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マイクロインジェクション用のバッファー


Date: Mon, 2 Sep 2002 18:17:22 +0900
From: Ryutaro Murakami
Subject: [Jfly] インジェクションバッファー

Jfly の皆様。山口大学理学部、村上です。
残暑お見舞い申し上げます。

マイクロインジェクション用バッファーのことでお尋ねします。
現在、通常の処方と思われる(5 mM KCL, 0.1 mM リン酸ナトリウム pH 6.8)を使っているのですが、バッファーだけで胚が死んでしまうことがあり困っています。原因はよくわかりません。同じような経験をお持ちの方がいればアドバイス願います。また別のインジェクションバッファーの処方を御存じでしたら教えて下さい。


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Date: Wed, 4 Sep 2002 16:06:12 +0900
From: 粟野若枝
Subject: [Jfly] インジェクションバッファー

村上さま

はじめまして。三菱化学生命科学研究所 上田ユニットの粟野と申します。

私たちの研究室では日々injectionを行っています。特にinjection Buffer
を使わなくても、私たちのところでは通常DNAを溶解するときに使われてい
るTEでもinjectionには全く問題なくhatchすることを確認しています。

ちなみにバッファーがtoxicな場合は卵の発生の非常に早いステージで死ん
でいることが多いようです。特にBufferの組成が悪いわけではなく作る課程
で何らかの物質が溶け込んできているだけだと、思います。きれいに作成し
直すのが早道かと思います。

その他にもバッファーのインジェクションだけで 胚が死んでしまう原因がい
くつかあると思います。

1. injection量が多すぎる場合。
卵の発生が少し進んでいるのに死んでいる場合、または少し黒ずんで死んで
いる場合は量に問題があることが多いようです。

2. 針の形状、打ち方、卵のコンディションに問題がある場合。
卵の形が変形しているか、中身が出てきてしまった状態で死んでいる場合の
多くはこれに当たると思います。

いずれの場合もコントロールとししてinjectionなしの状態のものはほぼ
100%hatchしている事が前提です。インジェクションの方法、条件などに
よっても少し異なってくるかとも思いますが、ご検討してみて下さい。

粟野若枝
三菱化学生命科学研究所
トランスレイショナル研究部 遺伝子機能研究ユニット


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Date: Wed, 04 Sep 2002 10:17:47 +0200
Subject: [Jfly] インジェクションバッファー
From: Satoko Hakeda-Suzuki

ウィーンのDickson研の鈴木(羽毛田)です。

うちのラボでは、単なる水(滅菌脱イオン水 MonoQ)に溶かしていますが、全く問題
がありません。お試し下さい。

鈴木(羽毛田)聡子
Research Institute of Molecular Pathology (I.M.P.)


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Date: Wed, 4 Sep 2002 21:30:45 +0900
From: Ryutaro Murakami
Subject: [Jfly] インジェクションバッファー

山口大学、村上です。

インジェクションの経験豊かな研究室ではインジェクションバッファーのかわりに、
水か TE を使っているようです。うちで使っている水がどうやら怪しいようです。夏
休みでタンクに入っている時間も長くなっていそうだし。

小林様、粟野様、鈴木(羽毛田)様、アドバイスありがとうございました。