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デザイン&開発理論
3. ユーザーは自分が何をしているのか、状況を「瞬時」に「完全」に把握できる
この目的のために主に以下の3つのアプローチを用いた
3-a. GPU によるリアルタイムレンダリング
3-b. 全パラメータを一画面上に表示
3-c. xyz の回転角度が自動で追従
3-a. GPU によるリアルタイムレンダリング:
本ソフトウェアは全てのレンダリングを Graphics Processing Unit (GPU) にてリアルタイムで行う。最新の GPU は同時代の CPU と比較して時には十倍以上の演算能力を有するが、機能に制限が多く、ある特定の処理しかできない。GPU での演算処理は近年様々なケースで行われておりトレンドとなっているが、これには利点と欠点がある。
ボリュームレンダリングにおける利点としては、強力な演算ユニット群によるリアルタイムレンダリングがあげられる。また、リアルタイムレンダリングシステムとしては、対費用効果が抜群に良い。
同じく欠点としては、データを全てグラフィックカード上に読み込むので、大量のビデオメモリを必要とする。そのため限られたグラフィックカードでしかそのソフトウェアは動かない。
・上記の利点・欠点を踏まえた上での本ソフトウェアの開発戦略;
まず最も重要なのが、リアルタイムレンダリングで画像が得られること。これにより、多くの画質調整パラメータ群の実装が初めて可能になる。リアルタイムレンダリング無しに複数のパラメータを調整して、目的画像を得るのは実用的にムリがある。またそうした調整無しに低クオリティーの画像を得るだけならば、voxx などのフリーウェアも含め既に多くのソフトウェアが存在しており、いまさらそのようなものを開発する意味はない。
現時点での生物学者はほとんどが最大で 3 重染色までしか行わないため、1GB のビデオメモリがあれば「512px X 512px X 130 枚で 5 チャンネル表示可能」なため困ることはほとんど無い。だが 1GB のメモリ容量では連続切片が「1024px X 1024px X 70 枚程度で 3 チャンネル」が限界のため、1.8GB のビデオメモリを搭載する GTX295( 2009 年 4 月の時点で 6 万円)の搭載を推奨する。同様の例として Adobe CS4 が約 21 万円の Quadro CX の使用を提案している。
本ソフトウェアは特定の目的のみに使用されるものであり、かつ使用者は限定されており、また競合他社の製品は数十万円〜数百万円もする。また本ソフトウェアは基本的にタダであるため、ソフトウェアが動くプラットホームを限定して( 20-30 万円程度の最新 PC をターゲットに)作製しても問題はない。動作環境の汎用性を開発項目に盛り込むと、現在のソフトウェアスペックは達成不可能であった。
3-b. 全パラメータを一画面上に表示:
タブ切り替え式やウィンドウ表示式では、見えていないタブやウィンドウに設定してあるパラメータがユーザーの予期していない値かもしれない。また状況を確認するということと、パラメータを設定するということは表裏一体であり、そのためにいちいちタブやウィンドウを切り替える必要があるようでは余計な手間と時間がかかる。
(しかし今回、チャンネルごとにウィンドウ切り替えを必要とする状態でダウンロード配布することになってしまった。マルチウィンドウを作成する方法に手を焼き、まだ解決できていない。できれば 3 チャンネル全ての設定を横 1900px の中に表示したい。)
3-c. xyz の回転角度が自動で追従:
共焦点顕微鏡にて乾燥・水浸・油浸レンズで撮影した連続切片からの再構成画像が綺麗に見える回転角度は、およそ斜め 45 度までである。それ以上傾けると z 軸方向に間延びしたシグナルによって画像品質が著しく劣化する。こうした理由からも、現在の回転角度をユーザーがリアルタイムで知る必要がある。また現在自分が見ているオブジェクトは実は逆方向から再構成したものだった、なんてこと極力防ぐ意味でも角度が絶対値で自動追従する機能は有効である。
4. その他
1. 連続切片上に存在するいかなるシグナルも、3D で可視化できる
2. 5 分以内に、3 重染色データから最高品質の画像を作成可能
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