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神経ネットワーク形成の分子機構−神経筋特異結合をモデル系として

能瀬聡直

(基礎生物学研究所・行動制御)


 複雑な神経間結合が間違いなく発生過程において形成されるためには、それに応じた、精妙かつ多様なメカニズムが存在しているはずである。われわれは特に神経成長円錐における特異認識機構に興味をもち比較的構成が単純で、遺伝学的アプローチが可能なショウジョウバエの神経−筋結合系を材料として用い研究を行っている。この系は、約40個の運動ニューロンが、30本の筋肉繊維を支配することにより成立している。発生過程において、個々の運動ニューロンはいかにして特定の標的筋肉を見つけだし、シナプス結合をするのか。本研究集会では、われわれの研究を中心に、このモデル系における研究から分かってきた神経認識の分子メカニズムについて紹介したい。