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助手でも学振 PD の指導教官になれるよ


Date: Fri, 5 Apr 2002 18:28:32 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] 助手でも学振 PD の指導教官になれるよ

きょうは四月馬鹿じゃなくて、、、

学振の申請書きのシーズンが始まりました。ショウジョウバエ
やその他モデル生物の業界では、教授とは異なる実験動物の研
究プロジェクトを助手レベルの人が実質的リーダーになってやっ
ている形の研究グループが少なくないわけですが、そういう研
究グループに学振 PD の人が来ようとする場合、結構めんどう
なことになります。

ふつう指導教官は教授や助教授ということになっているので、
助手レベルの人につく場合でも、書類上はその人でなく、教授
や助教授を名目的に指導教官にします。しかし指導教官の研究
内容があまりにも離れている場合、なぜその人を指導教官にす
るのかという申請書の説得力が弱くなってしまいます。

文科省の規定で、学部学生や大学院生の指導は、教授や助教授
しか出来ないことになっています(これも実際の状況を考える
と無意味な規定ですが・・・)。しかし学振の側には、そうい
う規定はありません。従って学生(DC)でなくポスドク(PD)
であれば、理論上では助手でも学振の指導教官になれます。が、
これまで助手が指導教官になった前例は事実上無く、教授や助
教授を指導教官に立てることが通例になっていました。

というわけで、誰かが前例を作ればいいわけなので、前例を作
りました。基礎生物学研究所の助手の伊藤啓を指導教官にした
学振 PD の申請が、昨年幸いにしてちゃんと通りましたので、
必要なら「そういう前例が既に存在する」と交渉のネタにお使
い下さい。

新しい研究分野は助手レベルの若い研究者が積極的に切り拓い
ている例が少なくないですし、そういう人のところにポスドク
がどんどん集まって盛り立てた方がいいはずです。その意味で、
助手レベルを指導教官にした申請が増えるといいなぁと思って
います。

ただし、もちろん研究室のボスや研究機関の長などとは事前に
よく相談・根回ししておくことが重要ですし、申請は出せても
審査で落とされてしまっては、元も子もありません。助手自身
を指導教官にするのと、教授や助教授の名前を借りるのと、ど
ちらがスムーズに審査に通りそうかを柔軟にご判断下さい。

いとうκ