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ハエを送るときの梱包法


Date: Wed, 2 Oct 2002 15:26:02 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] ハエを送るときの梱包法

本人だけにこっそり注意してもいいのですが、この手の状況はよ
く見かけるので、Jfly 全体に流して注意を喚起します。

今日とあるラボからハエが送られてきたのですが、パッキング入
り封筒(ジーフィーバッグ)にゴロンとプラスチックバイアルを
放り込んであるだけ。封を開けた瞬間、成虫がワァッと飛び出し
てきました。旅の途中で上からかかった加重で押しつぶされて、
バイアルには割れ目が各所に入り、その隙間から抜け出した幼虫
がバイアルの外で蛹になり、封筒のなかで羽化していたわけです。
どろどろのエサも割れ目から浸みだして、同封の手紙らしきもの
はしみだらけ。

バイアルの中には成虫も少し残っていたし、幼虫や蛹はまだたく
さんあるので、「ハエの系統を送る」という点では目的は達して
いるので感謝感謝なのですが (^_^;)、でも、やはりこれはまずい
でしょう。

パッキングの入った封筒は衝撃緩衝剤が入っているので、いっけ
ん安全なように見えるようですが、それは封筒を落としたり何か
にぶつけたりした場合だけの話で、圧迫には全く無力です。郵便
物というものが輸送中どういう扱いをされるのか想像できない方
は、いちど郵便局に行った際に、窓口の奥の方をのぞいてみて下
さい。巨大な布袋にいっぱいにいろいろな郵便、小包を放り込ん
で、それをボンボン投げて運んでいます。袋の重さは数十キロは
あるでしょう。もしバイアルの入った封筒が袋の底のほうに押し
込まれた場合、押しつぶされて割れない方がラッキーというもの
です。狭い輸送用コンテナに詰め込まれて長旅をする国際郵便の
場合、割れる確率はさらに高いことでしょう。

ハエの研究者は往々にして鈍感になりがちですが、私たちが扱っ
ているハエたちは、組み換え遺伝子を組み込んだ形質転換動物で
す。飼育施設には前室を作って外界に逃げないように封じ込め、
廃棄時には冷凍もしくは煮沸・オートクレーブで完全に殺すこと
を求められている生物です。そんなものを生きたまま一般の荷物
に混じって郵便や宅急便で送るわけですから、万が一にも途中で
容器が壊れ、中の動物が出てしまうことがないよう、万全の注意
を払うのは私たちの最低限の責務です。

実のところ、パッキング入り封筒でハエを送るのは今回だけでな
くかなりしばしば見かけるのですが、これは絶対にやめた方がい
いと思います。必ず段ボールの箱や金属の缶に入れ、丸めた紙や
スチロールの衝撃緩衝剤を隙間につめて、上からかなりの加重が
かかっても、絶対にバイアルが割れないようにするべきです。

「パッキング入り封筒でハエを送って文句を言われたことがある」
という人は少ないと思います。相手は、なにせ頼んでハエを送っ
てもらってるわけですから、弱みがあります。せっかくハエを送っ
てくれた人に、多少バイアルが割れていたくらいで文句を言って
気分を害するのは馬鹿らしいとおもうはずです。そう考えると、
文句を言われたことがないからといって、これまで自分が送った
郵便に事故がなかったとは言いきれないということになります。

ポイント:ハエは箱に入れて送ろう


追伸:
DNA や抗体の入った試験管も、無造作に封筒に入れて送る人がい
ますが、これも同様です。パッキング入り封筒であっても、押し
つぶされていることがあります。箱が一番ですが、エッペンドル
フチューブ1本送るのに箱が馬鹿らしい場合は、試験管の直径よ
りかなり厚い発泡スチロールに試験管の形に穴を空けて、そこに
試験管を入れて送ると安全です。
(発泡スチロールでなく段ボールだと、強い力がかかると押しつ
 ぶされることがあるようです)

いとうκ


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Date: Wed, 2 Oct 2002 20:59:56 +0900
From: "Murata, T (RIKEN BRC)"
Subject: [Jfly] ハエを送るときの梱包法

アメリカ留学中にDNAを日本から送ってもらったのですが、

1. 横っ腹に穴が空いた空の封筒を受け取りました。
2. われた0.5 mlチューブを受け取りました。

ちなみに、うちのバンクから送る時は、プラスチック製のチューブ入れ(5本ぐらい
入る)に入れて送っています。

むらた

理化学研究所 筑波研究所
バイオリソースセンター
遺伝子材料開発室 (DNA Bank)
村田 武英,研究員


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Date: Thu, 3 Oct 2002 11:26:50 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] ハエを送るときの梱包法

At 8:59 PM +0900 02.10.2, Murata, T (RIKEN BRC) wrote:
> 2. われた0.5 mlチューブを受け取りました。

蓋を閉めた0.5 mlチューブを封筒に入れて割るのって、素手だと
かなり難しいことですが、それくらいの怪力が郵送中にかかるこ
とがある、てことですよね。恐い恐い。

いとうκ


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Date: Thu, 03 Oct 2002 11:55:33 +0900
From: Takeshi Fukuhara
Subject: [Jfly] 送るとき

こんにちは福原@TMDです。

ベクターやモノの送付には、某オリゴ屋さんが
配達してくれたケースと、クッション付きの袋
を利用します。ハエの送付経験はありません。
お役に立てば良いと思います。


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From: Ai Akimoto
Date: Thu, 3 Oct 2002 11:58:54 +0900
Subject: [Jfly] ハエを送るときの梱包法

理研 CDB の秋元と申します.

伊藤さんのメールを読み、反省させられたものの一人です.

ところで、ハエを送るときに”段ボールの箱や金属の缶”を使用
するというのは、確かにその通りだと思うのですが、バイアル数本
分(1〜5本)を送るのに手頃な箱や缶は、どのように準備されて
いるのでしょうか?
研究室内に転がっているよさそうな箱は、捨てずに取っておいても
らうようにしているのですが、大きさと、箱のかたさの両方をかね
そろえるものはめったに手に入りません.
どこかで購入されたりしているのでしょうか?

また、FEDEX で海外にドライアイス詰めのサンプル(抗体)を送る
際も、”発泡スチロールの箱”と”発泡スチロール箱を入れる段ボー
ル箱”の両方を準備しなければならず、いつも苦労しています.

皆様が、どのように梱包材や緩衝材を準備されているのか教えてい
ただければ幸いです.

Ai Akimoto
RIKEN Center for Developmental Biology
Morphogenetic Signaling Group


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From: "Hiramoto"
Subject: [Jfly] ハエを送るときの梱包法
Date: Thu, 3 Oct 2002 11:59:22 +0900

> 蓋を閉めた0.5 mlチューブを封筒に入れて割るのって、素手だと
> かなり難しいことですが、それくらいの怪力が郵送中にかかるこ
> とがある、てことですよね。恐い恐い。

定型封筒はローラーにかけられるので中の物が割れます。また、硬いものを入れると
封筒が破れて中身が失わる事が多いです。定形外で送れば比較的安全です。

ひらもと


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Date: Thu, 3 Oct 2002 13:31:08 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] ハエを送るときの梱包法

> ところで、ハエを送るときに”段ボールの箱や金属の缶”を使用
> するというのは、確かにその通りだと思うのですが、バイアル数本分(1〜5
> 本)
> を送るのに手頃な箱や缶は、どのように準備されているのでしょうか?

海外から送られてくるハエで、ときどき小型の海苔缶やお茶缶のような
形状の頑丈な紙製の缶(フタは金属かプラスチック)で送られてくるこ
とがあります。これが便利で、取っておいて次にこちらからハエを送る
ときに再利用したりしていますが、あの紙缶はどこかの業者から買える
のか、どなたかご存じないでしょうか?

いとうκ


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Date: Thu, 3 Oct 2002 14:44:35 +0900
From: "Murata, T (RIKEN BRC)"
Subject: [Jfly] ハエを送るときの梱包法

>海外から送られてくるハエで、ときどき小型の海苔缶やお茶缶のような
>形状の頑丈な紙製の缶(フタは金属かプラスチック)で送られてくるこ
>とがあります。これが便利で、取っておいて次にこちらからハエを送る
>ときに再利用したりしていますが、あの紙缶はどこかの業者から買える
>のか、どなたかご存じないでしょうか?

DNA Bankの業務で使っているのは
アズワン(旧井内盛栄堂)・バイオハザードメイラー
  茶筒です。二重コンテナで、あまりにもしっかりしているので、ハエは窒息する
かもしれません。
ナルジェヌンク・クライオチューブコンテナー
  1.5 mlチューブ用の小箱

でも、いとうさんのおっしゃるものは、S&Sのニトロセルロースメンブレ
ンの紙筒でしょうね。

むらた

理化学研究所 筑波研究所
バイオリソースセンター
遺伝子材料開発室 (DNA Bank)
村田 武英,研究員


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Date: Thu, 03 Oct 2002 14:51:05 +0900
Subject: [Jfly] Re: ハエを送るときの梱包法
From: Shuji Hanai

> を送るのに手頃な箱や缶は、どのように準備されているのでしょうか?

筑波大学の花井です。
たまに少ししか送らないのでチューブ用の紙箱を流用しています。
↓こんな奴でストックJrとかいうやつです。ルーチーンで送るにはコスト高ですが。
http://www.tsukuba-icm.co.jp/case.html
http://ssl.lilac.co.jp/hssnet/rack.htm#box

結構丈夫で間仕切りを適当に外せば中で安定が良いです。
(外した間仕切りも入れてますが組み立てて再利用した人がいるかは不明)
念のため、チューブと箱にプチプチビニールを一重巻きエアメール封筒に入れてます。
今までの所、海外でも無事に届いたという連絡を頂いております。

> 頑丈な紙製の缶(フタは金属かプラスチック)

多分、フィッシャーです。アズワンのも出所はここです。
フィッシャージャパン最新カタログ91ページ
アズワン最新カタログ917ページ

これからはカルタヘナ議定書に伴う法整備で輸送も厳しくなるとか、、、
Fisherの営業マン曰く「その為バイオハザードメイラーの引き合いが最近多い」とか
それらしき筒で海外から送って頂いた事があったのですが(Fisher #03-523-8?)、
中で溶けた培地が流れて綿栓から幼虫がバイアルの外で羽化して、、、でも、外には
逃げていませんでした。
密封しないと逃亡しそう。密封すれば窒息が怖い。どうしましょう??

> 個人のクレジットカードで、、、科研費や校費の事務処理上は問題なく可能

知りませんでした。こんどかけあってみます。
exelixisからfedexで送ってもらったら、5~6千円くらいマイカードで払いました。


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Date: Thu, 3 Oct 2002 14:56:56 +0900
From: "Murata, T (RIKEN BRC)"
Subject: [Jfly] ハエを送るときの梱包法

ところで、ストックセンターではハエを送るときの梱包法をどのように対応されるの
ですか?

理研は組換え体の扱いが厳しい(というか決まり通りにやっている)ので、組換え体
を送る時もあらかじめ梱包形態等詳細を安全管理室に届けておかなければいけません
し、新しい分譲形態になれば変更申請を提出し承認されなければいけません。
おそらく、ストックセンターの対応が、日本の(遺伝子組換え)ハエ輸送のスタンダ
ードになると思うのですが。

むらた

理化学研究所 筑波研究所
バイオリソースセンター
遺伝子材料開発室 (DNA Bank)
村田 武英,研究員


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Date: Thu, 3 Oct 2002 15:28:02 +0900
From: Yasushi Hiromi
Subject: [Jfly] ハエを送るときの梱包法-試験研究における組換え生物の取り扱い

jflyのみなさま,

生物多様性条約(通称カルタヘナ議定書 http://www.meti.go.jp/policy/bio/
Cartagena-giteisho.html)というのがあって,日本も署名を予定しています.地球の
生物多様性を維持するために,LMO(遺伝子組換え生物)の国際間の移動をきちんと制
御しよう,という提案です.文科省でも,「試験研究における組換え生物の取扱いに
関する小委員会」というのをつくって対応を議論しており,もうすぐ最終報告書が出
ます.

http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/seimei/index.htm

http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2002/020706a.pdf  <---中間報告

日本が議定書に署名するときには,この議定書の精神を実行に移すための法律ができ
ます.意図的に環境に放出するLMOを輸入する際には,事前の情報提供に基づく輸入
国の合意(AIA: Advance Information Agreement)手続きが必要になります.しかし
,研究室内でのショウジョウバエ実験のように,「封じ込めの下での利用」に供され
る生物の輸入については,AIA手続きは不要ですので,我々のような研究に大きな支
障が出ることはありません.しかし,そのような目的のためであっても,LMOが輸送
途中に漏れだしては困るので,安全な容器の規準が定められることになります.おそ
らく,今後パッキング入り封筒は使えなくなるでしょう.頑丈な紙製の缶(mailing
tube)の日本での入手先は知りませんが,カルタヘナ議定書の担保法ができる頃には
,政府から輸送容器についても指示があると思います.

今回のJflyへの投稿では郵便によるショウジョウバエの輸送が取り上げられています
が,実は,ショウジョウバエの国際郵便による輸送は公式には認められていません.
これまでにもJflyで紹介があったように,万国郵便条約によると,郵便で送って良い
生物は,

・みつばち,水ひる及び蚕
・害虫の寄生虫及び捕食虫であって,害虫駆除の用に供し,かつ,公認の施設の間で
交換するもの

だけです(http://www.post.yusei.go.jp/service/kokusai/ko_johken/html/1-3-1.
html).つまり,産業・医療上の有益生物のみ,ということです.実際にはこの規則
は緩用されており,Bloomingtonにストックを注文すると,USPSで送られて来るのは
みなさんも良くご存じでしょう.でも,カルタヘナ議定書に調印後はこういう規則の
適用が厳しくなるのではないかと心配しています.

LMOは現代の生命科学研究には欠くことのできない重要なツールであり,その安全か
つ安価な輸送方法の確保は重要な課題です.時代錯誤の感が強い万国郵便条約を改訂
するよう,研究者コミュニティーが提案するのが良いかもしれません.来年の国際遺
伝学会はそういう問題を議論するよい機会でしょう.しかし,ルーズなことをやって
いて事故を起こすようなコミュニティーがいくら提案をしても説得力はありません.
我々はLMOが安全に輸送されるよう,普段から梱包法に充分注意することが大切です.

総合研究大学院大学・遺伝学専攻
国立遺伝学研究所
広海 健


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Date: Thu, 3 Oct 2002 15:41:50 +0900
From: "ITO, Kei"
Subject: [Jfly] Re: ハエを送るときの梱包法

At 2:51 PM +0900 02.10.3, Shuji Hanai wrote:
> > 頑丈な紙製の缶(フタは金属かプラスチック)
> 多分、フィッシャーです。アズワンのも出所はここです。

さっそくアズワンのカタログ見てみました。これも見たことがありますが、
もうちょっと頑丈でない、アルミの外郭がない紙筒だけのタイプもよく見
かけます。確かにメンブレンフィルターの容器と似てるんですけど、商標
も何も書いてないので、何かの転用でなくて専用に売ってる容器みたいな
のですが。

いとうκ


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Date: Thu, 3 Oct 2002 17:10:40 +0900
From: "Murata, T (RIKEN BRC)"
Subject: [Jfly] Re: ハエを送るときの梱包法

At 3:41 PM +0900 02.10.3, ITO, Kei wrote:
>さっそくアズワンのカタログ見てみました。これも見たことがありますが、
>もうちょっと頑丈でない、アルミの外郭がない紙筒だけのタイプもよく見
>かけます。確かにメンブレンフィルターの容器と似てるんですけど、商標
>も何も書いてないので、何かの転用でなくて専用に売ってる容器みたいな
>のですが。

カレンダーやポスターもその容器に入っていますね。
アスクルのカタログを見てみました。
https://club.askul.co.jp/html/www_catg_00.html
オフィス作業用品>梱包用品>紙管
ポスター用の大きいものはありました。
メーカーさえ分かれば、なんとかなると思います。

理化学研究所 筑波研究所
バイオリソースセンター
遺伝子材料開発室 (DNA Bank)
村田 武英,研究員


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Date: Thu, 03 Oct 2002 18:27:25 +0900
From: Yusuke Uchiyama
Subject: [Jfly] Re: ハエを送るときの梱包法

Jflyの皆様、今日は。

内山@京大農学部です。

ちょっと暇があったので、Googleで検索して色々と調べてみました。

その中からでてきたある業者さんに問い合わせたところ、京都では

鈴木松風堂(075-221-5641)と言う業者さんが法人向けならば紙製の様々な容器類
(含む筒)をつくって下さるだろうとのことでした。

頻繁に系統のやり取りをしなければならない研究室やストックセンターのような
ところではこういった業者に依頼するのも一手ではないかと思います。

ご参考にして頂ければ幸いです。

内山 有祐
京都大学大学院農学研究科昆虫生理学研究室