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カイ2乗検定とt検定


Date: Sat, 11 Jan 2003 01:52:02 +0900
Subject: [Jfly] カイ2乗検定とt検定
From: Masahiko Sakaguchi

連続メールで申し訳ありませんが教えていただきたいことがあります。

ある遺伝子座の対立遺伝子A,aについて、ヘテロである個体Aaを劣性ホモ個体aaと交
配して得られる次世代の形質[A]:[a]=1:1(平均値に差がない)を検定する場合や、

嗅物質いりビンと水のビンのそれぞれにはいる数が1:1(平均値に差がない)であ
るかを検定する場合、

5回の測定でそれぞれ、X群とY群が
51:48
74:23
61:33
44:53
47:49
(計277:計206)
(平均は55.4と41.2)
(1:1の期待値は計241.5:計241.5)

となった場合、総数(計277:計206)を比較するカイ2乗検定では
カイ2乗=10.4自由度1でP=0.0015=1/667
と1:1であるという仮説は5%ではもちろん1%でも棄却され、

平均値の差の有意性を調べるunpaired t検定(両側)では
tは1.802、自由度8、P=0.109
となり5%では平均値が等しいという帰無仮説を棄却できません。

そうすると、X群とY群は1:1でないが、平均値は等しい
となるのでしょうか?

信州大学教育学部生物
坂口雅彦


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Date: Sat, 11 Jan 2003 14:00:07 +0900
From: Yoshiaki FUYAMA
Subject: [Jfly] カイ2乗検定とt検定

坂口様

データが均一であるかどうかをheterogeneity testにかけてみました。

 カイ二乗検定では、カイ二乗値=26.25、自由度=4、p=2.81e-5
 尤度比検定 (Gテスト)では、 G=27.00、自由度=4、p=1.99e-5

となり、いずれも確率は0.1%以下であり、きわめて有意になります。
すなわち、上のデータは不均質であり、このようなデータをプールす
ることはできないというご託宣です。

以下、データが均質であると仮定しての話ですが、このようなデータを
unpaired t検定にかけるのはおかしいと思います。明らかに対応がある
わけですから。

もっとも、この場合、paired t-testでも、

 t=1.27757、自由度=4、p = 0.27051

となって、確率はunpairedよりむしろ高くなりますが。。。

一般的には、paired testではレプ間の分散が除かれますから、感度は
高くなります。

布 山 喜 章 : 東京都立大学大学院理学研究科生物学教室
Yoshiaki FUYAMA : Dept. of Biology, Tokyo Metropolitan University
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