)


「ナショナルバイオリソースプロジェクト」事業の申請内容と活動について
工繊大 山本雅敏
遺伝研 林茂生
三菱生命研 上田龍

1)1/8日の討論をふまえて纏めた叩き台(第2稿)を基本とし、募集要項の目的に
そって作成する。リソースの維持・拡充・頒布(以降「維持」と省略)を強調するが
、BAC作製とコンティグ/EMS変異同定にも利用できるSNPマーカー整備/RNAi変異体
/FRTハエなどのリソース作製(以降「作製」と省略)に加え、系統凍結保存法開発
といった研究もサポートする。
2)これらのテーマに振り分けられる事業費のバランスは「維持」「作製」それぞれ
の必要度および規模を勘案し調整すると、初年度申請時点ではほぼ等分となる見込み
であるが、次年度以降、各年度の実績と翌年度の必要度を厳格に判断し、3)の委員
会の承認を得た上で各年度申請する。(初年度は時間の関係でこの手続きを省略せざ
るを得ない。)
3)リソースの必要性と事業費、リソース活動の監査助言機能を持つ委員会(アドバ
イザリーコミッティ)を設置。その設置場所(委員長)は今回のリソース活動に直接
関わらない人があたる。委員会の機能としては、会計報告/活動報告/翌年度の活動
予定、を聴取した後に翌年度の活動計画の調整、承認。( 2)項参照)
4)ハエ系統の維持頒布は工繊大ストックセンターがあたるが、15000系統を目指し
た活動体制を適切にサポートするため、遺伝研(上田)がサブセンターとして協力す
る。また、他種については愛媛大(和多田)、杏林大(松田)が協力する。
5)各種リソースに付随するデータベースは当面、個々のテーマに応じて各単位が準
備し、それらを大きく統合する活動は遺伝研に設置される(であろう)情報センター
の協力を受けておこなう。
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上田龍
遺伝子機能研究ユニット
トランスレイショナル研究部
三菱化学生命科学研究所
〒194-8511 町田市南大谷11号
phone:042-724-6234
fax: 042-724-6314
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