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「ホメオボックス・ストーリー 形づくりの遺伝子と発生・進化」出版


Date: Fri, 26 Apr 2002 16:44:22 +0900
From: TSUJIMURA Hidenobu
Subject: [Jfly] 「ホメオボックス・ストーリー」紹介

Jflyのみなさん

 農工大の辻村です。本の紹介をさせていただきます。
 この3月にワルター・ゲーリング博士の著作、「ホメオボックス・ストーリー 形 づくりの遺伝子と発生・進化」が東大出版会から出版されました。内容は、ホメオテ ック変異の研究からホメオボックスの発見にまで至る研究経過と、その後のHOX遺伝子 群の研究の発展を中心に、ショウジョウバエや他の動物の発生の分子機構と、そこか ら明らかになってきた進化や動物に関する最新の生物観を博士の視点から述べたもの です。
 本書の各所に述べられているゲーリング博士の洞察や生物観は、鋭く奥深いものが あり、興味あるものです。もちろん、その多くは、今日では同じ分野の多くの研究者 の共有するものでもあると思いますが。
 ショウジョウバエを研究しておられるすべての人におすすめします。若い方には、 すでに古典となったショウジョウバエ発生の分子機構の研究を研究者がどのように考 えて進めてきたのか、あるいは、ショウジョウバエ研究の果たしてきた生物学に対す るインパクトを理解するために。お年の方には、講義準備の参考として、あるいは、 歴史回顧のきっかけとして。実は私も訳者の一人ですが、この本が生物学に興味のあ る日本の一人でも多くの人々に、その中でも特にこれから研究に携わろうという若い 人々に読まれることを期待して翻訳に取り組みました。

書名 「ホメオボックス・ストーリー 形づくりの遺伝子と発生・進化」
著者 ワルター・J・ゲーリング
監訳 浅島 誠
翻訳 辻村秀信・黒岩厚・倉田祥一郎・古久保−徳永克男・新美輝幸
出版社 東大出版会  定価:4800円

目次
第1章 遺伝子の古代言語
第2章 発生を理解する鍵−ホモオティック遺伝子
第3章 遺伝子のクローニングとホメオボックスの発見
第4章 胚はどのようにしてできるのか?
第5章 秘密は卵のなかに
第6章 濃度勾配から縞模様へ
第7章 マスター制御遺伝子
第8章 分子レベルの相互作用
第9章 エンハンサー検出法と標的遺伝子のハンティング
第10章 神経系の回路形成
第11章 形態形成と決定転換
第12章 ホメオティック遺伝子の進化における役割
第13章 眼の発生と進化

原書 The Homeobox Story ---Master Control Genes in Development and Evolution
Walter J. Gehring Yale University Press