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色覚バリアフリー:報道特集で放映


Date: Tue, 19 Nov 2002 12:24:47 +0900
Subject: [Jfly] 報道特集で放映
From: Masataka Okabe

jflyの皆様

ご無沙汰しております。遺伝研の岡部です。

昨年夏の第5回日本ショウジョウバエ研究会における「色盲の人にもわかるバリ
アフリープレゼンテーション法」というトークから始まりました「色覚バリアフ
リー活動」が、今度の日曜日(11月24日)の夕方、TBS(JNN系列)の『報道
特集』で30分間取り上げられます。

報道特集は、日曜日の午後5時半〜6時半まで、毎週2つのトピックスに関して
30分間づつ放送しておりますが、前後どちらの30分になるかは不明です。こ
の夏からずっと取材が続いておりましたが、ニューヨークのテロ一周年や、小泉
首相が突然北朝鮮へ行くなど話題が事欠かなかったため、放送がどんどん遅れて
いきました。今度はイラク攻撃でさらに遅れるかと思いきや、イラクが査察を受
け入れることになったため、サダム・フセイン氏のおかげでどうやら放送にこぎ
着けそうです、、が、報道番組故に、突然の出来事で番組の内容が変更される可
能性もあります。その点ご了承ください(^^;

11月24日(日曜日)
17:30〜18:30
TBS 報道特集
http://www.tbs.co.jp/houtoku/
(予告は金曜日になるまで出ません)

JNN系列の放送局に関してはこちらをご覧ください。
http://www.tbs.co.jp/jnn/

あまりに長い期間取材されたので、私もいとけいさんも、どの映像が使われるの
か検討もつかないでいますが、私の子供の頃の写真やら、親父の診療所やら、い
ろいろ暴露され、さらに伊藤家の人々も紹介され、さらにいとけいさんのケンブ
リッジ訪問記、そして自称ハエの王、堀田凱樹氏も登場するかもしれません。見
たことのある顔が登場するという意味では爆笑ものかもしれません。好御期待!

簡単にこれまでの経緯を紹介いたします。

われらがショウジョウバエ研究会から始まった「色盲の人にもわかるバリアフ
リープレゼンテーション法」は、ご存じ伊藤啓さん(以下いとけいさん)と私と
いう2人の自身が色盲の研究者が企画したトークですが、黙っていられない方々
の多く集まるショウジョウバエ研究会において、記念すべき第1回の発表を行っ
たおかげで、初回からたくさんのご意見、ご助言をいただくことができました。
何事も最初が肝心ですね。おかげさまでこれで2人とも味を占めたとも言えま
す。

その後、2人で手分けして、特定領域の班会議やら、Cold Spring Harbor
Meetingなどで同じ講演を続けていましたが、昨年の暮れに共同通信社がこの活動
を取材し今年の1月7日に全国の新聞にこの活動の話が掲載されてからは、生物
学以外の分野、例えば、印刷機メーカーやソフトウェア開発会社、博覧会や博物
館における掲示物作成を行っている企業、工業デザイナーの方々などから、多々
問い合わせをいただきました。各種異分野交流会(学術ではなく産業界の)での
講演会も増え、地方自治体での議会などでも一般質問に「色覚バリアフリー」が
取り上げられ、先日は地元三島市の教育委員会に呼ばれ、三島市のすべての幼稚
園、小学校、中学校の先生方が集まる前で講演する機会を得るなど、正直予想外
の展開となりました。

月刊「細胞工学」の今年の7、8、9月号に「色覚の多様性と色覚バリアフリー
プレゼンテーション」を短期連載いたしました。私といとけいさんで、持つ知恵
をすべて出し切って書いた文章は、全3回で、前代未聞、ルール違反?の12万
字51図版でカラーA4版60ページという、この手の科学雑誌としては、例のな
いスケールになりました。この連載では、色覚のメカニズムや色盲のメカニズ
ム、色盲の人にはどうみえるかといったシミュレーション、そして厳密な色指定
の方法論などを踏まえた上で、色覚バリアフリーな図版を作成するために必要な
スキルを紹介しております。この連載は、全文および全図版を雑誌販売と同時
に、PDF版およびHTML版の両方をWebで公開するなど、編集部と株式会社ヒューリ
ンクスに多大なご協力をいただいきました。その甲斐もあり、この連載も多くの
生物分野外の方々の目に触れ、大変な反響をいただいております。我々が使って
いるパソコンのモニターの色調節に出てくる言葉、フォトショップやイラスト
レーターなどのソフトでの色指定をしているあの数字の意味、カラープリンター
に印刷すると画面と色が違ってしまうのは???など、身近な疑問にもヒントを
与えてくれる内容になっています。

PDF版の公開:
http://www.shujunsha.co.jp/topics/barrierfree.html
HTML版の公開:
http://www.watsonkun.com/shujunsha/barrierfree.html

このような専門的な内容の文章を、多くの人の目に触れさせ、内容を理解しても
らうには、どの雑誌に投稿したらよいかと考えてみます。そうすると、そんな雑
誌はないことに気がつきます。ですから、月刊「細胞工学」がこのようなトピッ
クスを取り上げたことは奇跡的なことであり、編集部の倉内雅弘さんのご尽力の
賜であると言えます。日本において月刊「細胞工学」がこの話題を取り上げたこ
と、そして日本において「色覚バリアフリー活動」が広がりをみせていることに
関しては、米科学雑誌Scienceからも注目され、来週号(11月22日発売)の
ニュースセクションに小さい記事ですが、この動きに関する記事が掲載されま
す。日本にはなかなか雑誌が届きませんので、21日の晩に公開されるWeb版をご
覧ください。
( 本当はもう少し大きな記事になる予定でしたが、報道特集の放映前にというこ
とで、誌面の都合上小さくなってしまいました(^^; )

Scienceのページ:
http://www.sciencemag.org/content/current/

尚、「色盲の人にもわかるバリアフリープレゼンテーション法」のホームページ
では、色盲のメカニズムや色覚バリアフリーな図版を作成するスキルを紹介して
おり、ちょこちょこ内容をアップしております。どうぞご覧ください。

http://www.nig.ac.jp/labs/DevGen/shikimou.html

以上、ショウジョウバエ研究会から始まった本啓蒙活動のプログレスをご紹介し
ました。

最近、この仕事ばかりにかかりっきりになっているわけでもないのですが(広海
研の面々には「うそつき〜!」と言われそうですが)、本来発生学の研究者を目
指して日々精進しているはずの私は、世間では色盲の研究をしている人として捉
えられる機会が増えてきました。このままでは本業に戻れなくなる危機も感じて
おり、来月12月3日よりしばらく渡英し、本業の発生学に打ち込むことにいた
しました。海外逃亡とも思われる行為ではありますが、ショウジョウバエ研究会
のすぐ後から申請しておりました文科省の長期在外研究員があったための渡英で
あります。ご容赦ください。この活動はインターネットを介してイギリスからも
続けていくつもりです。逃亡中の国内セミナー活動はいとけいさんにおまかせし
たしました。また近いうちに皆様の前に登場するかと思いますが、今後ともよろ
しくおねがいいたします。

長々と失礼いたしました。

岡部正隆
国立遺伝学研究所 発生遺伝研究部門