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FM7バランサー系統
Date: Wed, 4 Feb 2004 10:52:40 +0900
From: Takao Koana
Subject: [Jfly] FM7 (3614)
J-fly の皆様
FM7c/sc[10-1]を探しています。どなたかわけていただけないでしょうか。
sc[10-1]でなくても致死をバランスしているストックなら結構です。ただし
遺伝子組換え系統は困ります。どうぞよろしくお願いします。
小穴孝夫
(財)電力中央研究所
低線量放射線研究センター
Date: Wed, 4 Feb 2004 11:22:40 +0900
From: Yasushi Hiromi
Subject: [Jfly] FM7 (3615)
小穴さま,
旧堀田研ストックリストに
sc[10-1] / FM7A
というのがあります.
むかし「FM7AはFM7aではなく,FM7cのことである」と指導教官
(もしくは研究室の先輩)から教わった記憶があります.
y[31d] w[a] sn[X2] v B
を含んでいたと思います.
これで良ければお送りします.
総合研究大学院大学(SOKENDAI)・遺伝学専攻
国立遺伝学研究所
広海 健
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Date: Wed, 4 Feb 2004 13:18:17 +0900
From: Takao Koana
Subject: [Jfly] FM7 (3616)
広海様
FM7AはFM7aではなく,FM7cのことである、というのは正しいはずです。
私のストックも旧堀田研のFM7Aです。これにトラブルが出たので、
同じ由来のものを調べて原因を解明したいと思います。分与をお願い
します。
小穴孝夫
(財)電力中央研究所
低線量放射線研究センター
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Date: Fri, 6 Feb 2004 14:14:01 +0900
From: Masayoshi WATADA
Subject: [Jfly] FM7 (3618)
小穴 様、皆様、
愛媛大学の和多田です。メールを送るのが遅れましたが、,FM7cについて一言。
FM7cは組換えを完全には抑えないので(不妊が完全でないと言われたかもしれな
い)、使用しない方が良いと昔のボスに教わりました。それで、X染色体の実験
には FM7aを使っていました。FM7aは一度もトラブルを起こしたことはありませ
ん。FM7aな ら私の研究室から分与できます。
--
和多田 正義 わただ まさよし
愛媛大学 理学部 生物地球圏科学科 生態環境変遷学講座
Date: Fri, 6 Feb 2004 15:06:03 +0900
From: Takao Koana
Subject: [Jfly] FM7 (3619)
和多田様、皆様
FM7aはlzが入っていて、前足の爪がないためバイアルの壁を登れないので飼育が
大変だった、という記憶があります。FM7cは組換えを完全には抑えない、というのは
始めて聞きました。それが正しいとすると、最近経験したFM7cを使った実験での、
次のトラブルは説明できるかもしれません。すなわち、
sc[10-1]/FM7c×+/YのF1に野生型の雄が少数または多数出る、あるいはB雄が少数
出る、というものです。少数出てきた野生型の雄とBの雄は不妊だが多数出てきた
野生型雄は妊性ありのようです。これがうまく説明できなくて、FM7が壊れた、と
考えたのですが、どなたかうまい説明をつけてくださいませんか。
小穴孝夫
(財)電力中央研究所
低線量放射線研究センター
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Date: Fri, 6 Feb 2004 15:41:10 +0900
From: Yoshiaki FUYAMA
Subject: [Jfly] FM7 (3620)
小穴様 皆様
少数のB雄は説明できませんが、多数の野生型雄はattached X (C(1)RM)ができた
ことが原因である可能性があります。つまり、雌がattached X /Yであったという
ことです。
以前、FM7cでこのようなケースに出くわした経験があります。
--
布 山 喜 章 Yoshiaki FUYAMA
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Date: Fri, 6 Feb 2004 16:54:17 +0900
From: Ogura
Subject: [Jfly] FM7 (3621)
布山先生、和多田先生、皆様
sc[10-1]/FM7cの件で疑問なのはバランサーのどこかで組み換えが起こったな ら
ばsc[10-1]/Yが致死なのでy[31d]sc[8]/Yみたいなものが出てくると予想できる
のに、なぜか おかしな表現型のものは全て野生型の雄の表現型をしている為、小
穴さんと解釈に窮している訳です。
何かいい解釈がありませんか?
小倉啓司
Ogura, Keiji, Ph. D.
Biotechnology Department
Institute of Research and Innovation
(財)産業創造研究所 研究員
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Date: Fri, 6 Feb 2004 17:21:08 +0900
From: Takao Koana
Subject: [Jfly] FM7 (3622)
布山先生、皆様
> > sc[10-1]/FM7c×+/YのF1に野生型の雄が少数または多数出る、あるいはB雄が少数
> > 出る、というものです。少数出てきた野生型の雄とBの雄は不妊だが多数出てきた
> > 野生型雄は妊性ありのようです。これがうまく説明できなくて、FM7が壊れた、と
> > 考えたのですが、どなたかうまい説明をつけてくださいませんか。
>
> 少数のB雄は説明できませんが、多数の野生型雄はattached X (C(1)RM)ができた
> ことが原因である可能性があります。つまり、雌がattached X /Yであったという
> ことです。
私の説明が不足でした。まずsc[10-1]/FM7c×+/Yは雄雌1匹ずつの掛け合わせです。
その掛け合わせをたくさん作ると、F1に変な雄が出てくるビンが5%ぐらいあります。
そこでsc[10-1]/FM6×+/Yに変えてみましたが、結果は同じでした。このsc[10-1]は
FM7cストックから移したものですので、この染色体に異常があった、という可能性は
否定できないと思います。部分異数性かなとも思うのですが・・・
小穴孝夫
(財)電力中央研究所
低線量放射線研究センター
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Date: Fri, 6 Feb 2004 18:47:32 +0900
From: Yuji Kageyama
Subject: [Jfly] FM7 (3623)
>sc[10-1]/FM7c×+/YのF1に野生型の雄が少数または多数出る、あるいはB雄が少数
>出る、というものです。少数出てきた野生型の雄とBの雄は不妊だが多数出てきた
>野生型雄は妊性ありのようです。
多数出る場合はattached Xで説明できると思います。そんなに簡単に起こることな
のかどうかわかりませんが...
少数出てきた雄はscのrevertantで、弱いsis-b phenotypeを見ているのではないでしょ
うか。sc[10-1]はpoint mutationであったように思います。妊性がない野生型というこ
とは、sc染色体ホモの雌がsex transformationで雄になったもののような気がします。
sis-b変異によるsex transformationは知られていませんが、出てくる雄が少数という
ことですし、可能性はあると思います。
どちらの場合も、caryotypeを見ればわかるのではないでしょうか。
影山裕二
奈良先端科学技術大学院大学
バイオサイエンス研究科
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Date: Fri, 6 Feb 2004 18:56:10 +0900
From: "Sawamura, Kyoichi"
Subject: [Jfly] FM7 (3624)
小穴様、小倉様
FM6やFM7を使った交配から例外雄が生じる機構については、次の論文に載ってい
ます。
Hutter (1990) 'Exceptional sons' from Drosophila melanogaster mothers
carrying a balancer X chromosome. Genet. Res. 55: 159-164.
著者はDr. Ashbuernerのもとでsimulansとの雑種を作っていたときに、この現象
に気がついたようです(Hutter, Roote, Ashburner (1990) Genetics 124:
909-920 のTable 8の脚注が初出)。
論文が手元にないので記憶が定かではありませんが、バランサーへテロの雌が発
生初期に体細胞組み換えを起こして、染色体の大部分を失う(その結果、雄とし
て発生)というものだったと思います。複雑な逆位の相同な部分で2回乗り換え
が起こると、染色体のその間の部分がごっそりなくなってしまう(ワッカができ
てその間で乗り換えているというイメージ)、という、頭が捻転を起こしそうな
モデルだったと思いす。
これから図書館で論文を探して、週末にもう一度パズルをしてみます。
澤村
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Date: Fri, 6 Feb 2004 20:10:21 +0900
From: "Sawamura, Kyoichi"
Subject: [Jfly] FM7 (3626)
自己フォローです。図書館で論文を読んで、先程のメールに誤りを見つけまし
た。
(1)乗り換えは2回ではなく、1回でした。ワッカが2個でき、片方のワッカの
基部で乗換えが起こるというモデルでした。したがって、一方の産物は動原体を
持たず、細胞から消失。
(2)体細胞での乗換えとして説明できますが、減数分裂時の乗り換えでも説明
できるようです。しかし、いずれのモデルでも実際のデータを説明しきれない、
ということが論文に書かれていました。
前者:雌雄モザイクは出てこない
後者:遺伝子型がB/B+のはずなのに、表現型では強いBarを示す
(未解決問題ということでしょうか?)
(3)ついでにもうひとつの誤り。「論文が手元にない」と書きましたが、著者
から別刷りをいただいていたことを思い出しました。それを忘れて、図書館に
行ってしまったのでした。
澤村
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From: "Sawamura, Kyoichi"
Date: Friday, February 06, 2004 6:56 PM
Subject: [Jfly] FM7 (3624)
小穴様、小倉様
FM6やFM7を使った交配から例外雄が生じる機構については、次の論文に載ってい
ます。
Hutter (1990) 'Exceptional sons' from Drosophila melanogaster mothers
carrying a balancer X chromosome. Genet. Res. 55: 159-164.
著者はDr. Ashbuernerのもとでsimulansとの雑種を作っていたときに、この現象
に気がついたようです(Hutter, Roote, Ashburner (1990) Genetics 124:
909-920 のTable 8の脚注が初出)。
論文が手元にないので記憶が定かではありませんが、バランサーへテロの雌が発
生初期に体細胞組み換えを起こして、染色体の大部分を失う(その結果、雄とし
て発生)というものだったと思います。複雑な逆位の相同な部分で2回乗り換え
が起こると、染色体のその間の部分がごっそりなくなってしまう(ワッカができ
てその間で乗り換えているというイメージ)、という、頭が捻転を起こしそうな
モデルだったと思いす。
これから図書館で論文を探して、週末にもう一度パズルをしてみます。
澤村
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Date: Sat, 7 Feb 2004 10:13:13 +0900
From: Masayoshi WATADA
Subject: [Jfly] FM7 (3627)
小倉様、澤村様、皆様、
> sc[10-1]/FM7cの件で疑問なのはバランサーのどこかで組み換えが起こったな らば sc[10-1]/Yが
> 致死なのでy[31d]sc[8]/Yみたいなものが出てくると予想できるのに、なぜか おか しな表現型のものは
> 全て野生型の雄の表現型をしている為、小穴さんと解釈に窮している訳です。
> 何かいい解釈がありませんか?
調べてみないと分かりませんが、FM7などはいくつもの逆位が Multiple に組み
合 わさっているので、遺伝子座の配列が標準的ではないですよね。そのことを考
慮する と組換えで説明できませんか。
(1)乗り換えは2回ではなく、1回でした。ワッカが2個でき、片方のワッカの
基部で乗換えが起こるというモデルでした。したがって、一方の産物は動原体を
持たず、細胞から消失。
(2)体細胞での乗換えとして説明できますが、減数分裂時の乗り換えでも説明
できるようです。しかし、いずれのモデルでも実際のデータを説明しきれない、
ということが論文に書かれていました。
前者:雌雄モザイクは出てこない
昔、X,第2、第3染色体を同時にバランサーでへテロにすると染色体不分離
や組 換えがおこる、と習ったのですが、敢えてしてみたことがあります。その時
に、組換 えも起きたのですが、雌雄モザイクもわずかにでてきました。上記のモ
デルで説明で きるということでしょうか。
和多田 正義 わただ まさよし
愛媛大学 理学部 生物地球圏科学科 生態環境変遷学講座
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Date: Sat, 7 Feb 2004 10:54:55 +0900
From: Yuji Kageyama
Subject: [Jfly] FM7 (3628)
At 6:47 PM +0900 04.2.6, Yuji Kageyama wrote:
>少数出てきた雄はscのrevertantで、弱いsis-b phenotypeを見ているのではないでしょ
>うか。
ヘテロもしくはヘミ接合体を見ている今回の場合には全く当てはまりませんね。失礼しました。
--
影山裕二
奈良先端科学技術大学院大学
バイオサイエンス研究科
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Date: Mon, 9 Feb 2004 12:12:40 +0900
From: Takao Koana
Subject: [Jfly] FM7 (3629)
澤村様
> (1)乗り換えは2回ではなく、1回でした。ワッカが2個でき、片方のワッカの
> 基部で乗換えが起こるというモデルでした。したがって、一方の産物は動原体を
> 持たず、細胞から消失。
>
> (2)体細胞での乗換えとして説明できますが、減数分裂時の乗り換えでも説明
> できるようです。しかし、いずれのモデルでも実際のデータを説明しきれない、
> ということが論文に書かれていました。
> 前者:雌雄モザイクは出てこない
> 後者:遺伝子型がB/B+のはずなのに、表現型では強いBarを示す
> (未解決問題ということでしょうか?)
この現象はFM7にバランスされているストックでは常に起こっているのでしょうか?
私は見たことがありません。FM7/sc[10-1]×Ore-R♂を作ったときに始めて(しかも
数%の高頻度で)見ました。この点は説明できるのでしょうか?
ついでで申しわけありませんがFM7系統をお送りくださった上田さん、広海さん、
無事に受け取りました。どうもありがとうございました。
小穴孝夫
(財)電力中央研究所
低線量放射線研究センター