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ソニーバイオリソースプロジェクトのお知らせ
なお、このメールは2002年4月1日のエープリルフールです。
Date: Mon, 1 Apr 2002 09:28:31 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] ソニーバイオリソースプロジェクトのお知らせ
Jfly の皆様、
新年度を迎え、ショウジョウバエ研究者にも関係ある新しい研究プロ
ジェクトが正式にスタートすることになりました。お知らせと人材募
集を依頼されましたので、転送いたします。
いとうκ
===============================
ソニーバイオリソースプロジェクトは、株式会社ソニーが中核となり、
本田技研、東映、タカラ酒造、科学技術振興事業団などの協力を得て
日本のゲノム科学技術推進のために設立された、産学連携プロジェク
トです。総合科学会議の答申にもあるとおり、産業界と学問の世界が
密接に連携して、強力な科学技術プロジェクトを推進することは、次
世代における日本の技術的優位を引き続き維持し、新たな産業や雇用
を創出し、豊かな人類社会の発展に貢献するために、欠かせない方策
となっています。
これまで日本では、文科省や大学、国立研究所を中心としてゲノムプ
ロジェクトが進められてきました。この流れの中で昨年度には、ナショ
ナルバイオリソースプロジェクトの構想が発表され、今年度の開始に
向けて Jfly 上でも様々な議論が展開されてきたのは、ご存じの通り
です。しかしアメリカにおいて、大学主体のゲノムプロジェクトに対
抗して民間企業であるセレラ社が急速なゲノム配列解析を成功させた
ことにも見られるように、民間企業を中核とした産業界のアプローチ
は官主導のアプローチと「競存競栄」し、両者の相乗効果によって更
に一層の進展が期待できます。ソニーバイオリソースプロジェクトは、
ナショナルバイオリソースプロジェクトと競争しつつサポートし合う
ことで、日本のゲノム科学技術の発展に貢献できると考えています。
ソニーバイオリソースプロジェクトの特徴を、以下に簡単に紹介しま
す。
1:民間企業の機動的な人材・資金運用による、強力な事業推進
従来の大学的なアプローチでは、プロジェクトの遂行に必要な人材や
研究組織は、概算要求、定員の確保、公募人事など様々な段階を要し、
実現までに少なくとも数年という年月を必要としていました。また予
算的にも、年度単位の資金運用など様々な制限があり、機動的に資金
を集中することが困難です。状況を改善すべく幾多の努力がなされて
いるとはいえ、これらのハンディの影響はまだまだ大きいのが現状で
す。ソニーバイオリソースプロジェクトでは、進歩の激しいゲノムテ
クノロジーの世界で勝ち残るために、技術立国日本をリードしてきた
ソニー、ホンダのノウハウを投入し、900〜1300人の技術者、研究
者を集中的に組織し、1年あたり800億円程度を投入して、一気にゲ
ノム解析を進展させます。
2:並列分散情報技術を駆使した高効率データ処理
ゲノム解析にあたっては、データの取得そのものよりも取得したデー
タの処理の方がむしろ重要です。たとえばホールゲノムショットガン
法では、ゲノムのサイズが大きくなるにつれ必要な計算量が幾何級数
的に増大するため、理論上はともかく実際には、高等生物の全ゲノム
をこの方法だけで解析することはほぼ不可能でした。セレラ社による
ショウジョウバエやヒトのゲノム解析でも、公共プロジェクトによっ
て得られた従来の手法でのゲノム解析の情報なしには、ホールゲノム
ショットガンのデータの処理は不可能だったといわれています。しか
しこれでは、従来の手法でのゲノム解析情報が存在しない生物種では、
ゲノムの効率的解析に多大な困難が生じてしまいます。
ナショナルバイオリソースプロジェクトに関わる研究者の多くが、学
会発表にはソニーのバイオを使っていることでも分かるとおり、ソニー
は情報処理分野で先端を行く企業のひとつです。大型のスーパーコン
ピューターを利用した従来のゲノム研究では演算能力の限界が近年問
題となってきましたが、ソニーバイオリソースプロジェクトでは低廉
なCPUを多数使用する並列型情報処理を利用して、演算速度の限界を
うち破ります。この結果どのような生物種でも、ホールゲノムショッ
トガン法だけで全ゲノム配列の解析を可能にします。
ソニーでは、128ビットCPUを搭載し、高速な三次元画像処理を実現
したゲーム機、プレイステーション2を、これまでに日本国内だけで
830万台販売しています。この機械に搭載された三次元処理チップは、
ゲノム配列情報の解析にも非常に適した回路構造となっています。ま
た、大学の学生控え室や下宿などに設置されたプレステ2が1日24時
間近くフル稼働して有効利用されているのに対し、販売台数の大半を
占める一般家庭に設置されたプレステ2は、学校の時間や就寝時間な
ど、1日のうち16時間以上は稼働していない状態にあるのが通例です。
この空き時間を利用して、センターから通信回線を利用して各家庭の
プレステ2に生データを配信し、それぞれがデータを処理してセンター
に返すことで、数百万台の巨大な並列情報処理を構成することが出来
ます。このシステム「contigアットマークhome (コンティグ・アット・ホーム)」
によって、従来では考えられない高速データ処理を実現しました。
3:世界に通用するプロジェクト名
従来の日本の研究は、国内では大きな評価を受けても、世界レベルで
は本来得られるべき正当な評価を受けられない屈辱の歴史を繰り返し
てきました。現在進められているナショナルバイオリソースプロジェ
クトにおいても、同様の問題が起きる危険は避けられません。登録商
標の関係から、ナショナルという名前は日本国外では用いることが出
来ないという問題があります。近々開かれる Fly Meeting に参加され
る皆さんは、日本では「ナショナル」バイオリソースプロジェクトと
呼ばれているものが、欧米では「パナソニック」バイオリソースプロ
ジェクトと呼ばないと通じないのを知って、驚かれることでしょう。
世界に通用する名称であるソニーバイオリソースプロジェクトは、こ
のような問題を抱えておらず、全ての国で正当に認知される可能性を
秘めています。
4:工学的により優れた、無脊椎節足動物の重点解析
医学的な応用ばかりを念頭においたゲノムプロジェクトでは、ヒトや
それに似た生物種の解析が重視されています。しかし工学的に見た場
合、ヒトは必ずしも最も優れた構造を持っているとは言えません。例
えば自動車においては、F1のようなレース車でも、一般の乗用車で
も、背骨のようなフレームの上に外皮を被せたタイプの構造はとっく
の昔に駆逐され、無脊椎節足動物同様に外皮がそのまま骨格となった
「モノコック」型構造が主流です。外見は人間そっくりに設計された
本田技研のロボット「アシモ」も、体は節足動物と同じ外骨格構造で
す。ゲノム情報の産業利用を重視するソニーバイオリソースプロジェ
クトでは、このような見地から、工学的により優れた生物である無脊
椎節足動物を選んで、重点的に解析します。
ナショナルバイオリソースプロジェクトでは、節足動物関係では
Drosophila melanogaster の近縁種のゲノム解析が計画されていま
す。ソニーバイオリソースプロジェクトでは、これを補完する意味か
ら、より幅広い生物種を対象とし、以下の生物のゲノム解析を当面の
目標とします。
ハチ Apis mellitus
カニ Crustata palleo
カマキリ Propheta cruentus
アリ Formica pedes
甲虫 Scarabaeus fortis
Jfly での議論では、other species の学名が出てくると、それがど
んな生物なのかイメージが湧かないという声が寄せられました。この
ような疑問に答えるため、上記の生物種や、その後続けて解析が検討
されている他の生物種について、解説が用意されています。
http://www.toei.co.jp/tv/agito/misc/unknown.stm
をご覧下さい。またこれらの生物の外観等については、
“仮面ライダーアギト完全超百科”テレビマガジンデラックス
Vol. 120(2001)pp. 42-57 (講談社・東京)
などをご覧下さい。
上記解説でも分かるとおりソニーバイオリソースプロジェクトでは、
通常の野生生物種ではなく、アンノウンと呼ばれる変異種を解析対象
としています。アンノウンはそれぞれの生物種の特徴を多く残しなが
ら、ヒトに似た身長2メートル前後の二足歩行生物に変異しています。
Jfly での議論では、ショウジョウバエは小さすぎて電気生理の実験が
出来ないなどの問題が指摘されていましたが、ヒトに似た体型を持つ
アンノウンでは、電気生理のみならず MRI などヒトを対象に開発され
た各種実験技術が全て利用可能であり、ゲノム情報解析後の「ポスト
シークエンス解析」において、野生型の節足動物を使うよりも多くの
メリットを備えています。
これらのアンノウンの生態を紹介したドキュメンタリーテレビ番組、
「仮面ライダーアギト」は、2001年1月〜2002年1月に放送され、
この種のドキュメンタリーとしては非常に高い、各回10〜14%とい
う視聴率(註)を記録しました。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~tsuno/agito.html
ソニーバイオリソースプロジェクトでは、このように国民的関心の高
い生物を取り上げて解析することで、国民の知的好奇心に応えてゆき
ます。
註:科学以外の俗世間の事情にうとい方々のために説明しますと、視
聴率というのはテレビ番組の質を客観的に評価するために用いら
れる指標です。ある番組が視聴された割合を表わしたもので、こ
の数値が高いほど、多くの人に注目された質の高い番組であると
いうことになります。この点で、科学論文の評価に広く使われて
いるサイテーション・インデックスと、ちょうど同じ発想の評価
法です。科学の世界では、個々の論文単位の指標であるサイテー
ション・インデックスに加え、ある学術雑誌に掲載された論文の
指標の年間平均を示すインパクトファクターという指標で雑誌を
評価しますが、テレビでも、各テレビ局の年間平均視聴率という
指標で局の客観評価が行なわれます。現在、全時間平均および主
要時間帯別平均で首位を独占しているのは、日本テレビという放
送局です。「放送界のネイチャー、サイエンス」と評される日本
テレビの番組に出演しない限り、一流の放送文化人とは見なされ
ません。
==人材募集==
ソニーバイオリソースプロジェクトでは、プロジェクトに参加する研
究者を募集しています。科学技術振興事業団との連携により、会社員
でなく科技団研究員としての本プロジェクトへの参加が可能になり、
研究成果の自由な外部発表が保障されています。
目 的:アンノウンの採集、飼育継代技術の確立、ストックの供給、
ゲノムの抽出と解析など
勤務地:東京
待 遇:科学技術振興事業団規定による。
備 考:アンノウン採集に用いる特殊強化装甲服「G3X」と、ホンダ
製高性能バイク「ガードチェイサー」が貸与されます。
==連絡先==
ソニーバイオリソースプロジェクトについてのお問い合わせは、
itokeiアットマークnibb.ac.jp までお寄せ下さい。
===============================
補足
ショウジョウバエ研究者として若干残念なのは、今回取り上げられた
生物種に、ハエ関係が全く含まれていない点です。1973年に放映さ
れたドキュメンタリー番組「仮面ライダーV3」では、テレビバエと
いう変異生物種の興味深い生態が紹介されました。
http://www25.tok2.com/home/mitsuz/galage/tvbae.html
翅が4枚になり、複眼がテレビに変化しているという変異を示すこの
生物は、世界中の多くの子供に強烈な印象を残し、こうした変異生物
が生じてくる謎を探ろうと、彼らの多くを科学の道へと歩ませました。
その後30年、ショウジョウバエを用いた発生研究が ubx や sevenless,
eyeless 遺伝子に代表される体節形成と複眼形成を軸に進展してきた
のは、決して偶然ではありません。このように考えると、最近のライ
ダーシリーズでハエを初めとしたモデル生物が全然紹介されていない
という状況は、今後30年のモデル生物研究に従事する人材の育成を考
えると、まさに危機的問題であるといえます。
現在放送中のシリーズ「仮面ライダー龍騎」では、クモ型変異生物が
第1回にまっさきに取り上げられました。この背景には、クモの研究
を推進する秋山康子氏らの地道で熱心な働きかけがあったと聞いてお
ります。私たちも次世代の研究者育成のため、ハエ、線虫、メダカ、
ゼブラフィッシュなどを素材とした怪人をぜひ取り上げるよう、番組
制作者に働きかけてゆくことが重要かも知れません。この考えに共感
される方は、ぜひ
http://www.toei.co.jp/tv/user/program/send_voice.asp?SID=0
にアクセスして、制作者にメッセージをお送り下さい。
************************************
Date: Mon, 1 Apr 2002 10:17:54 +0900
From: fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp (Yoshiaki FUYAMA)
Subject: [Jfly] ソニーバイオリソースプロジェクトのお知らせ
伊藤様
At 09:28 04/01/02 +0900, ITO, Kei wrote:
>==人材募集==
>
>ソニーバイオリソースプロジェクトでは、プロジェクトに参加する研
>究者を募集しています。科学技術振興事業団との連携により、会社員
>でなく科技団研究員としての本プロジェクトへの参加が可能になり、
>研究成果の自由な外部発表が保障されています。
>
>目 的:アンノウンの採集、飼育継代技術の確立、ストックの供給、
> ゲノムの抽出と解析など
>勤務地:東京
>待 遇:科学技術振興事業団規定による。
>備 考:アンノウン採集に用いる特殊強化装甲服「G3X」と、ホンダ
> 製高性能バイク「ガードチェイサー」が貸与されます。
>
>==連絡先==
>
>ソニーバイオリソースプロジェクトについてのお問い合わせは、
>itokeiアットマークnibb.ac.jp までお寄せ下さい。
>
>===============================
貴重な情報をありがとうございました。採集は得意ですし、アンノウン
の何種かは、生息地の心当たりもありますので、今日中にでも応募した
いと思っております。
--
布 山 喜 章 : 東京都立大学大学院理学研究科生物学教室
Yoshiaki FUYAMA : Dept. of Biology, Tokyo Metropolitan University
e-mail : fuyama-yoshiakiアットマークc.metro-u.ac.jp
************************************
From: "Hiroaki Kitano"
Subject: [Jfly] Re: [Jfly] ソニーバイオリソースプロジェクトのお知らせ
Date: Mon, 1 Apr 2002 12:03:19 +0900
伊藤様、
貴重な告知ありがとうございます。
人材の募集に関しまして、以下の条件を有した人材も特に優遇させていただきたいと
思います。
優遇人材:
(1)時速2Km以上で、二足動歩行可能な方。
(2)連続90分以上の動作が可能な方。
(3)転倒しても壊れない方。
また、研究対象の種としては、
Aibo mechanica
Asimo asimov hondanus
などを加えていただければ幸いです。
ただ、これらの種は、創造主によって、
その知的所有権が主張されています。
北野宏明
ソニーコンピューターサイエンス研究所
科学技術振興事業団、ERATO北野共生システムプロジェクト
************************************
Date: Mon, 01 Apr 2002 12:49:16 +0900
Subject: [Jfly] ソニーバイオリソースプロジェクトのお知らせ
From: Takeuchi Hideaki
伊藤啓様
貴重な情報ありがとうございました。ミツバチを材料にしている私にとっては
Apis mellitus のゲノム解析結果が楽しみです。人材募集の件について研究室で話を
広めたところ、ホンダ製高性能バイク「ガードチェイサー」の人気が非常に高く、最
終的に以下の5名が応募することになりました。着任の時期や待遇について確認した
いことがありますので、私宛にソニーバイオリソースプロジェクトに関する資料を送
付していただければ幸いです。
資料送付先
郵便番号113-0033
文京区本郷 7-3-1 東京大学 理学部二号館 細胞生理化学教室
1. 久保健雄 41才(東京大学理学系研究科生物科学専攻)
2.佐々木哲彦 37才(東京大学理学系研究科生物科学専攻)
3.竹内秀明 31才(生物系特定産業技術研究推進機構)
4.國枝武和 31才(生物系特定産業技術研究推進機構)
5.澤田美由紀 28才(東京大学理学系研究科生物科学専攻)
では、お手数おかけしますがよろしくお願いいたします。
-------------------------------------------------------
東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻動物科学大講座
細胞生理化学研究室
竹内 秀明 (生研機構派遣研究員)
TEL 03-5841-4448
FAX 03-5800-3553
ホームページ
http://133.11.37.221/users/saibou/lab.html
************************************
Date: Mon, 1 Apr 2002 15:38:07 -0500
From: Moto Yoshihara
Subject: [Jfly] [Jfly] SONY project
Hey Kei, I have a question about the SONY project.
Why don't they use the TOGEDANI (Laelaps) as a model animal? You persuaded
me that TOGEDANI was becoming an important model animal last year. The
DANI might be too minor to be a character in "Masked Rider". Moto
P.S. Electrophysiology is possible in Drosophila!! But "unknown" might
be easier to use than flies....
****************************************
Motojiro Yoshihara, Ph.D.
Center for Learning and Memory
Massachusetts Institute of Technology
50 Ames St. Room E18-605
Cambridge, MA 02139
TEL 1-617-452-2726
FAX 1-617-452-2249
****************************************
************************************
Date: Tue, 2 Apr 2002 10:48:36 +0900
From: Akira Komatsu
Subject: [Jfly] ソニーバイオリソースプロジェクトのお知らせ
伊藤様
大変良い企画で、がんばってほしいと思いますが、生物種の選定にはもっと英知を集
めた方が良いような気がしました。YoshiharaさんがWhy don't they use the
TOGEDANI (Laelaps) as a model animal? というのは分かる気がします(気がする、
という言い方になったのは私はあまりTOGEDANIを知らないものですから)。
当然ですが、単に遺伝子から生物を見るのではなく、体の成り立ちや機能もみる必要
があるからです。例えば、カニよりもアメリカザリガニの方が、また、カマキリより
もゴキブリの方が良いような気がします。アメリカザリガニやゴキブリでは生理・生
化学・内分泌の研究に広く使われており、遺伝子が分かったときに科学研究上の応用
範囲が広がるからです。(カニやカマキリが悪いと言っているわけではないのですが
、限られた資金と資材、人材をどう効率よく使うかという問題ですから)。
また、外骨格のものということで、節足動物が取り上げられていますが、反語的な意
味で軟体動物(特に殻のないやつ)は入らないのでしょうか?
> ナショナルバイオリソースプロジェクトでは、節足動物関係では
> Drosophila melanogaster の近縁種のゲノム解析が計画されていま
> す。ソニーバイオリソースプロジェクトでは、これを補完する意味か
> ら、より幅広い生物種を対象とし、以下の生物のゲノム解析を当面の
> 目標とします。
>
> ハチ Apis mellitus
> カニ Crustata palleo
> カマキリ Propheta cruentus
> アリ Formica pedes
> 甲虫 Scarabaeus fortis
>
===================================
小松 明
東京女子医科大学・医学部・第一生理
郵便番号:162-8666
東京都新宿区河田町8−1
電話:03-3353-8111 ext.22322, 22323
FAX: 03-5269-7413
e-mail: akomatsuアットマークresearch.twmu.ac.jp
===================================
************************************
Date: Tue, 2 Apr 2002 20:52:18 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] ソニーバイオリソースプロジェクトのお知らせ
ソニーバイオリソースプロジェクトに関しましては、多数のご応募を
いただき、大変ありがとうございました。強化装甲服を身につけてア
ンノウンと格闘する大学教授、なかなか絵になる風景だと思います。^^;
なお、自明だとは思いますが、このメールは四月馬鹿です。ナショナ
ルに対抗するならソニーだろうと勝手に名前をお借りしましたが、北
野さんはじめ関係者の皆さま、もし何かご迷惑をおかけしていました
ら、済みませんでした。
ただし、元ネタには一部の真実もあります。プレステなど家庭のゲー
ム機で分散処理を行なってデータを解析するというのはまだないよう
ですが、家庭のパソコンを使うプロジェクトでは、「セティ・アット・
ホーム(SETIアットマークhome)」というのが、すでに長い実績を持っています。
http://setiathome.ssl.berkeley.edu/
これは、電波望遠鏡で捉えた遠くの星からの電波を解析して、文明世
界に特徴的な規則的な電波成分が含まれていないかを調べようという
プロジェクトで、ホームページから解析ソフトをダウンロードして登
録することで、誰もが自分のコンピューターを使って解析作業に参加
できます。
ゲノム分野でも同様の発想で、タンパクがフォールディングする過程
をシミュレートする作業に家庭のパソコンで参加してもらう「フォー
ルディング・アット・ホーム(Foldingアットマークhome)」というのが、既に
始まっています。
http://www.stanford.edu/group/pandegroup/Cosm/
従って、先のメールでご紹介した「コンティグ・アット・ホーム」は、
じゅうぶん実現可能な話ではあります。専用の並列計算スパコンを使
うのに比べ、このように家庭のパソコンに多数参加してもらうアプロー
チがどれくらい効果があるのかは分かりませんが、多くの市民に、最
先端の科学の一翼を担っていると感じてもらい、解析作業の原理を理
解してもらうためには、バークレイやスタンフォードだけでなく日本
でも、検討に値する効果的な啓蒙事業かも知れません。
ゲノム解析の対象については、昨年放映された仮面ライダーがアンノ
ウン(要するに「怪人」)の名前をラテン語の学名風にしていたのは
本当です。怪人はたいてい、いろいろな動物をモチーフにしているわ
けですが、その動物の学名の前半だけを使い、後半は創作になってい
ました。私たちは日ごろ生物学者として振る舞っているわけですが、
カメやヘビ、カラス、ヒョウなど、馴染み深い動物の学名を、こんな
番組で始めて知ったという次第で、個人的にはちょっと恥ずかしかっ
たです。
なお、軟体動物も解析対象にすれば、とのご意見もありましたが、番
組では
ヒドロ虫 Hydrozoa ignio
タコ Mollipes octipes
ウニ Echinus famelicare
など、あまり強くなさそうな生物をモチーフにした怪人も登場してい
ました。ですからハエや線虫にも、チャンスはあると思います。^^;
ダニに関してですが、仮面ライダーには登場していませんが、ウルト
ラセブンでは宇宙ダニ「ダリー」というのが出てきて、なんと子役時
代の松坂慶子の鼻の穴に寄生しているという設定でした(第31話・
1968年放送)。ちなみにウルトラセブンは、歴代の中で恐らく唯一、
巨大化するだけでなくミクロ化することもできるウルトラマンです。
ショウジョウバエの電気生理を本気でやるためには、ぜひ採用したい
人材です。
以上、長々とお騒がせいたしました。今年度も、ハエに関する話題や
その周辺のもろもろに関する話題などに、Jfly をよろしくご活用下さ
い。
いとうκ
P.S.
テレビバエの人形は、W. Gehring 氏が一昨年京都賞を受賞された際、
ぜひ副賞に進呈したらいいのではと思っていたのですが、いかがでしょ
う?