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海外にハエを送る方法は?


From: Kazuhiko Kume
Date: Wed, 03 Mar 2004 09:54:56 +0900
Subject: [Jfly] 海外にハエを送る方法は? (3644)

熊本大学の粂です。

自分で調べないで手抜きの質問ですが、どなたか教えて下さい。

アメリカの共同研究者にハエを送る必要があるのですが、
どのようにして送るのが、良いのでしょうか?

FEDEXは生き物は運ばないと言われて、はたと困りました。

熊本大学発生医学研究センター  粂 和彦 

Kazuhiko Kume, MD, PhD
Institute of Molecular Embryology and Genetics
Kumamoto University

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Date: Wed, 03 Mar 2004 10:44:15 +0900
From: Shuji Hanai
Subject: [Jfly] 海外にハエを送る方法は? (3645)

花井@筑波大学です

> 自分で調べないで手抜きの質問ですが、どなたか教えて下さい。

こんなのも有りましたね。
http://jfly.uni-koeln.de/html/discussion/2002/0204international_mail.ht
ml
http://jfly.uni-koeln.de/html/discussion/1998/9809_Sending_Flies_byFEDE
X.html
カルタヘナ議定書という新しい状況もあり、皆で再確認するのも宜しいかと。

> アメリカの共同研究者にハエを送る必要があるのですが、
> どのようにして送るのが、良いのでしょうか?
> FEDEXは生き物は運ばないと言われて、はたと困りました。

私も今日明日にも送るところでFedexにダメモト再確認中(以前はダメと)なのですが、
やはりダメですか、、、
たしか、死んでしまうのが怖いのでなく、通関がメンドウなのでとか。
でも、ログには「biological material(ただしDrosophila melanogasterとも)」と書
いてフェデックスで送れたという情報もありました。

いつも郵便(EMS)で送っています。
先達のご尽力でDrosophila melanogasterは郵便許可品目に記載されているとか。
なお、USAは非カルタヘナ締約国なので、通告も表示もいらないそうです。
(USAから受け入れる場合には組換え実験申請はいるはずですが)
締約国との間の通関は規則を見る限りは事前通告など面倒そうです。どなたか体験談
などあれば幸いです。
クロネコが通関に積極的というログもあり期待したい所です。

品目はDrosophila melanogasterときちんと書いた方がよいと思われます。
Fruit Fly とか書いて危険なミバエと混同されるとメンドウなので。


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Date: Wed, 3 Mar 2004 11:58:34 +0900
From: Yasushi Hiromi
Subject: [Jfly] 海外にハエを送る方法は? (3646)

遺伝研の広海です.

花井さんからもレスポンスがありましたが,ちょっと補足します.

(1)私もハエを送るときにはEMS(http://www.post.japanpost.jp/service/intel_
service/ems.html)で送っています.

(2)万国郵便条約では,次の例外を除き,生きた動物は送ってはいけないことにな
っています.
・ みつばち、水ひる及び蚕
・ 害虫の寄生虫及び捕食虫であって、害虫駆除の用に供し、かつ、公認の 施設の間
で交換するもの
http://www.post.japanpost.jp/service/intel_service/ko_johken/html/1-3-2.html

(3)現実にはこの規則は日本でもアメリカでも緩用されており,郵便でキイロショ
ウジョウバエを送ることは可能です.

(4)カルタヘナ条約の影響でひょっとしたら今後郵便規則の適用が厳しくなるかも
しない,という問題は一昨年Bloomington stock centerに知らせました.今Kevin
Cookらがアメリカ郵政省を通じて万国郵便条約改正に向けて動き出してくれているそ
うです.詳しくは以下のメールを見て下さい.アメリカはカルタヘナ条約を締結して
いませんが,それでもちゃんと気にしているということです.ひょっとしたら今年の
Drosophila Boardで何か議論があるかもしれません.

> Date: Wed, 05 Feb 2003 17:15:46 -0500
> To: yhiromi@lab.nig.ac.jp
> From: Kevin Cook
> Subject: Japanese funding information
>
> Hi Yash--
>
> I am still working on a write-up to give to the postal authorities to try
> to change international mailing regulations. I have sent the following
> letter to fly workers in every country the Stock Center serves. I hope you
> can provide the information for Japan.
>
> Thanks!
> Kevin
>
> As you know, the Bloomington Drosophila Stock Center mails flies to many
> different countries. Because of this, we are becoming quite familiar with
> international postal regulations. There is an agency within the United
> Nations, called the Universal Postal Union, that is responsible for
> coordinating postal regulations among countries. I have been discussing
> rules concerning the shipment of Drosophila samples with U.S. postal
> authorities, and they appear willing to ask the Universal Postal Union to
> change international regulations to make it easier to exchange Drosophila
> samples between labs in different countries.
>
> In order to get the rules changed, we must convince representatives to the
> Universal Postal Union that the changes are important to their own
> countries. I am compiling statistics about our international shipments,
> numbers of research labs in different countries, etc. to build a case for
> the importance of exchanging flies through the mail. We all know that
> "money talks", so I would like to include information about funding for
> Drosophila research. Can you provide me with the names of governmental,
> international and private agencies that you know have funded fly research
> in Japan? It is not important that the list is exhaustive, but it is
> important that someone from the postal service in your country would
> recognize the names of the agencies. Obviously, the longer the list, the
> more impressive it will be.
>
> We ship flies to about 50 countries, and I am contacting a couple of people
> in each country to ask for this information. If you do not wish to
> respond, please forward this message to someone who might be able to help.
>
> Many thanks for your time and help with this unusual request!
> Kevin
>
> __________________________________________________________
> Kevin Cook, Ph.D. Bloomington Drosophila Stock Center
> __________________________________________________________

総合研究大学院大学(SOKENDAI)・遺伝学専攻
国立遺伝学研究所
広海 健


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Date: Wed, 3 Mar 2004 12:55:09 +0900
From: Toshiro Aigaki
Subject: [Jfly] 海外にハエを送る方法は? (3647)

相垣@都立大です。
郵便局がやっているEMSを使っています。意外ですが、生物輸入の管理が厳しい
オーストラリア宛にはFedexが使えます(もちろん、通常郵便でも必要 なImport
Permitは必要)。かつては、アメリカにもFEDEXで送ったことがありましたが、
今は完全にだめです。ということで、相手からFedex accountを知らされても、
受取人払いでハエをおくることはできません(逆は問題ないですが)。郵便局が
やっているEMSも受取人払いはできませ ん。DHL, UPS(ヤマト)は慎重なので、
オーストラリア宛であっても引き受けないと思います。
相垣


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Date: Wed, 3 Mar 2004 12:11:29 +0900
From: "Murata, T (RIKEN BRC)"
Subject: [Jfly] 海外にハエを送る方法は? (3650)

村田@DNABank.RIKEN です。

組換え体ということで国内の規制は受けます。
「取扱い注意」と書いたラベルが必要です。海外に送る時でも空港までは国内輸
送ですからこの表示は必要と思います。
アメリカは非締約国なので遺伝子組換え生物等規制法施行規則の様式第12(第37
条第 1号関係)による通告は不要ですが、通関の際のINVOICE は必要なので、花
井さんのいう通りの表示が必要と思います。
なお、バンク業務で細胞や培養液(血液製剤)を含むものを送る時は通関のみな
らず検疫申請が必要なのですが、こちらで書類を取り揃えておけば面倒はないの
で、ユーピーエス・ヤマト・エクスプレス株式会社(いわゆる国際宅急便)を
使っています。 DNA だけなら郵便局のEMS です。

理化学研究所 筑波研究所
バイオリソースセンター
遺伝子材料開発室 (DNA Bank)
村田 武英,先任研究員


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Date: Thu, 04 Mar 2004 12:59:27 +0900
From: "YAMAMOTO, Masa Toshi"
Subject: [Jfly] 海外にハエを送る方法は? (3651)
[Jfly ML (3651)]

Jfly各位

海外にショウジョウバエを送る方法については、毎年といっていいほど繰り返さ
れて きた話題ですし、研究室によりこれまで様々な対応されていたこともあり、
色々な議 論が出ているようです。
この件について、国立遺伝学研究所時代とショウジョウバエ遺伝資源センター設
立時に検討してきた結果をJflyのみなさんにお知らせすると共に、センターの
ホームペー ジにも掲載しておく予定です。(今現在できておりませんが)

FedExは生物は送らないという姿勢で一貫しています。Bloomingtonも
ショ ウジョウバエの送付を扱うようにとの要請を何年も前から継続しています
が、変更は ありません。ショウジョウバエ遺伝資源センターから正式な問い合わ
せはしていませ んが、FedExを全く利用しておりません。利用しない方がいいの
ではないかというのが 私の提案です。従来から利用が可能で、便利なのが、郵便
による送付です。

郵送による輸出については、
1) 税関
2) 植物防疫
3) カルタヘナ議定書
4) 万国郵便条約の制限事項(国内ではそれに則った郵政公社の国際郵便約款に従
うとになる)

を区別して考えると分かりやすいかと思います(それぞれ制限が異るので)。


1) 税関

緑色の税関票符(「税関 Costoms」とあるもの)の品目を「Drosophila melanogaster」、
(以前は「Research material]とか、「Live material」などと記入 していた頃
もありました。下記参照)、価格「$0」(商業的価)と記入し、サインを しま
す。


2) 植物防疫

植物防疫ではDrosophila melanogasterはフリーパスですが、他種のショウジョウ
バエ の一部やミバエ(これもfruit flyと呼ばれる)は禁じられている国が多い
と思われま す。税関票符にDrosophila melanogasterと分かるようにしておくべ
きです。

fruit flyとの記入は避けるべきです(正式な通称名はvinegar flyではないかと
の話 題もいつも出てくる事ですが)。なお、日本への輸入を例にすると、
Drosophila suzukiiなどの害虫とされるものは、ショウジョウバエであっても基
本的には輸入許可 は下りません。

また、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、韓国(?)などのように生
物の 輸入の制限が厳しい国では、受入側が申請して取得しているimport permit
numberを 事前に聞いておき、包装の外側にimport permit #: xxxxxxと記入して
送付する必要 があります。


3) カルタヘナ議定書の扱い

transgenicショウジョウバエを送る場合は、生物多様性条約のカルタヘナ議定
書に従った表示等をする必要があります。箱の外に「Fragile」の表示と、送
付状にtransgenicであることが分かるようにしておかなければなりません。ま
た、送る前に、相手がtransgenicショウジョウバエを扱えることを確認してお
く必要もあります。

批准していない国(例えばアメリカ合衆国)に送る場合も、国内の輸送があるの
で、 「取扱注意」の表示をして、カルタヘナ議定書に準じて送るべきです。


4) 万国郵便条約の制限事項(国内ではそれに則った郵政公社の国際郵便約款に従うこ とになる)

通常郵便物もEMSも扱いは同じです。

郵政公社の国際郵便約款では、外国あて郵便物として生きた動物を差し出すこと
はで きない(第10条)ことになっていますが、送ってはいけないものとして
1. 爆発性、発火性その他の危険性のある物で総務大臣が指定するもの
2. 毒薬、劇薬、毒物及び劇物
3. 生きた病原体及び生きた病原体が付着していると認められる物
となっています。これ以外のものは、いろいろと規定があって、それに準じて送
付できる事になります。キイロショウジョウバエなど研究用生物材料を送る際に
は、第 102条(生物学上の材料)の規定に従う事になります。


郵政公社の国際郵便約款より抜粋(「……」以下は略してあります)
http://post.ah-tech.co.jp/service/yakkan/3-1.pdf

第102条 死滅しやすい又は変敗しやすい生物学上の材料を内容品
とする外国あて郵便物は、公社が別に定める手続きによりあらかじめ
公社の承認を受けた研究機関が、その内容品についてあらかじめ税関
の検査を受けたものを、公社が別に定める条件に適合することを条件
として、書留とする航空扱いの書状として差し出す場合に限り送付す
ることができます。……

(注1) 第1項の公社が別に定める手続きは、次に定めるところに
よります。
1 死滅しやすい又は変敗しやすい生物学上の材料を包有する書状を
外国にあてて差し出し、又は外国から受領しようとする機関は、次に
掲げる承認請求の方法により公社の承認を受けることとします。……

(1) 生物学上の研究を行う機関(以下「研究機関」といいます。)で
あって、適格性について監督官庁の保証があること。
(2) 承認を受けようとする研究機関は、次に掲げる事項を記載した請
求書を公社に提出すること。
ア 研究機関の名称及び所在地
イ 監督官庁の名称
(3) 承認を受けた研究機関は、その名称又は所在地を変更したときは、
直ちに変更届を公社に提出すること。
2 公社は、公社が承認した機関の名称及び所在地並びに監督官庁の
名称を、別記15に掲げることとします。


ショウジョウバエ遺伝資源センターでは、平成14年5月に文部科学省からこの
材料を郵便により発受する適格性を有する機関であると判断された旨の通知を受
け取って いますが、国際郵便約款の別記15になぜか記載されていません。この件
については 問い合わせているところです。

梱包上の注意点として、梱包をしっかりと2重にして飼育びんからショウジョウ
バエが逃げ出さないようにする事です。頻繁に送付する場合は、生物学上の研究
を行う機 関として、認可を受けておく必要があります。

ご質問等ありましたら、ショウジョウバエ遺伝資源センターの山本までお問い合
わせ下さい。カルタヘナ議定書以降の件につきましては、都丸雅敏にお願いします。

ショウジョウバエ遺伝資源センター
山本雅敏